(26.3.6) NHKグローバルデベート 「メディアの未来 2014」
最近私はNHKが放送する「グローバル ディベート Wisdom」をあまり見ないが、それは出演者がかならずしもWisdomでなかったり、あるいは同時通訳者の質が悪くて何を言っているのか分からない場合が多かったからだ。
聞いていて疲れるだけなので馬鹿馬鹿しいから見なかったのだが、今回の「世界が語る メディアの未来 2014」は久々に面白そうだったからビデオに撮ってみた。
最も興味深いのはディベート部分ではなく、相変わらずディベートを行うための前提として各国のメディア戦略を取材した内容の方だった。
今回のメディアとは主としてテレビがインターネット時代に如何に適合していくかという内容を追ったもので、イギリスとフランスの放送局が対象になっていた。
イギリスのBBCがどうやらテレビ局としては世界の最先端の試みをしているようで、iPlayerという配信サービスを行っているが、これは7日前までの全チャネルの全番組を無料配信するというものだった。
「何だ、これならビデオに番組を取っておく必要がないじゃないか、NHKもそうしてくれればいいのに・・・・・・・」
BBCがこのiPlayerを開始したのは2007年で、テレビ離れが進む中、どうしたら視聴者にテレビにとどまってもらえるかを模索した結果だという。
BBCはiPlayerをさらに成長させる戦略をとっており、番組のリスタート機能(番組の途中で最初から見直すことができる)や放送前の番組も視聴できるサービスを開始していた。
これで時間に囚われず、かつ場所に関係なくスマートフォンやタブレット端末を利用してテレビ番組にアクセスできる。
かつては大相撲やサッカーの試合があるとその時間に張り付かなくてはならなかったが、完全にそうしたことから解放されたことになる。
注)フランスもイギリスのiPlayerをまねた実験を行っていた。
アメリカの場合は完全にテレビから離れたインターネット動画サイト、ネットクリックスが採りあげられていた。今では全世界に4400万人の視聴者が居て、映画とドラマを月8ドルで見放題なのだそうだ。
さらにここがネットクリックスの驚くべき特徴だが、視聴者のデータをビックデータとして蓄積し、視聴者ごとに合わせた番組紹介や、ついには100億円をかけて「ハウス オブ カーズ」という人気番組までネットで作り上げてしまった(テレビや映画ではないネット動画でエミー賞を獲得していた)。
この「ハウス オブ カーズ」はネットフリックスの視聴者が最も好む政治ドラマで配役も視聴者好みに配されており、すべてビックデータを分析して作成されていたのだからすごい。
「この番組は最初からヒットするのは分かっていました」と番組制作者が言っていたがその通りだろう。
この企業にとってはビックデータを分析して視聴者の行動分析の精度を上げるのが最も大事な仕事で200人から300人程度のシステム分析者が分析アルゴニズムのレベルアップに取り組んでいたが、雰囲気は研究所と言ったところだった。
こうしてテレビはネット時代にどのようにして生き残るかの戦略を立てており、一方ネットはネットでテレビという牙城を切り崩そうとしている。
考えてみれば私などはテレビをリアルタイムで見ることはほとんどなく、必ずビデオに撮ってみており、またパソコンでブログを書いたり検索をしたりしている時間が圧倒的に多い。
67歳の私ですらインターネットこそ命というような状態だからテレビが生き残るにはインターネットとの融合がどうしても必要なのだろう。
何かテレビはインターネットに押されっぱなしだが、一方でNHKなどは非常に高品質の番組を制作している。この質の高さは他の追随を許さないのだから、後はインターネット時代に適合さえすれば生き残ると私は思っている。
なお、グローバルディベート Wisdomのブログ記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/nhkwisdom/index.html
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