(28.1.15) 21世紀の新素材が日本から生まれるかもしれない。CNFの衝撃!!
私は全く知らなかったが今日本で夢のような新素材の開発が進んでいるとい番組を、NHKのクローズアップ現代が放映していた。
新素材の名称はCNF(セルロースナノファイバー)といい、植物繊維をナノレベルまで細くした繊維のことである。
ナノレベルになると繊維間の結合が非常に強くなって鋼鉄の5倍の強度をもち、さらに繊維だから鋼鉄の約7分の1の軽さだという。
「本当かい、植物繊維が鋼鉄より強くなるなんて信じられない!!!」びっくりした。
この素材 は加工もいたって簡単で自動車の車体やタブレット端末の外枠を作ることも容易にできる。そして鋼鉄の7分の1程度の軽さだというから電気自動車のように車体を軽くしなければならない場合にうってつけだそうだ。もちろん飛行機のボディとしても使える。
私はまだこの技術が研究段階だと思っていたが、CNFそのものは王子製紙ですでに商品化していた。それなのに私が全く知らなかったのはCNFを使用した具体的な商品開発に成功していないからで、現在は宝の持ち腐れといった状況だ。
なぜ商品化されないかというと極端に価格が高く、1kgのCNFを作るのに最も安く作っても5000円程度かかるが、鋼鉄の場合は50円で作れてしまう。単純価格対比で100倍の差がある。
最も軽さが7分の1だから鋼鉄の7倍の体積になるからその点を考慮すると価格差は約14倍だ。
これで商品開発をするとなると高価だが絶対に必要な機能に使用することになり、現在検討されているものは競技用マラソンシューズの底のゴムにCNFを混ぜて使うというような例があげられていた。
現在競技用マラソンシューズは15000円程度するし、これが極端に軽ければ競技者が争って使用することは間違いない。
注)マラソンシューズは軽ければ軽いほどスピードが出るが、現在の技術で軽くすると靴底が薄くなって足を痛めてしまう欠点がある。
なぜCNFが日本にとって夢のような素材かというと素材がすべてセルロースだから、日本のように7割が森林だと日本中に資源が転がっているようなもので、アラブの石油が砂漠から湧き出しているのと全く同じイメージになる。
世界最大の資源国の一つになる可能性があると聞いて驚いてしまった。
さらに植物繊維は化石燃料と違って環境に優しいし、ほっておけば土に戻ってしまう。21世紀の夢のような新素材となることは間違いない。
ただし現状は上記に述べたように極端に価格が高い。この繊維を一般化するためには価格の引き下げが急務で、せいぜい鋼鉄の2倍程度の価格差にならないと通常の用途として使用するのは不可能だ。
したがって現在は世界各国でこのCNFの価格引き下げ技術の研究競争が行われているのだそうだ。
しかも鋼鉄以外にもアルミやプラスチックといった競合品があるからこうしたものを駆逐してCNFが素材の王者になるには時間がかかるだろう。
だが何とも期待できる話だ。従来の化石燃料だけを頼りにしていると日本は半永久的にアラブやアメリカの後塵を拝することになるが、CNFが主要な素材になってくれば日本は世界有数の資源大国になれ、しかも環境にもっとも優しい21世紀のモデルのような国家になれる。
今はまだテイクオフすらしていないが、こうした新素材を使った具体的商品が日本から続々生まれることを期待したい。
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