(24.6.1) facebookバブルの崩壊 投資家の怨嗟の声が聞こえる
(まだ私が若かった頃。トランス蝦夷1100kmの途中)
笑ってしまった。facebookの上場にからめて多くの投資資金が流れ込み、これがバブルを演出した後崩壊したからだ。
現在アメリカは史上空前の金融緩和措置を発動しているが、いくら金融を緩和しても資金需要がなくては金融機関は現金でただ保有しているより他に手はない。
しかしfacebookと言う寵児が現れ、金融界や証券界は躍り上がってしまった。
当初モルガンスタンレーのような引受機関は売り出し価格を28ドルから35ドルの間と言う、いたって冷静な判断をしていた。
しかしアメリカ中がユーフォリアに陥り、売り出し3日前には何の根拠もないのに売り出し価格は34ドルから38ドルが適当と修正した。
そして売り出し前日には38ドルと決定し、さらに株数を約20%も増やしたのだからすごい。
「絶対大丈夫だ。38ドルでも安いくらいだ」アメリカ中がブルになっていた。
あれから2週間、facebookの株価は約28ドルで、約24%も値下がりしモルガンスタンレーが当初予定した価格の下限に張り付いていている。
facebook のザッカーバーグ氏はこの上場で約8兆円の資金を入手したが、一方投資家はこの2週間の間に約2兆円の損失をこうむった。
投資家の怒りに火をつけているのが、18日の上場当日のNASDAQのシステムトラブルと引受金融機関モルガンスタンレーやゴールドマンサックスが売り出し1週間前に発表したfacebookの業績低迷予想の隠蔽である。
NASDAQのシステムトラブルは日本でもおなじみの想定外のアクセスが集中したことに伴うトラブルで、「facebookの上場で、まさかこんなに多くのアクセスがあるとは思わなかった」からだ。
30分遅れでどうにか動かしたものの、取引が成立したか否かの情報を一日中顧客に送れなかった。
これでは勇んでfacebook株を売り抜けようとしたり、初日の値動きで鞘を取ろうとした投資家は完全に鼻白んでしまった。
「取引結果が分からなければ売ることも買うこともできないじゃないか。これが世界最高性能と言われたNASDAQのシステムか!!!」
損失をこうむり頭にきた投資家がNASDAQ相手に90億円規模の損害賠償訴訟を起こしている。
そこにさらに追い討ちをかけるように、「facebookはスマートフォンの広告機能がないので、今後の業績は低迷する」とするモルガンスタンレー等のレポートが一部大口投資家にしか知らされていなかった事実が判明した。
「そんな重大な情報を隠蔽して売り出し価格を38ドルにしたのは詐欺だ」
こちらも金融機関に対する訴訟が続々と発生している。
かくしてfacebookの上場は「史上最低の上場」と酷評されるまでになってしまった。
サブプライムローンのバブル崩壊を新たなITバブルで乗り越えようとしたアメリカの金融・証券業界の戦略はものの見事に失敗した訳だ。
もっともfacebookそのものは優良企業だから相応の企業価値はあるが、少なくともそのバブル部分が剥げ落ちるまでは株価は不安定な値動きをするだろう。
アメリカにはfacebookに続こうとする新規IT企業が続々と上場を狙っているが、今回のfacebook騒動で、二匹目のドジョウはいなくなってしまった。
アメリカは今世紀的な金余り現象が生じている。だから少しでも値上がりが期待される案件には投機資金が集中するが、その逃げ足も早い。
バブルをバブルで乗り越える方法はさすがにアメリカでも限界にきたようだ。
なおアメリカ経済に関する記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43809971/index.html
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