(2.9.23) 人類衰亡史序説 ベーシック・インカムその1 ベーシック・インカムの時代が始まった!!
コロナが蔓延し経済状況が悪化して失業者が増大するとともに、ベーシック・インカムの議論が表面化している。
ベーシック・インカムとは政府がすべての国民に最低限の生活に必要な資金を給付する制度だが、今まではどこの国でも反対意見が多数を占めていた。
「そんなことをすれば働く人がいなくなってだれが所得を稼ぐのだ」とか「第一その財源なんかないじゃないか」というのが一般的な反対意見で日本でも真面目に取り上げられることはなかった。
ところがコロナが蔓延し経済に激甚な影響を与え、世界中に失業者や失業予備軍が蔓延してしまうと、貧乏人ばかりになって国の経済が立ち行かなくなってしまった。こうした状況下では日本をはじめ各国で疑似ベーシック・インカムといわれる定額給付金制度が導入され、日本では一律10万円が支給された。不足する需要を政府の支援金で復活させようとの政策だが、この一律支給制度を毎月行うとそれがベーシック・インカムになる。
コロナは例外的な措置と思われているが実は違う。このコロナ下でパラダイムシフトが起こっており、人々は移動しなくなり、テレワークやテレスタディが通常形態になり、また外国旅行などはしたくてもできなくなってみると、今まで必要とされていた職業が加速度的に失われていくことに気がついた。
航空会社などは人の移動がなくなり貨物しか運ぶものがなくなってしまい、飛行機も飛行場もほぼ半分で十分になっている。新幹線も高速道路もタクシーも観光バスも移動する人がいなくなると資源が余ってしまい、旅館もペンションもホテルも閑古鳥が鳴いている。
今まで必要とされていた産業やそこに従事する人がコロナの蔓延ではぼ半数は不要になってしまった。
こうして人員も半分になってしまうと巷には失業者があふれかえって犯罪が激増し始めるが、これを防ぐ手段は一つしかない。人々が生活できる最低限の資金を政府が給付することだ。
アメリカの都市では黒人暴動が頻発しているがこれを防ぐため最低給付の支給をロスアンジェルスの市長などが真剣に検討している。
「暴動で街を破壊されるより生活資金を給付する方が安上がりだ」という判断だ。
問題になるのが財源だが、定額給付金の財源はどこも赤字国債で賄っている。すぐにしかるべき財源がないからだが、将来的に安定した給付金を支払う体制のためには財源確保が絶対に必要だ。考えられる措置としては国民年金、失業保険、児童手当、雇用保険をこの給付金に統合することで、一人当たり国民年金相当の6万円を支給するという案である。こうした年金等の総額は約30兆円規模になっているが、全国民に6万円を支給することになると概算で90兆円は必要になる。
残りの60兆円は消費税の増税30兆円と赤字国債の発行30兆円で賄うということになるだろう。
コロナ後の世界では職場は今の半分程度に縮小する。人々はワークシェアリングでなんとか仕事を確保するが当然収入は半分程度になってしまう。
そして生活資金として不足する分はベーシック・インカムで補うことになりそうだ。菅政権はまだそこまでのせっぱ詰まった考えはもっていないが、現実に職場が縮小していくとこのべーシック・インカムの問題が表面化するだろう。
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