(2.8.18) 人類衰亡史序説 ベラルーシ その1 ベラルーシのルカシェンコ氏は生き残れるか?
ソビエトロシアが崩壊してから約30年、今最後のソビエト型政権が崩壊の危機に立たされている。ベラルーシのルカシェンコ政権である。
ルカシェンコ政権はソビエト崩壊のどさくさに紛れて1994年に成立し、当初は民衆の支持を集めていたが時間がたつにつれ独裁政治の性格をあらわにしてきた。それでも選挙で5回も勝利したのは巧みな選挙操作の結果で、今回もそのつもりで票数を操作したがとうとう民衆が怒ってしまった。6選は有力候補のチハノスカヤ氏との一騎打ちだったが、ルカシェンコ氏が80%の得票を獲得して当選したことにした。このあまりの露骨な票操作にさすがのベラルーシ国民も怒ったのだが、当初は接戦が予想されていたのだから当然だ。
今は対立候補だったチハノスカヤ氏を外国に追放し、「六選を果たした以上国民に責任を持つ」と意気軒昂だが、ミンスクの町はデモで騒然とし治安部隊との衝突が繰り返されている。
日本人にとってはベラルーシといわれてもどんな国かさっぱりだが、人口約1000万、国内の産業は機械製造業が約25%、石油天然ガスが約20%で工業国に分類されるが、ソビエト型の工業国であり機械製造業の競争力は弱く、国内産業を保護して何とか経済を持たせているのが実情だ。
ルカシェンコ氏は当初はロシアとの関税や通貨の統合に意欲的だったが、ロシアがプーチン政権になり独裁を強めるとルカシェンコ氏はロシアとの距離を置き始めた。独裁者同士では馬が合わず、統合されれば自身の立ち位置がなくなるからだ。
経済は停滞気味で15,16年はマイナス成長で、最近まで2~3%の低成長が続いていた。プーチン政権はロシアとの統合を渋るルカシェンコ制裁のために資金援助を断ったり、天然ガスの価格を上昇させたりしたものだからルカシェンコ氏はすっかりおかんむりになり、「なら中国と手を組んで社会主義市場経済だ」と一帯一路に悪乗りした。
しかしここにきて国内が騒乱状態になると、軍隊をすぐ派遣できる国は隣国のロシアだけだ。
「あの、プーチンさん、いや申し訳なかった。もし我が国が騒乱状態になって、我が国が誇る治安部隊では手に負えなくなったら助けてほしい」と急に猫なぜ声を出している。
ベラルーシが第二のソビエト崩壊の道をたどるか否かは即断しがたい。ただ様相はかつてのルーマニア大統領チャウチシェスク氏と類似してきた。ミンスクの工場労働者(ルカシェンコ氏の絶対的な支持者と思われていた)の前で演説をしたのだが、労働者から「ルカシェンコやめろ」という怒声が飛び、大統領は思わず絶句していた。この光景はかつてチャウシェスク氏が大統領府のバルコニーから演説をしたとき、聴衆から「やめろ、やめろ」の大合唱が起き、チャウシェスク氏が絶句し演説を止めた姿と相似形だ。
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