(2.7.19) 人類衰亡史序説 WTO その1 日本を地獄に突き落とすため事務局長を奪取せよ!!
WTO(世界貿易機関)のロベルト事務局長が任期を1年残し、この8月に退任することになりその後任の事務局長の選挙が迫っている。
ロベルト氏が退任を決意したのはWTOが機能不全に陥ったからだが、WTOの紛争解決手段の上級員会のメンバーが一人になってしまったことによる。
通常WTOは二審制になっていて、まず小委員会の裁定があり、それに不服の場合は上級委員会に上訴できる。上級委員会は7人のメンバーからなり、個別の案件は最低3名の上級員が裁定を下すことになっている。その上級委員のメンバーが19年12月以降1名になってしまった。
1名ではそもそも審議を行うことができない。すべてといっていい案件が滞り、裁定ができなくなってしまった。
理由はアメリカと中国の対立で、WTOが中国よりの裁定を繰り返す(韓国よりでもある)のに業を煮やしたアメリカが後任の上級委員の承認を拒否し続けているからで、承認は参加国の全員一致(実際は影響力のある国の全員一致)で決まるため後任の人事が完全に滞ってしまった。
アメリカの主張は「中国寄りの裁定を止めること」でこれには中国が反発しているためWTOは完全に脳死状態になった。
ロベルト事務局長(ブラジル)はすっかり嫌気をさし、「現時点で我々は何もしていない。なにも交渉がなく、すべてが滞っている。通常業務は何も進んでいない」と悲鳴のような声明を出し抗議の辞任に及んだ。
この事務局長の後任人事を決めるための選挙が行われるのだが、後任に8名が立候補した。有力候補はケニアのアミナ氏、ナイジェリアのヌゴジ氏、そして韓国のユ・ミョンヒ氏である。
選挙は候補者の中で参加国の支持の少ない候補を落としていき、最終的には全員一致で最終候補を事務局長に選任する形式になっている。ポイントは全員一致ということで反対国(ただし有力国)のある候補者は事務局長になれない。
現在のところケニアのアミナ氏は中国のポチとみなされておりアメリカが反対し、またユ・ミョンヒ氏は日本をWTOの血祭りにあげるために立候補しているため日本が反対しているため、ナイジェリアのヌゴジ氏が有力といわれているが、一種の密室でのやり取りで候補者が決まるため帰趨ははっきりしていない。
WTOが従来中国寄りの採決を繰り返したのは上級委員を中国の息のかかった国の委員で占めてきたからで、中国はアフリカ諸国に多くの投資をして票の取りまとめがうまい。
アメリカの主張するWTO改革とは中国派の事務局長と上級委員を締め出すことだが、これには中国が猛反発するのでWTOの脳死状態がつづく可能性も高い。
アメリカの本音は中国が支配する国際機関からの脱退だが、もし改革が可能ならばWTOにとどまってもいいと考えている。
問題は中国とアメリカとの相克の結果第3の候補として韓国のユ・ミョンヒ氏が事務局長になる可能性もあることだ。
ユ・ミョンヒ氏の言行録はすさまじく文大統領の日本バッシングの切り札であり、19年7月日本が韓国をホワイト国から外したことに対し「日本とのWTO紛争で韓国は百戦百勝であり、日本の輸出規制に対し、今回の提訴も徹底的に立ち向かって勝訴する」とラッパを高らかに吹き鳴らした。
実はこれは真実であり、福島県の農産物の韓国の輸入規制をWTOに提訴した日本は上級員会で敗訴している。上級委員会は中国の支配下にあり韓国は中国のポチだから上級委員会に提訴されれば必ず勝てるとの自信がある。
今や国際機関はすべてとはいわないまでも、そのほとんどが中国に牛耳られており、アメリカは脱退以外に有効な手段が見いだせない。日本もユ・ミョンヒ氏が当選でもしたら「日本を地獄に突き落としてやる」といった文大統領の野望が達成できそうだ。日本としたら最悪でもユ・ミョンヒ氏が落選するように工作しなければならないが、日本の政治力の弱さは定評があるので目的が達成できるかどうかは未知数だ。
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