(2.5.27) 人類衰亡史序説 コンビニ業界 その1 24時間営業の蹉跌
コンビニ業界は緊急事態制限下でも営業を継続していたが、トイレの利用を禁止したり、ごみ箱の利用を禁止したり、店内の飲食も禁止されていたので、日ごろの手ごろさはすっかり消え私などは店の外のコンクリートの上でおにぎりを食べていた。
食べた後のごみを捨てる場所はないため、そのまま自宅まで持って帰ったが何とも不便な感じがした。
「少しもコンビニでないじゃないか・・・・」
日本国中どこにもコンビニはあるが、日本でこれほどコンビニ業界が繁栄したのは大店法の規制が厳しく大型店舗を展開することが困難を伴ったためで、街の小売店を近代化したコンビニならば一切規制がなかったからである。
さらに24時間営業というそれまでになかった営業スタイルが好走し日本全国を席巻したのだが、何事にも栄枯盛衰はあり昨年から人手不足に陥り、24時間営業が実質的に不可能なフランチャイズ店が続出し始めた。
19年、コンビニ各社は実験と称して24時間営業をやめた場合の得失について調査を実施していたが、20年度になってコロナウイルスが蔓延しさらに人手不足と顧客の減少が追い打ちをかけ、実験というような悠長なことが言えなくなった。
ファミリー・マートはこの6月1日から、加盟店の約5%に当たる787店舗に時間短縮を認めることとした。
ローソンも時短短縮に応じており、一方24時間営業に固執しているのはセブンイレブンで実験と称して120店舗に時短を認めるそぶりを見せているが本心はあくまで24時間営業の継続のようだ。
私にはなぜ顧客が来ない深夜まで営業するのかわからないし、店のオーナーはほとんど奴隷労働のようになってかろうじて生きているような状態だ。合理的に考えれば24時間営業を中止すべきなのだが、特にセブンイレブンは中止に本心では反対している。
やむなく実験を始めたのは大阪のオーナーが反旗を翻してSNSで実態を暴露したからで、セブンイレブンは違約金1700万円を支払えとオーナーを脅していた。
しかし客観的に見て24時間コンビニを営業させなければならない経済的理由はあるのだろうか。24時間営業すれば昼間の顧客が増大するというのがその理由と、夜中は棚卸作業をさせたいというのがもう一つの理由のようだ。
なぜか夜間営業をするコンビニのほうが顧客が多くなるらしいが、それもオーナーを奴隷のようにこき使って達成できるのだから、これでは古代ローマの奴隷制とさして変わりがない。夜中まで眠らさないで働き続けさせるとは人道問題ではないかと私などは思ってしまう。さらに言えば日本は夜中に起きている人は世界で最も少なくなりつつある国だ。日本は老人比率が約30%になり世界最速の老人大国だが、老人の日常スタイルは早寝早起きであり、間違っても夜うろつくような元気はない。
だから夜中の営業をしてもますます顧客は少なくなるし、実際地方ではどの小売店も8時前には店を閉めてしまっている。コンビニだけが例外だというのは一種の詭弁だ。
せっかく世界に冠たるコンビニ店を日本の隅々までいきわたらしたのだから、このあたりで奴隷労働をオーナーに強いるのはやめるべきで、オーナーとの共生を図る時期にきているといえる。
そうした意味でファミリーマートやローソンは時代の流れに対応し始めたが、セブンイレブンの頑固さにはあきれる。
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