(2.5.13) 人類衰亡史序説 自動車業界 その 2 自動車不要の時代
20世紀は自動車の時代だったが、今やそうした栄光は過去のものになりつつある。今回のコロナウイルスの感染症で世界中で人の移動が制限され、その結果交通機関といわれている自動車や飛行機や電車等の需要がなくなってしまった。
航空機などは90%程度の減便であり、日本の誇る新幹線も95%も乗客が減少した。
そして自動車は全くと言っていいほど売れなくなってきた。
このたびトヨタ自動車が発表した2021年度の自動車販売見込みは、2020年度より155万台減少し、営業利益は約8割減少して5000億円程度になるという。
トヨタは自動車業界の雄だが、それさえもかろうじて営業黒字を出すといったところで、トヨタ以外の弱小の自動車会社の運命はほぼ定まったといってよい。
コロナの感染が完全に収まるにはワクチンが開発され、適切な治療法が確立するまで待たなくてはならず、およそ3年程度は見なければならないだろう。それもこの見込みは先進国に限ってであり、新興国や途上国においてはワクチンも治療薬もいきわたらないから、自然感染を待って国民の約7割程度が感染しなければ収束しそうにない。
その間人々は基本的に家に閉じこもり、他府県への移動も遠慮しなくてはならず、外出は必要最低限に限られるから、そもそも自動車を使用する必要性も限られる。
新車が発売されても「でもそれだれが使うの!!」といった状態になって、不必要なものにだれも見向きもしなくなる。通勤も三密を避けなければならないから、テレワークが推奨され、会社に行く場合も自転車通勤が推奨される。
もはや人々が移動の必要がなくなれば、移動手段の自動車も飛行機もそして公共交通機関もほとんどのものが不要になってきて、20世紀から最近までかけて築いてきた都市インフラのかなりの部分が不要になってしまう。
現在新しい生活様式という言葉が盛んに述べられているが、それは人の移動を最小限にし業務や学業や医療もできるかぎりネットワークを使用して行い、かつて中世世界がそうであったような自分の属するコミュニティーから一生出ることもなく生活する生活様式が主流になってきそうだ。
14世紀はペストの時代だが、当時のヨーロッパの人口の約3分の1が死に絶えてしまい、残った人々はよそ者が来るとペストを運ぶものとして、その共同体からおいだすか火あぶりにしていた。
現在においても香川県の一部住民は香川県以外のナンバープレートを付けた車を見ると、わざと車を接近させあおり運転で追い出そうとしている。14世紀から約600年たち、今またペストの時代の精神構造が復活した。
このような時代に自動車を乗り回すことは自殺行為だから、人々は逼塞して静かに自分が所属している共同体の中で過ごす選択をするだろう。
簡単に言えば運輸交通手段が徐々に不要になってきて、新たな航空機の開発も頓挫し、リニア新幹線も不要になり、自動車も乗らないのだから排気ガス問題は解決され電気自動車でさえ不要なものとなっていくだろう。
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