評論 人類衰亡史 業界 航空業界

(2.10.24) 人類衰亡史序説 航空業界 その3 飛ぶことがなかった三菱ジェットの悲しき中断

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 もはやどうしようもないところまで追い込まれてしまった。三菱重工業と通商産業省が国家の命運をかけて開発してきた国産ジェット、スペースジェット(旧MRJ)のことである。
当初計画では2013年にはANA等に納入していたはずだったが、型式証明をとるための設計変更を繰り返し、今までに6回の納期延長を図ってきたがもはや後がなくなった。

 1兆円余りの資金を投入し中型機の世界で存在感を高める予定が、全く商業飛行をできぬまま開発の中断に追い込まれてしまった。
最大の原因はコロナで、世界中から航空需要がなくなり、特に国際便などは対前年比較で9割の激減に見舞われている。航空各社は赤字に追い込まれ、いつ倒産するかわからないような状況で、生き残りのため現在手持ちの航空機を半減しようとしている。
新たな航空機需要などどこをさがしても存在せず、整理された中古の航空機が市場にあふれかえっている。

 スペースジェット開発の前提条件は常に増大する旅客需要だったが、その前提条件が崩壊している。いまではだれも新規の航空機を購入しようとしないのだから、スペ-スジェットがどんなに効率的で燃費が良くても、無用の長物だ。。
ボーイングもエアバスも政府の資金支援でかろうじて生き延びている状況だし、公的支援がなくなれば即倒産だ。

 コロナの収束はいくら早くても2024年といわれており、LCCや国際便だけの航空会社(キャセイ航空やシンガポール航空)は政府支援が終わった段階で次々に倒産に追い込まれる。人々は静かに国内にとどまり、海外はコロナウイルスばかりだと旅行を控えている。
21世紀に入り、急速に地球は分裂し始め、自国以外のことを考えることをしなくなった。
人々は自身の住んでいる住宅近辺をさ迷い歩くが、それ以上の遠方まで出かけていく気力を失っている。もはや飛行機をつくること自体が無駄な作業となっている。

 

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(2.10.23) 人類衰亡史序説 航空業界 その2 航空業界はいつまで生き続けられるかの我慢比べ!!

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 航空業界はどこの国でも生存が危ぶまれるような青息吐息の状況になっており、政府による支援なしに生き残りは不可能なようだ。
ANAなどは懸命に1兆円余りの資金調達を実施しさらに4000億規模の自己資本の増強策を打ち出したが、それとても向こう1年間程度の資金繰りの手当てであり、それ以降も航空需要が戻らなければJALと同様の政府管理に陥ることは確実だ。
世界のあらゆるメガキャリアはドイツもアメリカも政府資金の注入によって生き延びており、すでにタイやイタリアのフラッグキャリアは倒産し、オーストラリア第二のバージン航空も倒産し、韓国のアシアナ航空は売却先を探し求めている。

 今や国際便は乗客が昨年比10%程度まで落ち込んでしまい、いつまでこの状態が継続するかわからず、わずかに国内便と貨物便の運航で息をつないでいる。コロナ発生以来人々は全くと言っていいほど外国旅行をしなくなってしまった。たとえ自国の感染者がほとんどいなくても、相手国でコロナが蔓延していればどうにもならない。しかもコロナの勢いはますます増大しており、ここにきてヨーロッパでは第二波の感染拡大が発生している。

 こんな状態では大手の航空会社でもかろうじて生き延びている状況で、財政基盤の弱いLCCとなるともはや対処のしようがない。ほとんどがリースによる航空機調達だが、リース契約が存在している限り飛ばない飛行機のためにリース料を支払わなければならず、支出だけが増え続けている。安さが売り物のLCCだったが、そもそも乗客がいなくなってしまえば安さは何のメリットにもならない。
私は日本で離発着しているLCCは全部撤退するものと思っていたが、信じられないことにANAやJALの子会社のLCCは新たな路線開拓に乗り出して、たった二人の乗客を乗せて処女飛行などをおこなっていた。
しかしどう考えても二人程度の乗客では採算に合うはずはなく、運休に陥るのは時間の問題だろう。

 何度も同じことを言って恐縮だが、コロナ後の世界では人々は外国旅行をしない。正確に言えばできないのだがワクチンの開発も今年は間に合うはずはなく、また来年度接種が始まっても全世界的な規模では不可能で、先進国で医療従事者や年寄りにワクチン接種を行うのがやっとだろう。その間も感染拡大は収まることがなく、3~4年はこの状態が続く。
航空会社がそこまで生き残れるか否かは政府の支援によって明暗は分かれるが、結局政府が支援した数社だけが、このコロナ感染の荒波の中で生き続け、支援のない航空会社はすべて倒産するか自然消滅すると思っていたほうがいい。
旅行客の増大に伴ってあれほどもてはやされていたLCC各社も独立系は倒産し、大企業の子会社だけが親会社が生き続けている限り命脈をた持つといった状況になってしまいそうだ。

 

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(2.9.28)  人類衰亡史序説 航空業界 その4 政府の支援なしに生き残れないが、支援はいつまで続くか?

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 航空業界の苦境が続いている。最悪だった4月は軒並み対前年比80%から90%の落ち込みだったが、その後も回復ははかばかしくない。
IATA(国際航空運送協会)は本年度は約5割の落ち込みと試算しているが、下期に需要が回復したらの話で実際はこれよりかなり厳しい数字になるだろう。

 各国の大手航空会社は政府の支援でどうにか息をついている状況で、例えばアメリカでは雇用維持助成金が2.6兆円規模で支出されている。
期限が9月末で、当初の見込みでは下期に需要が回復することになっていたが実際はさっぱりだ。航空各社は支援継続を訴えているが議会では保守系判事任命で共和党と民主党がつばぜり合いを行っており法案どころではない騒ぎだ。
アメリカン航空もユナイテッド航空も政府の支援が期待できなければリストラに突入すると公表し、その場合は3万人規模の解雇者が出るという。

 ドイツのルフトハンザはドイツ政府に泣きついて1.1兆円の公的資金を得たがその見返りは政府によるルフトハンザの支配だった。
日本ではANAとJYLが航空業界を代表して政府に2.5兆円の支援を要請している。2兆円の政府保証融資と、0.5兆円の税金等の棒引きだ。
日本ではまだこの要請を正式に取り上げられておらず、ANAもJALも仕方なく政府系金融機関や大手都銀からの資金調達と自己資金で何とか息をしているが、ANAは毎月1000億円の赤字、JALは600億円の赤字を垂れ流しており、調達した資金が底をつくのは来年の2月ごろと想定されている。
したがって日本では来年2月までには航空会社が要望している2.5兆円の支援パッケージを発動せざる得なくなる可能性が高い。

 コロナはワクチン開発が急がれているが、現在承認されているワクチンは第3段階の治験を飛ばしており、副作用について安全性が保障されていない。完全に安全性が保障され、かつ全員の希望者に接種できるまでの量が確保できるのは、いくら早くても来年後半で、21年の冬は今年と同様のパンデミック状態になると想定したほうがいい。
したがって航空需要は相変わらず低迷したままで、各国の大手航空会社は政府の支援なしに生き延びることは不可能だ。

 さらに言えば、このコロナ騒ぎで世界のパラダイムが変わってしまった。例えば海外の主要な大学はオンライン授業をしており、それならば留学は国内にいてもできる。また企業の海外出張も激減してその代わりテレビ会議が花盛りだ。
旅行も最近ではバーチャル旅行が流行っており、無理して外国まで行かなくても旅行気分は十分に味わえる。
もはや飛行機に乗り長時間の長旅に耐える時代は終わり、人々はネットでなんでも代替し始めた。

 こうした時代に航空機産業は完全に斜陽産業になる。IATAも今年は5割は不要と想定しているが、実際はそれが半永久的に続くと思ったほうが良い。航空機の半分は不要でボーイングもエアバスも倒産予備軍だし、各国の航空会社は半減せざる得ない。日本ではANAとJALが合併してかろうじて生き残るというシナリオが現実味を帯びている。
コロナ後の世界はネットとバーチャルが主流になり、リアルの世界が消えていくだろう。

 

 

 

 

 

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(2.9.15) 人類衰亡史序説 航空業界 その 3  ついにリストラが始まった。先鞭はユナイテッド航空

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 ついに日本においても航空業界のリストラが始まった。先鞭をつけたのは米ユナイテッド航空で、アメリカ以外にある4拠点のうち3拠点を閉鎖しそのうちの一つが成田だという。成田には350人の従業員がいるがリストラ対象は270人で日本人は155名だという。
ユナイテッド航空はアメリカ本土でもリストラを進めており、従業員の45%、3万6千人を10月以降順次解雇するのだそうだ。
簡単に言えば職員の約半数が解雇されることになるが、飛行機は国内便以外の乗客はなく、海外に飛んでいるのは貨物便だけだからどうにもならないのだろう。
アメリカでは連邦政府の給与支援プログラムが9月末で終了するため、このプログラムが延長されない限り航空会社が自力で経営を維持することは不可能になっているのが背景にある。

 一方日本のANAやJALは現状一時帰休で状況見だが、ANAの一時帰休者は43.500人で、給与の60%の支払いがなされている。なにもしないで6割もらえるのなら、もともと高給の航空会社の職員にとっては今のところ不満はないだろうが、問題はこれが解雇に直結する可能性が大きいことだ。
コロナの世界的蔓延は今や第2波が押し寄せており、ヨーロッパでは再びロックダウンがささやかれ、一方アメリカやインドやブラジルに至っては集団免疫を目指しているような感染者数の増加だ。
こうした状況では国際便など運行しようにも飛ばせる場所は存在せず、国内便と貨物便だけが唯一の収入源になっており、どこもかしこも赤字経営で昨年の半数の乗客を運べれば御の字といった状況だ。

 目を覆いたくなるような状況は航空ターミナルに店を出店させている免税店も同様で、成田では460店舗中264店舗が休業中で、うち12店舗が廃業を決意した。売り上げは8月の対前年対比で▲97%というから、全く顧客がいないのと同じようなものだ。
空港会社は賃料を1年間無料にする等の措置をとっているが、だれも顧客が来ないなら焼け石に水だ。

 ユナイテッド航空に始まったリストラの嵐は、今後日本の航空会社、ターミナルの店舗等を巻き込んでこれから本格的に始まる。
人を運ぶ仕事は人の移動がなくなれば上がったりで、航空業界だけでなく新幹線やタクシーや国内のホテルや旅館を席巻してその弱い環を一つ一つつぶしていくだろう。
昨年の今頃は2020年はオリンピックも開催され海外から4000万人の顧客が訪れるはずで、その需要を当て込んでホテルなど増設に次ぐ増設で、航空会社も新規に航空機を購入するなどして準備していたが、すべて裏目に出ている。

 残るのは国内需要だけで、今やGOTOキャンペーンで日本人がどの程度旅行してくれるかにかかってきた。日本には1億人の需要があるからまだそれでも何と持ちこたえられそうだが、国内需要の乏しい人口の少ない国にとっては対応策がことのほか難しいだろう。
今はちょうど江戸時代のような状況で、外国とはほぼ鎖国状態だから江戸の市民のように貧しくとも耐える生活を余儀なくされ、たるを知る生活が唯一の対処法になっている。
明治の開国を経てグローバリズムの波に翻弄されていた生活が、一転して鎖国状態になったのだからこれをパラダイムシフトといわなくて他に呼ぶものなどありはしない。




 

 

 

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(2.7.27) 人類衰亡史序説 航空業界その2 そして国際便が消えてしまった!!

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 かつて男の子の将来の夢を聞くと「僕、パイロットになるんだ」という答えが多く聞かれた。子供にとっての憧れの職業だったが、世界中に行けて大空を鳥のように飛び、そして高給なのが何より魅力的だったからだろう。
実際私の妹の旦那はANAのパイロットだったが、銀行員だった私よりはるかに高給取りで、「俺もパイロットになればよかった」としみじみ思ったものだ。

 だがコロナ感染症が全世界に蔓延したことから、人々は外に出歩かなくなり、ましてや外国に行く人はほとんど皆無になってしまった。人が移動しなければ航空機を飛ばすわけにはいかず、パイロットを含む乗務員の仕事がなくなってしまった。
当初はコロナ騒ぎはすぐに収束するものと楽観視していたが、反対に感染者数も死亡者数も激増し、ワクチンの開発は本年度いっぱいは絶望視されているため、いまだ飛行機に搭乗する人は国内便に限られ、国際便はほとんど全滅の状況が続いている。

 世界のメギャキャリアは赤字経営に陥り、ルフトハンザエールフランスKLMは政府からの補助金を約1兆円規模で注入されることになり、またタイ国際航空やアエロメヒコやブラジルのLATAN航空グループは倒産してしまった。イタリアのアリタリア航空はコロナ以前から経営が行き詰っていたが、イタリア政府が国有化に乗り出し、経営規模を4分の1に縮小して再出発することになった。
隣の韓国ではアシアナ航空とLCCのイースター航空が売却に出されたが、交渉するたびに買値が下がるため売り手はふてくされて交渉が決裂してしまった。

 ことの本質は「一体いつになったら旅客が戻るのか」ということだが、ワクチンが普及してPCR検査も厳重に行われるまで不可能で、来年度は先進国の一部でワクチンの接種が行われても、世界的規模でのワクチンの接種は絶望的だから、国際便は一部運行が再開されるといったレベルにとどまるだろう。
そして問題なのは航空業界全体として大幅な人員整理が実施されることで、世界中からパイロットと客室乗務員と整備士等が消えてしまうことだ。

 今回のコロナ騒ぎの教訓はバーチャルな世界で仕事も旅行も勉強もするようになるということで、ビジネス客は海外に直接出向くよりバーチャルな空間で互いに業務をしてしまい、あえて現地に出張することは激減するし、観光もバーチャルリアリティで十分という時代に突入したといえる。留学生などはあえて現地校にいかずにネットワークで自宅で勉強すればいいわけで、これでは国際便の旅行客は将来的にも望むことができない。
外国のお土産もアマゾンで頼めばいいわけで、人があえて現地に赴く必要性が激減しつつある。

 信じられないような変化だが、これだけネットワークが発達し5Gの世界に入れば、ほとんどすべての仕事や旅行や勉学も自宅にいてすべて済んでしまうのだから、あえて航空機に乗る人は一部の趣味人だけになり、航空機だけでなく新幹線も高速道路もガラガラになってしまいそうだ。日本では旅行業界のためにGoToキャンペインを実施中だが、首都圏人は除外されてこれも不発に終わりそうだ。

 何度も同じことを言って恐縮だが、世界は急速に自己に閉じこもり居住地から移動しなくなりそして経済はそれに応じて縮小する。世界がGDPで浮かれていた時代の終焉である。

 

 

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(2.5.9)  人類衰亡史序説 航空業界 その2 

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 私が子供のころ最も人気のあった職業はパイロットだった。
僕は大きくなったら絶対にパイロットになるんだ。そして世界各地を見て回るんだ」などとよく言ったものである。
給与は破格に高く、かつ外国旅行は自由にできて、しかも空を飛べるのだからこれほど夢と希望に満ちた職業はなかった。
しかしあれから60年、今や世界中でコロナが蔓延し、その結果旅客用の国際線はほぼ100%近く運休になり、飛行機は駐機場に止まったままだからパイロットは有り余ってしまった。
日本だけでなくどの国の航空会社も職員を自宅待機させ、さらに経営が悪化すれば解雇に及んでいる。憧れのパイロットも陸に上がった河童ではどうにもならない。早くコロナの惨禍が収束し再び操縦する日を夢見ているがその夢はなかなかかなえられそうもない。

 隣の韓国には大手の大韓航空、アシアナ航空のほかにLCCが6社あるが、国土は日本の約3割で国内便の需要は多くなく、もっぱら国際便で営業を支えてきた。
特にLCC6社は日本便のウェイトが約3割でこれがドル箱だったが、2019年のボイコットジャパン運動で日本への旅行客がいなくなってしまった。
韓国左翼は有頂天になり「これで日本に対して報復がかなった」と大騒ぎしていたが、LCC各社はそれどころではなく仕方なく中国便を増便して経営を立て直そうとした。ところが2020年になって中国でコロナ騒動が発生し、中国が国を閉じてしまったため中国人観光客は絶無となり、また韓国人も中国に入国できなくなってしまった。
LCCの乗客が突如として消えてしまった。

 韓国政府もLCCの苦境を見て260億円の緊急融資を行ったが、しかしこの程度では焼け石に水だ。LCC各社は経営基盤が弱い。特に航空機をリース契約で運用しているため毎月リース料が発生しこの資金手当が必要だが収入はほぼゼロだ。しかもこのゼロ行進がいつまで続くかわからない。そうこうしているうちに大韓航空もアシアナ航空も根を上げ始め、韓国政府は大手二社に2500億円の緊急融資を行ったが、これも一時的な気休め程度の額に過ぎない。
もはや大韓航空の職員は通常の3割いてもすることがないほどで、7割は交代で有給休暇をとっている。大韓航空より経営基盤がぜい弱なアシアナ航空は職員に従来の給与を払うことができず、給与を半額に削ってしまった。

 今航空業界は「コロナさえ終息すれば・・・・・」と一縷の望みを託しているが、実際は大量解雇と倒産が待っているだけだろう。何しろコロナ騒動は1年程度ではとても収まりそうもなく、ワクチンと治療法が確立され、しかもそれが全員にいきわたり、さらに自国だけでなく相手国も同様の状況にならない限り飛行機の飛ばしようがない。

専門家はワクチン開発と治療法の確立に1年から1.5年はかかると述べているが、問題はだからと言ってそれで問題が解決しない。

十分なワクチンの確保や治療薬が確保できて初めてその国の問題は解決するが、アフリカや中南米やアセアンの貧困国等にはそうしたワクチンも治療法もいきわたらず、相変わらずパンデミックのままだ。
こうした最貧国では結局は自然免疫ができるまで蔓延するから、3年以上のタームで考えないといけない。

 航空業界が一息つけるのは3年後ぐらいで、その間旅客は一人もいないからLCCは存立基盤を失い、大手は国家の保護の下に細々と生き続けるのが実際だろう。韓国では生き残れるのは大韓航空1社ぐらいでアシアナ航空もLCCも「確かそんな名前の航空会社があったっけ」というような状況になっているだろう。

パイロットも過剰、客室乗務員も過剰、空港会社もリストラ、飛行場にはカラスが舞い降り、そしてボーイングも青息吐息といったところで、あれほど華やかだった飛行機関連業界が総崩れになりそうだ。

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(2.4.27) 人類衰亡史序説 地方空港 再び存続の危機

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 昨年海外からの旅行客は3200万人に上り、今年はオリンピックがあるので4000万人は固いと踏んでいた航空需要が突然消えてしまった。

コロナウイルスの蔓延で国際便はほぼ90%の運航を中止し、国内便も60%の減便になっている。しかもこの比率は日を追って高くなり、国際便は貨物を除くとほぼ全滅で、国内便も7割程度が運休に追い込まれつつある。

日本には多くの地方空港があり、1県に1飛行場が建設され一時は赤字で苦しんでいたが、ここ数年の海外からの観光客の増大により地方空港も活況を呈していた。

 しかしその観光客やビジネス客がほとんどゼロになってしまったのだから、空港会社も航空会社もただひたすら天を仰いで「神よコロナを退散させたまえ」と祈祷をする以外なすすべがない。
茨城空港などはスカイマークが国内便を日に6便飛ばしていたがすべて欠航になり、台湾と中国への国際便はかなり前から運休になっていたから、飛行機は一機も飛ばなくなってしまった

 空港会社は飛行機が飛んでくれてなんぼのもので、着陸料や施設使用料が徴求でき、ターミナル店舗の売り上げも上がるが、飛行機が飛ばなければ滑走路の維持費だけがかかり、また空港会社の職員は基本することがないので自宅待機になってしまう。

積みあがった赤字は地方空港の管理者が地方自治体の場合は自治体が負担し、それが民間空港の場合は倒産が頭をよぎる。

 すべてはコロナ騒動が収まれば元に戻る期待はあるが、問題はいつコロナが収束するかにかかっている。これは日本だけが収束してもダメで相手国も同時に収束してくれなければ飛行機の飛ばしようもない。
現在はアメリカ、ヨーロッパでコロナウイルスは猛威を振るっているが、次はアフリカと南アメリカそれと東南アジアの低開発国と中東の番で、このウイルスが収束するまではほぼ1年はかかると見なければならない。
その間航空会社は飛行機を飛ばすことができず、空港会社は滑走路にペンペン草がはえるに任すほか手の打ちようがなくなる。

 

 さらに問題はコロナが収束した後の世界のGDPは2020年がIMFの試算で▲3%だが、とてもこの程度で収まりそうもないことだ。

アメリカやヨーロッパが完全にロックダウンし、日本でも食料品関係を除けば、果敢に営業を継続しているのはパチンコ店ぐらいだから、これで▲3%で済むと考える方がどうかしている。

IMFの予想の前提は4から月6月の第2四半期が最低で、その後経済はV字回復することになっているが、そのようなことを演出できるのは統計処理の天才といわれる中国以外にはありえない。

 実際は本年度いっぱいは景気は落ち込んだままで、ようやく回復の兆しが見えるのはワクチンや治療法が確立される来年以降だろう。
その間飛行機は相変わらず駐機場に止まったままで、空港は飛行場の周りを飛び交うのはカラスだけという惨状を見ているほかはなさそうだ。
2020年、世界は中国のコロナウイルスで地獄を見ることになり、わけても航空会社と空港会社はその最大の被害者になるだろう。


 

 

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(2.4.16)  人類水節序説 航空業界 その1 あと何か月生き延びられるか?

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 もはやどうにもならないというところまで追い込まれている業界がある。航空業界である。ほぼすべての国が国境をとざし、外国人の入国もまた自国民の出国も許さないため、飛行機は駐機場でむなしく待機させられ、パイロットも客室乗務員も管制官も空港の販売員も全くする仕事がなくなりつつある。
成田空港などは二本ある滑走路を一本閉鎖しても、離着陸する飛行機はまばらでこれほど暇になったのは開設以来初めての事態だ。

 ANAもJALも4月の国際便は対前年比9割減少、国内便も6割の減少している。航空各社の手元資金はほとんどそこをつきつつあり、業界は政府に約2.5兆円の緊急支援を要請している。これとてもまだ楽観的な数字で最終的にどれだけの支援が必要になるかは見当もつかない。
海外からの日本への旅客数は3月に対前年比93%の減少になり、4月も同様の傾向が続いている。旅客が全く消えてしまった。
最もこれは日本だけでなくどこの国際空港も同じで平均して9割の減少になっており、もはや航空産業は存在してないも同様な状態になってきた。

 コロナウイルスの蔓延が収まるまではどこの国も国境を閉ざす以上の有効な対策は取れない。空港はほとんど閉鎖状態であり、飛んでいるのは自国民を帰国させるためのチャーター機や貨物機だけといったような状況で、入出国手続きのカウンターには人影がない。
このままいくと全世界で約4割の航空業界の従業員が失職するといわれており、その数は2400万人と見積もられている。

 日本では当初は2020年はオリンピックの年であったし、4000万人の外国人旅行客が日本を訪問すると想定していたが、1月こそまだ観光客はいたが2月は58%減、3月93%減と日を追って厳しくなり4月もほぼ3月と同様の状態が続いている
これではとても4000万人などという目標数字に到着するはずもなく、19年度の3200万人を大幅に下回ることは確実で、コロナウイルスの収拾が図られるまでは、月ごとに前年度比1割程度の旅客数しか見込めないだろう。

 それでもナショナルフラッグについては国家が挙げて支援をするだろうが、LCCのような弱小の航空会社についてまで政府支援は届かないと思われるので、さしも隆盛を誇ったLCC各社がバタバタと倒産するか身売りをするだろう。
航空業界が立ち直るのはこのコロナウイルス騒動が収束してからだが、それはワクチンと治療法が確立されなければ望むべくもないので、後1年程度は暗黒の状態が継続する。

 かつては花形産業ともてはやされた航空業界だが、ナショナルフラッグはLCCとの競争に負け、今はコロナに負けてしまい悲しいほどの衰退産業になってしまった。よもや21世紀のこの時代に人々が自宅に引きこもり、外出を自粛し、県外や外国に行くことを禁止される時代になるとは思わなかった。

今回のコロナが収束しても世界的規模のパンデミックは10年ぐらいの間隔で再び中国から発生するだろうから、もはや人々が自由に外国に遊びに行く時代は終わったようだ。

 

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