(2.8.12) 人類衰亡史序説 イタリア その 3 イタリアのロックダウンの成果 驚異的に感染者数と死亡者数が減少
ひところ医療崩壊の最前線といわれていたイタリアから重症患者が激減し、毎日の感染者数は250人前後、死亡者数もほとんど日本並の5人以下になっている。日本の感染者数が1500人前後であるのと比較すれば、イタリアからコロナは終息したと言ってもいいくらいだ。
病院から今はコロナ患者が消え、医者も看護師も通常の業務のペースに戻っている。
イタリアはコロナ感染がピークだった3月ごろは、他国からの援助は中国を除いて全くあてにできず、仕方なく全土のロックダウンを3月9日から実施した。自分の住んでいる共同体から一歩も外に出ることができず、さらに食料の買い出しや病院通いのほかは家から出ることもできなかったのだが、こうした厳しいロックダウンをほぼ3か月継続したことでさしものウイルスもイタリアからほぼ消え去ってしまった。
いまだにスペインでは約8千名、フランス約4千名、ドイツが約1千名の感染者数を毎日計上しているのに比べると、イタリアはヨーロッパのコロナ対策の模範生になってしまった。
イタリアのコンテ首相の方針は経済より命であり、これは命より経済を大事にするアメリカやブラジルやメキシコの対極にある対処方法だ。
イタリアは観光以外にはまともな産業はないのだから、国内でコロナを収束させない限り経済復興(観光)はありえないからだが、いたって当を得た戦略であるといえる。おかげで徐々にではあるが観光客は戻りつつあり、それでも本年度のGDPは▲10%と予想されている。
この半年間のそれぞれの政府のコロナ対策を見ていると、イタリアのように完全なロックダウンをしてコロナを封じ込めた国と、全く野放しで「人間はコロナで死ぬより飢えて死ぬ方が多い」と公言しているブラジル(そしてメキシコやアメリカ)のような国があるが、後者の患者数と死亡者数は加速度的と言っていいほど増加し、手が付けられない。
日本はその中間で緩い外出制限で乗り切ろうとしていて、そのため若者を中心として感染者数はロックダウン組よりはるかに多くなってしまった。ただし日本の救いは当初から重傷者や死亡者が少ないことで、これは現在世界の七不思議といわれており、山中教授をはじめ多くの研究者がその原因について研究を重ねている。
イタリアからコロナが消えたとはいえ、この夏場はひと時の安息日である可能性もあり安心できない。夏場は冬場に比較してウイルスの活動は不活発になり、特に死者の数は激減する。封じ込めの切り札はワクチンだが、ワクチン開発についてはロシアは開発に成功したといっているもののWHOは「フェーズ3(多くの治験者に投与し副作用の有無を確認する治験)をしてから公表してくれ」とクレームをつけている。
客観的に見てこの冬に十分なワクチンが準備されるとは考えられず、したがって再びコロナが猛威をふるい始めるとイタリアは厳格なロックダウン以外の方策を持たない。今後の半年間でコロナの猛威がどのような経緯をたどるのか(イタリア組が功を奏するか、ブラジル組か、日本組か)今のところだれにもわからない
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