(2.6.18) 人類衰亡史序説 インド その2 21世紀の石合戦
最近は何とも不思議な事件が起こるものだ。カシミール地方といえばインドと中国が互いに領有権を主張し軍隊が角突き合わせている場所だが、ここで再び衝突が起こった。
しかしその衝突は素手とこん棒と石で殴り合ったというのだから、どう見ても軍事衝突とはいいがたい。酔っぱらいの小競り合いといった程度にしか見えないがこの衝突でインド兵20名が死亡し、中国側も43名の死傷者が出たというから驚いた。
「殴り合い程度で軍事衝突に相応する死傷者が出たのはなぜだろう????」
インド側の説明によると直接の殴り合いで死亡した兵士は3名で、残りは重傷者だったが高地の酷寒の地にそのまま放置されたので17名は凍死したのだという。
通常は負傷者は衛生兵が戦闘地帯の後方まで運んで手当てするものだが、なぜか負傷者はそのまま放置されたらしい。
軍隊なのだから当然武器を携帯していたはずだが、双方とも武器の使用はしていないようだ。一応自制をしたということのようだがそれにしては死傷者が多すぎる。
前に中印国境紛争で死者が出たのは1962年のことで、この時は装備に勝る中国軍が一方的にインド軍を撃退し、カシミールの主要な場所を実効支配してしまった。インドとしては屈辱の歴史で、その後インドが核開発に邁進したのは劣勢の軍備状況を核兵器で補おうとしたからだといわれている。
しかし装備レベルは今も中国軍が有利で、インドは中国に軍事面で対等に戦うことができない。
この事件を受けてインド国民は愛国心に燃え上がり中国製品のボイコットを呼びかけている。一方中国のほうはかなり冷静な態度で、「中国の実効支配線の内側で衝突が起きており、中国に責任はない」とコメントしただけで中国側の死傷者の発表はなかった。
印度から言わせるとこの地域はもともとインド人のヒンズー教徒の藩王が支配していた場所で、それを中国に実力でかすめとられたとの認識で、折あらば奪還したいと思っている。
モディ首相としては足らない軍事力をオーストラリアや日本や米国との連携で補おうとしており、それ以外に中国に対抗する手段はなさそうだ。今回の事件はまるで子供の喧嘩がエスカレートしたような、素手とこん棒と石の投げ合いだったが、とりあえずはこれ以上のエスカレートはなさそうだ。しかしインドは常にカシミールで中国に負け続けているのでストレスがさぞやたまることだろう。
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