(2.4.8) 人類衰亡史序説 イギリス その2 コロナで政治がストップしている
コロナウイルスの感染爆発はイタリア、スペインから、今やアメリカ、フランス、イギリスに中心が移ってきた。イタリアやスペインは感染者数も死亡者数も前日を下回ることが多くなったが、反対にアメリカやフランスやイギリスは増大しつつある。
特にイギリスではジョンソン首相やチャールズ皇太子までが感染し、ジョンソン首相は集中治療室で酸素吸入を受けている。イギリスのコロナの致死率は11%だからイタリア並みであり、イタリアと同様に年寄りが次々に死亡している。
イギリス政府は、現在の外出制限を継続すれば2週間後にはピークを迎えその後は減少するとアナウンスしているがやや希望的観測といえそうだ。
当初日本でコロナウイルスの感染が見られ東京オリンピックに黄色信号がともっていたころ、イギリスのメディアは「それならロンドンでオリンピックを開催しよう」と盛んに興味本位の記事を書いていたが、今はそれどころでなくなった。
感染者数約6万、死亡者数約6000名だから、日本の死亡者数100名に比較して比較にならないぐらいのオーバーシュートだ。
すべてのスポーツの開催が不可能になり、ウィンブルトンのテニスも中止になった。
本来ならイギリスはEUとの間で離脱交渉を進めなければならないが、今はそれどころではない。交渉のポイントはアイルランドとの国境のあり方で、以前と同じように国境を開放するかそれとも外国として国境管理を行うかだったが、今は両国とも厳しい外出制限を実施中であり、家に閉じこもったままだから国境問題など吹っ飛んでしまっている。
さらに離脱強硬路線のジョンソン首相が集中治療室で治療している状況で、イギリスの国家としての意思決定が全くなされていない。
イギリス経済は金融だけが世界に突出しており、それゆえイギリス一国で十分に自立できると主張してきたが、コロナ騒ぎで様相が変わってきた。イギリス自慢のポンドは乱高下し、3月16日には1ポンド126円という価格になったが、その後134円程度にポンド高になっている。最もリーマンショック前は250円程度していたのだから価値は半減しており日本から見ればイギリスポンドは凋落だ。ユーロが117円程度だからそれよりはましというところだ。
また10年物国債利回りは0.405%前後だから日本の0%よりは高いが、アメリカが1%前後だから相対的に低い水準で国債発行でコロナウイルス費用を賄える水準にある。
EUとの離脱交渉はコロナ対策で頓挫し、ジョンソン首相は集中治療室で治療中で、ポンドの価値は乱高下だからイギリスの将来についてバラ色の夢を語るのは無理だろう。せいぜいフランスやイタリアといった国と同様の痛手を感染症からこうむりその後のリカバリーはかなり大変だというのが妥当なところだろう。
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