(30.1.28) 仮想通貨激震 しかしこれはこれから始まる序曲に過ぎない
やはりと言おうか当然と言おうか、仮想通貨の世界で激震が走っている。仮想通貨取引業者としては大手のコインチェックに不正アクセスがあり、約580億円が不正に引き出されて雲散霧消してしまった。
被害にあった仮想通貨はネムというのだが、被害にあった顧客は約26万人だそうで、会社は自己資金によって弁済すると鎮静化に躍起となっている。
通常こうした事件が発生すると顧客は一斉に取引の解約に走り、新規取引は皆無になるから会社がいくら弁済しようとしても資金繰りに窮して結果的には倒産してしまう。
約4年前にビットコインを扱っていた大手のマウントゴックスが同じように不正アクセスで倒産したが、その時の被害総額は約480億円だったから非常に類似した事件といっていい。
仮想通貨の取引所とは公的な取引所があるわけでなく、各会社のコンピュータシステムが取引所だから、そのセキュリティーの水準で取引所の信頼が決まる。
今回のコインチェックについては顧客の資産を別システムで管理せず、インターネットに接続された取引システムの中にあったというから、この取引システムが破られればすぐさま資金の流失が行われてしまう。
当社は今回流失したネムという仮想通貨を含めて顧客の資産を別システムで管理するシステム開発を行っていたというが、実際どの程度まで本気だったかは不明だ。
こうした二重になるシステム投資は会社にとって利益を生まない止む負えない投資だから、「できうれば二重投資はしたくない」と考えるのが普通だ。
特にこの会社は利便性を重視していたから、取引システムと顧客資産管理システム間で二重チェックになるセキュリティーを設定することに躊躇していたはずで、ハッカーから見れば「カモ葱」に見えていたことは間違いない。
前回のマウントゴックスにせよ今回のコインチェックにしろ、ハッカーから見たらやすやすとハッキングができ、しかも一回で500億円前後がぬすめるのだから、「濡れ手に粟よ。仮想通貨が広まれば広まるほどぬすみがいがあるわ・・・・・・」という感じだ。
私は前にも述べたが安易なセキュリティーで保護されている仮想通貨の投機行為をすることに反対で、特に老人がこの取引を始めることは絶対にやめた方がいい。
考えてみてほしい。老人は神様のお迎えを待っている存在で、その時までの生活費が確保されているならば金儲けの必要性はない。
しかも老人は医療費や介護費といった医療関係費以外は必要最低限度で全く支障がないのだから金儲けを考えること自体馬鹿げている。
さらに老人は投機行為に全く向かない。私が金融機関の現役だった頃ディーリングルームは若者たちばかりであふれていたので、上司に「なんでこんなに若者だらけなのですか」と聞いたことがある。
「山崎さん、ディーラーの世界は一秒を争う決断の世界で、決断に時間のかかる年寄りのする仕事ではないですよ。20代からせいぜい30歳台までで、それ以上になればやめるか、私のように管理者になる以外使い道はないですよ」と笑われた。
簡単に言えば認知症まじかの人間が手を出す仕事ではないということだ。
今回はネムという仮想通貨がねらわれただけだが、いずれの会社のシステムも似たり寄ったりの脆弱性を持ったシステムと推定すべきで、今回のハッカー集団が再び他の獲物を求めて徘徊するのは確実だ。
ビットコインなどはすさまじいほどの価格の乱高下をしているが、いづれハッカーの餌食になるから、今利益が上がっている人は利益を確定し勝ち逃げすることを勧める。
仮想通貨とはマルチ商法と同じで最後に残ったものが損をするシステムと心得るべきだ。
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