(29.10.24) 安倍自民党の快挙 自由主義文明の最後のアンカー
今回の衆議院選挙も自民党が圧勝し、公明党と合わせて憲法改正の発議ができる3分の2を確保した。この結果は驚くべきことだと思う。
海外の先進国の状況を見ると、いずれも既成政党の敗北か交代が目立っており、自由主義文明を支えてきた政党の凋落がはなはだしいが、日本では安倍自民党が盤石の強さを見せている。
海外の状況はアメリカではトランプ政権というアメリカンファーストを標榜する右翼政権が誕生し、ヨーロッパでは盤石と思われていたドイツのメルケル政権が難民問題の処理で右翼の台頭を許して足元をさらわれた。フランスも社会党や共和党といった二大政党は見る影もなく崩壊し、無名だったマクロン氏が右翼のペロン氏をかろうじて下して大統領になっている。
イギリスではメイ首相が過半数割れを起こし、オーストリアやオランダやチェコも右翼政権が第一位になるか政権入りを果たしている。
こうして20世紀の自由主義文明を支えてきた既成政党の中で21世紀のこの時期に生き残って安定政権を維持しているのは安倍自民党ぐらいになってしまった。信じられないような快挙だ。
日本の安倍政権が絶対的優位を維持しているのはアメリカやヨーロッパにあるような移民や難民問題が日本ではほとんどないといっていいからだと思う。
移民・難民に反対する勢力は必ず自国第一主義を掲げ、右翼政党を結成するが、日本ではそうした勢力がない。
ヨーロッパとアメリカを席巻している右派旋風が日本には存在しないのだ。
日本に難民が少ないのは法務省が徹底して難民認定を拒否しているからであり、よほどのことがなければ難民と認定されない。
また経済移民はほとんどなく、看護師や介護士といった日本人労働者が極度に少ない職場でさえ厚生労働省が日本人でも難しい試験をかして追い出しを図っている。
日本人は昔から外国人が嫌いで特に幕末は尊王攘夷運動で外国人を殺しまわっていたが、今もメンタリティーは同じだ。
注1)日本の難民認定数は毎年数十人規模であり、ドイツなどが20万人規模で難民認定しているのに比較すれば、日本には難民はいないといっていい。
注2)厚生労働省がいかに外国人労働者を締め出そうとしているかの実態は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-c611.html
私はこうした排外主義は問題があると思っているが、物事には両面があって法務省や厚生労働省の頑張りによって日本では難民や移民問題がほとんど起こらず、またISによるテロも発生しない。日本のテロはオウム真理教という国内の狂信集団が起こしただけだ。
日本は世界的に見ても外国人犯罪が極度に少ない国で、おかげで日本の政治では右翼政党が政権に参加する基盤がない。
21世紀はどこもかしこも右翼の時代だが、幸いにも日本はそれを免れており、自由主義経済を支えてきた自由民主党が今も盤石な体制を維持できている。
だから世界的な視野でみると、自由民主党という中道右派政権は20世紀の左翼政党の攻撃をかわし、21世紀の右翼政党の攻撃にさらされることのないまれな政権なのだ。
自由主義文明がなお日本で生き残っており、これが驚かなくて何を驚いたらいいかというような安倍自民党の快挙だ。
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