(29.1.29) どこもかしこも統計数字は改ざんだらけ 日本の統計もおかしい!!
統計の改ざんときくと中国やギリシャがすぐに思い浮かぶが、日本の統計の話である。
経済産業省の繊維流通統計と国土交通省の建築着工統計がおかしいとの指摘があり調べてみると全くその通りの結果だった。
繊維流通統計は日本が軽工業中心だった戦後間もない昭和28年から調査が開始されたが、その後繊維産業は衰退の一途をたどり今では誰も見る人がいないといわれるほど意味のない統計資料だった。
公表では730社のデータを集計していることのなっているが、実際は400社程度しか実在せず、またデータを実際に提供してくれるのは250社程度の統計になってしまった。
「これではあまりに恰好が悪くて統計を取っている意味がないじゃないか。仕方ないデータを水増ししておこう」
過去のデータをそっと入れ込んで回収率95%(実際は35%程度)として経済産業省は発表していたのだが、集計を委託されていた外部業者が、「我が社が集計した数字と経済産業省の発表数字と全く異なる」と申し出たため発覚したものだ。
官庁では過去からの踏襲が重んじられるため必要がなくなった統計でも無理やり発表しようとするので現実との齟齬が生じこうしたん改ざんがしばしば行われる。
私が金融機関でシステム担当をしていた時に経験した例では、ある支店でその地の日銀に定期的にある数値を報告していたが、その元資料についてデータがほとんどなくなったため電算出力を止めたところ、支店からひどいクレームをつけられたことがある。
「日銀からぜひ報告してくれと言っているので計表を出力してくれ」
「しかし実際にはそうしたデータはもうほとんどないのですよ」
「なくてもいいから計表を出してもらわないと日銀が納得しない」
今回の繊維流通データについては、もともと必要がなくなったものだったので今回のクレームにこりて統計処理を止めることになったが、そうしたばかばかしい統計がいくらでもある。
一方の建築着工統計はデータの集計ミスが多発していた案件で、このデータをもとにGDPの一部を計測しているのだが、どうも数字がおかしいということになった。
「あんた、今月は大手のA社の大規模建設があったはずなのにそれが統計に反映されてないよ」利用者の日銀から指摘があった。
統計といった地味な仕事は官庁では若手の片手間仕事になる場合が多く、また専門家でないため統計資料の取り扱いに慣れていない。
「早くこんな仕事を卒業して業界を指導する仕事をしたい」などと思っているのでさっぱり気が入らない。
しかもデータが期日までに入手できることはまれで、データの催促をしてもなかなか来ない場合も多々ある。
その結果「まあ、いいか。今ある資料で集計してしまおう」などということになるので、日本の統計資料といえども必ずしも正確性は高くない。
世間では官庁統計というとひどく信頼されているが実態はこうしたもので、その他でもGDPの基礎資料になる総務省が出している家計消費の統計がひどくおかしいことは財務省や日銀がしばしば指摘している。
「あんた老人ばかりの家計調査をしないで若者を含めた調査をしてくれ」
「そんなこと言ったって家計調査に協力してくれるのは老人しかいないのです」
日本のGDPの消費支出は老人の家計を集計したものだ。
中国の経済統計の元データは共産党幹部が自己の出世のために提出しているために厚化粧で、あまりのひどさに国家統計局の長官が「これは国家的反逆行為だ」と怒鳴りまくっていた。
アメリカでは雇用統計が政策を決めるための重要統計なのだが、これが改ざんされているとトランプ氏が吠えている。
「オバマの雇用統計はおかしい。実際は失業者だらけなのに失業率5%とはなんだ。実際は42%と確信している」
雇用統計は失業者をどう定義するかで大幅に数字が違ってくるのだが、アメリカの最重要な基礎統計でもこの有様だ。
まだ日本の統計は信頼感があるが、それでも繊維流通統計や建築着工統計に見られるようにかなり怪しげなところがある。
中国の経済統計は豚の餌にもならないし、アメリカでは失業率の定義で大わらわだ。
統計数字だけでなく実態をつかむ経済の目を持たないと世の経済推移を把握することは難しい。
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