(28.12.21) ガソリン需要はじり貧 石油元売り各社はどうしたら生き残れるか?
ガソリン需要については日本では2000年ごろをピークに毎年のように減少をしており、この減少傾向は今もとどまるところを知らない。原因は自動車の燃費効率の向上や自動車をシェアして使用して使うスタイル等があるが、最大の原因は日本経済の成長力がなくなり運送需要が減ってきたからだ。
さらに近い将来を見据えると電気自動車の普及が見込まれガソリン需要が激減することも予想されるので、経済産業省は石油元売り各社の統合を推し進めることにした。
「もはやガソリンの時代ではないですな!!」
最大手のJXホールディングスと三番手の東燃ゼネラルは17年4月に合併することになり、それに対抗して出光(二位)と昭和シェル(五位)も合併するはずだったが、こちらのほうは創業者一族の出光昭介氏が合併に大反対しているため合併がいつ行われるのかわからない状況になっている。
外部から見ていると創業者一族がなぜ合併に反対するのかよくわからないが、もともと出光はかなり特殊な会社で創業者の出光佐三氏が会社を一種の家族経営と考えて「従業員みな家族」という理念で従業員を大切に扱ってきた経緯がある。
私がまだ学生だった頃出光に入社したいという友達がいて「なんで出光なんだい」と聞いたところ「ここは労組はないがそのようなものがなくても従業員を大切にする会社なんだ」と答えたことを思い出す。
資本主義の論理とは異なった一風変わった経営理念だったが、それも日本経済の大発展期だったから可能だったといえる。
日本経済の停滞が始まった1990年ごろから競争が激しくなり、特にガソリン需要が激減し始めた2000年ごろからは石油元売り各社は食うか食われるかのデスマッチになってしまった。
現経営者は合併によって製油所やガソリンスタンド等の重複を避け効率化を図ろうとしているが、これは簡単に言えば従業員の首切りにつながるので創業者一族が出光佐三氏の理念に反すると反対しているのだろう。
私の住んでいるおゆみ野でもガソリンスタンドはできてはつぶれているが、ここは日本でもまれな人口増加地帯なのにそうした状況だ。
現在石油元売り各社は利益確保のために卸値を実勢価格より高く設定して、販売額に応じて値引きに応じているがこれが経済産業省からやり玉に挙がっている。
なぜ卸値より市場価格が低いかというと、各製油所の生産力が販売量を上回ってしまいあまったガソリンをそっと系列店以外に流しているからで、ちょうど中国の鉄鋼価格のダンピングと同じ構造を持っている。
いわば自業自得のような状況で価格競争に陥っているのだ。
もはやガソリンの時代は終わりガソリン需要はじり貧になっているので、製油所やガソリンスタンドの統廃合を含め規模縮小に乗り出さなければ生き残ることもできない。
しかし、これには従業員の馘首という問題が伴うため出光のような経営理念の会社は予定通りには合併が進まないというのが実態のようだ。
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