(28.12.7) 世界貿易大崩壊 中国経済が崩壊し次はトランプ氏がちゃぶ台をひっくり返す。
世界貿易は中国ショックにより2015年ごろから減少に転じていたが、ここにトランプショックが加わって世界貿易は劇的に減少しそうだ。
トランプ次期大統領は、アメリカ企業でメキシコ移転を検討していた空調機メーカーを恫喝した。
「あんた、工場をメキシコに移転させてただですむと思っているのかね。報復に35%の関税をかけてやるがそれでもメキシコ移転をするつもりかい」
これに閉口したこの空調機メーカーは移転を取りやめたが、これによってアメリカ人の1000人の雇用が守られたとトランプ氏は誇らしげにテレビで演説していた。
だがこの報復関税35%というのは明らかにNAFTA(北米自由貿易協定)違反で特別な理由なくしてこうした高率関税を課すことを禁止しているのだが、トランプ氏によればメキシコへの工場移転は明らかに特別な理由だという。
もともとNAFTAは北米市場を一つの市場にしてアメリカ、カナダ、メキシコ3国の経済発展を図ることを目的にしたもので、域内の関税は基本無税だった。
したがって日本の自動車メーカーなどはアメリカに工場建設するよりメキシコにするほうが労賃が安いので、大挙してメキシコに工場を建設してきた。
「アメリカもメキシコも関税がゼロなら賃金の安いメキシコに工場を建設するほうが有利だ」
第二次世界大戦後の世界経済をリードしたのはアメリカだが、その経済思想は自由貿易だった。自由貿易こそ世界の富を増大させると説いて嫌がる日本や西欧やアジアにWTO(世界貿易機関)を通して保護貿易の鉄壁を一つ一つ崩してきたのはアメリカだ。
さらにWTOの機能が低下すると多国間協定によって更なる貿易拡大を図ろうとオバマ大統領はTPPを推進してきた。
そのアメリカが急にちゃぶ台をひっくり返して「自由貿易などくそくらえだ。アメリカ第一主義だ。保護貿易だ」と叫び始めたのだから世界が驚愕した。
トランプ氏は戦後70年にわたってアメリカが築いてきた世界秩序を一気に崩壊させ歯車を逆回転させている。
次のトランプ氏の狙いはアメリカ企業で海外で委託生産しアメリカ製品として売り出しているハイテクメーカーだろう。アップルもグーグルもマイクロソフトもそのハードはすべて中国や台湾のOEM(委託生産)によっている。特に台湾の鴻海が有名でアップル製品の約40%は鴻海で生産されているが、その工場はほとんどが中国本土にある。
「なぜくそったれの中国人にアップル製品を生産させるのだ。アメリカの製品ならアメリカで生産しろ。もし中国で生産し続けるなら35%の報復関税をかける」と次にいいだすだろう。
現在アメリカの最大の輸入相手国は中国だがほとんどがこうしたOEMによる製品の輸入だ。
さらにアップルやグーグルやフェイスブックといった高付加価値企業はアイルランドに欧州本社を持っており、この国の税率がアメリカや欧州各国の税率より低いため利益をここに集め税逃れを行っている。
「許さん、絶対に許さん。こうした利益は本来アメリカ政府に帰属するものだがアイルランドに持っていかれている。アメリカで上げた利益には税金を付加する、それも懲罰的税金だ」
タックスヘイブンによる税逃れもそろそろ限界だ。
こうしてトランプ氏の剛腕によって世界の貿易秩序はちゃぶ台をひっくり返され貿易量は加速度的に縮小しつつある。
中国経済の崩壊とアメリカの保護主義はもはや世界の貿易量の拡大が不可能になったという事実を示している。
世界は今後加速度的に国内資産が唯一の産業となるレベルまで縮小するだろう。
戦後70年の自由貿易の時代は終わったのだ。
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