シナリオ 桃ノ木栗の木左遷の木

(28.10.29) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十七回 最終回)」

056 

〇 スペインに行く飛行機の機内(2週間後)


 山崎と久子が隣り合わせに座っている。山崎はまだ記憶が回復していない。

山崎「桃子ちゃんにスペインまでついてきてもらうなんて申し訳ないな」
久子「わたしはあなたの看護人だからいいの」
山崎「いまだに私がだれで何をしていたかわからないんだ」
久子「私が治してあげるから心配ないわ」
山崎「ところで、大川という人が言っていたけれど桃子ちゃんがいっぱい桃を持ってきてくれると言っていたが、桃ある」
久子「ええ、いっぱい」
山崎「食べたいんだけど」
久子「ここではだめ、いまここで食べると機長がびっくりして飛行機を日本に引き返してしまうわ」
山崎「ももを食べるぐらいでおおげさだよ」
久子「特別においしい桃だから誰にも見せずに次郎さんだけに食べてもらうの」
山崎「ますます、食べたくなった」
久子「だめ、スペインまで待つの。看護人の言うことは聞くものよ」

 そこにアテンダントが夕食を配り始める。二人の前に日本食が配られる。ご飯は栗ご飯。山崎は栗ご飯のふたを開けたとたん「ウッッ」と吐き気を催す。

山崎「変だな、昔はとっても栗ご飯が好きだったのに吐き気がする。体に変調をきたしているらしい」
久子「潜在意識がそうさせるのよ」
山崎「栗ではなくなぜか桃が無性に食べたい。桃子ちゃん、お願い・・・・・」
久子「困った患者ね、じゃあ、ちょっとだけ、触るだけよ」

  山崎の手をそっと下半身にいざなう。

山崎「どうしてこんなところに桃を隠しているの?」
久子「それは、ひ・み・つ」

 飛行機が成層圏で飛行している映像。桃子の美しい横顔、桃を懸命に探している山崎。

 エンディングソング
 杉良太郎の「すきま風」

 夢をおいかけ 夢に心とられ
 つまずいて すきま風を知るだろう
 いいさそれでもいきてさえいれば
 いつか微笑みに巡りあえる~~~


(終わり)

 

 

 

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(28.10.25) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十六回)」

035 

 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その16)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。
 

〇 病室(続き)

 病室で久子が山崎にほほずりをしているのを見て逆上する和枝

和枝「(大声で)私がこんなに心配して駆けつけたのに、あんたは女といっちゃついていて・・・・・支店に安否を尋ねても『すでに退職した人のことはわからない』というし、ようやく災害対策本部に聞いてここだとわかって駆け付ければ桃のにおいのする女と一緒だなんて、あああ、いや(叫ぶ)。
(一息おいて)先日人事部長さんが我が家にやってきて、あんたが5億円を横領したので懲戒解雇するというので『なんかの間違いだろう』と思っていたが、やはりあんたはこの女に貢いでいたんだ。バカー(金切り声)」
大川「(なだめるように)いやいや奥さん、山崎君は世の中の覚醒のために5億円を使ったのです」
和枝「あんた何、うるさいわね。どうしてこの女がなんで世の中の覚醒になるの。
あんた(山崎に向かって)、人事部長さんは『本来は懲戒解雇するところだが銀行の世間体があるので依頼退職にした。ついてはこの念書に押印してくれれば退職金を払う』と私を脅したのよ。
念書になんて書いてあったかわかる。
『今回の事件はすべて山崎個人の責任により行った行為で銀行には一切関わり合いがありません』だって。5億円を女に貢いだのだから個人的行為に決まっているわ。
くやしくて、くやしくて、わたしはあなたの実印を押しました」

大川「まあ、まあ、奥さん、興奮していては話にならないから落ち着いて」
和枝「なによ、変な女がわたしのだんなにほほずりをしているのになんで落ち着いていられるの(叫ぶ)」
大川「いや、いや、山陰地方では女性の看護人は病人にほほずりをして病気を治すのです」
和枝「馬鹿、いい加減なことを言わないでよ。私も山陰の出身よ。もう決心しました。あなたとは離婚します。退職金と家はすべて私がもらいます。あんたはその女と5億円で暮らしなさい。離婚届を送りますから、必ず押印して返してちょうだい」

 肩をすくめる大川。怒りで震えながら病室を乱暴に出ていく和枝。猛烈なドアーを閉める音。

山崎「(不思議そうに久子に聞く)あの人は誰で一体何を言いに来たんだ」
久子「(やさしくほほ刷りをしながら)前の奥さんで、あなたは実に立派な人だといいに来たの」
山崎「とてもそうは聞こえなかったが・・・」
大川「わははは、いや政治と男女の仲は一寸先は闇というが、実にその通りだ。だがしかし懸案事項が一挙に解決した。君は晴れて独身になったのだから久子と結婚できるし、銀行を首になったのだから政治家になるしか残された道はなくなったわけだ」
山崎「久子って??」
久子「わ・た・し」
山崎「桃子ちゃんのこと」
久子「そう、桃子よ」

 強くほほずりをする久子。

大川「だが、しばらくは記憶が戻らないとは困ったものだな。政治家は少々抜けていてもいいが、鳩山由紀夫のように全くのあほでは勤まらん。どうしたものか(しばらく考える)。
そうだ、これがよさそうだ。君はしばらく病気療養のために巡礼に行きなさい。巡礼はいいぞ。心が洗われる。昔わしが行きたかったが果たせなかった巡礼がある。スペインのサンチャゴ巡礼だが君は知っとるかね」
山崎「いえ」
大川「そうか,フランスの国境からスペインの北部の山岳や草原地帯を通って大西洋岸のスペインのサンチャゴにある寺院まで歩くのだ。面白いぞ。800km程度あるから40日程度はかかるそうだ」
山崎「しかしお金がかかりそうですね」
大川「君は何にも知らんのだな。巡礼路には格安の巡礼宿が整備されているし、もし本当に金がなければ教会に駆け込めば寝床と食事を無料で提供してくれる。いわば精神力さえあれば巡礼ができるのだ」
山崎「そこには桃はありますか」
大川「はは、記憶は途切れても桃の記憶は潜在意識にあるようだな。まったく問題ない、久子がとびきりおいしい桃をもって一緒についていく」
山崎「桃子が?」
久子「そう私と一緒」
大川「久子、あまり山崎君にくっつくな。親のわしでも焼ける。しかし、まあ今日はこれで良しとしよう、わしは帰るから久子は山崎君の看病をしなさい」

 帰る大川。うれしそうに微笑む久子。訳が分からず当惑顔の山崎。

(続く)

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(28.10.25) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十五回)」

147


シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その15)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。
 

〇 奥の日本間(続き)


 久子が湯上りの浴衣姿で入ってくる。ひどく艶めかしい。テレビのニュースを見ながら久子をまっていた山崎が久子に気が付いて振り向く。

山崎「君は風呂に入った後でも桃のかおりがする」
久子「好きな人がいると匂うの」

 山崎に身体を預ける久子。勇んで唇を合わせようとする山崎。久子の肩越しにNHKのニュースが目に入る。

アナ「次に『お前の胸は干しブドウ」といわれて発奮し桃のような乳房の整形手術に成功したB子さんのニュースです。この人は東京に住む37歳の女性ですが、夫から『お前の胸は干しブドウ』といわれたため千葉大学病院整形外科でハイテクを駆使した乳房の整形手術を実施し手術に成功したとのことです。
主治医の田中教授の話では干しブドウが丸々とした桃にまで整形し、さらに乳房に匂いまで埋め込まれたのは非常に珍しく、ギネスブックに登録を予定しているとのことです」  

 和枝の勝ち誇った顔が大写しで映し出される。カメラが徐々に下に振れてマリリンモンロー顔負けの乳房がワンピースの下で触れている映像が出る。

アナ「ご感想は?」
和枝「ええ、とてもいいですわ。でも一つだけ訂正させてください。私の乳房の場合は桃ではありません。栗です。栗のにおいを乳房に埋め込んだのです。桃なんかに負けません」

 唖然としてテレビを見ている山崎。

山崎「女房じゃないか」

 思わず久子の身体を引き離す山崎。呆然とした表情でテレビを見ている。

久子「駄目、奥さんを見てはだめ。私だけを見るの、栗なんか見ないで(テレビのスイッチを消す)」
山崎「(久子を抱きしめながらの独白)しかし夢だというのに女房も意固地すぎないか。整形手術まですることはないだろう。でも、まあ、朝になればすべて解決するのだから、今は久子を抱いて願望を成就しよう」

 久子を押し倒して唇を合わせたとたんに島根県地方に震度6強の直下型地震が襲う。建物全体が大きく揺れて周りのタンスが崩れ壁が押し倒されてくる。

山崎「な、な、なんだ、これは!!ひどい地震じゃないか。夢でも地震があるのか」

 突然倒れてきた箪笥の角に頭をぶつけて気を失う山崎。山崎の断末魔の叫び声。

〇島根大学大学病院の一室(三日後)    

 病室でこん睡状態を続ける山崎。医師が診察をしている。大川と久子が心配そうにわきで状況をうかがっている。突然山崎に意識が戻る。安堵する医師。

医師「山崎さん、山崎さん、ここがどこかわかりますか。自分の名前をフルネームで言えますか」

 状況が把握できなくて天井を見つめている山崎。返答がない。

医師「(大川と久子に向かって)頭をかなりひどく打ちましたが、検査では脳に損傷はありませんから、少し時間がかかりますがそのうち意識がはっきりしてくるでしょう」

 安堵する大川と久子

大川「いや酷い地震だった。島根県地方を襲った震度6強の地震だそうだ。おかげで我が家も全壊してしまったが、今は久子と一緒に被害のなかった別邸に住んで居る。あの時わしと久子はすぐに逃げ出せたのだが君は柱の下だったから救急隊員に救助してもらったのだ。いや一時はとても心配したぞ」

 状況が把握できなくて天井を見つめたままの山崎

久子「山崎さん、私がわかる?」

 久子を見つめるが何も言わない。

医師「しばらく記憶が戻らないかもしれません。ショック性記憶喪失症という症状で回復には1か月程度かかるでしょう」

大川「君、わしがだれかわかるか?」

 首を横に振る山崎

大川「これは困ったな。しばらくは記憶喪失か。病院で養生するしかあるまい」
久子「だいじょうぶ、私がこうして治してあげる」

 山崎にやさしく抱きつく久子。されたままにしている山崎。桃の香りがする。

山崎「桃子か・・・・・・・・・」
久子「(笑いながら)そう桃子よ」

 そこに突然東京から妻の和枝がかけつけ、医師と入れ替わりに病室のドアを激しく開けて入ってくる。

(続く)



 

 

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(28.10.23) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十四回)」

079

 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その14)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。
 

〇 支店長室(続き)

 下村人事部長が慌てふためいて東京に帰った後、山崎に向かって和んだ様子で話す大川。

大川「ところで山崎君、あっちの方はうまくいったかね」
山崎「いえ全然。こんな夢ならば起きているのと同じですよ」
大川「いつもムスコは起きているがうまくいかんか。まあ、こればかりは生まれつきの才能がいるからな」
山崎「もう時間もないし、あきらめることにします」
大川「いやいや、そんなに諦めが早いと人間大成せんぞ。うむ、そうだ、こうしよう。今日夜8時に我が家にきたまえ。家の場所はわかってるね」
山崎「ええ、一度伺いましたので」
大川「ああ、そうだったな、手ぶらで一度来たな」
山崎「ははは、いつまでも覚えているもんですね」
大川「政治家は実弾のことはいつも忘れないものだ。が、今日はそのことは言うまい。今日は君を驚かしてやる。いいか、8時だぞ。遅れるなよ」
山崎「はあ・・」

〇大川大作の屋敷(その夜8時)

 座敷に通されて待っている山崎。食事の支度がしてある。大川が着物姿でおもむろに出てくる。立って挨拶する山崎。

大川「山崎君、君らしくもない丁重な挨拶だな。まあ、座りたまえ」

 煙草に火をつける大川。

大川「ところで君に来てもらったのは折り入っての頼みがあるからだ。だが、その前にまえに、さあ、飲もう」

 酒を山崎につく大川。

大川「君も知っていると思うがわしには子供がない。いや昔いたのだが海外青年協力隊に志願してイラクに行って戦争に巻き込まれ25歳の若さで死んでしまった。実に悔しい話だ」

 目頭を押さえろ大川。

大川「わしも年をとった。若いつもりではあるが油断すると畳の端につまずいては転んでいる。目も見えず特に若いころの不摂生がたたって肝臓が痛んでいる」
山崎「そうはみえませんが」
大川「いやいや世辞いらん。自分のことは自分が一番よく知っておる。政治家は体力が何よりだ。それにお前のとこの磯田との確執もあってマスコミからも狙われておるからな。そこでいい潮時だから次回の選挙には自分は立たんつもりだ。しかし後継者がいない」
山崎「秘書とか、適当な後継者がいるでしょう」
大川「出たいものは山ほどいる。しかしどいつもこいつも目先のことしか考えておらず、君のように夢を持っていない」
山崎「私の夢はほんのささやかなもので・・」
大川「いやいや謙遜せんでもいい。わしは君の金に対する執着のなさが気に入ったのだ。わしも執着さえなければ総理になれたのに実に残念に思って居る」

 そこに久子が料理を持って入ってくる。にっこり笑う久子。びっくりしてく口もきけない山崎。

大川「はははは、だいぶ驚いているようだな。いや驚かしてすまなかった。実を言えばこの久子はわしの隠し子なんじゃよ。信じられんじゃろうが、他言できん話だ。特に死んだ女房には絶対秘密だった」

 横に座って山崎に酌をする久子。桃のにおいがする。においをかぐ大川。

大川「久子、お前は恋をすると桃のにおいが一層きつくなるぞ」
久子「お父様、からかわないでください」
大川「ははは、いやいい。(山崎のほうを向きなおして)実はこの子は君の支店でスパイのような仕事をずっとさせてきたのだ。君のところの動静を探っておかんとな。磯田がいつわしの寝首を搔くとも限らんからな。この子を君に接近させたのもわしの指示でな、いやスマン。
ところがこの久子が君に恋をしてしまったのだ。わしが惚れるくらいだから久子が惚れるのもむりはない。
そこでわしも決心した。久子と結婚したまえ。そしてわしの後継者になるのだ」
山崎「(驚いて)しかし私にはれっきとした女房がいます」
大川「君の奥さんがいることは十分承知している。しかし決心したまえ。政治には決断が必要なのだ」
山崎「では時間の許す限り頑張りましょう」
大川「また、不思議な答え方をするものだな。君には十分な時間があるはずだ」
山崎「いやせいぜい朝の7時ごろまでが限度です」
大川「朝の7時までやっていたら腰が抜けるだろう、なあ、久子」
久子「山崎さんとならわたしは大丈夫です」
大川「はは、ま、そういうことだ。今日は奥の間に君たち二人の寝室を用意した。いわば君たちの初夜だ。せいぜい頑張りたまえ」

(続く)

 

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(28.10.21) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十三回)」

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 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その12)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。
 

〇 ホテルのテーブル(続き)


 テーブルに戻ると久子が下を向いてすすり泣いている。

久子「わたし、いけない子?」
山崎「いやそんなことはない。女房といえども人の夢にまでしゃしゃり出る権利はない」
久子「でも、私、本当にいけない子なのよ」
山崎「目が覚めるまでのひと時なんだからそんなに深刻に考えなくてもいいよ」
久子「でも、目が覚めたら私の本当の姿が見えてしまうわ」
山崎「はは、何を悩んでいるの。それよりもっと踊ろう。僕に身を預けてね」
久子「ダメ、奥さん見た以上、私、これ以上できない。帰ります」

 踵を返してホテルから出ていく久子。呆然と見送る山崎。

山崎「(独り言)くそ、もう時間がないじゃないか。女房のやつ、夢の中まで干渉しやがって。今度あいつがいびきをかいたら鼻の穴に指を突っ込んでやる」

〇 A支店長室(翌日、朝)

 翌朝山崎が出社すると、下村人事部長がいらいらしながら待っている。手に新聞を握っている。平然と下村を見る山崎。

下村「ほう、私がわざわざ東京から来たのに、別段驚かんようだな」
山崎「どうせ、時間と空間を超越しているんですから」
下村「これはまたアインシュタイン並みだね。ところでアインシュタイン君、この記事は何だね」

 江島大橋から大量の一万円札がばらまかれた記事が写真入りで出ている。

下村「この仕業は君だろう。なぜ大川大作に渡す金を橋からばらまいた。君はそんなに正義派だったかね」
山崎「一夜の余興ですよ」
下村「(あきれて)ほうほう、余興だと!!では君の仕業だと認めるんだな。ではこれも君の仕業だろう」

 さらにもう一つの新聞をテーブルにたたきつける。K都銀(山崎が務めている都銀)に金融庁の特別査察が入った記事がでかでかと出ている。

記事の内容「K都銀に金融庁特別査察。多額の裏金が民自党の大川大作の後援会に。
また、ヒサコーの株が大川大作に渡された


 記事をじっと読む山崎

下村「山崎君、はっきり言ってもらおう。大川大作と君の間にどんな密約が交わされたんだ」
山崎「はは、そんなものはありませんよ。ただ私的なことでサジェスチョンを得ただけです」
下村「そのサジェスチョンをいいたまえ」
山崎「駄目ですよ、昨日もそのことで女房とケンカになったんだから」
下村「では君は奥さんにも言えないようなことをしているんだな」
山崎「部長までなんですか。どうせ夢の中だけの話じゃないですか」
下村「(気色ばむ)何を言うか、お前の夢のおかげでわが社は存亡の危機に立っているんだ。すでに東京地検から頭取に呼び出しがかかっている。大川大作が今回限りで引退し、地盤を世界的視野を持ったユニークな男に引き継ぐと言っているが、それがお前だということはすでに割れているんだ」
山崎「いや、私の夢はもっと小さいことで」
下村「小さいだと、大川と組んで頭取を失脚させることが小さいことか」
山崎「失脚だなんて大袈裟ですよ。まさか頭取も久子に目をつけていたわけではないでしょう」
下村「ヒサコーの株をひそかに大川に渡したのが、なぜ新聞にでかでかと載っているんだ」
山崎「ヒサコーではなく久子ですよ」
下村「馬鹿、今君とそんな言葉の遊びをしている時間はない。君がはっきりとわが社の利益に反する行為をとったことが明確になればそれでいい。しかるべき措置をとるからそのつもりでいたまえ」
山崎「しかしあまり時間がないはずです。もうすぐ朝が来ます。それまでの一夜の夢にすぎません」
下村「『一夜の夢』だと!! 君は千夜一夜のつもりかもしれんが実に子供じみた行為だ。こちらには幹事長がついているからもみ消して見せる」

 そこに大川大作が意気揚々と支店長室に入ってくる。

大川「おやおや、これは下村人事部長じゃないかね。いつもは東京でふんぞり返っているのに、わざわざA町まで出張かね」
下村「(大川をにらんで)先生、先生のやり方は大変悪辣です。先生とわが社の関係をあえて週刊誌や新聞に流したのは先生だとわれています。しかしこちらにも幹事長がついているのでそうやすやすとは負けませんからね」
大川「ははは、幹事長だと。わしを誰だと思っているんだ。あいつを幹事長にしたのはこのわしだ」
下村「先生、もう先生の時代ではありません。幹事長派の時代です」
大川「ふん、政治の素人が何がわかる。お前は知らんだろうが今回の東京都知事選でわが党の推薦した候補者が負けたので幹事長が辞任するのは時間の問題だ」
下村「まさか・・・・」
大川「まさかじゃない。政治は一瞬先は闇ということを君は知らんようだな。ついでに教えておくが次の内閣改造でわしの腹心の伊藤が法務大臣になる。わしは無罪放免、お前のとこは徹底的に調べることになっている」
山崎「先生、そこまですることはないんじゃないですか、もう目覚めますから」
大川「いやだめだ。いったん飼い主の手を噛んだ犬は保健所送りだ」

 慌てて東京に帰ろうとする下村。真っ青な顔になっている。その後姿を見送る大川と山崎。

大川「ふん、磯田の犬め」

(続く)

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(28.10.19) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十二回)」

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 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その12)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。
 

〇 支店長室(続き)

 ソファに腰を掛けまだふるえている久子。久子の肩にそっと手を載せながら釈明する山崎。

山崎「すまなかった。こんな予定じゃなかったんだが、どうも夢をコントロールするのに慣れてなくてね。あんなガサツな人間まで登場するとは思いもよらなかったよ」

 黙って聞いている久子。

山崎「本当は君と二人っきりになりたいのに、邪魔ばかり出てくるんだよ」

 山崎にそっと身体を持たせかける久子

山崎「(狼狽しながら)今日、二人で食事をしよう」
久子「(嬉しそうに)いいわ」

〇 松江市の高級ホテルの屋上にあるフランス料理店のテーブル(同日の夜)

 山崎が久子を松江市のホテルに食事を誘っている。嬉しそうに座っている久子。テーブルには豪華なフランス料理が並んでいる。

山崎「誘って悪かったかな・・・・」

 首を横に振る久子

山崎「本当に君とデートしたかったんだ」

 微笑む久子。手を山崎の手の上に重ねる。慌てる山崎。

山崎「あっ、今日はいくらでも食べてもいいよ、償いだから。そう、ワインも飲む」

 うなずく久子。ボーイを呼んでワインを注文する山崎。

山崎「そうだね、一番高級なワインを頼む」

 時計を見る。

山崎「(独り言)もう少しで朝になってしまう。シンデレラボーイにならないように頑張らなくては・・」
久子「何か言った」
山崎「いや、いや、何でもない。こっちのことだ」

 ほろ酔いかげんの久子。ダンスホールが併設されていてムードミュージックが流れる。

久子「おどって」
山崎「いいとも」

〇 ダンスホール

 体を山崎にあっずけておどる久子。肩に久子の息がかかる。

山崎「(独白)ようやく大願成就しそうだぞ。夢だと思ってバカにしてきたが、こりゃ現実と同じくらい厳しいや」
久子「何か言った」
山崎「あっ、いや、何でもない」

 強く久子を引き寄せおどる山崎。久子も体を強く寄せる。

山崎「今日は君を帰さないよ、いいね」

 急に山崎は肩をたたかれる。妻の和枝が厳しい顔をして立っている。

和枝「なぜ,帰さないのですか。人事部長さんからすぐにA町に行ってあなたを見てほしいといわれたから来てみたらこの有様です」
山崎「(どぎまぎしながら)な、なんでお前がこんなとこに出てくるんだ。昼間ちゃんと尽くしているじゃないか、夜までちょこまか出てくるな」
和枝「あなたという人は・・・、夜は関係ないとでもいうのですか。私はあなたの妻です。夜の権利があります。誠実さだけが取り柄と思っていたのに、どうかしてしまったのですか」
山崎「うるさいぞ,女房だからと言って人の夢を侵害する権利はない」
和枝「まあ、あなたの夢のために子供の将来に傷がついてもいいんですか」
山崎「馬鹿なことを言うな、なぜ俺の夢が子供にかかわる」
和枝「あなたは隠しているつもりかもしれませんが、あなたの行動はみんな知っています。現に私がこのホテルに来たのも、神鳥課長さんが『ここにいる』と教えてくれたからです」
山崎「俺が言っているのはそんなことじゃない。夢から覚めればそれだけのことじゃないか」
和枝「早く夢から覚めてください。人事部長さんはあなたが精神的におかしくなったのではないかと言っていましたよ」
山崎「うるさい、夢を見るのは俺の勝手だ。人事部長がなんぼのもんじゃい」
和枝「あなたには社会的地位があるんですよ」
山崎「社会的地位で夢を見ているんじゃない」

 思わず山崎のほほをたたこうとする和枝。しかし手は空を切ってそばにいた久子のほほをたたく。ピシャと大きな音。顔をしかめる久子。山崎はほほを押さえる。

山崎「(独白)夢の中では痛さがないというのは本当だ。まったく痛くない」

 肩を怒らせ踵を返すようにしてホールから出ていく和枝。追う山崎。ドアを開けながら和枝が叫ぶ。

和枝「あんな女のどこがいいんですか」
山崎「あの子の胸は桃のようだが、お前の胸は干しブドウだからだ」
和枝「(顔をゆがめながら)干しブドウにしたのはあなたです。垂れたバナナのくせに」

 思わず下に手をやる山崎。

山崎「(独白)普段はいい女房なんだが、夢の中では人格が赤裸々に出てくるな」

(続く)

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(28.10.17) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十一回)」

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 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その11)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。
 

〇 支店長住宅(真夜中)


 布団に入ったまま天井を見上げている。

山崎「(独白)いや、大川の言うとおりだ。このままではあの桃のような久子を若者に取られてしまう。然し、これは俺の夢なのだからそうはさせんぞ。自分の夢ぐらいこちらのシナリオどうりにさせて見せる。絶対にだ(思わず叫ぶ)」

山崎「だがしかし不思議だ。夢の中でもこうして何回も睡眠をとる必要があるのだろうか・・・・」

 天井をにらんだままの山崎。

山崎「時間がない。どう見ても時間は朝までだ。よし、決着をつけるぞ!!」

 〇 A支店フロア(翌日の昼)

 業務室が騒がしい。やくざが二名でロビーで騒いでいる。暴力団がえせ新聞の勧誘にきている。困惑して対応している神鳥総務課長。

男B「新聞買わんとはお高く留まりおるわな。銀行がなんぼのもんじゃい」
男A「なんやねん、ここはお客が来てるというのに茶の一杯もださんのかい」
神鳥「(恐る恐る)あっ、いえ、気づきませんで申し訳ありません。斉藤君、ほら、何してるの、早くお茶を持ってきなさい」

 恐る恐るお茶を運んで来た久子。久子の顔をじっと見る男A.。顔をそむける久子。

男A「おい、ねえちゃん、ここではお客にお茶を出すとき顔を背けて出せと教えとるんかい、えー」

 茶碗を投げつける男A.茶碗がコンクリートの壁に当たって欠ける。

男B「お茶よりねえちゃんのほうがずっといいんだよ、えへへ」

 久子の手をわしづかみにして引っ張る男B.

久子「あっ、いや、いや」
神鳥「(狼狽して声が出ない)こ、こ、ここは銀行です。それ以上すると警察を呼びま、す、す、す、よ」
男B「何が乱暴じゃい、乱暴というのはこういうふうにするんじゃい」

 強引に久子を抱こうとする男B.

神鳥「お、お客さんの新聞を購入しますので、どうか手を放してください。お、お金を出せば問題はないんでしょ」
男A「金さえ出せばとはなんじゃい。こっちとらはれっきとした政治新聞じゃい。バカにされては後へは引けんな、おい支店長を出せや、早うだせや」

 おびえている従業員。騒ぎを聞きつけて山崎が支店長室から出てくる。

山崎「一体、何が起こったのですか」
男A「おやおや、今度はやけに乙に済ましたおっさんが出てきたじゃないか。あんたは誰じゃい」
山崎「この支店の支店長です」
男B「(大声で)支店長がなんぼのもんじゃい」
山崎「いや、大した者ではないが、自分の夢にこんな下品な人間が登場するのは許せない」
男A「なんやて、下品とは言ってくれるじゃねいか。おう、そうかい、どうやらお前の夢はこの女だろう」

 久子の胸を服の上から触ろうとする男A。一瞬のスキをついて男Bの腕から逃れ山崎の後ろに隠れる久子。

山崎「(怒鳴る)馬鹿もん、出て行け蛆虫。夢が台無しになる」
男A「なんじゃい、おっさん、いい度胸してるじゃねいか。おう、死んでもいいんかい」

 胸ポケットから匕首を取り出してカウンターに突き刺す。

山崎「おどかしてもだめだ。目覚めたら何もないんだから」
男A「目覚めろだと、しゃらくせい」

 カウンターに突き刺してある匕首を抜いて、山崎に襲い掛かろうとする。ちょうどその時にA支店の前を救急車がサイレンを鳴らして通り抜ける。同時に隣の駐在所の警官がのんびりと預金をしに入ってくる。

男B「兄貴、まずい。サツだ」

 逃げ出す男たち。

男A「覚えとけよ」
山崎「駄目だ、朝まで覚えてられない」

 支店の職員が全員、安どの顔で山崎の周りに集まる。何も気づかず警察官はのんびりと預金窓口に向かっている。

神鳥「しかし、支店長の勇気には感服いたしました」
山崎「いや、勇気なんてものじゃない。自分で自分の夢をコントロールできないだけだ」
神鳥「私にはウジ虫なんてとても言えませんよ」

 山崎の後ろで震えている久子に向かって声をかけ、やさしく肩をふれて促す。

山崎「そんなにふるえてないで大丈夫だよ。私の部屋にきて休みなさい」

 黙ってついてくる久子。職員全員が持ち場に戻る。

(続く)



 




 

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(28.10.15) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十回)」

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 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その10)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。


 〇 A支店支店長室(同時刻の若干前)

 A支店に大川大作が事前の約束もなく訪れている。支店長室の来客用ソファに深々と腰を掛けて山崎を待っている大川。お茶出しをしに来た久子に大川が声をかける。

大川「や、久子ちゃん、元気かい?実にいいにおいがする、桃のようなにおいだ」

 無邪気に笑う久子。

大川「まあ、ここに座りなさい(ソファの横を開ける)」

 大川大作の横に座ってあどけなく大川を見上げている久子。久子のうなじに手を触れ久子の襟元のにおいをかぐ。

大川「うむ、間違いない、君のにおいだ。中国にはジャコウジカがいるが聞くところによるとこうした匂いだそうだ」

 再び久子の体を引き寄せる。されるままにしている久子。そこに山崎が出勤してきて驚く。

山崎「あぁあ、大川さん、いったい何をしているんですか」
大川「ヤァ、君か、いや、なに、ちょっと」
山崎「ちょっとはないでしょう。これは私の夢です。私の夢なんだからその中で変なことをしないでください」
大川「いやいや、この子が君の夢だとは知らなかった。いや、失敬、失敬。こうみえても大川大作、人の恋路の邪魔をするようなことはせん」

 あどけない笑顔で支店長室を出ていく久子。見送る大川と山崎。

大川「君も隅に置けんな、まさかその年で独身なんてことはあるまい」
山崎「妻も子も東京にいます」
大川「単身赴任か。そうなるとあの子は現地妻か」
山崎「そんな関係ではありません」
大川「ほーほー、それでは少年の恋をしているのかね、その年で」
山崎「そんなつもりはないのですが、たまたまそうなっているだけです。(真面目な顔で)大川さん、夢の中でも道徳律というのがあるのでしょうか」
大川「はは、やはり君は大変面白い人物だな。夢を追う人間は道徳的なものだ。わしも首相の椅子を狙っていた時は身ぎれいにしていたものだ。芸者に手を出して首をはねられてはかなわんからな」
山崎「ところで今日は何か?」
大川「いや、特に用があるわけではない。昨日のお前のところの磯田の仕打ちにははらがたったが、それにはもうこちらで手を打ったからもういい。実をいうと、わしはお前が大変気に入った。今までわしの前で物おじせず座っていた人間などいない。お前は肝が据わっておる」

 そこに東京の人事部長から電話が入る。電話を無視する山崎。

大川「ほれ、電話が鳴ってるぞ」
山崎「これは仕事じゃないんだからどうでもいいんです」

 仕方なく電話対応をする大川

大川「どうも困ったやつだ。どれどれ、わしが出てやろう」
人事部長「(怒鳴り声)えぇ、山崎君、どうしてすぐに頭取に連絡してこないの。頭取がなぜ君をA支店くんだりにやったかわからないのか」
大川「そんなことはわかっておる」

 思わず頭にきて怒鳴る大川。

人事部長「(びっくりしながら)な、なんですか、その言い方は。わざとどすを利かしたつもりかも知りませんが、ちゃんと仕事をしてから居直りなさい。実弾はどうした」
大川「それはこっちが聞きたい」
人事部長「(激怒して)ふざけるな、さっさと落ち目の政治家の首を切って東京に戻ってこい。こっちは幹事長と話がついているんだ」
大川「そうはいかんぞ、幹事長にはこっちから手を打った」
人事部長「な、何を言ってるんだ、お前にそんなコネがあるわけがないだろう。バカも休み休み言え」
大川「いったな、わしをみくびるな」
人事部長「馬鹿、わしなどという言葉はもっと偉くなってから使え」

 互いに興奮する人事部長と大川大作。見かねて頭取の磯田が人事部長の電話を替わる。

磯田「何かわからんが、互いに興奮していては訳が分からんだろう。こっちはあれ以上出すつもりはないんだ。これが最後だとちゃんと言ったか」
大川「どうして最後になるんだ。誰のおかげで今の地位を得た」
磯田「キミ、どうしたの、病気なの、声も悪いよ。そりゃ、従業員諸君のおかげで今の地位にいることは確かだが、私だって努力しなかったわけではない」
大川「頭取競争で負けそうになって手をついて泣いて頼んだのはだれだ」
磯田「な、なんで君にそんなプライベートなことまで言われなくちゃならないんだ。実に不愉快だ。切る」

 怒って乱暴に電話を置く頭取。同じく電話をたたきつける大川大作。黙って聞いていた山崎が大川に声をかける。

山崎「そんなに電話を乱暴において、いったい誰と話してたんですか」
大川「お前んとこの義理も人情も知らん頭取だ」
山崎「はは、でも時代の流れを見る目はしっかりしてますよ」
大川「ただ、狡いだけだ。うむ、ところで盛んに実弾のことをいっとったは、本当はどうしたんだ」
山崎「それは昨日も言ったように、江島大橋からばらまいたといったでしょう」
大川「なぜ、そんなことをした」
山崎「新札が太陽にきらめいて蝶の乱舞になったからです」
大川「金だぞ」
山崎「幻です。目が覚めればただの狐の葉っぱです」
大川「わしのように金輪際目覚めない人間はどうする」
山崎「いや誰でも目が覚める時があります」

 感心して山崎に言葉に耳を傾ける大川大作。

大川「うむ、君は年に似合わずなかなかの哲学者だな。いちいち言うことが最もだ。ではその哲学者に一つアドバイスしておくが、君のところの桃の匂いのする女の子、久子のことだが、あの子を早く食べないとほかの若者に食べられてしまうぞ。なんせ無防備な子だからな」
山崎「朝までには何とかします」
大川「はは、夜中中一緒にいて朝までに何もなかったら医者に診てもらったほうがいい」

 笑いながら事務所を出ていく大川大作。

(続く)

 

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(28.10.13) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第九回)」

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 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その9)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。



 〇 大川大作の豪邸の室内(続き)

 日本建築の粋を凝らした日本間。床の間には中国の山水画がかかっている。それを背にいらいらしながら待っている着物姿の大川大作。

大川「(怒鳴る)何時間待たせるんだ。銀行の支店とわしの家とは目と鼻の先じゃないか」
山崎「ちょっと天気がいいので江島大橋まで寄り道してきましたので失礼しました」
大川「(びっくりして)君、江島大橋は鳥取との境だよ。君は頭取の磯田の話だと大変なやり手だそうだが、人を待たせるのが君の流儀か。武蔵のつもりかもしれないがわしは小次郎ではない」
山崎「(にこやかに)夢は楽しく見ようと思いまして」
大川「わしは忙しい。君の流儀に付き合ってはいられない。すぐに約束のものを出してもらいたい」
山崎「はは、あれは江島大橋から川の中に投げ捨ててきました。太陽光線にあたってきらきらとまるで蝶の乱舞のように落ちていきました。実にきれいだったなあ」

 驚きあきれてしげしげと山崎の顔を見つめる大川。

大川「お前はわしをからかいに来たのか」
山崎「いえ、こればかりは自分の意志とは無関係に出来事が流れているのです」
大川「(深く息をして)そうか、これが磯田のわしに対する回答か。自分は飛ぶ鳥を落とすメガバンクの頭取、わしは政治資金規正法で躓いた落ち目の政治家というのか。(急に怒りがこみ上げてどなる)なめるなよ磯田、だれのおかげで頭取になれたと思っているんだ」

 思わず茶碗を山崎に投げつけるが茶碗はそれてよく手入れされている庭の苔の上に落ちる。茶碗の欠ける音がしない。

山崎「(独白)すごい、夢では茶碗はかけても音がしないらしい。チャップリンの無声映画みたいだ」

 肩で息をしている大川。

大川「わしの目の前でそれだけ平然としている人間は多くない。さすが磯田が遣わした男だけはある。それは褒めてやる、だが磯田に必ず伝えておけ。磯田がわしに与えた政治資金については表に出ていないが、これが検察の知るところとなれば磯田もただじゃすまない。ともに地獄に行ってもいいのだぞ。いいな、必ず伝えろ」
山崎「頭取の政治資金といいますと・・・・・・」
大川「(大声で)そんなことは磯田に聞け」

 障子を手荒く開け踵を返して日本間を出ていく大川。

〇 支店長住宅(その夜の真夜中)

 布団に入り天井を見上げている。

山崎「(独白)しかし、なんとも不思議な夢だ。今日の一日の夢は何だったのだろうか。大川大作に政治資金を運ぶ夢だったが、なんでこんな夢を見るんだ。夢なのだから楽しい夢でなくては困る。そうだ久子は実にいい(久子の微笑みを思い浮かべる)。あれはじつにいい、もう少しで唇を交わせたのに、(久子が山崎に体を預けるシーン)馬鹿神鳥が邪魔しおって」

〇 本店頭取室(翌朝)

 翌朝頭取室で秘密会議をしている頭取の磯田と下村人事部長。かなり深刻な雰囲気。

磯田「いったい山崎は何をしているんだ。人事部長、君はちゃんと山崎のフォローをしているんだろうね」
人事部長「(恐縮しながら)はあ、それはもちろんですが、何か?」
磯田「何かじゃないよ、大川から訳のわからん電話で怒鳴り込まれた。大川は金は受け取っていないと言ってたぞ」
人事部長「まさか、その件につきましては総務課長の神鳥にすでに指示をしております」
磯田「(強い調子で)指示だけじゃ困るね。実弾が届いたか確認はとったの」
人事部長「いえ、そこまではしなくても山崎のことだからよいと思いまして・・・」
磯田「下村君,君は事の重大さをどうも理解していないようだね。いいかね、もともとA支店は赤字支店なのだから毎年10億ぐらいの赤字は我慢する。そのぐらいはいい。
しかし元財務大臣の大川大作に対する政治献金100億は経営として許すわけにはいかない。落ち目の政治家に対する献金額ではない」
人事部長「はあ、それは十分に理解しておりますが・・・・」
磯田「いや、君は理解していない。考えても見たまえ、政治資金規正法で検察に呼ばれるようでは大川の政治生命は終わった。そんな奴に100億の政治献金ができるか。1億じゃないんだよ。わが行としては早く幹事長派に乗り換えないといかん。幹事長にはすでに50億の献金をしてある」
人事部長「はあ・・・」

 深いため息をつき下村の顔を見る磯田。

磯田「(いらいらしながら)君ね、はあじゃ困るんだよ。考えても見たまえ。なぜA支店の新ビルをたたみ、木造の旧ビルに支店を移させたの?」
人事部長「はあ、それは頭取の大川大作に対する最後通告のシグナルだったはづですが」
磯田「そうだ、いいかね。山崎は有能で現地を熟知していると君が言うから、わざわざあいつをA支店に配属したんじゃないか。なぜ5億の手切れ金で大川と話をつけ支店をたたんで東京に帰ってこない。5億をもってトンずらしたの。もしこの件で失敗したら山崎を推薦した君の責任だよ。
それと今日のニュースで島根の何とかという橋から大金がばらまかれたとニュースがあったが、気になるのでこちらも調べておくように」
人事部長「あっ、はい。すぐに山崎とコンタクトを取りしかるべく指示をいたします」
頭取「当たり前だ」

 慌てて受話器を取りA支店に電話をかける人事部長。それを冷ややかな目で見ている磯田。

磯田「(小さな声でどくつく)やれやれ、これで人事部長が務まるのだから、わが社は安泰なはずだ」

 ヒア汗をかきながらプッシュホンを押している下村。手が震えている。

(続く)








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(28.10.11) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオ等を掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第八回)」

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 シナリオ「桃の木 栗の木 左遷の木」(その8)

この作品は私が喜劇に挑戦しようとして作成したシナリオです。第一回目からの続きです。


〇 自動車の中(続き)

 黒塗りの高級車で外出する山崎。丁寧に見送る神鳥課長。

山崎「(独白)どうも夢はつじつまが合わなくて困る。大川大作から呼びつけられたが何が何だかわからん。ところでこの包みはなんだ」

 山崎が包みを開けてみると手の切れるような新札が現れる。

山崎「ほう、ひとつつみ一億はあるな。全部で五億の狐の葉っぱか!!」

 山崎はおもむろに自動車の窓を開け、その新札を一枚一枚飛行機を飛ばすように飛ばし始める。驚いて自動車を止める運転手の田村。

田村「支店長、どうされたのですか」
山崎「べつに、紙飛行機を作って飛ばしているだけだ」
田村「しかし、それはお札ですよ」
山崎「札に見えるのは一時の夢に過ぎない」

 じっと山崎の顔を見つめる田村。田村の顔から急に涙が滴り落ちる。山崎の手を取って感動する田村。

田村「支店長、ようやく分かってくれたのですね。私は歴代の支店長が実弾を運ぶたびに運転させられましたが,いつもこんなことをしていていいのだろうかと疑問に思っていました。ようやく人間らしい支店長に出会えました」
山崎「はは、君、そんなに興奮してしゃべらなくていい。人間、夢の中では気ままに生きようではないか」
田村「ええ、そうですね。人間夢に忠実に生きるべきですね」

 田村の肩をたたきながら。

山崎「よし、二人でこの金をどこか思いっきり高いところからばらまいてみないか」
田村「ええ、いいですね。少し遠回りになりますが江島大橋からばらまきましょう」
山崎「いいね、できるだけ派手にやろう」

 スピードを上げて江島大橋に向かう自動車。

〇 江島大橋(続き)

 江島大橋からはしゃぎながら新札を川にばらまいている二人。側を何台もの車が通り過ぎていくが酔っ払いが悪ふざけをしているのだと思って、一瞥しただけで通り過ぎてゆく。

田村「支店長、そろそろ大川のところへ行く時間です。あまりまたすと激怒しますから」
山崎「ああ、そうだね。そのために出かけたのをすっかり忘れていたよ。ところで大川ってどんな人物だね?」
田村「はは、支店長もずいぶん冗談がきついですね。知ってて聞くんだから。ウジ虫ですよ」
山崎「はは、ウジ虫ね、そうか」

 出発する自動車。新札が江島大橋の欄干から川に向かって蝶々のように舞い落ちている。じっと窓越しにその光景を眺めている山崎。

山崎「実にきれいだ。まるで蝶の乱舞だ」

〇 大川大作の豪邸(続き)

 大川大作の豪奢な自宅。そこに横付けされる黒塗りの支店長車。

田村「支店長、実弾がなくても負けちゃだめですよ」
山崎「はは、僕は本質的に平和主義者だから、戦争はしないよ」

 背広の前のボタンを留めなおして颯爽と玄関に入っていく山崎。

(続く)



 

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