(28.10.29) 病気療養中のため二日に1回の割で過去のシナリオを掲載しています。 「桃ノ木 栗の木 左遷の木(第十七回 最終回)」
〇 スペインに行く飛行機の機内(2週間後)
山崎と久子が隣り合わせに座っている。山崎はまだ記憶が回復していない。
山崎「桃子ちゃんにスペインまでついてきてもらうなんて申し訳ないな」
久子「わたしはあなたの看護人だからいいの」
山崎「いまだに私がだれで何をしていたかわからないんだ」
久子「私が治してあげるから心配ないわ」
山崎「ところで、大川という人が言っていたけれど桃子ちゃんがいっぱい桃を持ってきてくれると言っていたが、桃ある」
久子「ええ、いっぱい」
山崎「食べたいんだけど」
久子「ここではだめ、いまここで食べると機長がびっくりして飛行機を日本に引き返してしまうわ」
山崎「ももを食べるぐらいでおおげさだよ」
久子「特別においしい桃だから誰にも見せずに次郎さんだけに食べてもらうの」
山崎「ますます、食べたくなった」
久子「だめ、スペインまで待つの。看護人の言うことは聞くものよ」
そこにアテンダントが夕食を配り始める。二人の前に日本食が配られる。ご飯は栗ご飯。山崎は栗ご飯のふたを開けたとたん「ウッッ」と吐き気を催す。
山崎「変だな、昔はとっても栗ご飯が好きだったのに吐き気がする。体に変調をきたしているらしい」
久子「潜在意識がそうさせるのよ」
山崎「栗ではなくなぜか桃が無性に食べたい。桃子ちゃん、お願い・・・・・」
久子「困った患者ね、じゃあ、ちょっとだけ、触るだけよ」
山崎の手をそっと下半身にいざなう。
山崎「どうしてこんなところに桃を隠しているの?」
久子「それは、ひ・み・つ」
飛行機が成層圏で飛行している映像。桃子の美しい横顔、桃を懸命に探している山崎。
エンディングソング
杉良太郎の「すきま風」
夢をおいかけ 夢に心とられ
つまずいて すきま風を知るだろう
いいさそれでもいきてさえいれば
いつか微笑みに巡りあえる~~~
(終わり)
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