(27.11.26) うれしいじゃござんせんか!! 日本もH2Aロケットで商業衛星の打ち上げに成功
私のようにロケット工学に無知な人間でも、今回のH2Aロケットによる初めての商業衛星の打ち上げ成功には興奮した。
「よくやった、日本のロケット技術もようやく世界に認められるようになったのか・・・」感慨がひとしおだ。
このH2Aロケットは三菱重工業とJAXA(宇宙航空研究開発機構)が共同で開発してきたものだが、過去打ち上げた衛星はすべて日本国からの受注で国外からの受注はなかった。
今回初めてカナダのテレサット社の通信放送衛星の打ち上げを受注し、その打ち上げに成功した。
商業衛星の打ち上げではEUのアリアン5が圧倒的なシェアを持っているが、それに続くのがロシアのプロトンMとアメリカのファルコン9で、日本もようやくその仲間入りができたことになる。
日本のH2Aロケットはとても優秀なロケットだが、残念なことに打ち上げ費用が約100億円かかり、一方先行しているアリアン5等の打ち上げ費用は約70億円と言われている。
この費用のギャップがどうしても埋められなかったが、今回はJAXAが費用の一部負担をしてテレサット社の費用負担は他の先行各国の打ち上げ費用と同程度になったようだ。
さらに今回H2Aロケットには改良が加えられており、最大飛行時間が2時間から5時間半にほぼ倍増したのだという。
これがなぜ重要かというと通信放送衛星は地球の赤道上空3万6000kmに打ち上げて地球の自転と同じ速さで回るのだが(地球から見ると静止しているように見える)、日本の種子島からの打ち上げだと従来は赤道上空まで持っていくことができなかったのだそうだ。
そのため人工衛星が自身が持っている燃料を費消しながら赤道上空までたどりつく必要があって、衛星の貴重な燃料を使用してしまい衛星の寿命が短くなってしまう欠点があった。
EUのアリアン5などは発射基地を赤道直下のギアナにおいてあり、打ち上げればすぐさま赤道上空に到達するため、商業衛星の打ち上げは従来はアリアン5の独壇場だった。
今回H2A型ロケットが長時間飛行可能になり赤道上空の近くまで衛星を運ぶことができるようになり、種子島から打ち上げても人工衛星に燃料の負担をかけないで済むようになったのだという。
「いや、いやそれは素晴らしい改良だ・・・・・・」素人だが素直に喜んだ。
注)通信放送衛星や気象衛星は赤道上空に静止させるように打ち上げるが、一方軍事衛星のようなものは北極と南極を結ぶ軌道に打ち上げる。
飛行問題は解決したが残念なことに打ち上げ費用の問題はまだ未解決だ。JAXAが一部費用を負担しているというが、これは国の組織だから日本国がダンピングして受注していることになる。
現在三菱重工とJAXAは2020年までに次世代ロケットH3を開発する予定だが、このロケットの打ち上げ費用は約50億円になるという。
これなら十分に競争力があるということだが、競合各国も新たなロケットの開発をしているから手放しの楽観はできない。
また受注が可能か否かは単に打ち上げ費用が安いだけでなく確実性も必要だ。何しろ商業衛星などは一基100億円ぐらいするのもざらにあるから、打ち上げが失敗してチリになってしまえば大損になる。
だから打ち上げの成功率も非常に大事で、トップはアリアン5の98.1%であり、日本のH2Aは96.6%で二位だからなかなかの成功率だ。
一番低いのがロシアのプロトンMで89.1%だからこれだと10回に1回は失敗していることになる。プロトンMで打ち上げるとなると依頼したほうは神様に祈らなくてはならない。
将来日本のロケットが成功率でアリアン5に並び打ち上げ費用が50億円程度になれば国際競争力抜群になるから打ち上げビジネスも軌道に乗るだろう。
商業衛星は今までは先進国が主として打ち上げてきたが今後は経済力をつけた新興国も打ち上げに参加して需要は伸びる。
日本は昔から鉄腕アトムや鉄人28号の世界だから大いにこの分野でも世界の最先端に立ってもらいたいものだと思う。
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