(29.12.25) 賞味期限が切れた国連 アメリカと日本が国連に背を向けたら何もできない
戦後の世界のフレームワークがまた一つ崩壊しようとしている。国連のことである。
先日の国連総会で、米国が行った「エルサレムを正式にイスラエルの首都と認定」した行動に対する取り消し決議が圧倒的多数で採択された。
国連総会の場でアメリカがつるし上げされたのだが、この情景は今から90年前に行われた国際連盟での日本つるし上げ決議と瓜二つだ。
90年前には日本が満州事変を起こし満州国を設立したが、この行動に中国が激怒し国際連盟に反対の決議を求め、圧倒的多数で反対決議が採択された。日本はこれに対し松岡洋右全権大使が尻をまくり国際連盟から脱退したのは承知の通りだ。
日本は当時国際連盟の常任理事国だったから、この時点で国際連盟は実質的に崩壊した。
90年たった今、今度はアメリカのヘンリー国連大使が「主権国家としてのアメリカの権利(どこに大使館を置くかということ)を国連総会で攻撃の対象とされたが、米国はこの日を記憶にとどめるだろう。米国の国連を見る目もかわるだろう(分担金を払わないぞ)」と反対演説をした。
トランプ大統領は「賛成票を投じればODAを削減する」と脅した。
注)アメリカは国連分担金の約22%を負担していて第一位の国連支援国であり(第二位は日本)、またODAも先進国中最大規模になっている。
第二次世界大戦後の世界に平和をもたらす役割を担って国連は華々しく登場し、一時は世界政府や国連軍の創設などが取りざたされたが、実際の国連は苦難の連続だった。
国連では安全保障理事会が最高の議決機関だが、常任理事国5か国(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国)に拒否権を与えたため冷戦時代はロシアの拒否権のオンパレードで、冷戦後はアメリカとロシア・中国が互いにいがみ合って何一つ有効な決議案は採択されなかった。
一方総会には何の権限もないため、単なる騒がしい独りよがりの演説が横行し、決議が採択されても誰もが無視するという何とも閉まらない場になってしまっている。
こうした中でも国連は自身ができる範囲内ではあったが平和維持活動といった地味な活動や温暖化防止会議等でその存在意義を保っていたといえる。
だがその国連もついに役割を終える時が来たようだ。
今国連は汚職と利権の巣になり、それを決定的に推進したのが前事務総長のパン・ギブン氏である。
パン・ギブン氏の総長10年間は特に後半になるにつれ、汚職(自身は手を染めずもっぱら弟等の一族が加担)と韓国人等を優遇する縁故主義、そして何より悪質だったのは韓国大統領に立候補するため、意図的に日本をスケープゴートにしたことである。
特にユネスコと国連人権委員会を通じて、慰安婦問題を意図的に取り上げ、日本が世界で最も卑劣な人権抑圧国だとのキャンペーンを行い、またユネスコの世界遺産登録では中国と韓国の主張のみ通して、日本の明治産業革命遺産にクレームをつけさせて、日本バッシングに狂奔した。
「あんた、国連で出世したかったら、日本をつるし上げろ。そうすればユネスコの幹部も国連人権員会の幹部も思いのままにしてやる」
日本にはそれまで国連神話というものがあり、国連のすることは崇高な理念に基づいた行動と思っていて、アメリカが分担金支払いを何かというと停止していた中で、日本は懸命に分担金を支払ってきた。
はっきり言えば国連の財政を支えていたのは日本で、そのために歴代事務総長は日本に対する敬意を失わなかった。
しかしパン・ギブン氏はこれほど懸命に国連を支えてきた日本を、自身が韓国大統領選挙に立候補するという個人的利益のために、日本を意図的に貶める政策をとった。
「見てみい、韓国人の喜ぶこと。これで俺の大統領選出は間違いなしだ」
だがその後の経緯は自身と一族の汚職が左派系新聞で暴かれ、パン・ギブン氏は大統領選挙から撤退させられた。
だがしかしこのパン氏の日本バッシングは国連にとって致命的な失敗と損失をもたらしたといえる。国連を支えているのはアメリカと日本だが、アメリカしばしば分担金支払いを拒絶し、特に今回のアメリカバッシングに対し、分担金全額の支払いすら停止しようとしている。
一方日本はパン・ギブン氏の悪意に振り回されてすっかり国連神話から覚めてしまい、このまま分担金の支払いに応ずる意思をなくしている。
残るのは中国だが、中国一国で国連を支えるのは難しそうだ。
こうして国連はイスラエル問題でアメリカを敵に回し、ユネスコの世界遺産登録で日本を敵に回した結果、財政を支える基礎が崩れ、簡単に言えば世界最高レベルの高給といわれる国連職員の給与が支払われない状態が徐々に近づいてきた。
実質的に機能しない国連で、さらに財政面で破たんすればあとは何も残らない。21世紀に入りついに国連という組織の賞味期限も切れてしまった。
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