(27.10.8) 素粒子(ニュートリノ)に質量があって良かった。梶田隆章氏の偉大な発見
ニュートリノといわれても本当のところはさっぱり分からない。私が理解できる範囲は原子核と電子のレベルだから、それより小さなニュートリノといわれても分からないのだ。
一番当惑したのは原子核を構成している陽子や中性子は素粒子(ニュートリノ)からできているが、ニュートリノには質量がないといわれていたことだ。標準理論というのだそうだが何を言っているのかさっぱり分からなかった。
「第一原子には質量があるのに、その構成要素の素粒子にはなんで質量がないんだ。これでは無から有を作るようなものではないか・・・・・・」
私は素粒子物理学などといわれるとそれだけで恐れ入ってしまう方だから、「でもまあ標準理論で質量がないといっているのだからそうなんだろう」と思っていた。
しかし今回ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏はそうはおもわなかったようで、スーパーカミオカンデといわれる実験装置を使って、ニュートリノに質量があることを証明してしまった。1998年にその結果の発表をしているからつい最近のことだ。
私などは素粒子に質量がある方が理解しやすいから「ほら見たことか、素粒子だって重さがあるんだ」と納得してしまったが、収まらないのはそれまで物理学の定説といわれた標準理論を信奉していた人々で、当初は喧々諤々の議論があった。
現在ではニュートリノに質量があることが学会でも確認されているが、それはスーパーカミオカンデの詳細な実験データが反論を許さないほど完全だったからだという。
スーパーカミオカンデといわれても何か大きな水槽を地下に建設して、そこに飛び込んでくるニュートリノを周りのセンサーでとらえる設備ぐらいにしか思っていなかったが、このスーパーカミオカンデがあったおかげで日本は素粒子物理学で世界をリードしているのだそうだ。
梶田隆章氏がなぜニュートリノに質量があるかと気が付いたかというと、天球から降ってくるニュートリノの量と地球の反対側から地球を貫通してくるニュートリノの量が異なっていたからだという。地球を貫通すると量が4割も減るのだそうだ。
私などは「だから何なの」という感度だが、梶田隆章氏はこれはニュートリノが変身するからだと考えた。
ニュートリノには3つの型があって、地球を貫通してくる間に型が変わってしまい、スーパーカミオカンデではミュー型といわれる一つの型しかとらえられないので、他の型になってしまったために補足できないと考えたわけだ。
この型が変わることをニュートリノの変身といって、この変身があることが即質量があることの証明になるのだそうだ。
なぜこれがその証明になるのか私などはさっぱり理解できないが、素粒子物理学ではそのように理解されるらしい。
「まあ、詳しいことはさっぱりだが、素粒子に質量があったことは喜ばしいことだ」
私の常識の範囲にこの理論が入ってきたのでひとまず安心した。
一般に複雑怪奇な理論はどこか間違っていることが多い。経済評論でも素人にはとても理解できないような難解な言葉を使った評論はほとんどイカサマでコケ脅かしだが、物理学の世界も同じなのだろう。
持って回った素人が金輪際理解できないような理論はどこかおかしく、素粒子物理学の世界だってやはり同じだということを知って私は満足し梶田隆章氏に感謝した。
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