(27.10.1) ロドリゴとイェティさんの北海道自転車周遊記 その12(最終回)
この周遊記も最後を向かえました。この最後の記事はハッピーエンドというわけにはいかなかったため本当は記載したくなかったのですが、ロドリゴは主に使える身なれば虚偽を書くわけにいかず、ご報告するしだいでございます。
前日この鹿島に来る途中で自転車から放りだされひどく右足のひざのお皿を打ったのでございますが、一日寝れば治るものと期待して寝込んだのでございます。
よく8月16日は昨日の豪雨も止み蒸し暑さは残りましたが天気は回復しておりました。
「さて、さてわが右足の状況はどうなっているのだろうか・・・・・」
恐る恐る右足を見ると昨日以上に腫れあがっており、膝が何か棒のようなものになって動かないのでございます。
「こりゃ、完全にまずいな、絶対にまずい・・・・・・・・・・・」
ここ鹿島からおゆみ野郷まではまだ80kmはあり、片足しか動かないとなるとかなり苦労することは明らかでございました。
注)地図は以下参照
https://goo.gl/maps/VjKwkZYGVxj
「イェティさん、ちょっとまずいことになっている。右足が動かないので左足一本で漕がなくてはならない。坂道では全く速力がでないのでスピードを落として先導してもらえないだろうか・・・」
「そうか・・・・それならできるだけ平坦な道路を選択して坂道はゆっくり走るよ!!」
イェティさんは人間ナビゲータといわれるくらい道を知悉しており、道路の選択で間違いを犯したことがないのでございます。
それからロドリゴは左足一本で自転車を走らせたのですが、平坦地はともかく坂に差し掛かると全くスピードが出ず、ほとんど亀の歩みになってしまいました。
「がんばれ、片肺飛行の飛行機だってパイロットが上手ならばドーバー海峡だって渡れる。頑張るのだ!!」
なにかイメージは昔見たスチーブ・マックイーン主演の「戦う翼」になってきました。
この映画でマックイーンが操縦するB17はドイツ上空の爆撃でドイツ機の応戦にあい、エンジン一つでイギリス基地に帰還するのですが、片肺では出力が上がらずドーバー海峡の白壁に激突して戦死するという映画でございました。
最後にマックイーンが叫ぶ言葉が印象的でございました。「UP,UP,UP!!!」
実はロドリゴも坂道では完全に息があがってこちらも「あっぷ、あっぷ」していたのでございますが、何としても故郷おゆみ野に戻らねばという執念が左足一本のライデングをさせていたのでございます。
「燃え尽きるのは命か先か、足が先か、頑張れ!!」
幸いにイェティさんは交通量が少なくかつなるべく坂道でないコースを選択して先導してくれましたので、ロドリゴは息絶え絶えではございましたがなんとか80kmを走破し12時頃におゆみ野郷に到着したのでございます。
イェティさんは隣のちはら台郷に住んでいますので、おゆみ野奉行所の前でたがいの健闘をたたえあって別れたのでございますが、本来ならば歓喜で別れるところをなにか最後は盛り上がりに欠けておりました。
こうしてロドリゴとイェティさんの2015年の夏は終わりをとげました。
これが約2週間にわたったロドリゴとイェティさんの蝦夷地周遊記のすべてでございます。
(その後の経緯)
翌日になっても右足の腫れは一向に引かなかったので、近くの整形外科で診察を受けると信じられないことに右足のひざのお皿が縦に割れておりました。
「ロドリゴさん、これは手術が必要になるかもしれませんが、この診療所では手術はできませんので千葉メディカルセンターに紹介状を書きますのでそちらに行ってください」
ロドリゴは膝のお皿の骨が割れた写真を見たのは初めてでしたので、このレントゲン写真を見て蒼白になってしまいました。
「かつて一度たりとも骨が骨折したり割れたりしなかったのが自慢だったのに自転車で転んだくらいで皿が割れるのか・・・・・・・」
翌日紹介状を持って千葉メディカルセンターに出かけたのですが、ここはこの5月に突然目が見えなくなって4日間入院した病院でございます。
「なんてこった、一年間で2回も入院することになるとは思いもしなかった・・・・・」
MRIをとって診断になったのですが、ここのドクトルはかなりベテランのドクトルでしたが、何か考え込んでいるのでございます。なかなか診断を下さないので、ロドリゴはたまらず聞いてしまいました。
「先生、いつ手術をしなければならないのでしょうか???」
「うぅーん、年を取ると手術はね・・・・・・それに皿が割れていてもそのままでも支障ない人もいるし・・・・うぅーん・・・・・・」
なにかとても年寄り扱いされ要領も得なかったのですが、2週間経過を見てその後結論を出すということになったのでございます。
一瞬ロドリゴはこのドクトルはやぶではなかと疑ったのでございますが、そのようなことを申すことはご法度ですので致し方なく2週間ギブスをして過ごしたのでございます。
「足は曲がらないし、痛いし、さっさと手術をしてくれればいいものを・・・・・・ぶつぶつ」
しかし信じられないことに2週間を過ぎたころから足の痛みは全くなくなり、通常に歩いても支障がなくなり、かつ3週間を過ぎるころには階段の昇り降りをしても全く問題なくなってきたのでございます。
「先生、骨折しても全く痛みも何にもでないということはあるのでしょうか?」
「まあ、膝のお皿が割れても普通に生活している人はいますよ」
結局手術は取りやめになり、経過的に症状を見ていくことになりましたが、お皿が割れても生活するのに支障がないことをロドリゴは初めて知ったのでございます。
今は通常に歩き、かつ生活しておりますがさすがに走ることは止めておりランナーとしての生活には戻っておりません。
「まあ、普通に歩けるのなら生活には支障がないので良しとするか!!」
これが周遊記の最後の記載でございます。蝦夷地まで出向いて行って少しけがをしたという程度で収まりハッピーエンドではございませんが、それなりの思い出の旅にはなったのでございます。
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