リメイク版 夏休みシリーズ 27年

(27.8.22) 夏休みシリーズNO17 文学入門 ちっちゃなかみさん

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河村さん主催の読書会は都合7年間も継続しているのだから大したものだ。私は小説というものほとんど読まないが、この読書会でテーマ本になったものはすべて読了して感想文を書くようにしていたので、意外に文学関連の記事が多くなった。




(20.10.29)  文学入門 3    ちっちゃなかみさん

 今日(28日)は河村義人さんが主催する第4回目の読書会だ。河村義人さんは本業は銀行員だが、一方で「子どもたちへのブンガク案内」という本を出版されているおゆみ野在住の作家でもある(おゆみ野walkersの「この人に会いたい」に詳しい)。

 今日の担当者は他でもない私で、私が読書会に選んだ本は、平岩弓枝さんの「ちっちゃなかみさん」だ。私はこの本をちはら台で開催されている朗読会で知ったのだが、以来大変気に入っていて私が担当になれば是非取り上げようと思っていた。

 事前にレジュメを作り、机の上においていたらかみさんが目をとめて「私もでようかしら」という。特に断る理由もないので「いいんじゃない」と答えた。
もっともかみさんとしても一人で来るのはやや躊躇したらしく、友達のYさんを誘ってやってきた。
今日は新メンバーが4人も来て、なにかとても新鮮な気持ちだ。

 「ちっちゃなかみさん」はたった24ページの小説で1時間もあれば十分に読み切れてしまう。話の筋立てはいたって簡単だ。
向島で三代続いた料理屋、笹屋の一人娘、お京がこの正月で20歳になった。当時は20歳になれば嫁に行くには十分な年頃だ。

 お京は15歳の時から家の店を切り盛りしてきたので、今では親は楽隠居の身に成っている。親の心配事は娘の縁談だけで、親は色々な縁談話を持ち込むが、お京は『あてがあると』断る。聞くとかつぎ豆腐売りの信吉の嫁になりたいと言う

 ここまでが前段であるが、この前段までに江戸時代の三つの常識が紹介されている。
 当時の女性はほぼ全員が結婚し、それも20才前には片付いている(だからお京はやや婚期が遅れつつある)。
 大店の娘はかつぎ豆腐屋売り風情の男の嫁には出来ない(
親としては承服できない)。
 一人娘のお京は当然に養子を迎えて店を存続させる(
だから外に嫁に行くなんてとんでもない)。

 こうした当時の常識に挑戦させるために、お京に「信吉さんのお嫁になれないなら一生独身で過ごす」と言わせる。これで親は大弱りになり対策を打たなければならなくなる。

 話のスピードはいたって早い。板前や女中頭、植木屋の老翁から信吉の人柄を聞くがいづれも評判がいい。
このあたりはいかにも短編小説で、ながながと信吉の人となりを説明せず噂話として片付けている。しかも実際この小説に出てくる信吉は、お京との結婚話を心ひそかに思って夜人知れず泣いてしまう男だ。

 私はこの小説の唯一の欠点は、この信吉のめめしさに有ると思っているが、そうした性格描写を記載していると短編小説にはならないので、話をどんどん進める。

 どうやら短編小説では登場人物を最小に絞るのがポイントらしく、笹屋の主人、嘉平、その妻、お照、一方の主人公一人娘のお京、および本当の主人公ちっちゃなかみさん加代だけが実際に描かれている全てといっていい。

 ここからいっぺんにクライマックスにはいる。加代と治助が嘉平夫婦の長命寺の参詣に行くことを知って、後をつけ11歳の小娘である加世が兄のために自分達が身を引くので、信吉とお京を結婚させてくれと頼む。

 「弟は子守をしながら自分が面倒を見るので、なんとしても兄の願いをかなえてほしい」と言う。作者は明確には言わないが、この時代少女に出来ることは女郎しかない。

 11才や6歳の子供から「わが身を犠牲にしても兄の幸福を」などといわれて、涙を流さない日本人はいない。
日本人の琴線を知った作者が、まさにその琴線を震わした訳だ。

 平岩弓枝さんは本当に短編小説の名手だと思う。必要人物を最小限に絞り、話のスピードを上げ、必要な場面だけ詳細に描く。そして幼子が自らを犠牲にすると言わして読む人を泣かしてしまう。すばらしい短編小説だ。

 なお、河村さんから今回の読書会のまとめをいただいたので、一部抜粋して掲載する。

 意見交換に移ると、「癒される内容だが、娯楽小説の域を出ない」とか「文学の『毒』がない点が若干物足りない」といった辛口の意見が出される一方で、「人情的なものを前面に出す設定になっている」「季節感あふれる文章で終りが爽やかなのが平岩文学の特徴、表題作もハッピーエンドで、さらっと終わっている」というような好意的な意見も聞かれました。

 中には、11歳の〝ちっちゃなかみさん″こと加代が早熟すぎてそのリアリティを疑問視する意見も出されたものの、男女を問わず若年で独り立ちを余儀なくされた江戸時代と若者のモラトリアムが長い現代とでは人間の成長の早さが違う、というような説明が相次いでなされ、その疑問は氷解したようでした。

 私(河村)は今回初めて平岩弓枝の短編集を読みましたが、人情味豊かな市井ものあり、芥川龍之介ばりの凝った作品(「師」もの)あり、ある程度史実を踏まえた歴史小説あり…と多彩な印象を持ちました。

 いずれも文章がよく練られており、時代考証も行き届いていて、安心して読めました。個人的には、意匠を凝らした技巧的な作品よりも、表題作のような心温まるシンプルな作品の方がいいですね

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(27.8.21) 夏休みシリーズNO16 世界恐慌前夜 金融危機から実体経済の危機へ

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 夏休みに入ります。この間は過去のブログ記事の再掲になります。

  このころになって世界はリーマンショックの本質がサブプライムローンにあることに気が付いた。金融工学というお化粧をはがしてみればそれはアメリカが仕掛けていた世紀の詐欺行為であることが判明した。

(20.10.7) 世界恐慌前夜 金融危機から実体経済の危機へ

  人間長く生きていると信じられないような経験をすることが出来る。1929年に始まった世界恐慌については、世界史や日本史でまなび、「当時の人はケインズ革命を知らず、財政金融政策もなってなかったんだな」なんて軽蔑していたがひとごとでなくなってきた。

 とうとうアメリカの金融危機実体経済を蝕みはじめ、世界恐慌前夜に突入してしまった。
金融安定化法案はすったもんだの挙句に3日、賛成263票反対171票で可決したが、市場の評価はまったくダメで、ダウ平均で157ドルも下げている。
どうやらこの法案だけでは金融危機は収束しないな。この制度を利用する金融機関は倒産寸前の金融機関だけだ」そう市場は評価した。

 アメリカ経済は金融問題に忙殺している間に、確実に実体経済が麻痺し始めている。GDPの約70%が消費で成り立っているが、その消費が低迷し始めたからだ。
消費財のうち最も大きいのが住宅の購入で次が自動車の購入だが、どちらも全く売れない。

 世界から金を集めて、古代ローマの栄華を誇っていたアメリカだが、サブプライムローンでケチがついた。
アメリカの証券化商品は欠陥品だ。こんなのを買うのは止めよう」世界が気づき、アメリカから資金が逆流している。

 すでに住宅価格は06年ごろをピークに下がり始め、大都市部では20%余り低下したといわれる。これがサブプライムローン問題の引き金になっているのだが、たった20%程度で問題が起こるところが、この問題の複雑なところだ。
考えてもほしい。バブルがはじけて20%程度の低下で終わるはずがない

 日本では土地バブルがはじけて、価格は最高時の3割程度まで下がった。70%の低下だ
私が住んでいる土地はピーク時6000万といわれ、「俺もなかなか金持ちじゃないか」なんて思っていたが、今の実勢価格は2000万程度だ。
もう少し公的な資料で見ると、京都市の都市部の公示価格は平成3年に74万円/㎡だったのが、平成15年には22万円/㎡と、これも最高時の30%程度に低下している。

 バブルがはじけると、価格は最高時の3割程度になってしまうのが普通だ。
だからアメリカの住宅価格が20%低下だということは、さらに50%低下する余地が有るということで、これがアメリカ経済の未来を暗くしている。
アメリカの危機はこれからが本番だ」市場の認識だ。

 すでに住宅建設はピーク時の半分近くに落ち込み、中古住宅はほとんど買い手がいない。差し押さえた住宅が185円で落札されたと新聞に載っていた。

 自動車について言うと、9月の新車販売台数が軒並み前年同月比対比で30%減になってしまった(GEだけが特別キャンペーンで▲16%)。世界の新車販売の2割強を占めるアメリカ市場の不振は痛い。

 しばらく前までは日本車は低燃費とハイブリット車でアメリカ市場を席巻していたが、日本車も売れなくなった。住宅価格の低下により、家の含み益で自動車を購入できなくなったのが原因だ。
アメリカではホーム・エクイティー・ローンという一種の消費者ローンがあり、住宅価格から住宅ローンを差し引いて余りがあれば、ローンを組むことが出来る。

 このホーム・エクイティー・ローンが消費を牽引してきたが、住宅価格が低下すると、ローンを返済しなければならない。歯車が逆回転している。


 失業者も急拡大し、9月の失業者は16万人増加して、失業率6.1%だ。これは03年3月以来の大幅な増加だ。
そして景気の先行指数である株価は低下の一途をたどり、ドルは世界中で売られている。
ドルは今に紙くずになるぞ

 あらゆるデータが景気に急ブレーキがかかったことを示しており、アメリカ経済は恐慌前夜にあることが分かる。
しばらく前までは原油価格200ドルまで行くのではないかと心配していたが、今は景気後退で50ドルまで低下して、産油国特にロシア経済が立ち行かなくなることを心配している。

 アメリカは金融工学で舞い上がり、今はその金融工学によってまっさかさまに墜落している。自由放任主義の経済運営の時代は終わり、再びケインズの時代が到来した。
フリードマンさん、さようなら。ケインズさん、いらっしゃい」大合唱が始まった。

 しかしこの恐慌を飼いならすまでは世界経済は相当の期間荒波にもまれそうだ。日本の失われた10年どころではなくなってきた

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(27.8.20) 夏休みシリーズNO15 アメリカ金融政策のダッチロール

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  リーマンブラザーズの倒産に当時のアメリカ政府がいかに慌てふためいていたかよくわかる記事だ。実際に事件が起こっているときは当事者はほとんど興奮しながら懸命な対処を図ろうとするが、はたから見るとダッチロールに見える。

(20.10.1) アメリカ金融政策のダッチロール

 アメリカ金融政策が完全にダッチロールし始めた。昨日(29日)までは金融安定化法案が通り、約75兆円の公的資金が投入されて不良資産の買取を実施する予定だったのに、一夜明けるとひっくり返っていた。

 早朝のテレビはアメリカ下院で金融安定化法案が否決されたとのニュースをトップで伝えている。私は当初民主党議員が反対したのだと思って聞いていたが、なんとブッシュ大統領のお膝もとの共和党議員の造反によるものだと言う。
ブッシュ大統領が苦りきった表情で「前進するための対応策を考え出す」と言っていたが、まさか共和党議員が造反するとは思っていなかったようだ(共和党議員の法案賛成は65票、反対は133票だった)。

 おかげで株価は過去最高777ドルの下げ幅で、円高も104円まで進んでいる。おりしもアメリカ第4の銀行ワコビアも実質倒産してしまった。
「アメリカはもうだめだ。全て売りだ」市場は大パニックだ。

 金融安定化法案が通らなければアメリカの金融崩壊は確実だから、いづれは妥協が図られるはずだが、この不手際は痛い。
なにしろペロシ下院議長ら米議会首脳の同意を得た法案が全く議会を通過できないのだから、米政府も議会首脳部も威信は地に落ちたようなものだ

 特にアメリカ政府高官の中でポールソン財務長官ほど評判を落とした人はいない。

リーマン・ブラザーズの救済に公的資金の投入を考えたことは一度もなかった」と公言してリーマン・ブラザーズを倒産に追い込んだかと思えば、翌日にはAIGに約9兆円の公的資金をつぎ込んでいる。
いったい、リーマン・ブラザーズとAIGの違いは何だ」市場は疑心暗鬼となったが、単にポールソン財務長官がパニックになっていたに過ぎない。

 さらに今度は金融安定化法案を通過させて75兆円の公的資金をつぎ込もうとしたら、根回しに失敗して下院で否決されてしまった。
ポールソンは何をやってもダメだブッシュ大統領は歯軋りをしているだろう。

 しかしポールソン氏のためにいささか弁明すると。歴史の変わり目には従来の思考に忠実に従う人は、対応不能におちいってしまうだけだ。
現在の状況は1929年の金融恐慌の再現だが、当時共和党フーバー大統領は「何もしないで市場に任せることが最善」と思い、恐慌の傷を深くした。そしてポールソン氏は100年を隔てて、フーバー大統領と兄弟のように思想が似ている。

何もしないのが最善だ」ポールソン氏の本音はそうだから、「75兆円の公的資金を投入するなんてとんでもない」と本心では思っている。
そうした同志は共和党議員にはたくさんいるから、両者でサボタージュして金融安定化法案をつぶしたようなものだ。

 ブッシュ大統領としたらどうしたらよいのか分からないだろう。公的資金を投入して大きな政府をめざせば、お膝もとの共和党が造反する
一方、何もしなければアメリカは第二の大恐慌に突入する。

 財務長官をポールソン氏からジョン・メイナード・ケインズのようなニュー・ディーラーに変えなければならないのだが、そうした人材は民主党にしかいない。

 結局、アメリカ政局はこのねじれ現象を解消するために、大統領をオバマ氏にして、大きな政府の再現を図るより手はなさそうだ
これで11月の大統領選挙はほぼオバマ氏に決定したといえよう。

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(27.8.19) 夏休みシリーズ NO14 日本の金融機関の反転攻勢とアメリカの金融危機

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  日米金融機関の逆転が始まったのはこのリーマンショック以降で、アメリカの金融工学が地に落ちてからである。それまで日本の金融機関はひたすらアメリカをまねて努力していたが、ようやく目が覚めた。

(20.9.26) 日本の金融機関の反転攻勢とアメリカの金融危機

リーマン・ブラザーズが倒産したりAIGが政府の管理下におかれるようになったのを見て、日本の金融機関の反転攻勢が始まった。
野村證券は倒産したリーマン・ブラザーズのアジア部門とヨーロッパ部門の人材、M&A、株式部門を引き継ぐと発表し、三菱UFJモルガン・スタンレーに9000億円出資し、株式の20%を取得すると発表した。

 思えばアメリカにやられっぱなしだった日本の金融機関がようやく世界に再び羽ばたこうと言うのだから喜ぶべきことだが、こうしたチャンスを物にできる金融機関は上記の2社だけであるらしい。
そうか、日本で世界と太刀打ちが出来る金融機関は三菱UFJと野村HDだけなのか

 かつては世界の金融機関だといってはばからなかったみずほ三井住友も1000億円程度のはした金しか出資が出来ないらしく、これでは数兆円規模で赤字が続いているアメリカの金融機関を乗っ取ることは出来そうもない。
みずほも三井住友も日本のローカルな金融機関として生き残るだけなのか」かつての栄華を知っている者としては感無量だ。

 失われた10年で日本の金融機関は三菱UFJ野村HDを除き徹底的に衰退してしまったようだ。
当時アメリカの金融当局は「不動産や株式の含み資産経営をしている日本の金融機関は全く信用できず、時価会計を採用できないならばアメリカ市場から撤退しろ」と迫っていた。

 おかげで地方銀行のアメリカ支店は次々に撤退に追い込まれ、大手都銀でもアメリカ市場では二線級プレーヤーとみなされて、高い金利を払わなくてはドルを入手できない状況だった。
悔しかったら格付をあげなさい。そうすれば安いドルを供給してあげますよ」まるで子供扱いだった。

 しかもその間アメリカの金融機関は金融工学という手法で証券化商品を次々に開発し、世界に売りまくり莫大な利益を上げていた。
一方日本ではようやく「金融工学とは何か」を学ぶために大学院の数学専攻の学生を採用し、リスク評価部門を作って盛んに意味不明のレポートを作成しては経営者に報告していたものである。

報告者現行の我が行のリスクを計測すると約○○億円になります
経営者そのリスクはどのようにして計測したのかね
報告者アメリカのA行で採用されているリスク計算の方法で計測しています
経営者そうか、それならきっと正しいのだろう
本当は誰も理解できないリスク評価方法に振り回されて、頭を抱えていただけだ。

 しかし人生は何が幸いするか分からない。アメリカの金融機関は金融工学にのめりこんで最大限のリスクをとった結果、サブプライムローンでものの見事にひっくり返ってしまった。
一方日本の金融機関はほとんど勉強だけしかしていなかったので被害を最小限にとどめることが出来た。
よかった。リスク管理を理解できなかったおかげで、変な商品を買わずに済んだ」これが本音だ。

 アメリカが世界に教訓をたれていた時価会計リスク管理方式は結局何の役にもたたなかった。
金融工学という博打を体よく見せるためのイチジクの葉に過ぎないことが、ベア・スターンズリーマン・ブラザーズ,AIGの破算で世界に知れ渡たった。

 だが、それにしても反転攻勢をかけられる金融機関が三菱UFJ野村HDだけだとは、日本の失われた10年がいかに大きな痛手だったかがわかる。
そしてこれからアメリカは日本の失われた10年を追体験するのだが、日本と同様その傷の深さに愕然とするはずで、生き残る金融機関は数社になるに違いない。

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(27.8.18) 夏休みシリーズNO13 アメリカ経済のメルトダウン

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  リーマンショックはアメリカと世界経済に大きな爪痕を残したが、そうなった最大の原因は当時の財務長官ポールソン氏の無能さが大きい。
ポールソン氏はことの重要性にほとんど気づかず、何の対応もしなかった。
最もサブプライムローンについて当時正確な情報を持っていたものは皆無だったからポールソン氏を責めるのも酷といえるかもしれない。

(20.9.18) アメリカ経済のメルトダウン

 私が生きている間にアメリカ経済メルトダウンし、アメリカの世紀が終わるとは予想していなかった。
1991年ソビエト連邦が崩壊しアメリカの一人勝ちになり、フランシス・フクヤマが「歴史の終わり」を宣言してから約20年で「アメリカの世紀の終わり」が来てしまった。

そうか、歴史の終わりとはアメリカの世紀の終わりのことだったのか」笑ってしまった。

 サブプライムローンを発端とするアメリカの金融危機は、金融工学という魔法の杖で巨大な利益を生み出してきたアメリカ経済のギアを逆回転させている。
リーマン・ブラザーズという巨大投資銀行(証券会社)が15日倒産したが、アメリカ政府は手をこまねいて何もすることが出来なかった。

 アメリカ経済は金融機関で成り立っていると言っていいほどその存在感が高い。たとえばフォーブス世界の大企業(2006年版)を見ると、世界の大企業10傑のうち5社がアメリカ企業で、上から順に、① シティーグループ、② GE, ③ バンク・オブ・アメリカ、④ AIG, ⑥ エクソンモービルである。
5社のうち金融機関3社であり、倒産が噂されていた保険大手のAIGは世界第4位の企業なのだ。

 ポールソン財務長官は「リーマン・ブラザーズの救済に公的資金の投入を考えたことは一度もなかった」と公言したが、手をこまねいている間にリーマン・ブラザーズが倒産してしまったと言うのが実態だ。
財務長官リーマン・ブラザーズバンク・オブ・アメリカに押し付けることが出来ず、その無能さを露呈した。

 リーマン・ブラザーズ負債総額64兆円は過去最高の負債額であり、日本に対する影響は4兆円と言われているが、本当の負債総額が世界を席巻するのはこれからだ。
通常は表面に現れた負債総額より、数倍負債総額が膨らむのが普通だから、日本も「4兆円で影響は限定的」だなどとは言っていられなくなるだろう。

 なぜ負債総額が増加するかの理由は簡単で、簿外の負債がこれからどんどん増えるからだ。
日本の長期信用銀行リップルウッドに売却された金額が、ただ同然の10億円だったことを思い出せば分かる。

 アメリカ政府がリーマン・ブラザーズを救えなかったことを見て、市場は次は世界最大の保険会社AIGが倒産すると判断した。
ここでも当初、アメリカ政府は効果的な手を打てなくて、大手金融機関にAIGの支援枠700億ドルを要請していただけだった。
国の資金を出すわけには行かないから、民間で共同して助けろ」と言っていたわけだが、民間企業としてはアメリカ政府の保証でもない限りおいそれと応ずるわけには行かない。

 結局アメリカ政府が折れて9兆円規模の公的資金の投入に踏み切ることになった。
また無能なポールソンに任せておくとAIGまで倒産してしまうから、さっさと公的資金を導入して救済しろブッシュ大統領が判断したのだろう。

 アメリカをジャンボ機にたとえれば、片側のエンジンが金融資本、もう片側のエンジンが石油資本、GE、ソフトウェア会社等その他資本が支えている構図になっている。
その金融機関のエンジンに火がついて燃えている時に、ポールソン副操縦士が、飛行場に引き返すことなくこのまま飛び続けると言っていたようなものだ。

 アメリカ政府は公的資金の導入を渋っていたが、結局日本と同様政府が支えるよりほかに手がなくなった。
大手の金融機関が倒産するときの最後の救い手は政府以外にないのが実態なのだ。

 アメリカの金融機関はこれから日本が経験した失われた10年を追体験する。
AIGを7兆円で救済しても、民間に売却する時はタダ同然になり、さらに追い銭を求められるのは長銀の例を見れば分かる。

 歴史はやはり繰り返す。
日本が失われた10年を経験して普通の国になったように、アメリカもこの金融恐慌を経験して気がついてみれば普通の国になっているのだろう。

アメリカの世紀は2008年の金融恐慌を経て、今終わろうとしている

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(27.8.17) 夏休みシリーズ NO12 アメリカ金融危機の第二段階

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  おそらく21世紀最大の事件の一つはリーマンショックだったが、その時の記事である。この事件がどの程度の広がりと深さを持つものか明確には分からなかったが、重大事件であることだけは認識していた。

(20.9.13) アメリカ金融危機の第二段階

アメリカの金融危機第二段階に入ったようだ。日本では住専の倒産第一段階であり、続いて第二段階として証券会社と金融機関山一證券、長期信用銀行、日本債券信用銀行、北海道拓殖銀行)が倒産した。

 アメリカではファニーメイ、フレディマックという政府系住宅金融会社が事実上倒産し政府の管理下に入ったのが第一段階で、続いてリーマン・ブラザーズの経営危機が発生したのが第二段階だ。

 リーマン・ブラザーズはアメリカでは名門中の名門の投資銀行であり、日本でいえば長期信用銀行に匹敵する。
(時期は前後するが20年3月には大手証券会社のベア・スターンズが倒産したが、これは山一證券の倒産に匹敵する)

 日本の失われた10年に比較して1年余りで第二段階まで来たのだから、アメリカの時価会計システムの明瞭性は褒めていいが、だからといって危機の度合いが日本より軽いわけではない。

 それどころか危機は日本の場合よりはるかに深く、かつ広がりが大きい
日本では住専処理で親銀行が債権放棄したり、公的資金が投入された金額は合計で約6兆円だった。
さらに長銀や日債銀の損失処理や、大手銀行への公的資金の投入は約50兆円だった(全体で100兆円の損失だったが、そのうち約半分が公的資金、残りは各金融機関が負担した)。

 この程度で済んだのは、所詮日本国内の問題だったからであり、融資も直接の不動産融資がほとんどで、証券化商品というようなそれ自体で自己肥大するような商品はなかったからである。

 これに比較しアメリカの金融危機は世界的規模で、かつ金融工学ディリバティブ)という博打で債権残高が膨張に膨張を続け、どこまで大きくなっているのかは誰にも分からないほどだ。

 たとえばファニーメイフレディマックの自行が発行している債券額は170兆円であり、そのほとんどを海外の投資家に販売している。
日本の金融機関では判明しているだけで15兆円の債券を購入しており、従来日本で最も固いといわれていた農林中金が5兆円三菱UFJが3兆円購入している(政府系住宅金融会社は債券を発行し、その金でアメリカの金融機関からローン債権を購入。それを証券化して世界中に販売している)


 そのほかに540兆円にのぼる住宅ローン証券保証したり保有しているのだから広がりはどこまで拡大するのかわからない。
まずい、アメリカが今まで構築してきた金融システムがつぶれる

 アメリカ政府はあわてて公的資金の投入枠を約22兆円設定した。
なんとしてもファニーメイとフレディマックを守れ

 しかし日本の例のように不動産融資の約70%が焦げ付くとすると、その金額は約380兆円(540×70%)で、これも日本の例のように半額を公的資金でカバーすれば190兆円規模の資金が必要になる。22兆円では焼け石に水だ。

 アメリカは金融工学と称して訳の分からない数式を使用して証券化商品を売りまくっていたが、ふたを開けてみれば屑ばかりなことが判明した。
金融工学ディリバティブ)とはアメリカを舞台とした巨大な賭場での博打で、負ければ裸になるのは今も昔も変わらない。
なんだい、ディリバティブは屑を集めて、外側だけ体裁を整えた欠陥商品の販売じゃないか」ようやく世界が目覚めた。

 そして今金融機関が倒産し始め、危機の第二段階が始まった
ファニーメイフレディマックが住宅ローン証券の半額を持っているが、残りは金融機関や証券会社や投資家が持っているからだ。

 シティーグループメリルリンチはなんとか投資家から資金調達できたが、経営状態が悪いと市場で評価されたリーマン・ブラザーズは誰も相手をしてくれない。
株価はたたき売られて底値が分からない。
バンク・オブ・アメリカが救済するとの噂があるが、長銀の時と同じで経営の実態を知れば手を引くだろう。

 これで金融機関の救済もアメリカ政府は視野に入れないとならない段階にきた
日本の失われた10年を笑っていたが、今アメリカではそれを何倍という規模で拡大して再現しているのだ。
金融工学ディリバティブ)はただアメリカの金融危機を拡大しただけに終わってしまいそうだ。

(20.9.16追加)リーマンブラザーズは日本時間で15日倒産した。メリルリンチはバンク・オブ・アメリカに吸収されることになった。ポールソン財務長官は「リーマン・ブラザーズに公的資金を投入することは当初から考えていなかった」とコメントを述べた。
アメリカの株価は500ドルあまり下落している。

 今後はうわさの出る金融機関はすべて倒産に追い込まれるだろう。ポールソン財務長官は「公的資金の投入はしない」といっているが、どこまで強気でいられるかは時間の問題だ

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(27.8.16) 夏休みシリーズ NO11 毒物餃子事件を隠蔽しているのは誰だ

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  毒入り餃子事件のことを覚えておられるだろうか。中国政府は絶対に中国の責任ではないと突っぱねていたあの事件である。
ところが途中で中国の責任であることに中国は気づき、そっと日本に通知してきた。しかしこの事実は読売新聞がスクープするまでは国民に知らされなかった。この隠ぺい工作は外務省が行ったと私は判断してこの一文を記載した。

(20.9.2) 毒物餃子事件を隠蔽しているのは誰だ

 とても不思議なことが起こっている。昨年末から今年の1月にかけて、千葉県と兵庫県の3家族10名が中国産餃子を食べて食中毒を起こした事件の真相を、日本側で隠蔽しようとする動きがある

 信じられないことだ

 日中両国の警察当局がそれぞれメタミドホスの混入は自国ではないと主張して対立していたが、6月中旬、洞爺湖サミットを前に中国は外交ルートを通じて「天洋食品が中国国内で回収した餃子を食べた人が、重大な健康被害におちいった」と通知してきた。

 中国国内で発生したのだから、これは日本でメタミドホスを混入したことはありえない。中国で混入したことの決定的証拠だが、なぜかこの事実が伏せられた。

 この事実が明らかになったのは読売新聞8月6日の朝刊で、「天洋食品が事件後に中国国内で回収した餃子が流通し、この餃子を食べた中国人が有機リン系殺虫剤メタミドホスによる中毒被害を起こして、重大な健康被害が出ていることが分かった」と報道したからである。
この報道は読売新聞のスクープで他紙にはこの記事はなかった

 それからの日本政府のドタバタぶりはひどかった。
福田首相が当日「わが国の捜査当局と情報交換している状況だ。どういう状況か今申しあげるわけには行かない」とコメントしたが、翌日高村外相が「情報提供者が公表しないでほしいといっている以上、公表しない。捜査のことだからということにも一定の合理性がある」とコメントした。

 さて、この高村外相の言葉は本当に真実か。「一定の合理性」とはなんとも奥歯に物が挟まったような言い方だ。
ここからはホームズワトソン君の出番だ。

ホームズ、今回の高村外相の言葉は真実だろうか。それにしても6月中旬に中国から通知があったのに8月6日に読売新聞がスクープするまで国民に知らせなかったのはなぜだろう

この鍵は読売新聞の記事がスクープだったことに隠されている。誰か内部のものがそっと記者に語ったのだ。
このまま隠しておくのはまずいと思った人がいたわけだが、その人が誰かと言うことだ


高村外相周辺の政府関係者じゃないのかい

いや、これは政治家ではない。この種の情報は外交ルート、すなわち外務省経由で通知される。知っていたのは外務省の中国ロビーと言われる人たちだ。だからそれをそっと知らせたのは外務省関係者だ

なぜ、そんなことをするのだろう。高村外相はどうして隠そうとしていたのだろうか

いや、高村外相は読売新聞がスクープするまで、事実を知らなかったと思われる。外務省の中国ロビーが情報を隠匿していた可能性が一番高い。

高村氏は政治家だから、日中間で政治問題化した案件で中国よりの立場をとれば国民がどう反応するか読める。
お前は中国の手先か』と思われることが一番怖い。そうなると選挙で勝てない。

一方外務省の中国ロビーは選挙はないので国民のことは考えない。自分の栄達だけを考える。将来中国大使になりたければ、中国のご機嫌を損ねたくない。中国から『公表しないでくれ』と頼まれれば恩を売りたくなるだろう

福田首相も高村外相も読売新聞のスクープで事実を知ったと言うわけか。それであんなにドタバタしていたんだな。すると高村外相の会見はどう判断すればいいのだろうか

政治家として知らなかったと言えば、それこそ『何をやっていたんだ』と言われてしまう。泣く泣くあのような会見になったはずだ。本心は『中国ロビーのやろう』という気持ちだろう

8月31日の毎日新聞の記事に『中国の捜査当局が従来の方針を転換し、中国国内での毒物混入の可能性を含めた捜査を進めており、これは胡錦濤国家主席の指示だ』と載っていたが、これは事実だろうか

こっちは中国国内の官僚機構の問題で、中国の警察当局は『メタミドホスは中国で混入されたことはない』と大見得を切った手前、捜査を適当にサボタージュしているからだ

そうなると、日本も中国も官僚機構が情報隠匿したりサボタージュしたりしているので、政治家が翻弄されていると言う構図なんだな。なんともひどい状態だね

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(27.8.15) 夏休みシリーズ NO10 貧窮問答歌

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 夏休みに入ります。この間は過去のブログ記事の再掲になります。

  このころ日本は物価の高騰に悩まされていた。リーマンショックの直前ですべての物価が上昇しそれも半端な上昇率でなかった時期である。
我が家の家庭も崩壊寸前になって多くの有徳の人から食べ物を恵んでいただいて、なんとか生活をしていた。

(20.8.26) 貧窮問答歌

万葉の歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)の「貧窮問答歌」に次のような一節がある。

直土(ひたつち)に 藁(わら)解き敷きて 父母は 枕の方に 妻子どもは 足の方に 囲み居て 憂え吟(さまよ)ひ 竃(かまど)には 火気(ほけ)ふき立てず 甑(こしき)には 蜘蛛の巣懸(か)きて 飯炊(かし)く 事も忘れて・・・・・


地べたにじかに藁を解き敷いて、父母は枕の方に、妻子は足の方に、自分を囲むようにして、悲しんだりうめいたりしており、かまどには火の気もなく、甑には蜘蛛の巣がはって、飯を炊くことも忘れたふうで・・・


 この「貧窮問答歌」を読んで「当時の人は大変だったんだな」なんて同情していたら人ごとでなくなってきた。
最近の物価上昇ははなはだしく、今まで105円で買っていたアイスクリームが126円になり、大好きなぶどうパンも200円前後になってしまった。
もう、アイスクリームもぶどうパンも食べられない

 こうなると我が家は年金生活だから、物価の上昇に対応するすべは緊縮財政以外に手はない。

 仕方なしにジャスコの時間割引お客様感謝デーの割引を狙って購買をしていたが、それでも追いつかずついに餓死線上に突入した。
米びつは空っぽになり、妻は空腹のために動くこともできないでいる。

 たまたまテレビを見ていると下北半島のニホンザルが厳しい冬をこすために木の皮を食べている場面があった。
猿でも木の皮で飢えがしのげるなら、人間でもしのげるだろう

 猿をまねて我が家のサクランボの木の皮をなめして食べていたら、これを見た知り合いの有徳の女性が山形のサクランボを持ってきてくれた。
お坊様が毎日元気に清掃活動をされているので、よもやこのような状況になっているとは知りませんでした。ぜひぜひ、サクランボの木の皮でなく、木の実を食べていただきとうございます

 この有徳の女性のサクランボおかげで妻は元気を取り戻し、危機を脱出することができた。

 しかし私は相変わらず木の皮をなめして生きながらえていたのだが、今度はK姉さんがこれを見かねた。
ロドリゴ様、神の僕(しもべ)とはいえ余りにおかわいそうなお姿。
幸い我が家にはスイカとマクワウリが誰食べることなく、置いてあります。どうか遠慮なくこれを食べてください
」持参してくれた。
以来スイカマクワウリでここ数日生き続けることができている。

 もっともスイカマクワウリだけでは身体が保てないらしく、あばら骨がハープの琴線のように出てきてしまった。
先日この琴線を使用して、バッハの名曲「飢餓線上のアリア」を奏でていたら、そのメロディーが余りに悲しかったのだろうか、Y姉さんが蕎麦とうどんを持ってきてくれた。
ロドリゴ様、ロドリゴ様が琴になってしまうのは余りに悲しゅうございます。蕎麦とうどんで炭水化物を補給してくださいまし

 ありがたくいただいたが、しかし我が家には餓死寸前の妻がいるので、この蕎麦とうどんは妻に食べさせた。
私は小谷小学校のつつじの芽をつまんで食べていたら、そばに住んでいるFおばあちゃんが見かねて塩せんべいを持ってきてくれた。
山崎しゃん、いくらなんでもつつじより塩せんべいのほうを食べなさいよ

 こうして、おゆみ野に住む優しい心の人々のおかげで、我が家はつらく厳しい夏を乗り切ることができた。

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(27.8.14) 夏休みシリーズ NO9 野口みずき選手の欠場はコーチの責任だ

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 夏休みに入ります。この間は過去のブログ記事の再掲になります。

  私が最も好きなマラソン選手に野口みずき選手がいる。アテネオリンピックで金メダルを獲得し、続く北京オリンピックでも金メダルの有力候補だったが、足の故障で出場を断念した。
私はコーチのコントロールの甘さに愕然とし、この一文を記載した。

(20.8.16) 野口みずき選手の欠場はコーチの責任だ     

 愕然としてしまった。野口みずき選手が女子マラソンに欠場すると言う。
左大腿部の裏側にあるハムストリングと言われる筋肉の肉離れによるものだそうだ。
何てことだ。金メダル確実と言われた野口が欠場か」歯軋りしてしまった。

 野口選手は私が最も好きな選手の一人だ。150cm40kgの小柄の身体でストライドを身長と同じ150cmにして走る姿は、アフリカの草原を疾走するカモシカのようだった。

 しかしこのストライド走法は今回肉離れを起こしたハムストリングを酷使する。
走った距離は裏切らない」と信じて毎日40kmの距離を走っていたと言う。月間では1200kmで、男子のマラソン選手でもここまでは追い込まない。

 いわゆる金属疲労と同じで、ハムストリングを酷使しすぎて肉離れが起こってしまった。
野口選手の談話があるが、なんとも物悲しい。

・・・大腿後部に痛みを感じ、その後練習を中断することになりました。・・・1週間経ても痛みが和らがず、8月4日に帰国して今日まで検査と治療を続けてまいりました。

・・・(しかし)未だ走り出すと時間的経過と共に痛みを感知し、次の段階のトレーニングに入ることが出来ません。
・・・今も走りたい、走ろうという思いは消えることはありません。
しかし現状を認識すれば、出場を断念せざるをえません。・・・


 こうした事態について、野口選手を指導してきた広瀬永和コーチがコメントを述べている。
オーバーワークはないし、練習はそんなにきつくない。原因が何なのかははっきり分からない

 この言葉を聞いて、これがコーチの言う言葉だろうかと耳を疑った。そして私は野口選手に心から同情した。
コーチが悪すぎる

 コーチにとって重要な仕事が二つある。一つは言うまでもなく選手の走る能力を最大限に引き出せるように導くことだが、もう一つの大事な仕事は「目標とする大会で最大のパフォーマンスが発揮するように、コンディション作りをする」ことだ。

 そのためにはレース直前では練習をすることではなく、練習をしないことが重要になる
選手はそれまでの練習の結果信じられないような走力が身についておりさらに練習を強化したがるが、絶対にコーチはそれを許してはいけない

 大会前にピークが来てしまい、大会当日は疲労で失速してしまうからだ。
過去の事例では瀬古利彦がこの失敗をしている。瀬古はロスアンゼルス、ソウルといずれも優勝候補だったが、直前までの過剰な練習の結果本番ではいづれも惨敗している。

 瀬古はそれでもオリンピックに出場できたが、野口の場合は肉離れで出場すら出来なくなってしまった。
おそらく広瀬コーチ野口の希望のままに練習メニューを組んでいたに違いない。
野口の身体の異変に全く気がつかないとは、コーチとしての能力を疑う。

 すでに野口2006年ベルリンマラソンを左足首の故障で断念した経緯があるではないか。30歳を向かえ、カモシカのような走りには相応の負担があることは誰が見ても明らかだ。

 私が広瀬コーチが無能だと思うのは、一方で北島康介選手の事例があるからだ。
北島選手もアテネオリンピックの後失速し、05年の世界選手権の代表にさえもれている。
この不調の時期を支え、北京オリンピックに標準をあわせて最高の能力を発揮できるように導いたのは、北島を14歳の時から教えてきた平井伯昌コーチの手腕である。

 コーチとは平井伯昌氏のような人を言う。

肉離れの原因が何か分からない」のではない。広瀬コーチの無能さが原因なのは明らかだ。悲しくて涙が出てしまいそうだ。


「今日の先生の評論は広瀬コーチに少し厳しすぎやしませんか。ほかのメディアのどれを見ても広瀬コーチの責任だなんて書いていませんよ

それだから問題なのだ。このままでは野口選手がかってに練習をしてかってに怪我をしたことになる。
しかし、怪我をしないように指導するのがコーチの役割なのだ。
広瀬コーチはそのことを認識していない

確かに『原因が何か分からない』はコーチの言う言葉ではないですね。サッカーだったらすぐさま監督解任でしょう

責任逃れで『原因が何か分からない』と言ったのなら、とんでもない人間だし、本当に分からないのであればコーチとして無能と言うことだ。いづれにしても今回のことについてはコーチの責任は逃れることは出来ない

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(27.8.13) 夏休みシリーズ NO8 殺人狂時代

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 夏休みに入ります。この間は過去のブログ記事の再掲になります。

  私が常に不満に思っていることは殺人者に対するマスコミの甘さである。
マスコミは事件が起こると加害者を懸命に擁護するが被害者の人権はほとんど無視される。特に朝日新聞にはこの傾向が強く、朝日はほとんど殺人者の味方だ。

(20.7.25) 殺人狂時代

殺人狂時代は1947年制作のチャーリー・チャップリンの映画だが、昨今の日本の現状はまさにこの殺人狂時代のようだ。
次から次と無差別殺人や、理由の分からない父親殺しが発生して日本はどうかしたのではないかと思ってしまう。

 3月に茨城県土浦で8人の殺傷事件がおき、岡山では18歳の少年が電車待ちの男性を突き落とし、6月には東京秋葉原でラガーナイフを持った犯人に17人が死傷される事件が起こっている。

 そしてこの22日の夜半、京王八王子のショッピングセンターで無差別殺人事件が再び起こってしまった。
殺された斉木愛さんは中央大学の4年生で、これから本当の人生を知る矢先だったのだから、気の毒で言葉にもならない。
斉木愛さんは死ぬまで「なぜ自分がこんなことになるのか」まったく分からなかっただろう。

 犯人の菅野昭一容疑者は「仕事がうまくいかず両親に相談したが乗ってくれず、無差別に人を殺したいと思って包丁を買った。むしゃくしゃしてやった。誰でもよかった。両親を困らせるためにやった」と供述したが、これが果たして理由になっているのだろうかと考え込んでしまった。

 仕事がうまくいかないのは日常茶飯事だし、33歳の大人なんだから両親が相談に乗らなかったとしても当たり前だ。むしゃくしゃするのは良くあることだが、なぜそれが「誰でもいいから人を殺す」ことになるのだろうか。
原因と結果に余りに乖離があって理解不能だ

 19日に発生した埼玉県川口市の15歳の少女による父親殺害事件もそうだ。
少女の供述によると「勉強しろと言われることがわずらわしかったこと。またお父さんが家族を殺す夢を見て、午前3時ごろ目がさめ、殺意を思いついた」と言う。

 親が子供に対し勉強しろと言うのは普通だし、夢では奇想天外なことが起こるが、だからといってそれが実際と同じだとは通常は思わない。少なくとも中学3年生程度になれば夢と現実の相違は分かっているのが普通だ。

 おそらく殺された父親は自分が死んだことすら分からなかっただろう。
この事件も全く理解不能だ。

 こうした事件が発生するたびに世の識者と言われる人が
全て社会のせいにするのはフェアじゃないが、社会の中に原因がないのか点検しないと、無差別殺人の連鎖は断ち切れない落合恵子氏)」とか
むしゃくしゃして人を殺すのは絶対にあってならないが、20~30代のまだ元気で働ける人たちが、格差社会であえいでいるのは、本当は考え直さなくてはならない京都造形芸術大学 寺脇研教授)」
とかコメントをしているが、本当にそうだろうかと思ってしまう

 20~30代の若者の多くが派遣社員という格差社会であえいでいることは事実だが、それなら派遣社員全員が殺人事件を起こすとでも言うのだろうか。

 こうした社会制度に原因を求める議論は日本ではおなじみの議論だが、格差社会や受験勉強の厳しさと殺人を結びつけるのは間違っている。少なくとも無差別殺人事件の主要な要因ではない

 無差別殺人事件が発生する本当の原因は、殺人に対する社会認識の甘さだ。

 なにしろ日本では裁判で死刑が確定した人間に対し、法相が死刑執行に同意するだけで、朝日新聞から「死神」と言われる社会だ。
多くの被告人は何人もの人間をほとんど理不尽な理由で殺害したから死刑になっているのに、そうした死刑囚を死刑にすることも躊躇する社会なのだ。

 日本では殺人者の人権を最大限守ろうとする人はいくらでもいるが、殺された人の人権を守ろうとする人は少数派だ。死んだ人は生き返らないのだからどうでもいいということなのだろうか。
そして殺人を犯す理由を社会制度の欠陥に求め、「それゆえ殺人者は無罪だ」と叫ぶのが正義だと思っている。

 これでは「無差別に何人人を殺そうとも、そして死刑判決になろうとも、有力新聞をはじめ世の識者が殺人者を守ってくれる」から「誰でもいいから人を殺そう」となるのは当たり前ではないか。

 殺人者の人権を擁護するなら、それと同程度に殺された人間の人権も擁護しなければ片手落ちだ。しかし実際の裁判では殺されたものは何も抗弁できないから、殺人者は言いたい放題だし、そしてそうした殺人者を擁護する人はごまんといる。

 だからこの殺人にも社会的理由があるとする甘い対応が、こうした連続無差別殺人事件を引き起こしているのだ。
本当に、朝日新聞を始めとする殺人擁護派の識者は反省してほしいものだ。

 原因を社会制度に求めるのではなく「目には目を、歯には歯を」と言うハンムラビ法典の単純明快な原則を適応することが、無差別殺人をなくす唯一の方法だと私は思っている。

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