(27.4.16) イオン大改装の目的は何か? 売れ筋だけを残す戦略は成功するか?
私が食料品の買い物をするのはイオン鎌取店がほとんどだが昨年の年末からずうっと店内の改装が続いている。四季の道の途中にこの鎌取店があるので、疲れると立ち寄って栗まんじゅうと500mlのミルク紅茶を購入するのだが、ここ数か月売り場が毎回のように変わってどこにおいてあるのか分からず往生した。
イオン本体は改装中も営業を続けているので、改装場所を玉突きのように移すので売り場をそのたびに移設している。
「一体イオンはなぜこのような改装をするのだろうか」とても不思議だった。
改装済みの場所を見てみると入口のエントランスがタイル張りから木質に変わったり、またトイレも木質になってとても柔らかな雰囲気になっているが、その他の場所は前とさして変わりがない。大々的な改装と銘打っているがなにか古くなった部分をメンテナンスをしただけのようにも見える。
イオンのようなGMS(総合スーパー)が低迷して久しい。平成10年を境に若干の上下はあったが毎年のように売り上げが減少してきたし、特に昨年4月の消費税増税(8%)以降毎月のように売上高が激しく落ち込んでいる。
イオン連結の15年2期の最終損益は420億円の黒字だが、GMS部門は赤字だ。
イオンの主要事業といえばこのGMSなのだからその基幹産業が赤字では確かに問題だろう。
GMSが低迷する原因は構造的なもので、かつてGMSは家電や家具やスポーツ用品や紳士服を大々的に扱っていたがこうした部門は専門店の攻勢が激しく販売競争に負けて毎年のように規模を縮小してきた。
かつてあって高級家具などはどこにもないし、家電は液晶テレビとDVD以外は見当たらなくなった。スポーツ用品は衣料品売り場の片隅に追いやられているし、衣料品もユニクロに比べると見劣りがする。紳士服の売り場からは高級品が消えてかつてあったダーバンのようなブランド品はおいていない。
現在競争力を残しているのは食料品売り場だけというのが実態だ。
だからイオンが15年度に国内スーパーの立て直しのために1600億円の投資をして店内改装をすると発表したのには驚いた。
「店内を改装するだけで果たして競争力は回復するのだろうか・・・・・・・・・」
イオンの説明ではこの改装を機会にシニア向けやファミリー向けの売り場を拡大し、専門店は惣菜やスイートや美容等の売れ筋部門に入れ替えをするのだそうだ。
イオン鎌取店を見ているとかつて専門店があった場所にイオン本体の食料品売り場ができていて、何か専門店を追い出しているように見える。
改装そのものは本来の目的ではなく、改装を理由に売れ筋から外れた専門店を追い出し、総入れ替えをしている。
来年度の売り上げ目標を増収増益にイオンはおいているが、黙っていれば減収減益になりそうなのでこうした抜本的な改革が必要なのだろう。
GMSは従来方式に甘んじていてはデパートと同様に長期低落になるので、新規まき直しをして売れ筋部門に特化するというのがこの大改装の目的のようだが、このイオンの決断がどう出るかはしばらく見てみないとわからない。
注)総合スーパーの問題点については前にも記載している。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-1780.html
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