(27.10.16) VWの悪口を言っていたら、日本も同罪かい!! 東洋ゴムと三井不動産グループ
ドイツのVW社が違法ソフトでアメリカの検査をすり抜け、全世界で約1100万車の違法排気ガス車を販売していたのがばれて、「ドイツも地に落ちたものだ」と思ったが、日本でも同じような事件が発生してあまり人のことを言えなくなった。
東洋ゴムは、免震ゴムと防振ゴムが基準を下回っている性能なのに、内部検査ではデータを改ざんしたり、他のデータを持ってきて基準をクリアしたとして出荷していた。
また三井不動産グループが販売したマンションでは基礎工事の地盤調査をせず、虚偽データに基づいて工事をしマンションが傾き始めていた。
「うんーん、日本ではこうした検査の偽装や手抜き工事はないと思っていたが、VWと同じか・・・・・・・」ため息が出てきそうだ。
東洋ゴムの場合はこの3月に免震ゴムの検査が偽装だったことがばれたのだが、さらに10月にはいって防振ゴムについても同様だということが分かった。
免震ゴムは地震対策のため、そして防振ゴムは新幹線の車両の揺れ防止等に使用する特殊なゴムである。
検査の偽装がばれてしまったのは内部告発者の告発による。
「検査などしてないのにしていることにして出荷しています!!!」
新聞報道などを見ると検査未了商品の出荷をしたのは、販売部門の出荷要請が強く製造と検査部門が時間がないため手抜きをして出荷したのだということになっている。
東洋ゴムは合理化で検査セクションの人員を削減していたから、ここに作業ネックが生じデータの改ざんが始まった可能性はたかい。
どこの企業でも販売セクションの意見が強く、検査部門ははっきり言えばなくすか最低限の人員でごまかしたい部署だから、経営としては人員削減をしたかったのだろう。
それと私の経験からも知っているのだがこの免震ゴムが本当に有効に機能するかどうかは大規模な地震が発生しないと分からないのだ(私が勤務していた銀行のシステム棟は当然免震構造だった)。
しかしそうした地震は数十年に1回とか、100年に一回程度しか来ないから検証のしようがない。
だから出荷する方も「どうせわかりはしないのだから適当にやっておいても大丈夫だ。第一本当に地震が発生したときには、俺はすでに会社を退職しているだろう」という雰囲気になってしまう。
だがこうした悪行はどうしてもばれてしまう。検査要員は20名程度はいるのだから昇進や待遇に不満を持つ職員は当然いるし、そうした職員からのタレこみが必ず発生する。
従来はたいていの場合社内で握りつぶしてきたが、昨今はコンプライアンスの意識が強くなり、コンプライアンス違反は会社の運命さえも変えてしまう。
ましてマスコミなどに知られたら握りつぶすわけにいかなくなる。
社長が頭を深々と垂れて陳謝して経営者は総退陣するというのがパターンだ。
注)10月に分かった防振ゴムの検査の偽装については、当社がコンプライアンスの研修をして「絶対に嘘はいかん」と従業員教育をしたので、従業員の一人が実態を内部告発したもの。東洋ゴムとしては研修そのものは対外的ジェスチャーだったが、思わぬところで更なる偽装がばれてしまった。
東洋ゴムは売上高4000億程度の中堅のタイヤメーカーで、免震ゴムと防振ゴムの売り上げはせいぜい1%でとても東洋ゴムの本業とは言えない。
いわば片手間の仕事なので、さらに検査を真面目に行おうという積極性がなかったのだろう。
「どうせ傍流の仕事だから適当なところで手を抜いておこう・・・・・・・・・・」
しかしばれてしまったらその後の対応はきつい。免震ゴムをすべて交換するのに140億円の特別損失を計上していたが、本当はどのくらい費用がかかるのか分からないのだ。
通常の利益も数百億円程度だから15年6月の中間決算ですでに赤字に陥っており、通期を通しても赤字は免れない。
現在は検査のごまかしがばれると致命的な損失を計上することになる。だから経営者は検査要員も配備できないような事業はさっさと撤退するのが最善の戦略になる。東洋ゴムは1%程度のウェイトの事業で会社存亡の危機に立たされているのだから、他のメーカーも他山の石とこの教訓を受け取った方がいい。
最近のコメント