(25.12.3) NHK 福島第一原発 汚染水特集 途方もない困難な作業
(市原市 光徳寺の石仏)
これは大変なことなんだなと改めて認識してしまった。福島第一原発の汚染水処理の実態についてである。
この9月に安倍総理は東京にオリンピックを招致するためのスピーチで「汚染水は完全にブロックされている」とスピーチしたが、実際は港湾内には流れ出ているが外海には流れ出てないというのが正確な内容だ。
注)港湾内のセシウムの値が下がらない。
現在でも汚染水が海側に近いトレンチ(配管等の設備が入っている通路)から流れ出ており、個別に流出場所を特定することが不可能なため、東京電力はトレンチを囲むように水ガラスでブロックする工事を行っていた。
水ガラスとは地下に注入すると固まって防護壁になるのだが、実施してみると海側だけの防護壁だけではだめで、現在はトレンチ全体を囲むようにする工事をしている。
注)汚染水問題は前にクローズアップ現代でも採りあげていた。その時の記事は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-5127.html
汚染水の流出箇所がトレンチだけならこれで何とかなるのだが、どうやら原子炉建屋からも汚染水が漏れている可能性があるらしい。
原子炉建屋は1号機から4号機まであるので、ここからの流出を防ぐためには原子炉を取り囲むように今度は凍土壁で取り囲むのだそうだ。
全長1.4kmにおよぶ凍土壁の壁をこれから320億円の国費をかけて建設する。
マンモスを閉じ込めた凍土でメルトダウンした原子炉建屋を取り囲むという壮大な計画だ。
注)当初東電は建屋内部の水位を外側の地面の水位より低く保つことによって建屋からの汚染水漏れをブロックしたと公表していたが、実際は外側の水位は場所と時間で上下しており、ブロックに失敗している模様。
もっともこうしてブロックをしても、原子炉に核燃料が残っている限りそれを冷却する水が一日370トン必要で、この汚染水をくみ上げてタンクに保管(一日400トン)しなければならない。
現在汚染水をためたタンクが1000基も建設されているが、問題は今後ともこのタンクを建設し続けなければならないことと、さらにこのタンクから汚染水が漏れ出す危険性が高いことである(再び大地震に襲われるとこのタンク群が崩壊して大量の汚染水が海に流れ出てしまう)。
だから根本的な解決策は原子炉格納容器からの汚染水の水漏れをなくして、汚染水を格納容器内に閉じ込めておくことだが、そのためにはどこから水漏れが発生しているかの確認が必要になる。
今回初めて舟形ロボットによる汚染水漏えい個所の調査が行われて、それをNHKで放送したが、1号機のチェックでは2か所で汚染水に水漏れが発生していた。
注)この舟形ロボットは東大と日立が共同で開発していた。放射線の影響で無線が使用できないので特殊なケーブルを使用してロボットをコントロールしていた。
問題は今回発見された箇所がすべての水漏れ個所という訳でなく、水中の調査や舟形ロボットでは見えない箇所の調査がさらに必要で、しかもそれを4つある格納容器すべてで行わなければならない。
何か気の遠くなるような作業だが、そうして水漏れ個所を見つけては一つ一つ塞ぐ以外に、この汚染水を完全に封じ込める手段はないのだという。
東京電力で汚染水問題の指揮を執っている相澤副社長は「やり抜くより方法はない」と言っていたが、作業員問題一つをとっても現在1000人体制(一日)で働いているが、被ばく線量が限度を超えると作業ができなくなり、新たな作業員確保をしなければならない等問題が山隅している。
注)東電のスタッフは60名程度で、それ以外に1000名の作業員が必要なようだ。
汚染水を閉じ込めることは安倍総理の国際公約だから、何としても成し遂げてもらいたいものだが、その一つ一つの行程は途方もなく困難が横たわっているようだ。
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