(26.11.28) 最高裁の違憲立法審査権は絵にかいた餅 選挙区の違憲状態は続く!!
私は今中学生に勉強を教えているのだが、その中で教えるのが最も難しいのは社会だ。特に歴史と公民が難しい。歴史については常に日教組の唯物史観のにおいがするのと、公民に関しては憲法の条文と実際の乖離がはなはだしいからだ。
このたび最高裁で「13年に行われた参議院選挙が違憲状態であるが、選挙そのものは有効」との判断が下された。
この違憲状態の判決はこれで衆議院で2回、参議院で2回の計4回だされている。
憲法では違憲立法審査権は裁判所にあることになっており、形式的には最高裁がその都度判断を下しているが、本当の意味での審査を行ったことは一度もない。
常に「違憲状態ではあるが国会には幅広い裁量権があるので、選挙そのものは有効」との判決になっており、はっきり言えば「違憲の判断なんかしない」と言っているに等しい。
裁判所が違憲立法審査権を発動しないから国会(そして内閣)はいい様に選挙区割りを行っており、13年度の参議院選挙のように一票の格差が5倍になっても知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいる。
だがそれも当然で国会議員にとっては虎の子の選挙区を変えられてしまっては今まで培ってきた地盤がなくなり、「選挙で負ければただの人」になってしまう。
木から落ちたサルにはなりたくないから選挙制度改革には徹底的に反対し、表面きって反対できなければサボタージュを行う。
今回の判決に対し参議院議長は「重く受け止める」とのコメントをしたが、これもジェスチャーで、一応最高裁に敬意を表したのであとはこっちのものだと言っているのだ。
現在の選挙区割り、特に参議院選挙区は都道府県単位にできており、この都道府県は明治初年の人口分布を基礎に区割りされたものだから、その後の人口動態に全くあっていない。
島根県や鳥取県は人口が100万以下だがこれは私の住んでいる千葉市と変わらない規模だ。
さらに最近になって日本全体の人口が減少し始めそれも過疎地域から減少しているため都市部と農村部の人口格差が開き始めた。
田舎は人がおらずいるのは議員だけという状況になってきて、最高裁はこうした状況に警鐘を鳴らすものの、相も変わらず違憲状態の判決では是正など行われるはずがない。
私は中学生に裁判所には違憲立法審査権があると教えているが、何ともむなしい気分に襲われ、かえって公民など中学生に教えないほうがいいのではないかと思ってしまう。
「あんたら、憲法は単なる飾り物で特に最高裁の違憲立法審査権はイチジクの葉に過ぎないよ」そう言いきりたい誘惑にいつも駆られる。
日本では最高法規は実態に合わせて変更することをしないから、解釈憲法になりその解釈も自由勝手だから誰も憲法のことを考えなくなっている。
最高裁もその実態を知っているので本気で憲法を守ろうという気概がない。その結果一票の格差は拡大し「法の下の平等」などは吹っ飛んでしまったのが実態なのだ。
このことを中学生に教えるべきだろうか、私の悩みは尽きない。
注)なお下級審では違憲の判決が出ているが、最高裁が違憲の判決を出したことはない。下級審の判決については以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat57250957/index.html
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