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(29.2.11) 戒厳令の夜 「憲法より大統領令を優先する」トランプ氏吠える

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 大統領権限と憲法はどちらが上位なのかアメリカで争われている

トランプ氏が1月27日に署名した大統領令の「中東とアフリカの7か国の国民の入国禁止措置」について、ワシントンの地方裁判所が憲法違反の仮処分の決定をしたからだ。
大統領命令は停止され7か国の国民の入国が認められたが、その仮処分について大統領側が控訴し高等裁判所で争われていた。
その判決が出されたがトランプ氏の完敗で「取り返しがつかなくなるので大統領令を出したという証明が不十分で、ワシントン地裁の仮処分は正当だ」というものだった。

 トランプ氏はツイッターで吠えまくり「大統領と判事とどっちが偉いと思ってるんだ」と判事をこき下ろしたが、これはかつて田中真紀子外相が「外相と次官とどっちが偉いかわからないの」とわめいていたのと瓜二つだ。
トランプ氏の大統領令はアメリカ憲法を前提にする限り、「宗教による差別」だから憲法違反であることは明確で、トランプ氏が新たに最高裁判事に任命しようとしているゴーサッチ氏でさえ「やる気をなくすほどひどい大統領令だ」とこき下ろしている。

 現在トランプ氏が行っていることは完全に憲法を無視しており、これは実質的に戒厳令を敷いたのと変わりがない。
戒厳令とは憲法を停止して令状なしで反政府的人物を逮捕拘留する権限を政府に与えるものだが、中東とアフリカのイスラム教徒を有無を言わせずにアメリカ国内に入国させないのはこの戒厳令とさして変わりがない。

 現在アメリカ国内で蜂の巣を突っついたような騒ぎになっているのは、憲法擁護派と戒厳令派の戦いが行われているからで「一般的で漠然とした危険があれば大統領は何でも許されるか」という論争になっている。
論争になればなぜテロの危険性が中東・アフリカの7か国なのかの証明をしなければならず、とてもそのようなことは不可能だから裁判で争っても大統領側に勝ち目はない。
後は実力で裁判所を黙らせるだけで、ツイッターで脅し、強権を発動する以外に手はないのだが、今の状況下で強権を発動すればすべて憲法違反になる。
くそったれの法律や判事を地獄に送ってやる」トランプ氏は歯ぎしりしているが、意図的にCIAを使用してテロを演出するならともかく、そうしたテロが発生しない限り大統領の説得は成功しないだろう。

 トランプ氏のやり方は憲法と法律を無視して強権発動をすることだが、これはアメリカが20世紀の期間中世界を説得してきた民主主義や言論の自由や宗教による差別撤廃といった主張と異なる。
危険を避けるためには民主主義など無視して、イスラム教徒を追い出せ
従来のアメリカの憲法に反し屋台骨を揺るがす発言だ。

 さらに言えば民主主義も自由も宗教による差別の撤廃もフランス革命以降の資本主義文明が育ててきた思想で、19世紀中はイギリス、20世紀にはアメリカが主導して世界に広めてきた。
アメリカ経済の凋落によってアメリカが降りてしまった今、健全な資本主義はドイツと日本にしか残っていない。
ドイツのメルケル首相が難民に寛容なのも、安倍首相がなおTPPといった自由貿易推進に熱心なのもこの資本主義文明を支える最後のアンカーだからだ。

 果たしてこの資本主義文明はまだ生き続けることができるだろうか。自由貿易と保護主義のはざまで揺れ動く中で日米首脳会談が開催されているが、「憲法などくそくらえと」吠えているトランプ氏と、「民主主義、自由、公正」擁護派の安倍氏がつばぜり合いを演じている。

 

 

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(29.1.31) パッションの時代 「すべては俺の情念で決まる」トランプ氏の偉大なる託宣

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 「真実とはパッションによって決まる」と説いたのはスコラ哲学者のトマス・アキナスだが、この中世の哲学がアメリカの偉大な予言者トランプ氏によってよみがえりつつある。
トランプ氏は最近アメリカを率いる予言者としてコンクラベで勝利したのだが、その就任式の信者数について「前任者のオバマ大主教より集まった信者が多かった」とツイタテに記載した。ところがこれが実際とはひどく違うと、ABC瓦版に書かれていたので激怒した。

 頭にきたトランプ氏白き家の宮殿で「パッションじゃ、わがパッションによれば絶対に信者数はオバマなどには負けない」と自身の就任式の合成写真を白き家に飾って大声で吠えていた。
トランプ氏はすべての真実はパッションで決まるという偉大なる哲学の使徒で、さっそくジパングの人力車はアメリカの人力車と公正な競争をしていないと吠えたのだが、これは先日実施された関税競争で実際はアメリカの関税がたかったためだ。
ジパングの関税が無税だというのは真実とは違う。わがパッションによればすべてジパングが高い
トランプ氏によるとパッションと叫べばすべてが真実になるのだそうだ。

 先日来問題になっているのはメキシカン・ロックで、メキシコからアメリカに向かって曲が流れているのだがこの橋幸夫が歌うこの曲は不公平なので、拡声器をメキシコ側に向け、3200kmにわたってボリュームいっぱいで歌わさせるという。
もちろん出演料はメキシコもちで、アメリカは一切費用は払わない」と実に自慢げに言っていた。

 さらに数日前から、イスラム教徒とISメンバーの区別がつかないので、空港で120日間水攻めにして真実を探ろうとの提案を行っている。
ケネディ空港やダラス空港ではさっそく水攻め用のプールが設置され、120日間プールから出さない措置だそうで120日間泳ぎ続けられた人はISメンバーでないとの証拠になるのだそうだ。
いくら何でも120日間は長すぎませんか」瓦版の記者が言っていたが、「いやISメンバーの最大の弱点は砂漠の民で水泳ができないから、これでISメンバーと判別できる。アメリカ国民の安全を守るためのパッションとして当然じゃ」と昂然と答えていた。さっそく3歳の幼児が溺れて死亡したがISのメンバーだったことが明白になったとCIAが発表していた。
 最近特に問題になっているのは科学について、科学技術はすべてパッションによって決まるという主張で、さっそくワクチンは自閉症を引き起こすので接種に反対だと託宣を述べたことだ。
病院ではインフルエンザワクチンの接種をすぐに取りやめたので、アメリカ中でインフルエンザが流行って20世紀初頭のスペイン風邪並みの大流行になってしまった。
あまりの大流行にワクチン接種を望む声がアメリカ中で起こったが「スペイン風邪で死ぬのと自閉症になるのとどっちが重大だと思っているんだ」トランプ氏の報道官はそう叫びながらスペイン風邪で即死してしまった。

 報道官が次々に死ぬためにトランプ氏のスタッフはみな自閉症になり家に閉じこもって出てこないため、トランプ大主教の託宣はもっぱらツイタテに記載されている。
またトランプ氏は「地球温暖化は二酸化炭素の排出が原因ではなく、牛のへが原因だ」と言い始めたため牛がへもできなくなってもがき苦しんでいる。

 こうしてトランプ大主教が就任してから一週間、世界中でパッションの嵐が吹きすさび、天動説が再び脚光を浴び、韓国の日本大使館の前やアメリカの街角にトマス・アキナスの像が次々に建設されるため、困り切った日本政府もとうとう天動説を採用することになってしまった。
かくして21世紀はパッションによって真実が語られた中世と同じになってきた。




 

 

 

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(29.1.30) トランプ教皇の宗教戦争 アメリカからイスラム教徒を追い出せ!!!

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 モノの動きが止まれば次に止まるのは人の動きだ。保護貿易の次はアメリカが鎖国体制に一歩進んだ。27日の大統領令シリアの難民の受け入れ停止と、イスラム国7か国からの入国を120日間停止する命令が出された。
これは物事の始まりに過ぎない。今はとりあえずの措置だが、日本の鎖国体制もキリスト教の布教が少しづつ制限され、最後に気が付いてみたら完全な鎖国体制になっていたように、トランプ氏のイスラム圏の人々の追い出し策は、キリスト教国によるイスラム教国の人々の完全追い出しになるだろう。

 イスラム教徒とキリスト教は十字軍の昔から敵対してきたが、産業革命に成功したキリスト教国が18世紀から20世紀を通じイスラム教国を完全に抑えてきた。
20世紀の後半になるとイスラム諸国は石油を武器に巻き返しを図ってきたが、イスラム教の復活とまでは言えなかった。独裁者が民衆の宗教的情熱を抑えていたからだ。
その抑えが完全に外れたのがアラブの春で、アラブの独裁権力者とキリスト教国のリーダとの裏取引によってイスラム原理主義を抑え込んでいたシステムが外れてしまった。
イスラム国は次々に原理主義勢力が席巻し始め、アメリカやヨーロッパといったキリスト教国と正面から敵対し始めた。
イスラム教によるレコンキスタが始まったのだ。

 シリアのアサド大統領が「我々がイスラム原理主義勢力を抑えてきたのに、私を打倒したらどうなるかわからないのか」と叫んでいたが、この訴えを真面目に聞いたのはプーチン氏だけで後のヨーロッパ諸国やアメリカは「アラブの春」と舞い上がっていた。
だが実際に独裁者を打倒してみると、残ったのはイスラム原理主義勢力で、アラブからイスラム教徒以外をすべて追い出し、逆らうと首を切ってSNSで世界中に配信している。

 アラブの独裁者は西欧諸国との協調路線をとっていたが、イスラム原理主義勢力は聖戦をはじめ、十字軍の昔に約1000年間先祖返りしている。
当初西欧諸国はこれを聖戦とはみなさずISやイラン等をテロ組織と呼んで、民主主義社会とテロ組織の戦いと認識していたが、ついに西欧に十字軍を呼びかけたローマ教皇ウルバヌス二世が現れ、聖戦を宣言した。アメリカ大統領トランプ氏のことである。

 トランプ氏は就任早々「イスラム教徒を一人残らずアメリカから追い出してやる」と次々に大統領令を発している。
トランプ氏の支持母体はプア・ホワイトだが同時に敬虔なキリスト教徒でキリスト教原理主義者といっていい。
アメリカの歴代の大統領は西欧とアラブの戦いが宗教戦争にならないように言葉も行動もきをつけてきたが、キリスト教原理主義をバックとするトランプ氏は宗教戦争に突入した。
シリア難民などイスラム教徒ではないか。なんでこうした連中を助けなくてはならないのだ。ただしキリスト教徒のシリア難民は保護する

 資本主義文明の精神はフランス革命で歌われた「自由・平等・博愛」で、資本主義文明の拡大につれて世界中でこの精神が鼓舞された。しかし21世紀になり資本主義文明の黄昏が訪れ、特にアメリカで富の偏在が起こりプア・ホワイトばかりになると、資本主義文明の精神も衰退期を迎えた。
特に博愛精神がはげ落ちいたるところで敵意が丸出しになり、トランプ氏にとって愛する対象はアメリカ人だけになっている。

 いまだに資本主義文明の自由・平等・博愛の精神を守ろうとしているのは、難民に手を差し伸べようと努力しているメルケル首相と、国連軍を支援し国連という組織をいまだに信じている安倍首相ぐらいになってしまった。
いたるところで敵意がむき出しになり、かつてのように人類みな平等でなく宗教による差別が始まり、キリスト教徒とイスラム教の宗教対立の嵐がアメリカとアラブで吹き荒れ、1000年の昔の十字軍の時代に戻りつつある。

 

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(29.1.27) 国境を高くしろ、無限に高くしろ!!  トランプ氏が吠えている

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 トランプ大統領
がかつてのベルリンの壁に倣ってメキシコ国境に壁を築くように大統領令に署名した。ベルリンの壁は出国者を阻止するためだったが、メキシコの壁は入国者を阻止するためだ。
現在3200kmに及ぶ国境の3分の1には壁や鉄条網が張られているが、後の3分の2は何も存在しない。
そのためメキシコ人はほぼ自由にアメリカに入国できアメリカで職を見つけて住み続けている。その数はおよそ1200万人と言われている。

 従来アメリカ政府はメキシコからの密入国者に対してきわめて寛大だった。もともとカリフォルニアを含む西部一体はメキシコ領だった経緯もあるが、密入国者を見つけると逮捕はするがすぐに釈放していた。
本当に刑務所に送ってしまうと刑務所がいくらあっても足らないからだ。
それにアメリカには不法入国者を低賃金で雇うシステムが出来上がっており、農業労働者のほとんどがメキシコ人でこうした不法入国者がいなければアメリカ農業のかなりの部分が成り立たなくなっている。

 アメリカがこれほど若々しい国でいられるのはメキシコの若者が密入国して最下層の労働力として働いているからで、そのために歴代の政府や地方政府は優良な労働力とみなして見て見ぬふりをしてきた。
安く働いてくれるんだからいいじゃないか
法律を侵さない限りメキシコに強制送還される危険性はなかったといえる。

 そこにトランプ氏が吠えた。
メキシコ人は麻薬密売者で、犯罪者で暴行魔だ。一人残らず国境から追い返してやる」壁を建設するにはほぼ2兆円の費用が掛かるといわれているが、その費用を全額メキシコに支払わせるという。
麻薬組織が暗躍するのを防いでやるのだから費用は当然メキシコもちだ

 かなり乱暴な議論で、当然メキシコ政府は反発して「費用は一切支払わない」と反論している。
ほうそうかい、それならNAFTAを取りやめてメキシコから入ってくる商品に国境税をかけて、その費用で壁を作るだけだ
トランプ氏としたらNAFTAといった自由貿易協定に全く未練がないから、強気一辺倒だ。
俺はアメリカの白人労働者の職場を守るために大統領になったんだ。メキシコ人のことなど知ったことではない!!!」

 アメリカが意外にも日本やEUに比較してGDPが成長している要因の一つに、海外から若者が不法に入国しそして懸命に働いている現実がある。
この移民を差し止めれば農業労働者もマクドナルドの店員も都市の清掃員もベビーシッターもいなくなるから本当は困るのはアメリカ人の方だが今は選挙戦の高揚で「アメリカン・ファースト」と叫びまわっているときだから理性が働く余地がない。

 しかし実際に壁を作り安価で元気な若者がいなくなる社会はちょうど日本の過疎地と同じような社会になるということだ。年寄りばかりで必要なのは社会保障と医療費だけの社会になるがそれを防いできたのが皮肉なことにこの違法入国者だ。
国境を閉ざし、メキシコや中東のイスラム教徒を締め出せば確かに落ち着いた静かな社会にはなるが、一方経済の成長は日本がそうであるようにあきらめる必要がある。
若者のいない社会は絶対に成長しない。

 トランプ氏のアメリカはちょうど中世の都市のように城壁を高くしてよそ者を排除したヨーロッパのようになり、落ち着いてはいるが成長とは全く無縁の年寄りばかりが増える社会になることは確実だ。

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(29.1.7) アメリカ経済の衰微と人権外交の終焉 トランプ氏のアメリカ一国主義

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  世界から人権思想が消えつつある。日本人は人権思想は不易の真理であって、未来に向かってあらゆる国にいきわたっていくと思っているがそれは誤解だ。
この人権思想が人類共通の資産だといい始めたのは戦後のアメリカで、それ以前は白人社会だけの特殊な考え方だった。
白人以外は人類とみなされていなかったから黄色いサルや黒いサルに人権があるはずがないのである。

 第二次世界大戦後この人権思想を世界に広めようと努力したアメリカは、資本主義経済の最高段階になればどこの国も人権国家になるとの信念を持っていた。
簡単に言えば豊かになれば人は人に対してやさしくなると確信していたといえる。
そしてその最後の人権外交の推進者がオバマ大統領で、オバマ大統領はシリアのアサド政権が毒ガスが使用したのを見て、空爆を決意しようとしていた。
この人権に対する犯罪者に罰を与える
その空爆をプーチン大統領によってとめられたが、あの時がアメリカの人権外交の分岐点だった。

 現在アメリカはトランプ新大統領の下でアメリカ一国主義に回帰しているが、これはアメリカの資本主義に限界が発生したため、人権を世界に広める余裕がなくなったからだ。
アメリカの労働者が貧困化している。これを救うのが俺の役目で他国のことなど知ったことではない。強いアメリカを取り戻そう
救うべき人類はアメリカ国内だけにとどめ、外国人には人権などないと主張しているのと同じだ。

 今特にメキシコ人がやり玉に挙がっており、1100万人いるメキシコからの不法滞在者は国外に追放しようとしているし、メキシコの工場はアメリカのものではないからメイド・イン・メキシコ製品にはすべて35%の高関税をかけようとしている。
ここにはメキシコとともに栄えるという思想はなく、メキシコの利益はアメリカの損失という思想しかない。

 トランプ氏の攻撃でフォードはメキシコに工場を建設するのをあきらめ次の攻撃はトヨタに移った。昨年11月に起工式を終えたトヨタのメキシコ工場は工事中だがその建設に待ったをかけ「あんたどうしてもメキシコでカローラを生産するなら35%の関税だ」とトランプ氏は叫びまわっている。
本来はNAFTAによってアメリカ、メキシコ、カナダの3国の間では自由貿易協定があり、関税は原則無税なのだが、トランプ氏にとってメキシコは外国でありしたがって保護する対象ではなく「メキシコ人のことなどどうなってもしったことではない」からだ。

 自由貿易は推進することで世界中が豊かになると考えられ、ある意味で人類みな平等という基本思想に支えられているが、トランプ氏にとって人類とはアメリカ人のことだから自由貿易などはくそくらえになる。
アメリカがこうして人権擁護から降りてしまえば、人権擁護の主体がなくなり後はジャングルのおきてしかない。
ロシアはクリミヤとウクライナを再び領有し、シリアの反政府勢力を容赦ない空爆で壊滅させた。
中東の報道機関アルジャジーラが毎日のように「アレッポで民間人の犠牲者が出ている」と報じてもプーチン大統領の耳には念仏としか聞こえない。プーチン氏のロシアは遅れた資本主義体制でありもともと人権思想もないから当然だ。

 ロシアより遅れている資本主義体制の中国は国内ではウイグル人とチベット人を理由なく捕まえては拷問にかけている。こちらもが人権などもともとないから当然の行為をしているに過ぎない。
人権思想とは高度に発展した資本主義国に特有のものであり、アメリカが人権外交から降りた現在残された人権政治家は移民に寛容なドイツのメルケル首相と、南スーダンの紛争を停止するためなお国連軍に協力しようとしている安倍首相ぐらいになってきた。

 繰り返すが人権とは特殊な歴史的現象でアメリカが第二次世界大戦で勝利し、世界のリーダに君臨していた間だけ擁護された思想だ。アメリカの経済成長が弱まり白人のブルーカラーの職場がなくなるほど貧困が広まれば、世界に人権を広げる余裕などなくなる。
くそったれのメキシコ人の生活向上のためにアメリカの労働者が犠牲になるのは許せない。人類とはアメリカ人のことでメキシコ人はアメリカ人ではない

 トヨタは当惑し、メキシコに進出した約1000社の日本企業は真っ青になっているが、NAFTAは終了しメイド・イン・メキシコの時代は終わったことを認識すべきだ。
一方でトランプ氏のアメリカ一国主義でアメリカに工場が回帰しアメリカ経済は上向くのでアメリカの株式市場ははしゃいでいる。
トランプ氏のアメリカ一国主義が成功すれば二期大統領を務めることは確実と思っていい。
さらにその後の大統領もアメリカ一国主義の成果を見てその政策を推し進めるからNAFTAをあてにするのは首を絞めることになる。

 21世紀に入りアメリカの白人ブルーカラーが貧困化し世界に資本主義とその実態である人権思想を広げることをアメリカは放棄した。
これによってアメリカは復活するが、アメリカ市場をあてに成長していたメキシコや中国や韓国といった貿易立国はその経済基盤が崩壊する。
日本もNAFTAを前提にしたメキシコ進出を見直さなければ明日はない。
資本主義文明が衰微しその中心をなした人権主義も衰微し、他国の人々に人権があると思わなくなりつつある。
かつて太平洋戦争のさなかにアメリカ太平洋艦隊司令長官は「サルを丸焦げにするのが俺の役目だ。かたっぱしからサルを殺せ」と叫んでいたが、その時代に回帰しつつある。

 

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(28.12.26) オバマ政権の8年とパックスアメリカーナの終焉

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  今思えばオバマ政権の8年はアメリカが世界の秩序形成者から降りるための8年ではなかったかと思う。
Yes we can 」はオバマ大統領の標語だったが、実際は何もできなかった8年間だった。一枚看板だったオバマケアは共和党の反対で骨抜きにされ、中東ではシリア紛争介入の不手際で完全にプーチン大統領に主導権を奪われその後の世界秩序への関与がほとんどできなくなってしまった。

 特に問題なのは2013年にアサド政権がサリン等の化学兵器を使用したとして空爆の実施を決意したが、プーチン大統領にいさめられて中止をした行為だ。
パックスアメリカーナの守護神であるオバマ大統領のこの決定は、「アメリカは完全に弱腰で戦争をする意思がない」と見透かされてしまった。
プーチン大統領が2014年以降クリミアとウクライナ東部を併合したのはこのアメリカの弱腰を見透かしたからであり、習近平氏が南シナ海を自国の海にしたのも同様の判断による。

 オバマ氏は核兵器の廃絶を唱えてノーベル平和賞を授与されたり、国内で銃撃戦が起こり多くの児童が殺害されるたびに涙を流して銃の規制を訴えるほどやさしい心を持っているが、アメリカ大統領としては不適だったといわざるを得ない。
中国や北朝鮮といったならず者だらけの世界で世界の警察官のアメリカが武装を放棄したりすればそれこそ悪党どもの思うままの世界になってしまう。

 トランプ次期大統領はロシアに負けない核兵器の強化を訴えているがそちらのほうが世界の警察官としたらまともな態度で秩序形成者が武力を放棄したりすれば世界は混とんと混乱の世界に入ってしまう。
最もトランプ氏はアメリカの利益にならないことは一切するつもりはないから、核兵器の再強化はアメリカを守るためのもので世界の警察官になるつもりは全くない。

 21世紀にはいり世界はブロック化されそれぞれのブロックで支配的地位を持った国がその地域を支配し始めた。
ヨーロッパ東部とシリア周辺はロシアが仕切っており、南シナ海を含む中国に隣接する海域はすべて中国が仕切っている。
地域覇権国家の登場だがこれは日本史でいえば応仁の乱後の戦国時代に突入したようなもので、露骨な力の行使が地域覇権の前提条件だ。

 安倍首相はトランプ新大統領とすぐさま会談し、日米軍事同盟の必要性を確認しようとしたが、トランプ氏が無料で日本を守るつもりがないことは確かだ。
すべては傭兵料次第」というのがトランプ氏の回答だったはずで、日本は今後とも増大する傭兵料を支払い続けるか、独自の自衛策を講じるかの選択を迫られるだろう。

 日本の周りには中国や北朝鮮といった悪党と、それに悪乗りする韓国といったならず者国家がひしめき合っているから、日本の安全を守るのも並大抵のことではない。
トランプ政権が日本を核の傘で守る意思を放棄する時が来れば日本は新たな核の傘を探さなければならない。それがどのようなものになるか今は未知数だが、トランプ新政権の動向次第でその時期と内容が決まるだろう。

 

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(28.11.16) 人権外交の時代の終焉 オバマ氏からトランプ氏へ

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 世界の指導者から人権擁護を標榜する指導者がまた一人いなくなろうとしている。
オバマ大統領が去りトランプ氏に代わればアメリカが人権を標榜することは全くなくなるだろう。

 トランプ氏にとっては「アメリカにとっていいことが正義」なのだから、国境を越えてアメリカに不法入国した約1000万人のメキシコ人は犯罪者で追い返す存在であり、イスラム教徒はすべてテロリストということだから入国などさせない存在になる。
あいつらはアメリカ人じゃないから保護の対象にならない」トランプ氏はそう叫ぶ。

 中国のチベットやウイグルで習近平主席が独立派を片っ端から投獄して殺害しようが、プーチン大統領が反体制派を秘密警察を使ってひそかに殺害しようが、アメリカとかかわりのないことであればどうでもいいことで、トランプ氏は間違っても人権を振りかざして政治介入などすることはない。

 今トランプ大統領を最も歓迎しているのはプーチン大統領だが冷え切った米ロ関係を修復させる絶好の機会が到来したからだ。
お互いにビジネスライクで付き合おうじゃないか。相手国の国内事情には全く介入せず間違っても人権など標榜せず仲良くやろうや」プーチン大統領のメッセージにトランプ氏が答えるのは確実だ。
俺はオバマとは違う。クリミヤやウクライナで何が起ころうとそれはそっちの問題だ。またシリアでロシアがアサド政権を助けているがシリアなど我が国は何のかかわりもない。まあ勝手にやってくれ。アメリカはシリア問題から手を引く

 世界政治の指導者は大きく分けて理想派と現実派がいるが、今までの理想派のチャンピオンはアメリカでそれに追随するのがヨーロッパと日本という構造で、一方現実派のチャンピオンは中国とロシアだった。
その理想派のチャンピオンだったアメリカが降りてしまうと残された理想派は難民保護を主張して止まないドイツのメルケル首相と、南スーダンンのPKO活動で駆けつけ警護まで行おうとしている安倍首相ぐらいになってしまう。

 だがメルケル首相の任期は来年までで次回は首相に立候補しないといわれているので最後に残された理想派の首相は安倍首相だけになってしまう可能性が高い。
日本だけが相変わらず国連のPKO活動に熱心に行いケニアなどの国連軍が撤退した後の穴埋めをしようとしているが、安倍首相としても一人で国連を支えるわけにいかない。
しかも実際の国連は韓国のパン・ギブン氏が事務総長になってから中国と韓国の手先に成り下がり、ユネスコや国連人権委員会を通じて日本非難の大合唱を行っているのでいくら人のいい日本人といえども国連というだけで協力する気持ちはなくなりつつある。

中国と韓国の手先で世界で最悪の国家は日本と言ってやまない国連に日本は分担金を支払いPKO活動を継続する理由はあるのだろうか?????」
かつては国連を至高の存在と思ってきた日本人も理想から目覚める日は近くなっている。
こうして世界中から今理想派の指導者がいなくなり、すべてが現実派に変わろうとしているが、現実派とはすべて利害関係だけで判断するということであり、イデオロギーや人権といった何か特別な理想のために行動しないということだ。

 地中海でアフリカの難民が海の藻屑と消えても、イラク北部やシリア北部でISが敬虔なイスラム教徒以外の首をいくらはねても、また北朝鮮でキム・ジョンウン氏がミサイル開発と核開発に金を使いすぎ国民を餓死させても、香港の活動家が中国当局の拷問にかけられようとも、自国と関係がなければ見て見ぬふりをして黙殺するという時代に入ろうとしている。

 20世紀の後半は人権外交の時代で特にカーター大統領のころからその傾向は明確になっていたが、いまトランプ大統領になって人権外交の時代が完全に終わろうとしている。
人権とはわが国民の人権であり他国の人権とは違う。人権にも国それぞれの違いがあり人類共通の基準ではない
第二次世界大戦以前の人権は白人社会だけに付与されたもので東洋人と黒人はそれぞれ黄色いサルと黒いサルだったから人権擁護の対象になっていなかった。
サルは人間でないから人権などあるはずがない。

 黒人に人権が与えられたのはアメリカの公民権運動の結果であり、黄色人種に人権が与えられたのは日本が1960年代から驚異的な経済成長をして世界第二位の経済大国になったからであり、世界も黄色いサルが人間だということを認めG7の主要国サミットに日本を加えざる得なくなってからである。
しかしこうした人権の拡大期は終わり、今また人権は自国民にだけ与えられた権利に収縮しつつある。
他国に何が起ころうとあっしにはかかわりのないことでござんす」木枯し紋次郎の世界が21世紀の世界風景になろうとしており、人権の時代が終ろうとしている。



 


 


 

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(28.11.13)「黒い猫でも白い猫でもアメリカに金を払う猫がいい猫だ」 トランプ氏の経済軍事戦略

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 トランプ氏
鄧小平氏に酷似している。
黒い猫でも白い猫でもアメリカに金を払う猫がいい猫だ」と言ってはばからない。イデオロギッシュでないから中国やロシアに対しても先入観を持たない。
ロシアがクリミアやウクライナを編入しても中国が南シナ海や東シナ海を内海にしてもアメリカにかかわりがない限り特別な関心を示さない。
もちろん人道主義とは無縁だから北アフリカの難民が地中海で海の藻屑になっても「それがどうしたの」という態度だ。
ISが棟梁跋扈するするイラク北部での戦闘にも関心はない。イラクがどうなろうともアメリカ経済には全く影響がないからだ。

 トランプ氏はビジネスマンであり政治家でないからすべてはビジネスライクに考察する。
それで我が国はいくら儲かるのかね?」
トランプ氏の経済政策は明白で国内経済を守るためには関税障壁を鉄壁にし、自由貿易と戦うことだ。
国内の製造業を守り、プア・ホワイトを再就職させ彼らに再び誇りを持たせるのが俺の仕事だ。国内市場はすべてアメリカのものだからアホンダラの外国になんか渡さんぞ
世界で最も自由といわれていたアメリカ市場が閉鎖され、今後アメリカとの貿易は激減する。
世界全体でみると輸出入が年を追って減少していくが、「それがどうした。アメリカとは何ら関係ない」とトランプ氏はいうだろう。

 経済以外のチェンジでは軍事政策が大幅に変更される。
黒い猫でも白い猫でもアメリカに傭兵料を支払う猫がいい猫だ」というのがトランプ氏の軍事政策だ。
今アメリカはアフガン、ドイツ、日本、韓国、イタリアといった地域に多くのアメリカ兵を駐屯させているが、こうした場所には「傭兵料を払わない限りお前の国を守ってやらない」と通告してくるだろう。
日米安保も金次第だ。我が国は日本を守る義務はあるが日本は我が国を守る義務がないような片務的条約はこりごりだ。守ってほしければ金を払え

  トランプ氏は誤解しているが日米安保条約が片務的なのは締結された1951年時には日本に軍隊がなかったからだ。自衛隊ができたのは1954年で、それまでアメリカは日本に軍隊を持たせる気持ちはなかった。
すべての日本防衛はアメリカが面倒を見る。お前の国はアメリカの植民地なのだからただアメリカに従っていればいい。憲法第9条はお前の国が植民地だということを明確に規定したものだから、間違っても憲法改正などしたら許さないぞ

 それから65年、日本は延々とアメリカの属国でありつづけたがその見返りにアメリカが日本の防衛を引き受けてくれた。最近では約2000億円の思いやり予算という傭兵料を支払っているがとても米軍の経費すべてをまかなうわけにはいかない。
現在日本の防衛費はGDPの1%以内をめどとしており約5兆円規模だが、これほど安価な防衛が可能なのは駐留米軍が日本を核で守っているからだ。
あんた、日本の防衛も金次第だよ。2000億などはした金じゃないか。米軍4万人の駐留経費を全額払ってもらいましょう
それがいくらになるかわからないが数兆円規模になることだけは確かだ。

 日本以外ではドイツに5万人、イタリアに1万人が駐留しているが、こうした国に駐留している本当の意味は第二次世界大戦の戦勝国が敗戦国を実質支配している構造を維持してきたからだ。
だがトランプ氏には歴史もイデオロギーもないからすべては金次第ということになる。
ドイツやイタリアはNATOという集団防衛組織がありアメリカ軍抜きでも防衛が可能だ。両国は傭兵料を支払うつもりはないからここからアメリカが撤退するのは時間の問題だろう。

 隣の韓国には約3万人の米兵が駐留していて38度線を守っているが、これも朝鮮戦争という20世紀の遺物だからトランプ氏には全く関心がない。
韓国が北朝鮮に支配されようがアメリカにはかかわりのないことでござんす」木枯し紋次郎のセリフが聞こえる。
現在韓国も数百億円の駐留経費を支払っているが、「こんなはした金では米軍は撤退しますよ」とトランプ氏に脅されるのも時間の問題だろう。

 トランプ氏の傭兵ビジネスは特にトランプ氏の大統領就任に力を貸した2000万人以上の退役軍人に対する恩給費に回されることは明白だ。
君たちのおかげで世界平和が守られてきた。その正当な代価を世界中から徴収し君たちの生活を守ってやる
イデオロギーを捨象したトランプ氏の軍事政策は完全に傭兵ビジネスになり、「黒い猫でも白い猫でも傭兵料を支払ってくれる猫がいい猫」になることは確実だ。


 


 

 

 

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(28.11.10) パックス.アメリカーナの崩壊 トランプ氏が勝利し中世世界が表れる

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 歴史の転換点
に遭遇することはめったにあることではないが、これはまさしく歴史に転換点だ。パックス・アメリカーナが崩壊したからだ。
戦後の約70年間、世界はアメリカの下での平和を享受してきた。小さな戦争はいくらでもあったが、第二次世界大戦のような大戦争が起こらなかったのは、アメリカが世界の警察官としてにらみを利かせていたからだ。だがそのアメリカは世界の警察官であることに疲れ切り、自らその立場を放棄した。

アメリカは世界のことなどかかわらない。アメリカはアメリカのためだけに生きる。お前らは勝手に生きろトランプ氏はそう宣言してアメリカの大統領に就任した。
この70年間、アメリカがしたことは世界市場を一つにすることで、その思想はグローバリズムと言われたが、その恩恵を得たのはアメリカでは一握りの強い人だけだった。
いわゆる富んだ1%が99%を支配する構造で、ウォール街を支配した金融資本とその周辺に群がった人々である。

 グローバリズムのおかげで金融業は隆盛を極めたが、一方貿易の自由化で製造業は壊滅的な被害をこうむった。自動車産業や鉄鋼産業は政府の支援でかろうじて生き残っている状況であり、かつてそこに勤めていた白人層は大方解雇されてしまった。
アメリカは世界一裕福なのになぜおれたちは貧乏なのだ。なぜ投資会社や金融機関のディーラーだけが億万長者で、黙々と働いてきた俺たち白人が失業者なのだ
アメリカのプア・ホワイトの怒りはすさまじく、事前の世論調査では常にヒラリー氏が優位に立っていたにもかかわらず、トランプ氏の圧勝に終わった。
ヒラリー氏の支持者の多くが棄権し、トランプ氏の支持者はほとんど命を懸ける思いでトランプ氏に投票したからだ。

もう嫌だ。世界のことではなく俺たちのことを考えてくれ。ウォール街などくそくらえだ
トランプ氏のあの騒がしい言説も言っていたことは明白だ。
世界のことなど知らねい。貿易自由化などもってのほかだ。TPPはけとばせ。軍隊を世界中から引き揚げろ。いてほしかったら傭兵料を払え。くそったれのメキシコ人もイスラム教徒もアメリカから出ていけ。俺たちは俺たちだけで生きるから、お前らもお前たちだけで生きろ、バッキャロー

 パックス・アメリカーナの時代はアメリカに頼っていれば生きられたが、それが終わってしまえば自力で生きるほかに手はない。日本は日米安保条約のおかげで中国や北朝鮮の核の脅しから守られていたが、安保条約が空洞化すれば独自で軍備を強化する以外生きる道はない。核の脅しには核で対抗する以外に手はないのだが、それが不可能なら中国や北朝鮮の属国になることになる。

 現在貿易量は世界的規模で激減しているが、今後アメリカが保護主義に走るから更なる貿易量の減少が続くだろう。貿易立国を誇ってきた韓国や中国は国内市場を開拓しない限り経済の崩壊が始まるが、中国はともかく韓国が生き残るすべはなくなった。
日本もアメリカ相手の輸出貿易はほとんど期待できなくなり、輸出産業は東南アジアとインドに活路を求めるだろうが、それでも年年歳歳その規模が縮小していくことは免れない。

 こうして世界は徐々に縮小し、グローバリズムの時代からローカリズムの時代に移り、GDPは年々縮小するからこうした指標を見ても意味がなくなる。
かつてローマ帝国が崩壊した後の地中海世界は、アフリカ北部からローマへの穀物輸出がなくなり、ワイン貿易もなくなり、ローマ街道は荒れるに任され、水道や下水道の公共施設を補修できなくなって過去の遺産となり、イタリア沿岸の都市はイスラムの海賊の棟梁跋扈に悩まされたが、その21世版が今始まろうとしている。

 かつてパックス・ロマーナの後、地中海世界は1000年の中世世界に入ったが、今我々はその中世に再び向かっている。
互いに国を閉ざし、外国人はすべて敵と思い、自給自足生活を基本として、顔見知りの人々とだけ暮らし、違反者は魔女として焼き殺したあの中世世界である。
思えばパックス・アメリカーナの世界はアメリカが世界を睥睨してくれていたおかげで安全で快適だったが、その世界が崩壊する。
私が生きているうちにパックス・アメリカーナの崩壊があるとは思いもしなかったが、時に歴史の流れは突然津波のように襲ってくるものだ。


 
 

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(28.11.7) アメリカ大統領選挙と世界帝国の終焉 中世が始まる

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 アメリカ大統領選挙がここにきて大混戦になってきた。3回の大統領候補者同士の討論会では圧倒的にヒラリー氏が優位だったので、大勢は決したかに見えたがトランプ氏の思わぬ反撃にあっている。
もっとも反撃に手助けをしたのはFBIのコミー長官で「クリントン氏のメール問題を再調査する」といったものだから、トランプ氏が勢いづいた。
俺が大統領になったらヒラリーを監獄に送ってやる

 現在世論調査の差は1%程度になってしまい、激戦州を制したほうが勝利するといった鼻の差の戦いになっている。
だが今回のアメリカ大統領選挙ほど質が低下した選挙はなく、その責任はもっぱらトランプ氏にあるが、ヒラリー氏も過去の国務長官時代にリビア大使を見殺しにしたり、公的なメールを私的なメールアドレスで発信したり、中国からの献金で選挙を戦ったりしているからあまり褒められたものではない。

 これほど大統領候補の質が落ちたのは、実はアメリカの国家としての質が落ちているからだが、簡単に言えばアメリカの世界国家からローカル国家への転落を象徴しているだけだ。
すでにオバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と明言してアラブ問題から実質的に手を引いており、怒ったイスラエルとサウジアラビアがアメリカと絶縁状態に陥った。
クリミアもウクライナもロシアが思うがままにふるまい、南シナ海や東シナ海では中国が自国領だとベトナムやフィリピンや日本を戦艦や巡視艇で脅しまくっている。

 アメリカが世界の警察官を降りたとたんに世界中で紛争が勃発したが、警察官のいない街がアウトローの街になるのは当然だ。
ちょうどローマ帝国崩壊後のヨーロッパやアフリカで、ローマ帝国の崩壊がその後の約1000年にも及ぶ中世の始まりだったが、いま世界は再びこの中世世界に突入しつつある。

 アメリカではヒラリー氏が勝とうがトランプ氏が勝とうが、グローバリズムが終焉することは確かでTPPは批准されず、世界各地から米軍は撤退をはじめ、地域の紛争はとどまるところを知らず、その結果世界貿易は縮小し、人々は自国の中での安全を確保しようとハリネズミのように防衛を強化するだろう。

 そして国連やその他の世界機関は全く機能することなく、分担金をアメリカや日本が支払いを拒否するために存立そのものが危うくなり「かつては確かにここに国連本部があったのだが、今は廃墟か」などという状況になるだろう。
21世紀に入り突然と言っていいほどの速度で世界からグローバリズムが失われつつあるが、アメリカの大統領選挙もその一環だとしてみれば理解できる。

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