評論 中東・アフリカ アラブの春 エジプト

(25.8.16) ムスリム同胞団の弾圧を決めたエジプト軍 内戦に突入した。

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(私はタチアオイがとても好きで、見つけると必ず写真を撮ってしまう)
 
 エジプトでは軍とムスリム同胞団の衝突が繰り返されており、昨日(14日)は568人の死者が出たと報じられている。7月8日の衝突で50人以上、7月27日の衝突で80人以上が死者がでたが、衝突が起こるたびに死者の数が増加している。

568人の死者はほぼ内戦と言っていい。

 軍は「ムスリム同胞団が集会場に武器を集積し、反対派をとらえては拷問をしているので排除に乗り出した」と衝突の責任を同胞団に向けているが、一方ムスリム同胞団は「軍が催涙弾だけでなく実弾を使用している」と非難している。

 民主主義の原理原則から言えば「選挙で選ばれた大統領を軍事力で解任するなどとんでもない」ということで西欧のメディアはエジプト軍に批判的だが、当のエジプト人はそうは思っていない。
エジプト人にとって軍はなにか公正な裁判官みたいな存在で、現政府が国民の支持を失ったまま政権に居座れば、軍がこの政権を引きづり下ろすことはまさに正義の行為だと思われている。
日本人に分かりやすいイメージでいえば大岡裁判みたいなもので、法理論より情理を重んじ「さすがお奉行様の御沙汰は違う」というところだ。

注)世論調査を行うとエジプト軍への支持率は90%を超える。エジプトで最も信頼された組織と言える。

 先進国では軍は政府によって統率されており、立場は国家公務員であり給与は国が支払っているが、先進国以外では給与の支払いがないか非常に低い給与のため軍は独自に経済行為を行い軍人の生活を支えているのが普通だ
エジプトでも例外でなく軍は軍人のためのあらゆる経済行為を行っており、観光業や土木建築業や食料の生産活動まで実施しており、エジプトのGDPの30%稼ぎ出している

注)低開発国の軍隊で多いのは麻薬と武器の密売である。アフガニスタンなどはこうした軍隊の典型例。また中国の人民解放軍も多くの経済活動をしている。

 昔日本でも鉄道一家というものがあって、鉄道員であれば交通費は無料でしかも生活組合で安価な物資を供給していた。
私の母親は私に「お前、国鉄に勤めなさい。そうすれば私は日本全国タダで旅行ができるから」と言っていたが、この国鉄一家をもっと徹底的に自給自足的にしたのがエジプトの軍隊一家である。

 エジプトの軍事予算は45億ドル4500億円)程度だが、その4分の3は独自で稼ぎ出し残りの25%はアメリカからの軍事援助で賄われてきた。
国家から独立した国家内国家で、大統領府が軍隊の要望を受け入れないとすぐさまクーデターを起こして解任してしまう。
ムバラク政権時代はムバラク氏は軍隊に対してできる限りの対応をしていたが、モルシ政権になってから軍隊に対して対応が敵対的になった。
軍事費は国家が管理し、アメリカからの軍事・経済援助も国家が管理する

注)アメリカは2011年のムバラク政権崩壊後は軍事・経済援助を停止していたが、2012年に再開を約束した。

 ムバラク政権時代エジプト軍の装備は、アメリカの軍事援助金を使用しアメリカからの武器の調達でまかなってきた。
エジプト軍の装備はアメリカ頼みであり、はっきり言ってしまえばエジプト軍はアメリカの傭兵のようなものだ。

 エジプトはイランやイラクのような石油産出国ではない。収入はと言えば観光業、スエズ運河の通航料、海外からの仕送り、それとアメリカの軍事・経済援助だった。
それがモルシ政権になった途端観光業は閑古鳥が鳴き、アメリカからの支援がなくなれば国家は冷えあがってしまう。

注)アメリカが再開した軍事援助は、これは直接にエジプト軍への援助であり、モルシ政権に対する援助ではない。

 現在アメリカは軍による行動を民主主義に反するものとして表面的には非難しながら、一方クーデターでないとして軍事援助を軍に行っている
何ともちぐはぐな対応だが、アメリカの目標が中東でのイスラエルの生存権確保なのだから、エジプト軍を支援してイスラム原理主義のモルシ政権を葬り去り、再び親米政権を打ち立てようとするのは当然だ。

 エジプト人も民主選挙だけでは生活できないから、イスラム同胞団を駆逐して軍主導の親米政権ができることを多くの国民が待ち望んでいる。しかしムスリム同胞団としてはこのまま引き下がるわけにはいかないから、軍との衝突はますますエスカレートしそうだ。

注)イスラム同胞団辺の支持率は約3割で、十分第一党にはなれるが反対にいうと7割は同胞団による政権を嫌っている。

なお、エジプト革命については以下に記事をまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat55897769/index.html

 

 

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(25.7.10) エジプトの反革命 軍事国家と宗教国家のせめぎあいはどちらが勝利するか?

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フランス南部の古代都市カオールにかかる中世時代に建設された橋。今でもりっぱに使用されている

  エジプトが内戦の様相を示し始めた。それはそうだろう、公正と認められた選挙で選ばれた大統領を軍が解任したのだから、これは誰が見てもクーデターで、モルシ大統領を支持してきたイスラム同胞団が黙って引き下がるわけはない。

注)ただしアメリカはこれをクーデターとは認めていない。実際はアメリカとエジプト軍の出来レースだから当然で、その間の事情は以下に記載しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-5b76.html

 軍とイスラム同胞団との小競り合いはいたるところで発生していて、大統領支持派の民衆が軍の発砲で51人の死傷者が出たと報じられている。
現在までのところモルシ派の若者が手製の火炎瓶を軍に投げつけ、それに対して軍が発砲しているという構図だ。

 エジプトの軍は先進国の軍隊と異なり、非常に特異な構造をしている。陸海空の正規軍のほかに治安部隊を要するまでは普通だが、さらに軍人の給与を確保するために建設業や運送業、スーパーや保険業等まで備えたいわば自己完結型の組織なのだ。
国家の中に軍という国家が存在しており、日本の戦前の陸軍と似ているが、経済行為まで行っているところが違う。
こうした商売のウェイトが国家のGDPの約30%相当になる

 政府から必ずしも給与が支払われるわけでなく、自分たちで商売を行い(そういえば中国の人民解放軍も同じだった)、そこで稼いだ金で軍人の生活を保証している。
だから兵士は軍のトップの意向には従うが、国家の意向には従わない(司令官が大統領を逮捕せよと命じれば、兵士は素直にその命令に従う)。
こうした軍の体質を変えようとモルシ氏は軍と激しく対立し、職権で前の軍司令官を解任したので軍とモルシ氏の間には決定的な亀裂ができていた。

注)モルシ氏と軍がムバラク大統領を追放した時期から激しく対立していた様子は以下に述べておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-7f00.html

 エジプトのアラブの春は2年間でまた軍事政権に逆戻りしてしまったのだが(形式的には民政を装うが大統領が軍の意向を無視するとすぐにクーデターで追い出される)、この先はどうなるのだろうか。
世界経済はまた一つ見通しが難しくなり、オイルの価格が100ドルを越し始めた
エジプトの内戦は続き、中東各国にこの内戦が拡大する可能性があるので、石油は買いだ」と市場は判断している。

 エジプトの未来を予測するうえで参考になるのは、今回と全く同様のクーデターが1992年にアルジェリアで起こっていることだ。
アルジェリアでは1991年の民主的な選挙イスラム原理主義勢力が勝利し、エジプトと同様なイスラム原理主義政党出身者が大統領になったのだが、これに反発した軍部が翌年クーデターを起こして大統領を追放してしまった。

 怒ったイスラム原理主義勢力は武力闘争を開始し、それから約10年に及ぶ内戦が勃発した。この戦いは2002年にイスラム武装勢力が降伏して終結したがその間10万人とも20万人ともいわれる死者が出ている。
だが降伏を潔しとしない一派は北部のマリとの国境線に近い無法地帯に退却し、アルカイダと提携して今年に入ってイナメナスの天然ガス関連施設を襲い、日本人10名を含む39名を殺害している

注)このアルジェリア天然ガス施設襲撃事件の内容は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/nhk-a679.html

 エジプトの未来はこのアルジェリアの歴史のコピーになりそうだ
軍部が最終的に勝利するとしても相当長い年月がかかり、その間エジプト経済は内戦で疲弊してしまうだろう。
シリアの内戦も収まらないのに、今度はエジプトで内戦が始まれば、再びイスラム原理勢力は息を吹き返し、アラブは混とんとしてしまいそうだ。
アラブの春とは一体何だったのだろうか。

 一時イスラム原理勢力が政権を握り、それを軍部(アメリカが裏で支援している)が追い出すという反革命で終わってしまうのだろうか。

 



 

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(25.7.5) 誰がモルシ政権を崩壊させたのか? イスラム急進主義国家の崩壊

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 エジプトの世俗派の市民が一緒になって、ムスリム同胞団出身のモルシ大統領を引きづり下ろしてしまった。
軍はこれはクーデターではなく市民革命だ」と言っているが、正当な選挙で選ばれた大統領を装甲車を動員し、大統領を拘束して新たに大統領を擁立したのだから、これがクーデターでなければ世の中からクーデターという言葉がなくなってしまう。

 しかし2年前アラブの春の嵐の中で強権で鳴らしたムバラク大統領を引き摺り下ろし、昨年6月の選挙でモルシ大統領が選ばれたが、一年でまたクーデターとはどうしたことだろう。
世俗派の市民は「大統領が約束したことを何一つ守らないからだ」と非難していたが、約束とはエジプト市民の生活向上のことである。

注)もともとモルシ氏と軍は対立しており、それは1年前から始まっていた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-7f00.html

 モルシ氏が大統領になって1年、エジプト市民の生活は何ら改善されていない。
モルシ氏は海外から4年間で20兆円の外資を導入し、一気にトルコや中国並の新興国を目指すといったが、海外の投資家はこの声明を全く信用していなかった。
イスラム原理主義政党の政府ではイランと変わりがないじゃないか。そんなところに投資などできるはずがない

 海外投資は全くと言っていいほどなされず、さらにエジプトの一大産業だった観光業も閑古鳥が鳴いている。
観光などしていて、イスラム原理主義者に拘束されて身代金を要求されたら大変だ

注)イスラム同胞団とアルカイダのような原理主義戦闘団を一緒にするのはやりすぎだが、海外から見るとその違いが分からない。

 エジプトの貧困階層は約3割と言われており、ムバラク政権の昔からこうした人々に対しパンやガソリンといった生活物質を政府の補助金で極端に安く購入できるようにしてきた(パンはただみたいなものだし、ガソリンは世界で二番目に安い)。
今そうした補助金による財政赤字が3兆円規模になり、GDPに対する割合が12%程度まで膨れ上がった。

注)なぜこうした貧しい人々に対してムバラク政権はムバラクプレゼントをしてきたかというと、国内でイスラム原理主義勢力が拡大するのを防ぐため。このムバラクプレゼントをモルシ政権も引き継いでいる。

 実はエジプト経済存立には一つのトリックがあってそのトリックがなくなったために経済が疲弊している。
エジプトは海外から小麦粉やガソリン等の生活物資を毎月50億ドル(5000億円)相当輸入しければならない。
これをムバラク政権時代はアメリカの資金援助(と観光業収入等)でファイナンスしてきた。
アメリカはムバラク政権の安定のために軍事・経済援助を続けてきが、この金がムバラクプレゼントの原資だった。

 エジプト経済は、スエズ運河通行料、出稼ぎの仕送り、観光業、海外からの投資、アメリカの軍事・経済援助から成り立ってきたが、観光客はいなくなりアメリカは一時軍事・経済援助を停止した。

 泣く泣くモルシ氏はIMFに対して50億ドル相当の融資を依頼したが、IMFの代わりの条件は国民に対する補助金の削減と増税で、これではモルシ氏の立場はない。
我々に対する約束とは増税とインフレか!!!!」世俗派の若者がタハリール広場を占拠して気勢を上げ、2年前以上の動員力でモルシ政権を脅し上げた。

注)モルシ政権は所得税と固定資産税を上げ、さらにタバコ、アルコール、携帯電話にまで税金をかけようとしたが国民の反対でたばこ、アルコール、携帯電話に対する課税は取りやめた。

 軍がモルシ氏を拘束したので、オバマ大統領は「エジプト軍がモルシ大統領の権限を剥奪し、憲法の停止を決めたことを深く懸念する」とコメントしたが、もちろん本音ではない。
アメリカはモルシ政権を締め上げて、もう一度軍事政権を復活させエジプトをアラブの盟主に復活させるのが戦略だから、今回のクーデターはエジプト軍とアメリカの出来レースのようなものだ。

 こうして1年に及んだイスラム原理主義政党の政権は経済的基盤を失ったまま崩壊した。

なおアラブの春の記事は以下にまとめて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

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(24.6.19) アラブの春が終わり、秋が来た。エジプトの静かな反革命

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 昨年の春から始まったアラブの春はここに来て晩秋を迎えたらしい。
チュニジア、エジプト、リビアの強権政治を次々に打倒しアラブ世界全体に春が訪れるかと思われたが、シリアのアサド政権が頑強に抵抗した結果ドミノ現象は終ったようだ。

 そればかりでなくエジプトにおいては反革命と思われるようなゆり戻しが起こっている。
エジプトでは大統領選挙のさなかに最高憲法裁判所人民議会の解散を命じた。
理由は「現行の選挙法は違憲状態にあって、昨年末に行われた当選者の3分の1は無効だ」という。

 こうなると議会の定数が不足するので議会は解散し再選挙を実施しなければならない。
議会第一党のムスリム同胞団が擁立した自由公正党が、「民意で選ばれた議会を解散するには国民投票で決めるべきだ」と抵抗したが、実権を握っている軍最高評議会は軍隊を国会に派遣して封鎖してしまった。
最高憲法裁判所の決定は守らなければならぬ

 日本だったら考えられないような暴挙だ。日本では最高裁判所が「衆議院の一票の格差は容認できない」との判断をいくら下しても、国会は知らぬ顔のはんべいを決め込んで定数是正に取り組もうとしていない。
裁判所の言うことを国会がへいこら聞く必要はない!!」と言う感じだ。

 エジプトでは大統領選挙のさなかで、ムスリム同胞団のモルシ氏と、軍最高評議会が押すシャフィーク氏の一騎打ちになっていたから、これはあきらかに軍最高評議会が裁判所を利用してムスリム同胞団つぶしに乗り出したことを意味する。
ムスリム同胞団の権力基盤の議会をつぶさないとあぶない。どうやら大統領選挙でシャフィークが負けそうだ。議会も大統領もムスリム同胞団に握られたら軍はおしまいだ
軍隊としたらその権力基盤を譲り渡す気持ちはさらさらないので、クーデタを起こした。
最高憲法裁判所を利用しての議会つぶしで静かなクーデタと言う。

 エジプトのアラブの春を主導した若者や知識人が押した民主主義の候補はすでに大統領の予備選で落選しているので、現在はムスリムと軍隊との戦いになっている。
軍最高評議会としたら、なんとしてもムスリムの力を押さえつけて軍主導のエジプトの再生を図ろうとしているので、これはかつてのムバラク政権となんら変わりがない。
ムスリムなどに政治をやらせるとエジプト最大の産業の観光業は壊滅するし、それにアメリカからの軍事援助も途絶えてしまう。ここはなんとしてもムスリムを追い落とそう

注)エジプトは他のアラブ諸国と異なり石油がない。このため観光業と先進諸国からの投資がないと経済を維持できない。一方でムスリム同胞団はイラン並みの宗教国家を目指しているので、軍最高評議会はこうした方針に危機感を持っている。

 こうなるともはや民主主義もへったくれもあったものではない。
議会は憲法草案を承認するために召集されていたのに、その議会がなくなって憲法が作れない。
ならば軍最高評議会が憲法草案を作りましょう」と言うことになって、当初ムスリム色の強いイラン並みの憲法ができそうだったが、かつてのムバラク政権に近い憲法になりそうだ。

 大統領選挙結果はまだ公表されていないが、ムスリム同胞団は53%程度の得票率で勝利したと宣言している。
軍最高評議会はこの選挙結果を認めるだろうが、憲法で大統領権限と議会の権限を大幅に縮小し軍隊を独立王国のようにするつもりだ。
戦前の日本陸軍の統帥権と同じだと言ったらイメージがわくだろう。

 一番ありそうな対応はムスリム同胞団のモルシ氏が当選したとしても、実質的な権力を軍最高評議会が握り続け、モルシ氏が抗議すれば議会と同様に最高憲法裁判所を動員して大統領選を無効とすることだろう。

 なんともすさまじい権力闘争だ。民主主義国家では選挙の結果がすべてだが、アラブでは相変わらず「権力者のものは権力者の物」と言う構造が成り立っているらしい。
こうしてアラブの春アラブの晩秋を迎えている。

なおアラブの春に関する記事は以下のカテゴリーに纏めて入っています。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

 

 

 

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(23.11.24) アラブの第二革命 イスラム政権か軍事政権か?

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 チュニジア、エジプト、リビアと続いたアラブの春はここに来て様相が変わってきた。
長年にわたる軍事独裁政権を崩壊させたまではいいが、今度はイスラム原理主義勢力と、前政権を見限った軍部との間で権力の争奪戦が始まっている。

 エジプトではここ数日イスラム原理主義の若者と軍部が対立し、ふたたびタハリール広場で惨劇が繰り返された。
軍の治安部隊はゴム弾や催涙弾を使用してデモ隊の鎮圧を図って、すでに30名の死者が出ている。

 ムバラク政権を倒したものの、その後は多数派のイスラム教徒と少数派のコプト教徒エジプトのキリスト教)が対立し、そこに軍事政権が介入して三つ巴の権力闘争の様相だ。
本命はイスラム原理主義者と軍部の権力争いで、前者はイラン並みの宗教国家を目指し、後者はトルコのような軍事民主主義国家を目指している。

 軍事民主主義国家とは聞きなれない言葉だと思うが、第一次世界大戦後のトルコ革命で革命を指導したケマル・パシャが、イスラム反動勢力に政権を奪取されないため、軍隊を西欧式の近代軍隊にして民主主義の砦にした(信じられないかもしれないが軍隊で民主主義教育をしていた)。
実際その後イスラム色が強くなったり、政権に統治能力がなくなると何回もクーデタを起こして、イスラム色を排除してきている。
日本人にはなじみがないがイスラム圏の民主主義の一つの典型ではある。

 革命はその性格上どうしても極端に振れ易い。それは当然で革命勢力は徹底的な理想主義を掲げそれで民衆を引っ張っていくのだが、革命が成就するとその理想主義が足かせになる。
イスラム原理主義による国づくりはイランに例があるが、あまりの教条主義に周りの国家からは疎まれて国際的な孤立に陥りやすい。
そうなると被害者意識が昂じて自国防衛のために核兵器の開発に走るのだが、こうした行為がますます国際的な不審を呼ぶという悪循環に陥る。

 エジプトの実質的な最高権力である軍最高評議会は、エジプトのイスラム原理主義勢力がイランのようにならないための方策を懸命に考えている。
当初は2月の革命から半年後には議会大統領選挙を行い、軍最高評議会の権限を議会と大統領に移すといっていたが、今はその気がないようだ。

 かろうじて議会選挙をこの28日から行うことになっているが、ここでイスラム原理主義政党が躍進するようだと、その後の国政を過つと軍部は考えている。
そのための対策として新憲法に軍部の政治への関与条項拒否権のようなもの)や軍事予算の別枠制を入れようと画策しているが、そのことにイスラム原理勢力、特にその急進派である若者が反発し、第二の革命を標榜させる原因になっている。

 エジプトの実質的な権力は革命前はムバラク大統領、現在は軍最高評議会にあり、政府は軍評議会の傀儡であり、また議会については日本のような権限があるわけでない。
軍最高評議会は大統領選挙を来年の末まで延期し、それまでに憲法を改正して軍部の政治関与を明確にした後、大統領選挙を行うつもりだ(最近デモ隊に対する妥協案として来年6月の大統領選を提案した)。

 やはりアラブの春は一筋縄ではいかない。アラブにおいて大衆政党とはイスラム原理主義政党(近代的な自由主義政党は少数派のことだから、アメリカや西欧にとってこうした大衆政党が権力を握るということは、イラン同盟がアラブにできるのと同じだ。
だがアメリカも西欧も今は自分のことで精一杯でこうした地域に軍事介入をするつもりはまったくない。

 今後ともイスラム原理主義政党軍部との間の摩擦は続くが、兵士はほとんどがイスラム教信者で、原理主義にシンパシーを持っているので、どちらかと言うとイスラム原理主義政党が権力を握る可能性が高い。
やはりアラブはアラブ的に問題を解決するのだろう。アメリカや西欧がアラブに関与しようとした時代は終わろうとしている。

注)リビアにはNATOが関与したが、ここは西欧が石油利権を持っていたため。そうした利権のないシリアには関与をNATOは否定している。エジプトは観光が唯一の産業のような国だからさらに関与の可能性は少ない。



なお、アラブの春に関する記事は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat45123956/index.html

 

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