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(30.12.28) ルビコン川を渡った日本 IWCからの脱退声明

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   ついに国際機関の優良児がルビコン川を渡った。日本がIWC(国際捕鯨委員会)からの脱退を表明したのは従来の日本のスタンスを180度転換したものだ。
従来日本には国際的組織から脱退してはいけないというトラウマがあった。
それはかつて満州事変後に国際連盟を脱退し、その後アジアへの植民地進出を行ったものの最後はアメリカに手ひどい敗北を喫した経験による。
たとえどんなに不満でも国際協調が国是です」外務省はことあるごとにそう言ってきた。

 しかし国際機関といっても中にはとんでもない機関が存在する。特に悪質だったのは国連のユネスコと人権委員会で、ここは中国や韓国の巣窟になってしまい、ひたすら日本バッシングの先兵になっていた。
思い出してほしい。韓国のハンギブン氏が国連事務総長だったときは、日本が申請した「明治日本の産業革命遺産」登録にユネスコがいちゃもんをつけ、また国連人権委員会は慰安婦問題を取り上げて日本は最もひどい人権抑圧国の一つと毎年のように報告書を提出していた。
すべてはハンギブン氏が韓国大統領選に出馬するための選挙運動だった。

 この悪質な措置は韓国と中国がタイアップしてユネスコと人権委員会の頭の黒い国連職員をそそのかして実施されたものだが、中国のウイグル人やチベット人の抑圧を全く取り上げず、ひたすら日本を貶めていた。
最もこのおかげですっかり日本人は国連神話から目覚め、国連が中国や韓国に乗っ取られていた現実を直視できるようになった。

 アメリカなどはとっくの昔にこうした国際機関の堕落を見抜いており、ユネスコからは脱退し国連人口基金への拠出金を停止し、国連の組織ではないが国際郵便からも脱退している。
トランプ政権は自国の利益にならない国際機関などは歯牙にもかけない対応で「WTOも中国よりであれば脱退も辞さない」と脅しをかけている。

 今やアメリカをはじめとして自国にとって利益のない国際機関等からの脱退は日常的になっており、イギリスはECから脱退することになっているし、イタリアも赤字予算を認めなければECから脱退すると脅しをかけている。
TPPからはアメリカは抜けており、もはや国際的な枠組みは雪崩を打って崩壊しつつある。

 韓国などはとうに国際秩序からは逸脱し、日本から仏像を奪い、ありもしない従軍慰安婦で賠償を求め、徴用工問題では日韓基本条約を破棄して賠償金を求め、最近は韓国の駆逐艦が日本の哨戒機に攻撃用レーダーを照射して、日本を挑発している。
こうした中で日本は国際秩序維持のためにひたすら忍従を強いてきたが、ついに堪忍袋の緒が切れた。
アメリカやイギリスや中国や韓国が自分勝手なふるまいをしているのに、一人日本だけが国際優良児でいられない

 今回の声明はIWCから脱退し日本の領海や排他的経済水域内で今まで禁止されていたミンククジラやイワシクジラの捕鯨を再開するものだが、今や国際機関からの脱退は日常化しているから戦前の国際連盟の脱退とは全く異なる。
現在世界は利益とスタンスが同じ国同士だけが結びつくようになり、敵対的な国を排除するようになっている。
トランプ氏がその先鞭をつけたのだがこうした反グローバリズムが21世紀の潮流であり、今回のIWCからの脱退はその流れの一環に過ぎない。
日本も世界の潮流に乗っただけといえよう。

 

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(29.3.22) 安倍首相の懸命な行脚 メルケル首相との連携にかける

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 アメリカのトランプ政権が保護主義に急激に傾斜している中で、安倍首相の懸命な自由貿易擁護の行脚が続いている。20日以降ドイツ、フランス、ベルギー、イタリアの4か国を次々に訪問しているが、その中の目玉はドイツ・メルケル首相との自由貿易擁護のための連携協議だ。

 戦後後70年自由貿易はアメリカによって推進されたがそのアメリカがすっかり自由貿易に嫌気がさして、高関税を振りかざす保護貿易主義に転換した。
突然の転換に世界中が驚愕しているが驚愕ばかりしてはいられず、残った自由貿易連合を糾合して何とか自由貿易を守ろうというのが安倍首相のヨーロッパ訪問の目的だ。

 特にメルケル首相はトランプ大統領とは犬猿の仲になっており、3月17日の会談では両者とも握手さえしなかった。
メルケル氏が自由貿易の擁護を説いたのに対し、トランプ氏はNATOの軍事費の分担金増額を要請して対立したからだ。
安倍首相がトランプ氏の駐留経費の増額要請に前向きに対処すると答えたので厚遇されたのと好対照になった。

 メルケル首相は実質的にEUの大統領であって、EUの経済規模もアメリカに匹敵しており簡単にはアメリカの言いなりにならない。アメリカに対抗できる極を作るのがEUの目的だった。
特にドイツの工業生産力は抜きんでており自由貿易の恩恵を最も得ているのはドイツになっている。
シリア難民にたいしてメルケル氏が最も好意的なのも(本人の人道主義的立場もあるが)ドイツ経済が絶好調で難民をいくら受け入れても職場の確保に困らないからだ。

 もっともこれはドイツだけの現象であってフランスやスペインやイタリアといった国々は経済の低迷が続いており国内には失業者が増大し移民受け入れには反対する極右勢力の台頭が著しく声高に保護主義を叫んでいる
EU内で本当の意味で自由貿易を擁護しているのはドイツだけになっている。

 日本には極右政党というものがなく、また野党はただ政権の足を引っ張ることだけしか能力がなく政権担当能力がないから自民党政権は安泰で自由貿易に反対する勢力はいない。
結果的にドイツと日本だけが自由貿易を守る最後のアンカーになってしまった。

メルケル君、この自由貿易幕府を守るのは君と私しかいない
安倍君、トランプ薩摩がアメリカン尊王攘夷を振りかざして幕府を揺さぶっているが、君と私がいれば何とか幕府は持ちこたえられる。先日トランプ薩摩にあったときは私と握手さえしなかったが安倍君とはこうして固い握手を取り交わせる
メルケル君、信頼できるのは君だけだ

(音楽)強く跳ねて 互いに手を取り合い目を見つめあう二人。
「語り」 こうして自由貿易幕府の運命は二人の肩に重くのしかかるのだった。

 



 

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(28.12.6) 安倍首相の水際立った外交が世界をリードしている

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 安倍首相
の在任期間が中曽根氏の1806日を超えて戦後の首相の中では第4位になった。その上には小泉氏、吉田氏、佐藤氏しかおらず、あと半年余りで小泉氏を抜くからそうなれば戦後史を飾る首相になることは間違いない。

 安倍首相のもっともすぐれた能力に外交力があって、最近もその能力がいかんなく発揮された。トランプ氏が大統領になることが決まるとどの国の指導者より早くトランプ氏との会見を実施したからだ。この意義は特出に値する。
トランプ氏は内政についてはアメリカ第一主義を唱えて保護主義政策をとることが明確だったが、外交については明確なビジョンがない。

 それは当然で「外国のことなど知っちゃいない」というのが基本スタンスで、今までの大統領が自由主義陣営を守る守護神であったのとまったく違う。
中国でも日本でもアメリカにとっていい猫がいい猫だ」ということだから、トランプ氏のいい猫に早くなったほうが勝ちだ。
今回の会談の内容は外部に漏れていないが、安倍首相が引き続き日米同盟の絆を確認したのに対し、トランプ氏は「それなら傭兵料をあげてくれ」と注文したことは確実だ。
現在思いやり予算と称して2000億円の傭兵料を支払っているが、トランプ氏から見たらこの金額はあまりに些少だ。安倍首相は当然「前向きに検討する」と答えたはずだからトランプ氏はすこぶる機嫌がよかった。

 「これからは傭兵ビジネスでアメリカを再生しよう」世界最高の軍事力をビジネスに変えるのがトランプ氏のやり方だから、安倍首相は最高の顧客の一人になった。
この影響がすぐに出たのがトランプ氏が台湾の蔡英文総統と電話会談を実施したことだ。いままでアメリカの大統領が台湾の総統と直接接触することはなかった。
これは中国が台湾は中国の領土だから話し合いは北京としろと常に主張していたからだが、トランプ氏はそうしたことはお構いなしに電話会談をしたが、その内容も傭兵料だったと思われる。
あんた、日本の安倍は気前よく傭兵料の値上げに応じたよ。台湾もまさかただで守ってほしいなんて言わないだろうね

 中国は目をむいて反論していたが、これこそが安倍首相の目指す対中国包囲網の効果だ。トランプ氏はもっぱらビジネスで傭兵料の値上げを要請しまくっているが、それが結果的に対中国包囲網の再結集になる。
次は韓国からしこたま傭兵料を巻き上げなければならんな。韓国が北朝鮮に蹂躙されようがどうしようが知ったことではないが、傭兵料を払ってくれるならこれはビジネスだから守らねばならぬ
金払いのいいところにしか米軍は駐留しないからフィリピンなどからはさっそく出ていきそうだ。
「フィリピンの南シナ海の島などどうでもいいことだからまあ中国と勝手にやってくれ

 トランプ氏の外交は完全にビジネスライクになってイデオロギー抜きだからロシアのプーチン首相とも馬が合う。
クリミアもウクライナももともとはロシア領ではないか。アメリカとは全く関係ない領土問題で制裁なんかするつもりはないよ。お互いに軍事大国なんだから軍事ビジネスで仲良くやろうじゃないか
トランプ氏はさっさとNATOから軍隊を引き揚げ、中東からも軍隊を引き揚げるだろうがここは全くビジネスにならないからだ。
シリアはロシアに完全に任すからまあ、うまくやってくれ

 安倍首相はロシア制裁の解除をトランプ氏に話し合ったはずで、トランプ氏が特に反対しないのを確認してさっそく経済協力プランが走り出した。日ロで1000億円の基金を折半で出資し進出会社を後押しする計画で日ロ共同銀行の設立だ。
日ロ両国には北方領土というのどに刺さったとげがあるが、領土問題はあくまで象徴的な問題で実質的な意味はない。

注)領土問題が象徴的な問題であることは前に詳述した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/pppp-6.html

  安倍首相とプーチン大統領の思惑は共同で中国を封じ込めることで今ではシベリアは中国人の町になってしまっている。
早く領土問題を解決して平和条約を締結し、シベリア開発を日ソ両国で行いシベリアから中国人を追い出さないと大変なことになる
安倍首相とプーチン大統領は世界でもまれな仲良し首脳同士なので、トランプ氏のビジネスライク路線を利用してロシアを国際社会に復帰させ、返す刀で中国を包囲するのが安倍外交の神髄だ。

 トランプ氏の外交はすこぶるわかりやすい。
金だよ、金。外交はすべてビジネスライクでやろう
世界最大の金持ち国日本にとってこれほど組みやすい相手はいない。
安倍首相の水際だった外交が世界をリードしている

 

 

  
 

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(27.11.4) 日中韓首脳会談の勝利者は安倍首相  日本に秋波を送る中国・韓国

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 外交は外から見る限り今一つ分かりにくいが、今回の日中韓3か国の首脳会議もその一つだ。なぜ開催されそしてその勝利者は誰かマスコミも沈黙しているが、勝利者は安倍首相である。
もともと首脳会談には中国と韓国が条件をつけてきており、中国は尖閣諸島の領有権問題が存在することを日本が認めることだったし、韓国は従軍慰安婦問題で日本が謝罪と賠償をすることだった

 こうしたハードルの高い前提条件を両国が掲げ「日本がそれに応じるなら首脳会談を開いてもいい」といい続けてきたが、今回はその前提条件が満たされていないにもかかわらず首脳会談に両国が応じざる得なかった。
なぜ両国はこの時期に首脳会談をすることに同意したのだろうか。

 それは中国側と韓国側の両方に、日本とのパイプを回復しなければならない事情が発生したからだ。
中国は昨年の夏以来経済が完全に失速して実質マイナス成長になっているのだが、そのことが何より分かるのは昨年の11月以降輸入が前年割れになって一向に回復していないことである
貿易立国の中国が資源を中心に輸入を減らしているのは、輸入しても生産に寄与しないからで、たとえば鉄鉱石を輸入しても生産した鉄鋼が有り余ってしまい処分に苦慮している。
このままでは中国経済は失速したままだ。なんとか日本をだまして投資を呼び込まなければならない。それには素振りだけでも友好のふりをしなければ・・・・・・・・・

 韓国の情勢はもっと厳しい。朴政権は中国の属国になれば経済も政治もすべてうまくいくと思っていたが、本尊の中国経済が大失速して韓国のことを構っていられなくなった。
中国との貿易量は全体の25%で中国あっての韓国という状況だったが、中国との貿易量が減少して韓国の屋台骨を直撃した。
特に造船や石油化学といった業種はほとんど競争力を失い、いつ倒産が起こってもおかしくない状況だし、自動車輸出も低迷を始めて現代自動車も業績悪化に悩みはじめ、唯一の救いは何とかサムスンががんばっていることだ。
しかしそのサムスンもかつてのソニーの凋落時とよく似た状況におかれており、従業員のリストラと非採算部門の切り捨てにやっきとなっている。

 韓国経済はイエローランプではなく、レッドランプが点灯しており、今年の初めに日韓スワップ協定を破棄したような勢いはもうどこにもない。
ごめん、スワップ協定を破棄したのは間違いだった。もう一度スワップ協定を締結してくれない・・・・・・」泣きを入れ始めた。
さらにTPP協定が成立することになり韓国経済界に激震が走っている。
中国経済が黄昏て今度はアメリカと日本の世紀になる。このTPPに参加しなければ明日の韓国に未来はない。日本に頼んでこの協定に入れてもらうしか方法はない

 日本と韓国の間には従軍慰安婦問題という棘があるが、これをオブラートで包んでそっと棚上げすることにした。慰安婦問題(従軍慰安婦問題ではない)は「早期に妥結するために局長級会議を加速させる」ということにして妥協した。
一方日本の立場は「賠償等の請求権は1965年の日韓請求権協定により完全にかつ最終的に解決済み」だが、人道的立場で慰安婦の救済に応じてもいいというものだ。

 朴大統領は従来これに激しく反発し、個人の請求権は存在しかつ日本は従軍慰安婦問題で謝罪が必要だと主張してきたが、韓国経済が倒産前夜になっては背に腹はかえられない。日本とのパイプを復活させない限り韓国は中国の属国として歴史に埋没してしまうのだから、このままいけば韓国史上最悪の大統領として歴史に汚名を残す。
朴大統領は国内向けと日本向けを分け、国内向けには日本が従軍慰安婦問題で謝罪をしたということにして首脳会談に応じた。

 今や中国も韓国も日本とのパイプを復活させない限り生き残るすべはないのだから仕方なしに首脳会談に応じたのだ。
安倍外交はここでもまた勝利して日本の復活を印象づけた。
私は個人的には中国とも韓国とも付き合うことを止めて、両国が奈落の底に落ちていくのを放っておけばいいと思っているが、安倍首相としては両国が大混乱になりその余波が日本に及ぶのを避けたいのだろう。
ハードランディングなどして日本に難民が押し寄せたら対処できない。なんとか両国を衰亡させながら生きながらせるのがベストシナリオだ」と考えているようだ。


 

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(27.10.22) 法改正だけで集団的自衛権が行使できると思っているのか!! 日高義樹氏の指摘

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 日高義樹氏
といえば元NHKのアメリカ総局長で、退職してからはハドソン研究所の主席研究員になった人だが、ハドソン研究所はアメリカ共和党のシンクタンクで、日高氏は実質的に共和党のスポークスマンのような立場の人だ。
だから日高氏のレポートや本を読むとアメリカの保守陣営が今何を考えているかよくわかる。

 このたび日高氏が誰も知らない新しい日米関係  集団的自衛権で何が変わる」という本を緊急出版したので私も取り寄せて読んでみた。
趣旨は「安倍首相がようやくのことで集団的自衛権を認める法改正に成功したが、これは絵にかいた餅であり、具体的に集団的自衛権が行使できるような措置をとらねば戦争などできない」という主張だった。

 簡単に言えば「法律を改正したからと言って、戦争ができる体制になっておらずそれにふさわしい軍備増強を図れ」というアメリカ保守陣営の危惧をそのまま表明している。
日本の左翼陣営からすると「戦争ができる体制を組めなどという論議は憲法の平和主義に悖るし、そもそも第9条違反になる」と目をむきそうだ。
しかし左翼とは現実を見ないで幻想の中に生きている人々のことでいづれ滅びる運命にあるから無視しても、日高氏のいう戦争ができないという意味は具体的には以下のような内容だった。

 もっとも重要なことは戦争行為を行う時には指揮権の問題と、そのシナリオに従った日常的訓練が必要なのだが、日本の自衛隊は海上自衛隊を除いて全く準備ができていないという。
日本の海上自衛隊アメリカ第7艦隊の指揮下にあって、常時アメリカ軍との合同演習を繰り返しているので、集団的自衛権の行使をする段階になってもアメリカ軍の一部隊として戦闘行為に入ることができる。

 問題は航空自衛隊陸上自衛隊だが、最も問題が大きいのが航空自衛隊だという。
航空自衛隊は専守防衛の立場からにスクランブルが主な任務となっており、配備されている航空機は海を越えて中国や北朝鮮を攻撃できるほどの航続距離を持っていない。
もちろん途中で空中給油機から給油を受ければ中国にも北朝鮮にも出撃が可能だが、そうした空中給油機は現在二機しかなく、とても有事には間に合わないのだという。
具体的な話として北朝鮮からミサイル攻撃を受けた場合、日本海を渡って北朝鮮のミサイル基地をたたくことができない。
もっぱら迎撃ミサイルで撃ち落とすことだけになってしまうが、相手を攻撃できなければ戦争にならないというのが日高氏の指摘である。

 また陸上自衛隊についても主力ヘリコプターや戦車や装甲車は日本に敵が攻めてきて国内が戦場になった場合の迎撃用であり、とても海外に出向いて行って戦闘を行えない。
その典型が病院船がないことで、戦闘になれば多くの兵士が負傷するが、兵士を海外の民間病院で手当てするなどということはありえない。
病院船の存在こそは海外で自衛隊が集団的自衛権に基づき行動した場合にもっとも必要な設備だが、それがないのだという。
航空自衛隊も陸上自衛隊も戦闘は日本近海か日本の国土の中で行われることを前提に整備されており、とても海外に戦闘部隊として派遣できるレベルではないという。

 さらに問題なのは指揮権の問題で、指揮権をどこが持つかの問題がある。海上自衛隊のように第七艦隊にあると言いきれないところが、航空自衛隊と陸上自衛隊の悩ましいところで、指揮権と日ごろの訓練は貨幣の表と裏だから、実際に戦闘行為が始まったら大混乱に陥るのではないかと日高氏は危惧している。
今のままではアメリカ軍が北朝鮮や中国のミサイル基地を攻撃しているときに、長距離爆撃能力を持たない航空自衛隊は単なる足でまといの軍隊になってしまうという。

 日高氏がいいたいのは集団的自衛権というのはアメリカと一緒に軍事行動をおこすことであり、そのためには海外派兵能力のある軍隊に編成変えしないと、いくら安倍首相が集団的自衛権の行使といってもできないのではないかという指摘だ。

 私は日高氏の本を読んでアメリカの保守陣営が何を考えているかよくわかったが、海外で戦争をするには専守防衛と異なった自衛隊の装備が必要で、現在のような規模の小さな自衛隊ではとても不可能だという指摘はとても新鮮だった。
簡単に言うと集団的自衛権には金がかかるということで、自衛隊をそうしたレベルまで引き上げない限り「集団的自衛権は絵に描いた餅にすぎない」と日高氏は指摘している。

 

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(27.9.20) 世界史の転換点 日本が平和をもたらす 安倍内閣の快挙

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  平成27年9月19日日本と世界の歴史の転換点になった記念すべき日になるだろう。
この日安全保障関連法案が参議院を通過して可決され、日本の防衛力が強化され、さらに中国の領土拡張政策に対し歯止めがかけられることが確実となった。
中国は21世紀に残された最後の帝国主義国家で、そのビヘビアは戦前の日本軍部、特に関東軍とおなじで周辺国の弱い輪を襲うオオカミのような存在といえる。

注)中国が21世紀に残された最後の帝国主義国家だということは何度も述べてある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-0316.html

 安倍内閣はこうした事態に対処するために集団的自衛権の発動を容認する法律の整備を行ったのだが、日本の左翼陣営はそうはとらなかった。
民主党や共産党は国会でこの法律成立阻止にために醜い国会闘争を行ったが、一方日本に残された最後の左翼メディアの朝日新聞や毎日新聞の反安全保障関連法案キャンペーンもすさまじかった。

 そのおたけびはすさまじく、左翼系新聞の毎日新聞朝刊の見出しは「安保法案成立へ」「平和国家の転換点」「武力行使裁量を拡大」「立憲主義に大きな傷」「やまぬ反対の波」「強行に怒りの渦」で、一方夕刊の見出しは「安保関連法成立,違憲批判押切り」「未明の議場大荒れ、海外派遣拡大に道」「闘いはこれから おごり許せない」だった。
いずれもこれ以上大きな活字はないといったような大見出しで、「毎日新聞は怒っているぞ!!」と最大限のアピールをしている。

 安全保障関連法案が5月に衆議院に上程されてから後の毎日新聞の紙面はこの安全保障関連法案反対一色になって、毎日一面全部を使用しての反対のキャンペーンを繰り広げてきた。
毎日新聞が怒り心頭に発しているのは分かったがこればかりは同調するわけにいかない。

 この法案は紛れもなく戦後日本の精神風土を縛ってきた左翼陣営に最後のとどめを刺したものであり、この日を境に日本本土から左翼の怒涛のような退潮が始まる。
沖縄左翼を除けば本土に左翼が生き延びる道はほとんどなくなり、日本が精神面においても21世紀にふさわしい国家に脱皮できる。

 20世紀は確かに左翼の時代で戦後の思想をリードしてきたし、社会主義体制のソビエトロシアがあってアメリカと対抗していたのでどちらが勝利するか一時は分からなかった。
特に軍事面でのソビエトの躍進はすさまじく大陸間弾道弾の競争ではソビエトがアメリカの数歩先を行っていたといっていい。
当時のロシアのプロパガンダ映画を私も見たが、初めて人工衛星で宇宙に飛び立った宇宙飛行士ガガーリンが「地球は青かった」と述べたシーンに多くの左翼は「マルクスの教え通りアメリカの世紀が終わりロシアの世紀になる」と思ったものだ。

 しかしそのソビエトロシア1991年にあえなく崩壊してしまうと、社会主義は経済体制として存在しなくなってしまい、20世紀をかけた実験が大失敗だったことを証明した。
残ったのは中国の奇形化された資本主義的独占企業体制で、これはどう見ても資本主義の最も悪しき部分を共産党の支配体制につぎはぎしたものだ。
だが経済制度としての社会主義は崩壊したものの、思想としての社会主義は生き延び続けたのが今までの日本だ。

 その存続の論理は「ソビエトロシアの社会主義は本当の社会主義ではなく、自分たちが目指している社会はもっと豊かで自由で民主的なものだ」というものだった。
いわば見果てぬ夢を語ることによって命脈を保とうとしたのである。
朝日や毎日といった左翼系メディアや岩波や一部の週刊誌に巣食う左派系人士の共通したメンタリティーといっていい。
ユートピアは存在する。それはソビエトロシアでも中国でもなく我々の心の中にある」

  だがこれはひどい論理のすり替えといっていい。批判されるアメリカや日本の資本主義体制は現実に存在しているものなのに、一方自分たちが擁護しようとしている社会主義体制は頭の中だけで存在するユートピアとしての体制だからいくらでも美化できる。
その美化されたイメージで実在の社会を批判するのだから、資本主義体制が矛盾だらけなのは当然だ。
左派の理想としたユートピアに比較し欠点がありすぎるというわけだ。

 左派のユートピアの一つに憲法第9条がある。今回も「第9条を守れ」と毎日シュプレヒコールをしていたが、日本はとっくの昔から戦争を紛争解決の手段に使用しない決心をしている。
戦後70年間外国への侵略行為は一切行っていないのがその証拠で、中国などは朝鮮戦争やベトナム懲罰戦争やロシアとのウスリー川を巡っての領土紛争などめったやたらと戦争をしている。

 問題は日本は戦争を起こさない平和国家だが周辺にはヤクザがうろついており、特に中国は尖閣諸島と沖縄の領有を目指して戦争を仕掛けようとしている。
だから「憲法第9条」だけでは戦争の抑止にならず、防衛力の強化が必要でそれも単独では中国に対抗できないため集団的自衛権を強化する必要があった。
その手当てを行ったのが今回の安倍内閣の措置である。

 左翼陣営は「憲法第9条」さえ守れば戦争の抑止になると考えているが中国はそうはとっていない。中国は日本の憲法に縛られないからだ。
だが9月19日にそうした左翼に対する最後の託宣が下された。「あんたら、理想を食うだけのバクでは21世紀は生き延びられませんよ

 左翼の最後の抵抗が終わり左翼思想も日本本土では忘れ去られていくだろう。最後に残された中国に取りこまれている沖縄左翼が死滅すれば本当の意味で日本は平和国家になれるが、それとの思想的戦いは続いている。


 

 

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(27.9.18) 安全保障関連法案が参院特別委員会を通過した。ようやく日本に平和が確保される!!

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 毎回のことだが安全保障関連法案の審議は常に怒号とマイクの奪い合いになって最後はドタバタ喜劇になる。
今回の参議院特別委員会の審議も同様で、採決が始まると野党議員が委員長席に一斉に詰め寄り実力で阻止しようとしていたが、何が行われているかわからないうちに可決成立した。
あとは本会議での採決を待つだけだが、こちらでも同じ光景が繰り返されるだろう。
だが、ようやくここまで来れば可決成立は間違いなさそうだ。

 この法案は21世紀の日本にとって最も重要な法案になるから与野党の攻防が激しかったのもうなずける。
特に民主党はあらゆる方策で反対すると表して問責決議案や不信任案を連発していた。しかし最終的には民主主義は頭数だからこの法案が通過するのは当然だ。

 この安全保障関連法案の最大のポイントは集団的自衛権を認めるか否かだが、民主党共産党はこの法案が憲法、特に第9条に違反し日本が戦争に巻き込まれたり加害者になるので断固反対するとの論陣を張ってきた。
平和憲法を守れ!!」というのが合言葉だが、一方安倍首相は「平和を守るために集団的自衛権が必要だ」と国民を説得してきた。
平和を守るということでは同じだが、野党は憲法さえあれば平和が守られると思っており、一方与党は自衛権を強化しなければ平和は守られないと割り切っている。

 私は日本の周辺に中国という19世紀的帝国主義国家が存在し、東シナ海や南シナ海で領土拡張行動をとっているときにそれを阻止するためには集団的自衛権による対抗措置が必要と認めるものだが、野党勢力はそうは思っていないようだ。
いわゆる反戦平和を主張する勢力は「憲法9条を守ることが戦争を起こさない唯一の方法だ」と主張しているが、これは日本が戦争を起こさない唯一の方法であっても、中国が日本に攻め入るための抑止には全くならない。
中国には中国の憲法があって日本国憲法第9条に縛られないから、好き勝手に尖閣諸島を略奪する行為を繰り返している。

 日本は核武装をしていないから中国のような核武装大国に対抗する手段はたった一つしかない。核で脅されたらアメリカの核の傘で独立を保つ以外に方策はなく、それ以外の措置は韓国のように実質的に中国の植民地になることだけだ。
ロシアと中国の恫喝から日本を守ったのは憲法9条ではなく、日米安全保障条約でありアメリカの核だといっていい。

 いわゆる平和勢力といわれている人々は「平和、平和と唱えれば平和になる」と主張するが同意するわけにはいかない。
精神力で平和が来るというのは安倍晴明の昔に戻ったみたいだ。
日本最大の防衛戦争の一つに元寇があるが、中国・朝鮮の連合軍を打ち破ったのは北条時宗を中心とする鎌倉武士団だったが、時の精神主義集団の朝廷はそうはとらなかった。
すべてわが朝廷が神のご加護を得るべく祈祷したからだ」と主張した。
朝廷は精神力で「元」の大軍を海の藻屑にしたということだが、これは現在の平和主義者とメンタリティが全く同一だ。
戦後の平和はすべて憲法第9条によって守られた!!!! これからも9条、9条と唱えれば中国は尖閣諸島や南沙諸島から撤退する。すべて神のご加護じゃ!!」

 実際は戦争はしばしば平和主義者のもとで起こる。第二次世界大戦が勃発したのも、イギリスのチェンバレン政権がヒットラーに妥協し続けたからで「よしこれならイギリスはドイツに干渉することはあるまい」とヒットラーがたかをくくったからだ。
中国は21世紀に残された最後の帝国主義国家で、周辺諸国を軍事力で脅しては領土拡張にまい進している。
習近平政権への妥協はチェンバレンと同じワダチを踏むから、アメリカとの軍事協力強化策は唯一の平和を守る方策になる。

 平和は平和主義者が守るのではなく安倍首相のようなリアリストが守るのだが、平和主義者は一種の宗教団体でイスラム原理主義者と同様だからいくら説得しても無駄というものだ。
国会周辺でも「9条を守って平和を」と唱えてデモをしている人がいるが、こうした人々が実際は戦争を呼び込むので、戦争犯罪人予備軍だということが歴史の教訓だ。

 

 

 

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(27.7.18) イデオロギー論争は強行採決しか決定方法はない。 集団的自衛権の確立と安倍首相の勝利

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 日本は聖徳太子の昔から話し合い中心の国で、「和を持って貴しとなし、さからうこと無きを旨とせよ」といわれたほどの国柄だから、通常は話し合いですべてを解決してきた。
しかしそれは平時や内容が大したことがない場合で、どうしても意見が一致しない場合は最後はガチンコ勝負になり、かつては戦争で決着をつけたし、今は国会の強行採決で決着をつけている。

 「」を説いた聖徳太子自身が崇仏派の蘇我氏と排仏派の物部氏との間のイデオロギー論争の時は蘇我氏側にたって、物部守屋を滅ぼしている。
またその蘇我氏は大化の改新で天皇中心主義者の中大兄王子が、飛鳥の豪族連合の長だった蘇我入鹿中臣鎌足と組んで暗殺している。
天皇中心か、豪族中心かのイデオロギー論争では妥協の余地などなかったからだ。
ガチンコ勝負になれば「」ではなく実力勝負になるのはどこの世界でも同じだ。

 戦後日本のイデオロギー論争はすべて安全保障の面で現れている。
簡単に言えば1990年まではアメリカ組になるかロシア組になるかの選択であり、21世紀になるとアメリカ組中国組の対立になっている。
この選択には妥協の余地はなく二股をかけようとすると国を亡ぼす。
だから日本のありようとしてどちらを選択するかの決断であり、したがって安全保障に関する国政の決断のほとんどが強行採決になっている。

注)韓国が経済は中国、軍備はアメリカに依存して両国を手玉にとっていると豪語していたが、実際は両国から見捨てられよ うとしている。二股外交は特別な事情がない限り成功しない。

 1960年といえばいまから55年も前のことだが、日米安全保障条約の締結を巡って国を二分する論争が勃発している。今では名前さえなくなったが当時は社会党がこの安保反対闘争を主導して、国会内外で激しい衝突を繰り返した。
国会の外では主として全学連によるジグザグデモが繰り返えされ、私は小学生だったが小学校でもこの「安保反対デモ」が遊びではやった。竹を横にしてそれを数人の小学生が押し立てて「安保反対」と叫ぶ遊びだった。

 それから10年後の1970年前後にこの安保条約の改定時期が到来し、今度はこの反対運動を指導したのは全共闘系の学生だった。私は当時大学生だったが友達から誘われてはデモに参加したものである。霞が関の大通りをフランスデモと称して両手いっぱいに広げてデモったが、機動隊に阻まれて逃げ出したものだ。

注)私は当時政治的主張を持っていなかったが友達に民青系の友人が多く、頼まれればデモに参加していた。

 
さらにそれから20年たった1992年には、湾岸戦争で日本が資金以外の貢献がなかったことをアメリカから責められPKO法案を一部野党と共同で強行採決している。
だから今回の安全保障関連法案の強行採決は4度目のガチンコ勝負ということになる。

国家のありようを決めるイデオロギー論争では強行採決以外の方法はなく、両陣営とも妥協はできないから、あとは議会制民主主義の原則である多数決だけが最後の決定方法になる。

 今回の安保関連法案で安倍内閣は集団的自衛権の容認に踏み込んだが、116時間かけての討論も何の歩み寄りがなかった。
それは当然で当初からどちらの陣営も歩み寄ろうなどとは考えていないから、野党は足を引っ張ることだけに専念し、一方与党は相手に言質を与えない曖昧模糊とした答弁になっている。

 安倍首相は集団的自衛権を「国民の命を守り戦争を未然に防ぐための絶対に必要な法案だ」と述べたが野党の反応は全く反対で「便宜的な憲法の解釈変更で立憲主義に反し、強行採決は認められない」と応じた。
新聞の論調も二分されており、読売や産経のような保守主義陣営に立つメディアは「日本の平和確保に重要な前進」と評価したが、朝日や毎日のような左派系新聞は「民主主義を揺るがす施行」と反対の大キャンペーンを張っている。

 だが客観的に見て日本の周辺は中国、北朝鮮、韓国といったヤクザ国家ばかりでありおりあらば日本の領土をかすめ取ろうとしており、また国連やその他あらゆる機会に日本を誹謗して国際的地位を貶める活動を日常化している。
さらに中国は特に海軍の増強を図って西太平洋は中国の海だと主張し始めており、このような状況下では日本はアメリカとの軍事同盟の強化だけが生き残る道になっている。
集団的自衛権はそれまで片務的だった日米安全保障条約の実質的改定で日米の軍事関係を双務的に変更するものだが、だからこそ中国や旧ソ連に郷愁を持つ左翼陣営や左翼メディアはなんとかして安倍総理の目指す集団的自衛権の足を引っ張ろうと躍起になってきた。
だが、日米安保条約が今まで片務的だったのは日本が本当の意味では独立国ではなく、アメリカの軍事的植民地だったことを意味している。

 ようやくこのイデオロギー論争に決着がついた。今国会で集団的自衛権は容認され、日本はアメリカ陣営として戦後70年たって初めて軍事的に独立国家になれたといっていい。
だからこそ4度目の両陣営のガチンコ勝負になったのだが、安倍首相はこの苦難を乗り切ったのだから大した総理大臣だと評価できる。
左翼陣営の最後の抵抗は終わり、日本が経済的だけでなく軍事的にも独立国になった記念すべき年が2015年だと歴史に刻まれるだろう。

(興味深いコメントがされたので本文に転載します)

 先日、電車で二人の70代くらいのおばあさんたちの話を聞いていましたが、安保法案の議論になった時、「私は戦争の時に苦労したから戦争は嫌だ。だからこの法案には反対。安倍はわかっていない。」ということをおっしゃっていました。

 今回、60代以上の年配(小職の両親を含む)の方々の反対が多いのは心情的には理解できますが、彼らが今の世界情勢を踏まえ、我が国の状況をとことん考えた上でこのような反対意見を言っているとは思えません。むしろ、戦後、ひたすら米国の傘の下でひたすらいい子ぶり、波風立てずに立ち回ってきたたつけが、今、彼らよりも若い私以下の世代が活躍する時代になっても中韓にぐだぐだ言われる遠因になっていると思っています。本当にわかっていないのは誰なのか、と問いたくなります。波風立てないというのは確かに一つの知恵でそれを否定する気は毛頭ありませんが、偽善もほどほどにして欲しい、というのが私の偽わざる意見です。

 小職は20代(1990年代)の時に中東に駐在しましたが、その時にインド系バンカーに「日本は世界第二位の経済大国なのに何故自衛のために核兵器を持たない?日本よりもGDPが下の英仏は持っているではないか?」と問われ、返事に窮したことがあります。世界は所詮力と力のぶつかり合いであり、力の強い方がより有利です。憲法9条を文字通り解釈する限り、日本に未来が待っているとはとても思えません。

 今回の法案が仮に廃案になったとしても、一石を投じたという意味では大きなターニングポイントだと思います。

 








 

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(27.3.5) 中国封じ込めに成功 安倍首相とアボット首相の経済・軍事同盟

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 おそらく2013年から14年にかけて世界史のターニングポイントがあったとのちの歴史家は述べるだろう。
それまで中国が破竹の勢いで世界を席巻していたが、この年を境に中国の拡張が止まり、日本が大復活したからだ。
12年の12月に日本に安倍政権が誕生し、経済政策ではアベノミクスを発動し、そして政治的には中国封じ込め政策を実施した。

 本来中国封じ込めの先頭に立つのはアメリカだがオバマ政権は外交では中東問題に手を焼き、内政では共和党に手足を縛られて完全にレームダックになっており、中国封じ込めどころではないのが実情だ。
誰もが中国の軍事力を背景とした拡張主義に手を焼き、韓国は中国の属国になる道を選択し、ベトナムやフィリピンが悲鳴を上げていた時に敢然と戦いを挑んだのは安倍首相である。

 安倍首相は中国封じ込めのための外交に積極的に動いたが、特に幸いだったのは13年9月にオーストラリアで中国よりだったラッド政権が崩壊し、自由党のアボット政権が誕生したことだ
アボット氏は安倍首相と同様の政治信条を持っており、中国の軍事的拡張に脅威を感じている。
中国の海軍は必ずマラッカ海峡を封鎖するために進出してくる。中国はすでに南シナ海を自国の海域として抑えているから、そうなると中国に完全に通商路を抑えられてしまう。その時オーストラリアは中国の属国にならざる得ない。だが中国は世界でもまれな独裁国家だ・・・・

 アボット政権はそれまでの中国重視政策から完全に手を切って日本との同盟強化を図ることにした。
日本との間にEPA協定を結んで経済協力を強化するとともに日本とアメリカとの軍事同盟の強化に乗り出した。
オーストラリアは中国の軍事的拡張に対抗するためアメリカの海兵隊を受け入れ、さらに中国の海軍に対抗するため潜水艦艦隊の整備を行うことにしたが、その調達先として日本の高性能潜水艦の導入を検討しはじめた(在は日本、ドイツ、フランスが候補だが日本が最有力
実現すれば日本の最初の軍事輸出であり、アボット政権と日本は軍事装備で一体化する。

 なぜ各国が反中国に傾いたかの理由は明確で、中国が膨張主義政策を露骨にとり軍拡に狂奔したからでここ20年以上にわたって毎年10%以上の軍事費を増強してきた。
さら拡大された軍事力でもって周辺諸国から島嶼を略奪しており、日本に対しても尖閣諸島の強奪をあからさまに表明している。
習近平氏の「中国の夢」とは清朝時代の領土の復活だから周りの諸国から見たら領土拡張運動だ。
こうした中国の動きはかつてのナチスドイツとおなじでドイツのオーストリア併合を彷彿させる。
習近平はヒットラーになろうとしているのではなかろうか・・・・・・・

 近隣諸国の緊張感は嫌が上にも高まっており、かつて中国の春秋戦国時代に秦の拡張主義を危惧した周辺国家群が合従連衡の策をとったが、現在版の合従連衡策が現れた。日本、オーストラリア、インドの対中国包囲網である。それを指導しているのが安倍首相であり、その同盟者がアボット首相である。
アボット首相が現れる前まではオーストラリアはすんでのところで韓国と同様な中国の属国になるところだった。
日本との間で捕鯨問題で角突き合わせたが、これもラッド政権が日本を切り捨てるための手段として利用したものである。

 13年から14年にかけて日本に安倍政権が誕生してから世界史の潮流が変わった。オーストラリアにアボット政権が誕生し、インドではモディ氏が首相に就任した。いずれも中国が仮想敵国と認識している政治家の連合であり、中国を太平洋とインド洋から締め上げる同盟である。
中国は今北にしかドアーが開かれていないためプーチン政権と協力を深めている。
しかしそのプーチン政権も西欧の封じ込めで経済的に疲弊している。

 こうして中国の冒険的拡張主義は安倍首相とアボット首相の努力で13年から14年にかけて封じ込めに成功した

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(27.2.6) 安倍首相を非難するなら対案を出せ。 イスラム国対応

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 共産党の池内沙織衆議院議員が「こんなにも許せないと心の底から思った政権はない。国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権、安倍政権の存続こそ言語同断とツイッターで発信した。私は最初「安倍政権」と「イスラム国」を間違って池内氏は発信したのではないかと思ったが、本人は信じられないことに本気だった。
共産党本部が慌ててこのツイッター記事を抹消させたが、池内議員はイスラム国こそが正義の味方で、イスラム国に拉致されたり拘束されたり逃げ出したりしている周辺国の人々を助ける安倍政権が「心の底から」許せないらしい。

 安倍首相は1月の中東の歴訪でエジプトで2億ドルの中東諸国に対する人道支援を表明したが、池内議員はこのことが湯川さんと後藤さんの殺害につながったと非難している。
イスラム国のような恐ろしい集団を刺激しちゃダメ、そっと相手の言うことを聞いて知らぬ顔の半兵衛を決め込むのよ。中東で日本人以外の誰が殺されても関係ないじゃない」ということなのだろう。
私は池内議員のような立場も一つの立場だと思うが、安倍首相のテロとの戦いに比較すれば、明らかに姑息で下劣な態度といえるだろう。

 野党の中にはこれを機会に安倍政権を追い詰めようとする野心が濃厚で、民主党の枝野幹事長は「人道支援表明が口実を与えるようなことにつながっていないかどうか検証していきたい」と述べていたし、小沢一郎氏は「本も敵だと捉えられても仕方ない。支援表明はイスラム国には宣戦布告といえる」とコメントした。

 枝野氏も小沢氏も「イスラム国はお友達」と思っているようだが、ヨルダンのパイロット、カサスベ氏がおりの中で生きたまま焼き殺されても「お友達」といい続けることができるか聞いてみたいものだ。
カサスベ氏はヨルダンで死刑を求刑されていたテロ犯との捕虜交換条件に利用されていたが、本人はすでに1月3日に焼き殺されていたらしい。

 死体でも捕虜交換に利用するイスラム国相手にどんな交渉も不可能で、唯一の方法は多額の身代金の支払いしかなかったが、これはアメリカやイギリスから固く禁じられていたので、日本政府としてはどうしようもなかったというのが実態だ。
ヨルダン政府が捕虜交換に応じてくれるか否かが後藤さん救出の最後の望みだったが、ヨルダン政府にはパイロット救出が優先で、しかも殺害された後では交換の仕様もない。

 池内議員は安倍政権をこき下ろしたが、それなら一体安倍政権がどうすれば「心の底から許せる」のか教えてもらいたいものだ。
従来のように多額の身代金を払うのが唯一の方法だというのだろうか。
そうした金は当然ライフルや戦車砲や地対空ミサイルに使用されて、紛争はさらに激化し周辺国の人々の生命や財産をさらに奪うことになるが、それこそが池内議員の望むことなのだろうか。
そうやって身代金を支払って二名が釈放されたら「こんなにも命を大事にする政権」だとほめようということなのだろうか。

 野党議員や週刊朝日や一部の元外交官が「安倍首相の人道支援表明が日本人二名の殺害につながった」と非難するならどうすればよかったか明確に言うべきだ。
絶対にテロ犯を非難していけない。常に妥協しろ。日本は人道支援などしない」と自身の責任で公表して見せれば、私は反対だがそれなりの態度表明になる。

 そうせずただ安倍首相の足を引っ張ることだけしかしない野党議員や週刊朝日や一部の元外交官の言動は実に腹立たしい。
世の中にはどうしても説得しても駄目な集団はいて、それに対抗するのは殲滅以外に手はないことはオウム真理教で学んだはずだ。
もう一度言う。安倍政権を非難するなら「ではどうすればよかったか」対案を示しその有効性について説明してほしいものだ。

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