(26.7.6) 再販制度の実質的崩壊 アマゾンを責めても何もならない!!
私は最近書籍購入はアマゾンしか利用しない。アマゾンで書籍を検索すれば必要な本は必ず見つかる。
しばらく前までは本屋を訪ね歩いてようやく目的の本を見つけて、「やれやれ、よかった」なんて気持ちになったものだが、今はそうしたストレスは全くなくなった。
私は8年前に会社を引退してから東京方面に行くことがほとんどなくなった。ここ千葉には東京駅近くの丸善や八重洲ブックセンターのような大型書店がないので、以来本を探すのにも四苦八苦したものだ。
しかしアマゾンのおかげで千葉の郊外に住んでいても書籍に関しては文化的差異は全くなくなっている。
注)アマゾンは2000年に日本に進出している。
だから私はアマゾンに心から感謝しているのだが、全員が全員感謝しているわけではなく、5日の毎日新聞の朝刊に、アマゾンの学生向けポイント還元サービス(アマゾンスチューデントといい実質10%の割引になる)が本の再販制度に違反すると抗議して5社の出版社がアマゾンへの本の出荷を停止していた。
私は聞いたことのない出版社ばかりだったが、これらの出版社が出している2700点の書籍の出荷を停止しているという。
注)再販制度とは生産者が価格を決定できる制度で書籍や雑誌に認められている。
私には実に不思議に思える光景だ。アマゾンは出版社ではなく書籍販売業者だがアマゾンのおかげで中小の出版物も検索で見つけることができるようになっている。じっさい今回アマゾンへ書籍販売を停止した出版社の売上の1割から2割はアマゾン経由だ。
もともと中小の出版社の書籍が本屋の店頭に並ぶことはほとんどなく、大手出版社の売れる書物しか積んでないのが普通だ。
本屋も商売だから売れることがほとんどない中小出版社の書物を積んでおく余裕などない。
だから中小の出版社にとってアマゾンこそは救世主のはずだ。
この5社は再販制度を維持して出版社と書店を守ると言っているが、実際は全国の本屋が次々につぶれている。10年前に約2万あった書店は今1万5千になって、ここ10年で25%減少した。
そしてこの減少スピードは今後とも加速化されて、丸善や紀伊国屋や八重洲ブックセンターのような大手書店以外は生き残るのが不可能だろうと思われている。
理由は読書人口の低下と、実際には再販制度のもとでもひどい価格破壊が行われているからだ。たとえばアマゾンで中古の書物を購入すると価格が1円のものまである。
「いくらなんでも1円では売ったら損失だけ出すのではなかろうか・・・・・」
私などは心配したが、実際はここにも経済法則が成り立っていて、売れ残った書籍を出版社からタダ同然で仕入れてきて1円で販売するのだが、アマゾンは1点257円(関東周辺)の郵送費を支払ってくれる。
ところがクロネコヤマトなどを使用すると郵送費が160円(A4サイズ、幅1cmの場合)程度なので100円程度のさやが取れるのだそうだ。
実際に中古の本を購入してみると古くはなっているが新品とさほど変わらない本が入手できるので、私は購入したい本がある場合はまず中古があるかを確認し、次に電子書籍になっているかどうかを確認し(紙の本より2割から3割安い)、最後にいたし方ない場合は新書を購入している。
「再販制度を守れ」と出版社や書店がいくら叫んでも実際は中古市場と電子書籍の市場が急拡大しており、どうにもならないというのが実情だ。
今回アマゾンに出荷停止した5社は日本出版社協議会95社のメンバーだが、あとの90社はこうした時代錯誤の動きには同調していない。
書籍、雑誌。新聞、音楽CDは再販制度に守られ作り手が価格を決定できるまれな業種だ。だが本を出版するのは従来は出版社だけだったが、現在ではインターネットの普及により私でさえ電子書籍を出版しており(出版社とは関係なく5冊出版している)、そうした動向に掉さして頑張ってみても所詮は犬の遠吠えで終わってしまうだろう。
注)私でさえ電子書籍の本を出版している経緯は以下に述べてある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/2521-kdp-cab8.html
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