(30.11.25) 日ロ平和条約は 二島返還で決着か!! 領土問題は過去の遺物
どうやら日ロ平和条約が締結される機運になってきた。安倍首相とプーチン大統領の間で1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約を締結するとの妥協が図られたようだ。
日ソ共同宣言とは歯舞と色丹の二島を日本に返還し、同時に平和条約を締結するというものである。
もともと日本は4島一括返還を主張してきたので明らかに日本の譲歩であるが、国後と択捉の返還はロシアの絶対譲れないところだから平和条約の締結などできない。
現在国後・択捉には1万2000人余りのロシア人が居住しているが、歯舞と色丹には国境警備隊員と少数のロシア人住民がいるだけである。
4島返還論者からは大ブーイングだが、実際はこうした島の価値はほとんどない。
ロシア人も極東の僻地の島に住むのには飽き飽きしており、若者はほとんど都市部に出てしまうので、島の人口は急速に減少している。
それは日本も同じで日本こそ世界最速の人口減小国で、東京、名古屋、大阪、福岡といった都市部以外は猛烈な人口減少に見舞われている。
政府は思い余って東京23区から地方に転出する人に300万円の補助金を出すとまで言い始めた。
北海道は人口減少の激しい地区の一つだが、その中でも東部と北部からは人が消えつつある。まだこうした場所の都市部ではピーク時から1割から2割の減少にとどまっているが、農村部や漁村部からは若者が消え、今住んでいる人の寿命がその地域の寿命になっているところが至る所にある。
北方4島は人が消えつつある北海道東部のさらに北にあり、気象条件が厳しく通常の日本人ならば絶対に住もうとしない場所だ。ロシア人でさえ辟易して消えつつあるのに日本人が(国境警備隊等の公務員を除けば)すむはずもない。
人口減少国の日本には北方4島よりはるかに気象条件がよい場所は至る所にあり、特に地方はガラガラに空いている。
21世紀は特に先進国や中進国で人口が減少する世紀だ。子供を産んで育てるにはあまりに多くの費用が掛かり、しかも育てたからと言って感謝されることはまれだ。
「いつ俺が産んでくれと頼んだ!!」なんて憎まれ口をたたかれるのがせいぜいだから、馬鹿高い費用をかけて子供を育てるインセンティブがなくなっている。
前にも書いたが、農業が主体の国では子供が労働力であり多ければ多いほど裕福になるが、先進国でサラリーマンが主体になると子供は馬鹿高い消費財であり、親にとっては何の利益もない。
だから結婚期の若者は結婚をせず子供を作らないから、人口は加速度的に減少する。
こんな時代に領土問題で固執するのはばかげたことであり、領土は狭いほうが国民一人当たりの所得が増える。
2017年度の一人当たりGDPは上から、ルクセンブルグ、スイス、マカオ、ノルウェー、アイスランド、カタールそしてようやくアメリカであり、大国が必ずしも裕福でないことがわかる。
いまだに領土にこだわるのは20世紀的発想で21世紀の人口低減時代には領土が広くても(そこに鉱物資源がある場合を除いて)なんの意味もない。
個人的な経験でも田舎に親から相続した家屋があっても邪魔なだけだし、別荘などは軽井沢でさえ場所が悪ければ100万以下でたたき売りされている。
21世紀の首相として安倍首相が日ソ共同宣言を基礎に平和条約の締結に向かおうとするのは当然のことなのだ。
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