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(28.2.27) 死ぬのはサウジかアメリカのシェール産業か!! サウジとの真昼の決闘

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  ますますひどい状況になってきた。シェールガス・オイル産業のことである。ほぼ2年ほど前までは我が世の春を謳歌していて、ほればいくらでも収益を上げられていたが14年夏を境に暗転し始めた。
中国経済がピークを打ち、原油をはじめあらゆる資源に対する需要が低迷し始め価格が急降下したからだ。

 それでも14年度はアメリカの大手シェールガス・オイル7社の決算を見ると、総計で1.3兆円の収益を上げていたが、15年にはいると一気に業況が悪化し4兆円の赤字に転落した。
稼働しているアメリカ全体のリグ数ピークの約1500から約400にと4分の1に激減し不採算のリグの稼働は停止されたが、それでも生産量はピーク時の950万バーレルからわずかに50万バーレル少なくなった900万バーレルの水準を維持している。

 リグ数が激減しているのに生産量がほとんど減らないのは、残ったリグは最も生産効率のいいリグで、しかも開発会社は多くの借金をしているためできる限り生産をして返済資金に充てようとしているからだ。
しかしいくら頑張っても30ドル前後の価格では50ドル前後がコストラインといわれているシェールガス・オイル産業は赤字を累積するほか手がなくなっている。
俺たちが死ぬか、サウジが悲鳴を上げて減産に乗り出すかデスマッチだ!!!」

注)アメリカのシェール業界が減産に乗り出せない理由は前に詳細に記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat52342835/index.html


 サウジは原油の価格維持のバランサーといわれていて、価格が下がればかつては減産をして価格を維持していたが、今なぜ減産に乗り出さないかは戦争経済に突入して金がいくらあっても足らないからだ。
それにこれを機会にアメリカのシェールガス・オイル産業を崩壊させようとしている。
従来サウジとアメリカは蜜月関係にあったがオバマ大統領になってからすっかり疎遠になり現在は敵対関係にある。

注)サウジアラビアが減産に乗り出せない実情は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/pppp-4.html


 オバマ大統領の戦略は中東からの撤退でそのためにはシーア派の盟主イランとの関係を改善しておかなければ撤退することもできない。
アメリカがイランの核開発を実質認める内容で手打ちをしたのはそのためだが、これにはスンニ派の盟主のサウジとイランと敵対関係にあったイスラエルが切れてしまった。
そうかい、アメリカがサウジやイスラエルを見捨てるというなら、こっちにも考えがある!!!」
そのサウジの回答がシェールガス・オイル産業つぶしのデスマッチということだ。

 アメリカとしては50兆円規模の資金を投下して育て上げ、21世紀の主要産業になると期待していたシェールガス・オイル産業に急ストップがかかってしまった。アメリカ経済はこのところ順調だったが、ここに来て暗雲がたち込めているのはこの産業が崩壊するかもしれないからだ。
先にIEA国際エネルギー機構)は16年、17年を通じて価格の上昇はないとの判断を下したが、そうなると30ドル前後で原油価格が推移することになる。
この価格で収益を上げることのできるシェールガス・オイル企業はないから、後二年もこの価格が続けば完全にアメリカのシェール産業が崩壊してしまうだろう。
だが今のところどちらも妥協しそうにない。はたしてサウジとのデスマッチはこのまま続くのだろうか。

よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し鴨長明の世界になろうとしている。

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(28.2.15) 今度はアメリカ経済がきな臭くなってきた。 シェールガス・オイル革命の終焉

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 従来順調な経済成長をしていると思われていたアメリカ経済が、特にシェールガスシェールオイル関連企業の業績悪化により先行きが怪しくなってきた。

シェールオイルについていえばアメリカの生産コストは1バーレル当たり50ドル前後といわれており、現状は26ドルから30ドルの間のため完全に採算割れしている。
すでにWBHエナジェーサムソン・リソーシーズといった企業がそれぞれ60億円程度の負債を抱えて倒産したが、これがこれから起こる倒産劇の始まりではないかと市場がおびえている。

 この業界は金融機関から資金を調達する場合、ほりだした原油の現物で返済するといった契約を取り交わしている場合が多く、原油価格が低下すると弁済のためにより多くの原油の生産をしなければならなくなる。
アメリカのシェールガスやシェールオイルの減産がなかなか進まないことの理由の一つがこの現物による弁済方法があり、価格が下がると増産しなければやっていけない。

 一体どのくらいの借金をしているかというと業界全体で約48兆円規模といわれており、その中で社債は約24兆円だが、この社債は高利回りのジャンク債だ。
それでもガスや原油が高かった14年夏までは全く問題なくいくらでも消化できたが、原油価格がピーク時の4分の1にまで落ちてしまうと利息の支払いすら困難になってくる。

 今年中に油田を止めるか倒産する業者の数は現在の約半分程度と想定されていて、アメリカがシェールガス・オイル革命で世界をりードすると言っていたのが反対に企業倒産の山を築きそうだ。
原油価格が戻らない最大の原因は協調減産を産油国ができないからだが、サウジアラビアが協調減産しないのはサウジが戦争経済に入っていて金がいくらあっても足りないのと、もう一つはこの際アメリカのシェールガスやオイル産業をたたきつぶしてしまおうとの意図があるからだ。

注)サウジアラビアの戦争経済については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/pppp-4.html

 サウジとアメリカは長い間同盟国だったが、アメリカがイランとの関係改善に乗り出し実質的に宿敵イランの核開発を認めたことからサウジが切れてしまった。
そうかい、ならアメリカのシェールガスやシェールオイル産業をたたきつぶしてやる。それでも平気かい!!」
何しろサウジの石油生産原価はせいぜい5ドル程度だ。

 アメリカ経済はこのシェールガスやオイル産業の隆盛で持っていたところがあったが、その産業基盤が崩壊し始めた。
金融機関の融資金の回収が危うくなり、社債は紙くずになる可能性があるが、さらに問題はこうしたジャンク債がディリバティブに組み込まれていることだ。
規模はサブプライムローンの4分の1程度と想定されていて前回のリーマンショック時よりは影響は限定的といわれているもののこうしたものは開けてみないと本当の影響は分からない。

 アメリカ経済がきな臭くなってきて、世界経済に完全に暗雲が漂っている。

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(26.10.15) 資源バブルの時代の終わり ついに原油価格が下がりだした

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 ここにきて原油価格が下げ止まらなくなった。
この6月にはWIT価格で1バーレル107ドルしていたのに直近時で82ドルと2割以上も低下している。
原因は錯綜しているが最大の要因は資金面と実需面で説明できる。

 資金面ではアメリカのFRBが昨年まで続けていた量的緩和策を段階的に縮小してきたことが大きい。
FRBは昨年まで850億ドル約9兆円)規模で毎月資金を市場に放出していた。担保は国債とサブプライムローン債権で、後者は完全に紙幣の印刷と変わりがない。
それがこの10月には150億ドルになり、11月にはゼロになりそうだ。

注)アメリカの金融緩和策の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-6d1d.html


 この影響はすさまじくヘッジファンドは利益が見込めない投資から足を洗いだした。具体的には原油や鉄鉱石や銅鉱石と言った資源関連の投資である。
特に最近になって下げ足が速いのが原油で、原油は現在過剰になりつつある。
アメリカはシェールガス革命で輸入国から輸出国になってしまうし、ヨーロッパ経済は全く不調でほとんど成長が止まって原油どころではない。
さらに中国は景気減速が著しくそれでも最近までは鉄鋼生産を続けてきたがついに減産に踏み切った。いくら生産しても需要者がいないのだから生産された鋼材は倉庫に積み上がりもはや置いておく場所もないくらいになっている。
鉄鋼だけでなく銅や非鉄金属も同じで最終需要者がなくなって生産しても売る先がない。
当然燃料の原油もいらなくなる。

 かくして世界中で資源を買いあさっていた中国企業がぱったりと新規購入を止め始めたので(資源は長期契約を結んでいるからすぐに輸入が激減はしないで新規の購入から減る)、世界中から中国人バイヤーが消えてしまった。
今でも天然ガスや石油を購入しているのは原発事故で原子力発電を火力発電に変えねばならない日本ぐらいだ。

注)資源バブル時代が終わったことは前にも記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/26101-07f3.html

 潮目が変わったのだ。中国は怒涛のごとき経済成長を遂げていたがそれも限界がきた。日本の経済成長は1990年初めのバブル崩壊で収束したが、中国経済も不動産バブルの崩壊で今収束しつつある。
中国のどの大都市でも閑古鳥が鳴いている新興住宅街が林立し、ちょうどバブル崩壊後の日本住宅公団の団地ようになってしまった。

注)中国の不動産市場の崩壊については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/nh-dfe6.html

 中国のGDPは見かけ上7.5%程度と著しいが、これは統計のマジックであって中国では生産すればそれが売れようが売れまいがGDPにカウントしている。
これは中国が社会主義国家だったころからの統計手法で、社会主義国家の計画経済では生産されたものはすべて売れるとの前提に立っている。
だからマンションが建設されれば当然GDPにカウントされるが、実際は販売されないため販売会社(融資平台という第三セクター)には累積赤字が雪だるま式につみあがる。

 かくして資金面と実需面の両者の要因で世界の資源価格がここに来て失速し、もはや資源の時代が終わったことを示している。原発事故で火力発電に頼りっきりの日本にとっては思わぬプレゼントがされたのと同じだ。

 


 

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(26.10.1) 資源バブル時代の終わり 住友商事の果敢な撤退

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 ここに来て日本企業の資源戦略に転換期が訪れたようだ。住友商事がアメリカのシェールオイル事業1700億円の減損を計上し、それ以外にブラジルの鉄鉱石事業で500億円オーストラリアの石炭事業で300億円等合計で2400億円の減損処理を実施するという。

 減損処理とはあまり聞きなれない言葉だが、ほとんど評価損と同じ意味でたとえば不動産を100億円で購入したが市況が悪化して50億円でしか販売できないと判断した段階で50億円の損失を計上する。ただし厳密に言うと減損処理は固定資産について行うことが多い

 住友商事にとってはひどい誤算だ。特にシェールオイル事業は2012年に投資をした案件でわずか2年で失敗を認めることになった。現経営者の経営責任を問われても仕方がない案件だが、一方で果敢に減損処理を実施して資源戦略を見直そうとの態度は評価できる。

  今年に入ってから資源価格はいずれも低下局面に入ったがその最大の要因は中国が資源の輸入量や投資を手控え始めたからだ。
それまで中国は世界の石油、鉄鉱石、石炭を買いあさっていたが中国経済が急ストップしてしまったために最終需要がなくなっている。

注1)鉄鉱石価格の推移は以下参照
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_piorecr.html

注2)石炭価格の推移は以下参照
http://ecodb.net/pcp/imf_usd_pcoalau.html

 もちろんそれでも中国鉄鋼メーカーなどは売れなくても生産をし続けたがただ在庫が増大するばかりで日本だったら倒産してしまう。
しかし中国は主要産業が国有だから政府から赤字資金の手当てができるので全く気にせず生産を続けてきた。
ちょうど昔の日本の国鉄が旅客がいようといまいとお構いなしに列車を走らせていたのに似ている。
見よ、倉庫にはこれだけ鋼管がつみあがっている。だから我が国の経済は順風漫歩だ

注)中国の統計処理では生産を行うとそれをGDP統計に計上している。売れるかどうかはお構いなしなのだ。

 しかしさすがに使われない鋼管を作り続けることに疑問を持ち始めた。第一保管する場所がなくなる。
もしかしたら生産を縮小する必要があるのではないだろうか・・・・・
こうして世界中から中国人バイヤーの陰が消えつつある。

注)原油価格が低下し始めた原因分析は先に行っておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-03c8.html

 住友商事はこうした世界の資源戦争の動向を見抜いて、さっさと撤退したといえる。住友商事以外でも伊藤忠大阪ガスが14年3月期にシェールガス関連で同額の290億円の減損処理をしていたが、それに比べると住友商事の判断はドラスティックだ。
もはや資源の時代は終わった
私は「さすが関西系の商売人で利にさとい」とこの判断に感心した。

 かつて日本が不動産バブルにまみれていたころ、どの土地を購入しても価格は上昇したが、バブルがはじければ富を生まない不動産以外は急落した。
今までねこも杓子もシェールガスや鉄鉱石や石炭に殺到していたが、中国経済の失速に伴い世界的な資源バブルの時代は終わったと言っていい。

別件)第4回ちはら台・おゆみ野ハーフマラソンのお知らせ(一部コースの変更)。

以下の日程でハーフマラソンを開催いたします。
① 10月5日(日曜日)
② 午前10時スタート(雨天決行.受付は9時半から)
③ スタート・ゴール ちはら台走友会のかずさの道の集合場所(前回と同じでセンドーのうえ。地図参照)

下記のルートを一部変更しております。当日かずさ道で敬老会が行われるそうで調整を行ったものです。具体的なルート変更は当日説明いたします(26.9.28)。


ルートは以下の地図で確認できます

http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=6d18ea2157947c484ad9c4ec04b246ef
④ 費用300円(実費)
⑤ 参加希望者はこのブログのコメントかメール機能を使用して参加希望を連絡してください。

⑥ なお本大会はすべて自己責任です。

 

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(25.6.5) NHK「エネルギー争奪戦、日本の逆襲」 天然ガスの時代

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 私が好んでNHKスペシャルを見るのは時に非常に優れた番組を放送するからだ。
今回の「エネルギー争奪戦、日本の逆襲」もそうしたNHKでなければできない番組と言える。日本の商社がアメリカとロシアを相手にLNG(液化天然ガス)獲得競争をしている現状をリアルタイムで教えてくれた。

 現在の日本の苦境に火力発電所用のLNGの価格が飛びぬけて高く、世界でジャパン・プレミアムと言われている現状がある。
なぜ日本の輸入するLNG価格が高いかというと、従来から日本の電力会社は価格引き下げ交渉をまともにしてこなかった
価格などいくらでもいいのだ。燃料費が上がればそれをそのまま消費者に転嫁できるのだから、安定供給をしてくれる相手ならどんな価格でもいい

注)電力会社の体質については、東電を例に分析しておいた。なぜ高額なLNGを輸入しても平気だったかが分かる。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-f255.html

 もう一つの原因は福島原発事故以降、電力会社はカタール詣でをして量の確保に狂奔したこともあって、供給者の言い値の価格になってしまった。
現在のLNGは単位当たりの価格はヨーロッパの12ドルに対して、日本は16ドル3割以上も高額になっている。

注)なおアメリカの価格は4ドルだが、これはLNGにしなくてそのまま天然ガスを利用しているから。天然ガスはマイナス162度で液化する。日本に運ぶ場合はパイプラインがないからこの液化措置がどうしても必要になり、アメリカから購入する場合でも(液化費用を含めると)10ドル〜12ドル程度の価格になる。

 現在日本は年間6兆円のLNGを輸入しており、このことが日本の貿易収支を赤字にする大きな原因になっている。
アメリカのシェールガスを何とか輸入できないものだろうか」それが日本の悲願だ。
アメリカの産出量は年々増加しており、現状は日本の年間使用量の6倍程度の生産が可能になり世界最大の天然ガス産出国になった。
おかげでアメリカでは石油化学工業がこの安価な天然ガスを利用して大復活している。

 従来アメリカは天然ガスをアメリカとのFTATPP)締結国だけに輸出を許可する方針だったが、あまりに急激な生産量の増大で、日本にも輸出を解禁することにした。
だがアメリカのシェールガス生産者の思惑は、ジャパンプレミアム価格での販売であり、一方日本の輸入商社の思惑はヨーロッパ並みの価格だから、価格面での齟齬は大きい

注)住友商事はアメリカから安価なLNGを調達するための手段として、テキサスからアメリカ東海岸まで太いパイプラインを引く計画を立てていた。
こうしたパイプラインの建設やLNG液化設備の建設には3〜4年程度かかるので、輸入は早くて2017年ごろになる。


 一方もう一つの天然ガス産出国で、天然ガスを武器に世界戦略を練ってきたロシアがシェールガス革命でピンチに陥ってきた。
アメリカが天然ガスの輸入を止め輸出国になると、それまでアメリカにLNGを輸出していたカタールのような湾岸諸国が、このLNGを12ドル程度の安価な価格でヨーロッパに販売し始めた。
従来ユーロッパはほとんどロシアからの天然ガスの輸入に頼っていたので「もうバカ高いロシアの天然ガスを使用しないで済むし、ロシアからの政治的圧力から解放される」とばかり、輸入先を変えたのでロシア経済は大ピンチに陥った。

注)ロシアが天然ガスを武器にウクライナを脅しつけた経緯は以下に記載しておいた。http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/2117-a928.html

 プーチン大統領がエネルギー関係閣僚を招集して「このままでは我が国の国家予算を賄うことができない。日本やその他アジアに販路を拡大しろ」とはっぱをかけた。
何しろロシアの国家予算の半分はエネルギー販売企業からの上がりだから昨年は数百億ルーブルの予算不足に陥ってしまった。

注)ロシアのエネルギー関連企業は民間企業ではなく、国策企業でそこの収益は即国家の収益になる。

 4月に行われた日露首脳会談は安い天然ガスを調達したい日本と、何とか販路を開拓し高い価格で天然ガスを売りたいロシアとの同床異夢だが、一方でそれまではあり得なかったほどの蜜月関係を演出していた。
ロシアと日本は良きパートナーじゃないか。経済で結びついて主敵の中国を包囲しよう
日本とロシアはウラジオストックで日露合弁のLNG会社を設立することになり、これでロシアはサハリンと東シベリアの天然ガスの輸出拠点を確保できそうだ。

注)こちらは伊藤忠商事が食い込んでいたが、単に価格引き下げ交渉だけではだめで、ロシアの工業の近代化を図る手立てを日本とロシア間で行うことで、価格交渉力を持ちたいというのが伊藤忠商事の戦略になっていいる。

 このように商社(と資源エネルギー庁)は国家戦略としてアメリカとロシアに標準を合わせて食い込んでいるが、もう一つの戦略は熱エネルギーの効率的使用が可能になるガスタービンの開発だという。

 現在のガスタービンの平均的な利用率は40%程度で、あとの60%は無駄に空中にエネルギーを放出している(これが地球温暖化の原因にもなっている)。
これを60%程度まで引き上げるGTCCという技術を日本の三菱重工業GE+東芝連合軍の間で開発競争が行われていた。
三菱重工業は61%、GEは62%の効率化に成功したというから、今ある電力会社のタービンをすべてGTSSに変えれば、天然ガスを16ドルから12ドルに引き下げをしたのと同じ程度の効果年間1兆円の燃料費の削減)ができるという。

 40年前石油ショックを乗り切ってその後大発展した日本だが、今回の天然ガスショックを再び乗り切ることができるだろうか。
苦しんでいる日本に、確かにチャンスが巡ってきたと言える。アメリカとロシアから安価な天然ガスの輸入が可能になり、一方でGTCCという省エネ技術が浸透すれば、日本を悩ましている燃料費の増大による国家の衰亡から免れることができる。

 しばらく前までは原子力を制する者が世界を制すると思われていたが、福島の原発事故以来天然ガスを制する者が世界を制するという状況になっている。
日本の逆襲がぜひ成功してもらいたいものだと心から思っているとともに、この現状をつぶさに報告してくれたNHKに感謝したい。

注)シェールガス革命については以下にまとめて記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat52342835/index.html

 

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(25.2.2) シェールガス革命と第3次ウクライナ・ロシア天然ガス紛争

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  第3次ウクライナ・ロシア天然ガス紛争
が始まった。
ウクライナが1991年にソビエトから独立しロシアと対抗関係になって以来、06年09年とロシアの供給制限による脅しが続いたが今度はウクライナがロシアを脅す番になった。

 現在ウクライナはロシアの締め付けで1000㎥あたり430ドルという欧州市場価格で天然ガスを供給されている。ウクライナとしてはこれを何とか優遇価格で供給してもらいたいと交渉してきたが、ロシアの条件はロシア版TPP関税同盟に加入することだった。
これに豪を煮やしたヤヌコービッチ大統領が石油メジャー、ロイヤル・ダッチ・シェルとシェールガスの開発に乗り出すことにした。
ロシアさん、値下げをしないならいいですよ。わが国はシェールガスを採掘してそのうちにロシアに売ってあげますから

注)天然ガスの価格推移は以下のグラフ参照
http://ecodb.net/pcp/imf_group_ngas.html#index01

 シェルとの契約内容はシェルが約1兆円の投資をしてロシアとの国境に近いユゾフスクガス田を開発し、生産量を折半する契約で期限は50年である。
現在ウクライナは国内で消費する燃料の約半分をロシアから天然ガスとして供給してもらっているが、ウクライナとロシアは犬猿の仲だ。

 私のようにウクライナはロシア人の国だ誤解していたものからするとこの両国の紛争は何とも合点がいかなかったが、ちょうど日本と韓国のような関係だと理解できてようやく合点がいった。

 もともとといっても13世紀ごろウクライナにはキエフ公国という国家があったが、この国がモンゴルの馬蹄の前に崩れると14世紀にモンゴルを追い出したモスクワ大公国が近隣諸国を植民地にしながら拡大し、この過程でウクライナはロシアに併合された。
元々はウクライナのほうが文明国だったのに蒙古に押しつぶされた間隙をぬって、あの文明度の低いロシアがわれわれを支配した」というのがウクライナ人の気持ちだ。

 もっともソビエト崩壊後はともに経済が低迷したこともあり両国の関係が先鋭化することはなかった。ウクライナが明らかにロシア離れようとしたのは2005年オレンジ革命ユシチェンコが大統領ダイオキシンを呑まされて顔がお岩さんのようになった大統領)になってからである。
我々は西欧の国家であり、EUとともに歩む」とユシチェンコが宣言したため、プーチンの怒りを買った。

そうかい、それなら天然ガスの価格は市場価格にしてもらいましょう!!」
それまでの優遇価格を改めて西欧各国に輸出していた価格にあげた。
06年09年にロシアがウクライナへの天然ガスの供給を止め、一方ウクライナはウクライナ経由東欧諸国行きの天然ガスを抜き取って自国の燃料に当てたため大騒ぎになってしまった。

注)この間のウクライナとロシアの紛争は以下の記事で記載しておいた。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/2117-a928.html

 この09年の騒動で結果的に1000㎥当たり430ドルの市場価格になったのだが、収まらないのはウクライナ側で「それなら天然ガスをそっと抜き取って価格を実質的に下げてしまおう」といつもの窃盗行為に及んだ。
いくら価格を上げても黙って天然ガスを抜き取られてはプーチンも歯軋りするだけだ。

 現在ロシアの天然ガス会社ガスプロムがウクライナに70億ドル7000億円)の違約金を請求しているが、その根拠は「契約通りのガスの利用をしなかったから」というのだが、実際は黙って抜き取っているのだからこの窃盗に対する対価を求めているのだ。

 ウクライナは貧しい国だ。人口は韓国並みだが、一人当たりGDPは韓国の3分の1程度だ。ソビエト時代は重化学工業と農業の中心地だったが、前者は安い天然ガスを利用していたことでかろうじて競争力を維持し、後者はロシアの胃袋を満たすために農民は農奴のような生活をしていた。

 未だに1991年の建国時のGDPを超えることなく低迷しているウクライナ経済にとって国際価格で天然ガスを購入できる力はない。
そのため常にロシアと天然ガスの価格交渉でトラブルを起こしてきたがウクライナは最後の切り札を切ってきた。
ロシアがなくてもシェールガスがある

 ヨーロッパはフランスやドイツは環境問題があってシェールガスの開発に消極的だが、ロシアに脅されっぱなしのウクライナポーランドはシェールガスという切り札をちらつかせてロシアに対抗しようとしている。

 プーチンも恫喝だけでは限界があるので、福島原発の影響でまったく原子力発電が停止した日本に秋波を送ってきている。
これからは日本さん、仲良く経済交流をしましょう。いくらでも天然ガスを供給しますよ
シェールガス革命の影響はこうして日本にも及んでいる。

なお、シェールガスに関する記事は以下に纏めて入っております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat52342835/index.html

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私は過去に書いてきたブログを纏めて本にする作業を始めました。月に2冊程度の割合で出版いたします。KindleのKDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング)を利用していますので、電子書籍の端末を持っている方はアマゾンで購入できます。

 出版済み
・ロドリゴ巡礼日誌  定価 99円(サンチャゴ巡礼フランス道の記事です)
・ロドリゴ 失敗記  定価 99円(若者が人生に失敗しないための指南書)

なお出版の経緯については以下に詳述してあります。

http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-1b22.html

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(25.1.9) クローズアップ現代 エネルギー大変革 岐路に立つ日本の資源戦略

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  人間長く生きていると何が起こるか分からないものだ。
今アメリカでエネルギー革命が起こった結果、信じられないことに世界の化学関連メーカー肥料・薬品・液晶)やエネルギーを多消費する鉄鋼製紙産業が大挙してアメリカに回帰していると言う。

注)テキサスにダウ・ケミカルやドイツのBASF、日本のクラレが工場を建設していた。

 19世紀末にアメリカはその豊富な石油資源で世界の工場となったが、21世紀になって、シェールガス・オイル革命で今また世界の工場になろうとしている。
20世紀は安い労賃を求めて中国や新興国に殺到していた企業が、今は安いエネルギーを求めてアメリカに殺到している。

注)シェールガス革命の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-7968.html


 新春のクローズアップ現代は特集で「エネルギー大変革 岐路に立つ日本の資源戦略」と言う番組だった。
出演者はおなじみの日本総研理事長の寺島実朗氏と、日本エネルギー総研の小山堅氏、それと立正大学教授の蓮見雄氏だった。

 アメリカのシェールガスの生産増大はすさまじく、現在天然ガスの4割を占め2020年ごろにはサウジアラビアを抜いて世界最大の石油・天然ガス産出国になると言う。
アメリカでは天然ガスの価格は驚異的に低下しており、2008年13ドルだった価格が今は3ドルで、実に4分の1になっている。
現在世界最大の石油輸入国はアメリカだが、そのアメリカが近い将来輸出国に変るのだから中東ロシアと言ったこれまでの石油・天然ガス産出国に対するインパクトは途方もなく大きい。

 アメリカは徐々に中東に興味を示さなくなり、石油のシーレーンも守る積極的な意思もなくなる。
シリアもイラクもアフガニスタンもイランも勝手にやってくれ。俺は知らん」と言う日がみじかに迫っている。

 ロシアは今まで主として天然ガスをパイプラインで西欧諸国に供給してきたが、安いシェールガスが現れたり、ドイツを中心に再生可能エネルギーの開発が進み西欧がお得意さまであった時代が終ろうとしている。
最近はヨーロッパから価格引下げの圧力が強くそれに応じなければ西欧は「他の代替エネルギーを使用する」と脅しており、まったく攻守交替してしまった。

注)最近までロシアは天然ガスと石油を武器にロシア離れをしているウクライナやポーランドを恐喝していたが、それも過去のことになりつつある。
なおロシアとウクライナの天然ガス戦争の詳細は以下参照

http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/2117-a928.html

 ロシアのプーチン大統領が盛んに日本に対しエールを送っているのはただ世界の中で一人液化天然ガスを大量に輸入しているからで、これは福島原発の事故で日本の原発がほとんど稼動できなくなっているからだ。
サハリンと東シベリアから天然ガスを供給します。日本は是非ロシアにLNGの施設を建設し、化学工場を建設してください」いつの間にか日本はロシアのパートナー扱いだ。

注)天然ガスの価格は地域性があって、現在アメリカは3ドル、西欧が10ドル、日本が18ドル(液化して運ぶ費用を含む)になっている。日本のLNGの価格が高いのはカタールに足元を見られているからで、日本の発電所のほぼ90%がLNGを使用した火力で発電している。
なお天然ガスを液化したのがLNG.


 中東では近い将来石油が見向きもされなくなることを見越してカタールは先端産業の誘致を積極的に行っており、世界の優秀な科学者や研究者を高給でリクルートしている(その費用は日本が出しているようなものだ)。

 21世紀の世界はアメリカが再び製造業王国に変り、中国や新興国は労賃の安さだけでは対抗できなくなって埋没していき、中東やロシアはその資源価値を減少させ資源外交が意味を持たなくなる世界になりそうだ。

 そうした中で日本のエネルギー戦略は残念ながら混迷を極めている。
福島の事故があるまでは将来のエネルギーの約半分を原発で占める計画だったが、現在は2基が稼動しているだけだ。
前政権の計画では将来はほぼゼロになる(現在安倍内閣は見直しを検討中)。

 約半分を担うはずだった原発が稼動しないとなると、火力発電に頼らざる得ないが、現在のLNGの価格は飛びぬけて高く(長期契約は石油価格に連動している)、LNGの支払いで年間の貿易赤字が6兆円規模に膨らんでいる。
まだ経常収支所得収支があるから黒字だが、黒字幅は年々縮小してそのうちに経常収支も赤字になれば海外からLNGを調達することも不可能になってしまう。

注)経常収支の推移は以下のグラフで確認してください。
http://www.jiji.com/jc/v?p=ve_eco_bop-balance

 現在最も有望なのはアメリカから安いシェールガスを購入することで、天然ガスを液化して日本に運べば9ドル程度3ドル+輸送費等6ドル)には抑えられるはずだ。
これなら燃料費が半分になるのだが、アメリカは日本がTPPに参入する条件闘争にシェールガスを使っているので一筋縄では行きそうもない。

 このまま行けば日本はエネルギー資源獲得で国力を消耗してしまうので、原子力発電をゼロにする戦略を中止するか、TPPに加入にてアメリカから安いシェールガスを供給してもらうか、独自にオイルサンド等の開発を行うか国家の存亡をかけた選択を迫られている。

注)再生可能エネルギーのウェイトを高めることはできるが、これが最も高価なエネルギーでやればやるほど燃料代は高くなる。

なおシェールガス革命の記事は以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat52342835/index.html

 


 

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(24.12.20) 石油時代の終わりとシェールガス革命 世界が変ろうとしている!!

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  時代の流れが速すぎるとその中にいるときは何が起こっているか分からないものだ。
今急速に石油の時代が終り、ガスの時代に移ろうとしているが、そのことを明確に認識している人は少ない。
先日来長谷川慶太郎氏の「シェールガス革命で世界は激変する」と言う本を読んでその感を深くした。

 シェールガスと言っても普通の人は「天然ガスとどう違うの?」と言う感度のはずだ。
実は天然ガスシェールガスも成分はまったく同じで、単に採掘の仕方が異なるだけだ。
天然ガスは地下の岩盤層の割れ目の隙間に大量にたまっているので、そこに鉄パイプを打ち込めば吹き出てくる。
それに対しシェールガスシェール層と言う泥岩の一種に閉じ込められているため、高水圧で岩盤を砕いて割れ目を作って岩とガスを分離し、そこからシェールガス(天然ガスを採掘している。

注)シェールガスそのものについての詳細な説明については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/23520-d5f1.html

 技術的にはシェールガスの採掘が圧倒的に難しいので長い間その採掘を諦めていた。
しかし21世紀に入り原油価格が暴騰しそれにあわせて天然ガスの価格も暴騰するようになると、シェールガスを採掘しても採算が合うことになった。

注)長らく1バーレル30ドル程度で安定していた原油価格は08年まで一本調子で高騰しピーク時は147ドル程度まで上昇した。

 そしてこれが一番大事なことだが、シェールガスはシェール層のある場所ならどこにでも存在し、アメリカ、中国、アルゼンチン、メキシコといったそれまでは産油国とは言いがたかった国で大量に産出することが分かってきた。
シェール層は泥岩が固まったものだから大河が運んできた泥が集積している場所ならばどこにでもシェールガスが存在する

注)アメリカではミシシッピ川、中国には黄河や長江、アルゼンチンにはラプラタ川等がある。

 しかも驚くべきことにその埋蔵量はほとんど無限で現在分かっているだけでも採掘可能量は世界の使用量の60年分、技術開発が進めば239年分存在すると言うのだからすさまじい。
アメリカではエクソン・モービルと言ったメジャー資本がこの採掘に乗り出して、現在アメリカの天然ガス使用量の23%(2010年まで拡大し、アメリカは世界最大の天然ガス産出国シェールガスを含む)になってしまった。そして今後どこまで生産拡大するかわからないような状況になっている。

  さらに驚くべきことには技術開発が進んでアメリカではシェールガス(天然ガス)の価格が劇的に下がってきた。
100万BTU(英国熱量単位)で従来は15ドル前後だったのが、現在は4ドル前後に値下がりしている。

 現在シェールガスはアメリカの国内法でFTA締結国以外には輸出できないが、オバマ政権は輸出振興のために日本等への輸出を検討し始めた。
現在日本はLNG(液化天然ガス)を16ドル程度の世界最高価格で輸入しており、これが日本の貿易収支をひどく圧迫している。

注)日本の貿易収支の現状とシェールガスの関係は以下に記載しておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/post-dd1f.html

 
現在原油価格が軟調なのはアメリカが原油の輸入を減少させそうだからで、シェールガスの生産が増えれば増えるほど原油価格は低下する。
そうなると地政学的な大変革が起こり、以下のように纏められる(
燃料としては原油とガスは代替関係にある)。

① 原油価格と天然ガスの価格低下は資源国(中東、ロシア)等の地位が相対的に低下する。

② シェールガス革命により天然ガスの価格が低下すると、最も安価な熱資源は天然ガスになり、火力発電所のウェイトが高くなる。

③ それまで最も安価と言われてきた原子力は高価な発電施設になり、また太陽光や風力発電に対する需要も激減する。

④ 石油よりガスの時代になって石油化学の位置が相対的に低下しガス化学の時代になる。

⑤ 自動車はガス自動車が主力になる可能性が高い。

 
19世紀が石炭の時代、20世紀が石油の時代だとすると、21世紀はガスの時代になる(原子力や自然エネルギーの時代ではない)。
何しろシェールガスは世界のほとんどの場所に存在し、埋蔵量は無限大で価格は何よりも安いのだから最高の熱量だ。
おそらくここ10年のあいだに、誰の目にもシェールガス革命が明らかになるだろう。

注)天然ガスとLNGの価格の推移については以下のグラフ参照。日本だけが突出して高価なLNGを購入しているのが分かる。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4124.html

 

 

 

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(24.5.23) アメリカのシェールオイル革命 世界NO1であり続けるために

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 アメリカという国は自身が世界NO1でいつづけるためには、新産業の掘り起こしに実に熱心に取り組む国だと感心してしまった。
そのことをNHKのドキュメンタリーWAVEが「シェールオイルを掘り起こせ 新たな石油鉱床の衝撃」で放映していた。

 放送では北米のノースダコタ州にあるウイリストンという人口1万の町が石油ブームに沸いて人口が2万人になり、全米で失業率が1%と最も若者が生き生きとして働いている町になっていると伝えたものだ。
石油関連事業に従事している従業員の年収は平均で8万ドル640万円)、多い人は15万ドル1200万円)程度は稼ぎ、マイキャンプと言われる簡易宿舎で働くことだけを目的に寝起きをしていた。

 この町でシェールオイル革命が行われているからだが、このシェールオイル革命とはアメリカを世界最大の天然ガス産出国に変えたシェールガス革命のオイル版である。
現在石油産出国はロシア、サウジアラビアの順だが、それが近い将来アメリカが世界最大のオイル産出国になると言う。
アメリカは天然ガスと石油で世界をリードすると言う内容である。

注)なおシェールガス革命については以下の記事を参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/221022.html


 一般に石油の掘削というと原油がたまっている地下に垂直にパイプ通してくみ上げるのだが、シェールオイルはシェール層という固い岩盤の中の穴の中に点在して存在しているため、今までの掘削技術ではこれを取り出すことができなかった。

 しかしアメリカはテクノロジーの国だ。
二つのテクノロジーによってシェールオイルのくみ出しに成功した。
一つは岩盤を横にパイプを這わせる技術で、地下3000mのシェール層にたどり着くと、今度はそこから左右にそれぞれ3000m、合計6000mの横穴を掘っていた。
二つ目はフラッキングと言う技術で、この6000mのパイプに穴を開け、ここに一気に高圧の水を注入してシェール層を砕き、砕いた亀裂から石油をパイプを通して集める技術である。
なにか私のイメージはうるし職人が漆の木に傷を付けて漆の採集をしているがそれに近いイメージだ。

 最もこの新技術に問題がないわけでなく2つの問題が存在している。
一つは経済的な課題で、パイプを横に通したりフラッキングで大量の水と薬品を注入したりするため掘削に非常にコストがかかることだ。現在のコストがバーレル70ドル~80ドルと言うから相当高い。
石油価格が100ドル前後で推移しているから可能な掘削方法で、これがリーマンショックのすぐ後のようにバーレル30ドルになってしまうと採算割れをして誰も石油を掘らなくなってしまう。
「今がチャンスだ。この時期に掘らなければいつ掘るのだ」石油会社のオーナーがはっぱをかけていた。

注)サウジアラビアではバーレルあたりのコストは5ドルとほとんどタダのような値段で掘削している。

 もう一つは環境問題で、実はかなり課題が大きい。地下3000mとはいえそこの岩盤を粉々に砕いており、さらに内容が公表されていない化学薬品を大量に使用している。
砕かれた岩盤の割れ目を通って地下からメタンガスや使用された化学薬品が地表に染み出すようになっており、映像では地下水の蛇口にマッチを近づけると水が燃え出していた。
また牧場経営が成り立たなくなるような塩分の噴出しの場面が紹介されている。

 そのため現在わが世の春を謳歌しているオイル生産者の最大の危惧は連邦政府が環境問題を重視してこの石油掘削法にストップをかけるのではないかということだが、私はそうはならないと思う。
裁判で争えば牧場主は相応の弁済を得るだろうが、連邦政府は中立的な立場をとって民事訴訟には介入しないだろう

 なぜならアメリカが世界NO1であるためには、どうしてもシェールオイルとシェールガスは必要だし、何よりも雇用を確保できるし、税収さえも望める。
オバマ大統領にとって景気と雇用こそが再選の条件だ。
だからたとえ環境に悪影響があっても(環境保護団体は不満だろうが)、新産業の腰の骨を折るようなことはしないと私は思っている。

なお、アメリカ経済については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43809971/index.html

 
 

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(23.5.20) 原子力発電の終焉とシェールガス革命

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 NHKのワールドWave トゥナイトの特集「シェールガス革命」を見て、日本の原子力発電の時代が完全に終わったと確信してしまった。
福島第一原発のあと浜岡原発が停止され、さらに他の停止中の原発は再開するに当たって周辺自治体の同意が得られそうもない。
想定外を想定して対策を採れ」と言われてもとりようがないからだ。

 日本における原発が次々に閉鎖されるとして果たして次のエネルギー資源はあるのかと思っていたら、信じられないようなエネルギー革命が進展していた。
シェールガス革命」と言われるエネルギー革命がそれで、世界中に存在するシェール層と言う岩盤から天然ガスが産出できるのだという。

 シェール層と言われても何のことかわからないが、地下1000m~3000m付近まで厚く堆積している泥岩層でその隙間に天然ガスが閉じ込められているのだと言う。
従来はこの層から天然ガスを取り出すことは資金的にも技術的にも難しかった。
しかしアメリカが技術開発に熱心に取り組んだ結果、水圧破水法と言う技術が開発されて天然ガスの取出しが可能になった。

注)水圧破水法はまず垂直にシェール層までパイプを打ち込み、シェール層に届いたら今度はパイプを水平方向に伸ばし、その先から水と化学物質を噴出して岩盤を粉砕し閉じ込められていた天然ガスを採掘する方法。
従来はパイプを水平方向に伸ばすことができなかった。


 オバマ大統領は「今後100年間の天然ガス需要をまかなえる」と喜色満面で演説していたが、このシェールガスの埋蔵量は調査をするたびに急拡大している。
簡単に言えばシェール層があるところには天然ガスありと言う状況でアメリカ、カナダ、北ヨーロッパ、中国、ブラジル等今まで天然ガスの生産ができなかった地域でも埋蔵が確認されている。

注)日本にはシェール層と言う岩盤がないのでシェールガスの埋蔵は期待できない。

 現在シェールガスを実際に採掘して商業生産に載せているのはアメリカだけだが、すでにアメリカ国内の天然ガスの20%がシェールガスで、今後この割合は45%程度まで拡大できると言う。
おかげでアメリカは09年にロシアを抜いて世界最大の天然ガス産出国になって、輸出まで始めてしまった。

 この状況に驚いたのがロシアとカタールで、カタールはアメリカ向けに開発していたLNG液化天然ガス)を仕方なく西欧向けに変更したが、このためこの地域で独占的地位を占めていたロシアの天然ガスが駆逐され始めた。

 ロシアはあわてて天然ガスの輸出先を日本、韓国、中国と言ったアジアにシフトさせようとしているものの、中国はアメリカと共同で自国内でシェールガス生産に乗り出す可能性が高い。
大変だ、このままでは天然ガスは世界中に溢れてしまう」従来の産出国であるロシアと中東が大騒ぎをしている。

 おかげで天然ガスのスポット価格は劇的に下がり08年7月の14ドル100万BTS)から最近は4ドル程度になってしまった。これは2000年以前の価格に近い。

注)スポット価格は下がったが長期契約の場合は8ドル程度。

2356_019

 思えばこのシェールガス革命は日本にとって信じられないようなベストタイミングで進展している。福島原発事故で日本の原子力発電は実質的に息の根を止められたが、代わりにこのシェールガスを使用した火力発電所の可能性が大きく開けてきたからだ。

 シェールガスの開発が進めば進むほど、世界は天然ガスを基本エネルギーとして使用するようになり、石油と原子力に依存するエネルギー体系が崩れる。
なにしろ天然ガスは石炭に比べてCO2の排出量が2分の1程度のクリーンエネルギーと言われている。そして埋蔵量は無限大だ。

 アメリカ、カナダ、中国、そしてロシアにいじめられぱなっしのポーランドがこのシェールガス開発に熱心になっている。技術はすべてアメリカのものだから、アメリカはこのシェールガス革命を先導することで落ち目の覇権を維持できる可能性がある。
石油の時代が終わった、これからはシェールガスだ」という訳だ。

注)シェールガスが石油に完全に代替することはないが火力発電所の燃料としては代替できる。

 日本も商社がカナダでシェールガス生産に乗り出そうとしており、シェールガスの未来は明るい。
問題は環境問題で採掘現場に近い地下水がメタンガス(天然ガスの主成分だが人体に対する影響はない)で汚染されると言う問題がある。シェール層から天然ガスが漏れ出すためらしい。

 フランスはこの環境問題があるので原子力のほうがはるかに問題が少ないと言っているが、日本の例を見てもわかるように原発事故の方がはるかに問題だろう。

 どうやら21世紀の主要なエネルギー資源はこのシェールガスになりそうだ。嬉しいことにシェールガスは世界中にほぼ無尽蔵にあるのだから、中東やロシアの資源外交に左右されず、かつ価格も低位安定になりそうだ。

 日本は福島原発事故で原子力発電の息の根がほぼ止まったが、思わぬエネルギー革命の進展で電力供給のネックを回避する方法が見つかった。

注1)なお、シェールガス革命は10年、20年の歳月で起こる革命で1年、2年先の問題ではない。その間は徐々に原発が停止し、一方天然ガスを利用した火力発電所が徐々に増加していくと言う推移をたどる。

注2)シェールガスは原子力に代替できるが、だからと言って日本の経済がこれで上昇するとは思われない。原子力の穴埋めが漸くできると言ったレベルだろう。

なお、本件と関連した記事は以下の通り。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/221022.html

 

 

 

 

 

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