(30.11.9) 私立医大の不正入学の実態はこれからますます暴かれる。
東京医大が記者会見を開き、過去2年で本来入学すべき学生数は101名だと公表した。
東京医大の毎年の入学者はほぼ120名だから、およそ4割は不正入学者が存在したことになる。この4割の何らかの意味での不正という数字は世の中の常識とよく合う。
私が大学に入学したのは50年以上も前だが、そのころでも私立医大に入るためには成績によって寄付金の額が違うといわれていた。得点を金で買うのだが例えば「1点当たり100万円が相場だ」などと言われていたものだ。
私などは「そうか、私立医大の学生は金で入学した馬鹿ばかりか!!」などとひどく感心したものだ。
しかし私立医大としても全員アホな学生ばかりするわけにはいかない。そんなことをすれば医師国家試験に全く合格しない学生ばかりになって、「あの大学は医大だが医師になれる人は一人もいないんだそうですよ。みんなパーばかりでどうにもならんそうですわ!!」などとひどい評判が立ってしまう。
だから少なくとも半分程度はまともな入学試験で合格した学生が必要になり、そうでないと大学病院の医師がすべて他大学出身者になってしまうし、医局も維持できない。
一般に私立医大の半分程度がパーの学生だというのが巷で言われてきたが、今回の東京医大の調査結果で東京医大のような伝統ある私立大学でその比率は約40%程度だとわかった。
問題は伝統のない新設大学の場合だがこちらのほうはかなり悲惨な状況のようだ。まず50%以上だと思ったほうがいい。
毎年の医師国家試験でワースト大学の常連といえば、埼玉医大、金沢医大、帝京大学、福岡大学、愛知医科大といったところでいずれも私立大学の医学部である。
医師国家試験の合格率は70%から75%程度で、他の有名私立医大や国立大学医学部の合格率が90%~95%なのに比較すると約20ポイント低い。
「その程度ならまずまずじゃないか。パーでも努力すれば医者になれる」などと思ったら判断を間違う。
私立大学では医師国家試験の合格率を上げるために成績の悪い学生は留年させて国家試験を受験させない措置をとる。
「わが校がパーの医師製造所などと悪評がたてられては、学生募集もままならなくなるし、第一寄付金も取れないじゃないか・・・・」
留年させられる学生数の把握は困難だが、東京医大の例で分かるようにそれはほぼ4割程度はいそうだ。不正入学者数の数にほぼ匹敵する数字だ。
現在東京医大の不正を受けて文部科学省が調査に乗り出し、昭和医大が不正を行ったと認めたが、他の大学はだんまりを決め込んでいる。
もちろん何もしていないわけでなく、今は不正入試の証拠隠滅を懸命にしているところだろう。
特にかさ上げした配点表や、卒業者等からの依頼に基づく入学者一覧などが外部に漏れた多完全にアウトだから、「なんでもいいから焼却してしまえ。絶対にしらを通すのだ」などと理事長や学長が大騒ぎをして居るはずだ。
昭和医大以外は知らぬ顔の半兵衛で押し通すつもりのようだが、こうした悪行はしばしば思わぬところで露見してしまう。
東京医大は文部科学省の高級官僚の収賄事件から露見したが、どの大学でも冷や飯を食わされて怨念を持っている人が一人や二人はいるから、そうした人物が文部科学省にタレこみを行うというのがよくあるケースだ。
順天堂大学などは女子の比率が極端に悪い大学で文部科学省の調査対象になっている。大学側は「全く不正入学はない」といいながら懸命に証拠隠滅を図っているだろうが、いつ何時露見するかもわからないので、理事長や学長は枕を高くして眠ることができないだろう。
もっとも私立大学なのだから採用したい学生を指定しても本来問題はなく、例えば女性の採用を抑制したいなら男女別に採用枠を明示したり、経営資金の確保が必要なら東京マラソンの特別枠のように、寄付枠を設けて寄付の大きい順に採用すればいい。
そして「今年の寄付枠は10名で最高は3億円だった。だからパーの学生は10名に過ぎない」というように情報を公開すればいいと思う。
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