(28.3.29) 21世紀はテロ戦争の時代 国境が徐々に閉じられていく
世界中でテロ戦争が始まっている。始めてこの言葉を使ったのは2001年のアメリカ同時多発テロを受けてブッシュ大統領が使用したのだが、今や世界中でテロ戦争が行われている。21世紀はテロ戦争の時代といっていい。
トルコでは首都アンカラやイスタンブールが何回もテロの標的にされ、フランスでは昨年の11月のパリ同時多発テロで130名の生命が犠牲になった。
そしてこの3月22日に はベルギーの首都ブリッセルで同時多発テロが発生し、31人の生命が失われている。
またパキスタンでも自爆テロにより70名が死亡している。
その他イラクやナイジェリアなどではテロがない日が不思議なくらいだ。
国家間の戦争は第二次世界大戦後徐々に減少していき、今でも戦争を起こしそうな国は北朝鮮ぐらいしかない。
国家間の戦争がなくなったと思ったら今度は過激派グループとの戦争が始まった。
この過激派グループを世界にはなったのは皮肉なことにアメリカとEUである。アメリカはアフガン戦争とイラク戦争で独裁政権を打ち倒し、またEUはアラブの春でリビヤやエジプトやシリアの独裁政権を倒したか倒す努力をしたが、こうした行為が実際はすべて裏目に出ている。
アメリカもEUも独裁政権の本質を見誤っている。
確かに独裁政権は内部の民主勢力を弾圧してきたが、同時に宗教的過激派組織を弾圧してきたので、こうした独裁国家で はイスラム過激派のような原理主義勢力が暗躍することはできなかった。
しかしアラブに民主化をもたらすとして行ったアメリカやEUの独裁政権打倒が、独裁政権が抑え込んでいた鬼を世界中にときはなってしまった。
今アメリカやヨーロッパは自分が行ってきた愚かな行いの報いをうけているのであり、アラブの春だと舞い上がった民主主義大好き人間は反省をすべきだ。
なぜなら民主主義国はこうした鬼を退治する方法を保持していないからだ。
民主主義国では人権擁護が最大の重要事項で、たとえば裁判では「疑わしければ罰せず」という原則をつらぬくが、テロ集団はそうした民主主義国のスキをついて自爆テロを決行する。
フランスでは同時多発テロ以降非常事態宣言を発動して、テロリストと思われる人間は裁判所の令状なしに逮捕拘束できるようにしたが、こうした措置に民主主義者は大反対している。
「自由の抑圧で西欧民主主義が危機に陥っている。非常事態宣言は憲法違反だ」
だが実際にテロを防止しようとすれば「疑わしい人間はすべて逮捕し行動の自由を奪う」必要があり、また容疑者は拷問をかけてでもテロ計画の情報を聞き出す必要がある。
だがこうした行為が外部に知れると民主主義者の総反発がはじまり、場合によったら為政者は責任をとって辞職しなければならない。
民主主義国家はテロ組織を壊滅する手段を持っておらず、テロとの戦いでは常に劣勢に立たされる。
民主主義の原則を堅持すればいたるところで自爆テロが発生して国民はパニックに陥り、一方でテロリスト対策を強化すれば人権侵害になる。
民主主義とテロとのはざまで徐々に西欧民主主義は形骸化していかざる得なくなり、EU自慢の国境の解放は中止されていたるところで検問が復活する。
非常事態宣言の内容はますます強化されてイスラム教徒は実質的にヨーロッパから追い出され、人は危険な外国への移動をしなくなり、見知った人々との間での小さなコミュニティーにとどまるようになるだろう。
安全こそがすべてで異教徒は敵だからコミュニティーに近寄らせないようになるのだ。
私はこれを新しい中世の始まりだと思っているが今ヨーロッパは開かれた共同体から閉じられた共同体に急速に変容し始めた。
注)私の新しい中世の主張は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/pppp-2.html
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