(29.10.7) 先進国が分裂する。 スペイン カタルーニャ炎上 そして日本も
20世紀の後半、世界を驚かしたのはソビエトロシアの崩壊であり、それよりは規模は小さいがユーゴスラビアの崩壊だった。いづれも社会主義国だった両国がロシアは15カ国に、ユーゴスラビアは6カ国に分裂した。
当時はこれは社会主義国という遅れた体制の崩壊と思われていたが、21世紀に入り先進資本主義国で次々に分裂の動きが顕在化して単に社会主義体制だけの問題ではなく、国家が細分化される時代に突入した先駆けだったことが、ようやく誰の目にも明らかになってきた。
イギリスでは2014年、スコットランドがイギリスからの分離を求め住民投票を行ったが、かろうじて分離反対派が勝利したため首の皮一枚でスコットランドはイギリスに残留になった。
あれから3年、こんどはスペインのカタルーニャで独立の賛否を問う住民投票が行われ、こちらはほぼ90%の住民が独立賛成の意思表示をした。
もっともこれはイギリスと異なり法的拘束力を持たない住民投票だったためスペイン中央政府のラホイ首相はこの住民投票に激しく反発し、投票そのものを無効で憲法違反としている。
EUもスペイン中央政府を支持しているためカタルーニャ州政府は劣勢だが、何としても独立宣言を出したいと画策している。
20世紀を通じてヨーロッパの民主主義国家は非常に安定し、よもや分裂騒ぎなど起こるはずがないと思われていたが、イギリス、スペインと分離独立運動は勢いを増すばかりだ。
イギリスの場合はスコットランドに北海原油があるため、これによってスコットランドは十分裕福に生活できるとのよみがあり、一方カタルーニャの場合はこの地域がスペインで最も豊かな場所であり、一方徴収される税金が他の貧しい州に回されることに不満があった。
「俺たちの税金で他州の貧乏人を養うのはもう嫌だ」
ヨーロッパの分離独立運動の火種はいたるところにあり、イタリアは北部と南部の対立があり北部は貧しい南部を養うのにうんざりし始めている。
この先進資本主義国における「小さいことはいいことだ」という分離独立運動は、19世紀や20世紀の帝国主義が「大きいことはいいことだ」と主張していたのに比較すると時代の移り変わりを感ずる。
なぜ21世紀に入り小国志向になったかというと国の大きさが全くメリットにならなくなったからだ。
経済成長が止まり人口も減少すれば領土は適当な大きささえあれば十分であり、資源なども有り余ってくる。
パイは増えないのだから貧乏人にパイをあたえれば自らが困窮する。
注)中国だけは相変わらず19世紀、20世紀の帝国主義を信奉しているが、世界史の潮流からは完全に取り残されている。
ヨーロッパは分裂し始め、アメリカは国を閉ざしそして日本では沖縄をもてあまし始めた。
沖縄の翁長知事が普天間基地の辺野古への移設に反対し、絶滅危惧種のサンゴが出たといっては辺野古の基地建設の妨害をするたび、「翁長など顔も見たくない」という沖縄県以外の国民が増えている。
元々沖縄は琉球王国という独立国家だったが江戸時代に薩摩藩がここを植民地化し、明治の初めに日本に編入された場所だ。
過去の歴史的経緯から言って翁長氏も独立をしたいだろうが、一方で沖縄左翼の翁長氏がごね続けるのにはヤマトンチュウもうんざりし始めた。
米軍基地があり北朝鮮問題さえなければ、沖縄は住民投票で独立を宣言し、一方でヤマトンチュウは沖縄が独立することをもろ手を挙げて賛成するところだ。
「やれやれ、何かというと沖縄の心とか言ってごねるばかりの翁長を見なくて済む。国は小さくまとまったほうがいいのだから、沖縄を切り離そう」
21世紀に入り、先進国はこぞって小国をめざしはじめた。気心や所得水準が同様の金持とだけでまとまって暮らそうというのだ。
成長も人口も止まった社会では人々は保守化し小さくまとまり、他国(他人)との接触をできるだけ少なくしようとする。
これが21世紀の現実であることがカタルーニャの独立運動を通じて誰の目にも明らかになってきた。
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