(27.5.29) 愚かな愚かな石原都知事の新銀行東京の顛末 金はやくざに流れた!!
石原元都知事の残した最悪の負の遺産を東京都も処理する決心をしたらしい。
新銀行東京という金融機関を装った補助金支給機関の整理である。
来年度をめどに新銀行東京は東京TYフィナンシャルグループ(東京都民銀行と八千代銀行)に吸収合併されるらしい。
新銀行東京は5年4月に石原知事の肝いりで中小企業向け融資機関として設立され、東京都が1000億、その他が200億の計1200億円で設立された。
資金繰りに苦しむ中小企業に対する融資が目的というのが大義名分だった。
注)新銀行東京の実態については前にのもしばしば記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/2688-no5-c078.html
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/20223_a7d8.html
無担保無保証、審査は書類審査だけでいったって簡単というのが当時のキャッチフレーズだったが、実際は融資でなく補助金の支給に等しいものだった。
なぜそれが分かるかというと設立後3年間で累積赤字が1000億円に達し都の出資金1000億円を食いつぶしたからである。
融資ならば回収が図られなければならばいが、回収ができなかったのだ。
慌てた新銀行東京は都の出資金1000億円のうち約800億円を減資し、さらに都から400億円の追加出資を仰いでこの危機を切り抜けることとした。
「ごめん、もう補助金の交付は止めるから許して!!、これからは金融機関らしく振舞う!!」
新銀行東京の融資スタイルは他のどんな金融機関に見られないほど金融常識を無視していた。無担保無保証でかつ審査は決算書だけの書類審査でそれもコンピュータで行うというものである。
これを聞いて倒産直前の企業ややくざ組織が動いた。
「決算書をでっち上げろ!!!」
でっち上げられた書類は次ぎ次にコンピュータ審査を通過し一時融資金は4000億円を越えた。
経営実態がなくても決算書などはいくらでも作成できる。最も審査を行う側が実態調査をして事業内容のチェックをすれば決算書が嘘か否かはすぐにわかるのだが、新銀行東京は一切そうした現地調査をしなかった。
「決算書だけ問題がなければ無担保無保証で融資をおこないます」これは金融ではなく書類がそろっていれば資金を供給する補助金行政と何ら変わりがない。
役所の仕事と金融機関の仕事が全く異なっていることを理解していなかった。
08年には約1000億円の焦げ付きが発生し再建に乗り出したとき、都議会の付帯決議で追加するこの400億円は必ず返してもらうことになっていたので新銀行東京としては経営方針を変えた。
「もう無担保無保証は止めよう。都との取引のある会社だけに融資を絞り(都からの支払いを優先的に償還に充てられる)、中小企業に対する融資なんてダメだ。それに400億円は国債投融資に回して絶対毀損させるな!!」
新銀行東京はようやく銀行業に目覚めたのでその後は単年度収支で黒字に転じた。
15年3月期現在の預金は2715億円、貸出金は1881億円、純利益は15億円だという。
「見てみろ、貸出を止めて国債運用に回したら利益が出たではないか。中小企業融資をしていたから失敗していたんだ」経営者は鼻高々だろうが、当初の設立趣旨とは180度反対の経営だ。
私は石原元都知事の政治的センスは嫌いではない。特に中国と韓国に対する対応については非常に共感している。
しかしこと金融に関しては評価できないどころか最低と言っていい。
石原氏が基本的に間違えていたのは「大銀行が貸し渋りをしている」といった認識だが、金融機関は貸せる相手に対し貸し渋りをすることはない。
貸し渋るのは相手に返済能力がないと判断された場合で、倒産直前の企業ややくざ企業に融資をすることはしないだけだ。
新銀行東京が創設されると、そうした倒産予備軍とやくざ企業が飛びついた。こうした企業群は本来は自然淘汰されねばならないものだが、それだけが新銀行東京の顧客だったので結局石原氏は東京都の税金を倒産企業を一時的に延命し、そしてやくざに金をばらまいただけに終わった。
すでに減資した800億円のうちどの程度がやくざにわたったかは知らないが、税金の使い道としては最悪だ。
「やったぞ、俺は銀行を設立して東京のやくざに金をばらまいた。俺の行政手腕は世界一だ」行政が商売に手を出すとやくざの餌食になるという典型的な事例がこの新銀行東京である。
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