評論 世界経済 フランス経済

(29.6.20) フランスで20世紀の枠組みが崩壊した。左派の大凋落

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 またひとつ20世紀の枠組みが崩壊した。フランスの総選挙でマクロン大統領が率いるマクロン新党が過半数を大幅に越え、一方それまでの政権政党だった社会党が惨敗したからだ。
フランスでは長い間中道右派の共和党と中道左派の社会党が交互に政権を取っていたがオランド前大統領の社会党が283議席から45議席に激減し、共和党は137議席とかろうじて命脈を保ったが社会党は事実上崩壊した
日本でいえば20世紀の政党だった日本社会党の大凋落に匹敵する。

 前政権のオランド大統領は、あいもかわらない労働者保護政策をとっていたので現有の労働者にとってはまことにありがたい政権だったが、新規に労働市場に参入する若者にとってはこれほどつらい政権はなかった。
まず職場がなく若者だけに限って言えば失業率は25%を超えてしまい、さらに不況になると馘首の順番は新たに労働市場に参入したものからだからまず若者が馘首される。
最も失業手当は手厚いので働くより失業している方が楽なので、「なら楽しく失業して居よう」ということになり全く活力のない社会になってしまった。
簡単に言えば年寄りの労働者だけが保護され若者は仕方なく遊んでいるといった社会になってしまった。

 一方でドイツが労働改革に成功して活力ある社会になっていたのに対し、フランスは病める病人でありはっきり言えばドイツに食わしてもらっている誇りだけは高い貴婦人といった風情だった。
原子力や航空機産業や宇宙産業やTGVフランス新幹線)ような突出した産業構造を持ってはいるが、全体としては工業は低迷し、一方イギリスのような金融業もなくさかんなのは観光業だけといったスペイン並みの国家に凋落しつつあった。

 マクロン氏はこうした状況下で、社会党政権が推進してきた労働者保護政策を取りやめてドイツ並みの産業構造の転換を図るとしたものだから、若者を中心に支持を得て地滑り的な勝利を得たものだ。もっとも投票率は42%だったからほとんどの人は態度を保留したことになる。
よくわからんがマクロンのすることに今は反対するのはよそう」というところだろう。

 21世紀に入り先進資本主義国で次々と大乱が起こっている。もっとも大きな大乱はアメリカのトランプ政権で20世紀を通じて基本思想だったグローバリズムから撤退しアメリカ一国主義を唱え、TPPや地球温暖化対策や核廃絶等の世界のあらゆる枠組みから離脱している。
イギリスもEU に見切りをつけてEUと離脱交渉を始めるが、国内は離脱派と残留派の勢力が拮抗しているため選挙や国民投票を行うたびに揺れ動き結局どっちつかずの宙ぶらりんの状況に陥っている。

 先進資本主義国の中でなお20世紀的な枠組みを堅持できているのはドイツのメルケル政権と日本の安倍政権だけであり、グローバリズムを推進しようとしているのはこの2国になってしまった。
フランスの20世紀からの離脱によってフランス経済がよみがえるとは思われないが、少なくとも左派と右派の対立はなくなり、特に左派が大凋落したことだけは確かだ。

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(29.5.9) 極右文明を押し戻し始めた資本主義文明 フランスでの資本主義文明の勝利

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 このところ資本主義文明の力強さを証明する選挙結果が続いている。3月に行われたオランダの総選挙で極右政党を退けたが、今度はフランスで極右のルペン候補を大差で中道のマクロン候補が圧倒した。
マクロン氏は親EUでドイツとの協調路線を堅持する立場だ。
一時は極右政権誕生もうわさされ、極右の時代が来るかと思われたがいづれも極右の挑戦をはねのけた形になった。

 極右政権に追い風が吹いたのは資本主義の総本山といわれていたアメリカで思わぬ形でトランプ氏が勝利し、アメリカ一国主義を唱え経済的には保護貿易主義を政治的には移民の排斥を唱えたからだ。
アメリカが自由貿易を放棄しTPPから離脱した以上、ヨーロッパでも同様な選挙結果になると恐れたが、ここにきて資本主義文明は強靭な生命力を回復した。
どっこい、資本主義はそれほどやわじゃないぞ!!!」

 資本主義文明とはイギリスの産業革命から出発し、19世紀まではイギリスが主導し、20世紀になるとアメリカが主導した経済的には自由貿易主義を唱え、政治的には民主主義と人権と法の支配を柱にした政治経済体制である。
この資本主義文明は20世紀の大半の期間、社会主義という反自由貿易で反民主主義体制を標榜する文明の挑戦をうけたが、1990年前後のソビエトロシアの崩壊によって幕を閉じた。
社会主義では国家企業とその従業員(共産党員)の生活を維持するため、常に生産過剰状態になって経済が崩壊するからだ。
もはや社会主義に郷愁を持つものはシーラカンスのような存在になり、絶滅危惧種に指定されている。

 資本主義文明は20世紀の約70年近くをかけて社会主義文明の挑戦を退けたが、21世紀に入り今度は新たな挑戦者が現れた。
極右文明といって一時は資本主義と社会主義が共同で葬ったはずの文明である。
第二次世界大戦とはヒットラーに主導された極右と資本主義、社会主義連合国との戦いだったがヒットラーの自殺によってけりが付いたと思われていた。

 それが突然よみがえったのはアメリカでトランプ氏が登場したからだ。
当選すると大統領令を連発し右翼政策を採用したが、アメリカは三権分立の国であり司法と立法からの妨害があってトランプ氏の政策は次々に暗礁に乗り上げている。
移民排斥は司法によって憲法違反と認定され実施できず、メキシコとの国境に壁を作る提案は立法府が予算を認めなかったため建設がとん挫した。
また外交では北朝鮮問題とシリア問題に介入せざるを得ず、とくに北朝鮮の包囲網のため日本とオーストラリアとの同盟強化を図らざる得なくなった。一国主義が崩壊している。

 トランプ政権は当初の極右的体質から徐々にアメリカ共和党主流派の主張に近づいている。トランプ氏を支える閣僚はペンス副大統領もマティス国防長官も共和党主流派人脈だ。
極右的側近だったフリン氏もバノン氏も退けられた。
アメリカが伝統的な資本主義文明の信奉者に先祖がえりを始めると、世界の極右に勢いがなくなった。オランダでもフランスでも極右が敗退している。
資本主義文明の生命力はなかなかのものですな。極右文明を押し戻しつつある」文明評論家の山崎氏が驚いていた。

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(29.4.26) 21世紀は右派中道と極右の戦いの時代 フランス大統領選挙の行方

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 今回のフランス大統領選挙を見てつくづく20世紀が終ったことを実感した。20世紀は右派と左派が敵対した時代で、資本主義文明を擁護する右派と社会主義文明を樹立発展しようとした左派の戦いだった。
私が若者だった60年年代から70年代にかけて吹き荒れた学生闘争の左派の嵐は私の青春そのものだったといっていい。

 しかし1990年になると社会主義文明のシンボルだったソビエトロシアが信じられないようにあっけなく倒れ、その衛星国だった東欧諸国も次々に社会主義政権を放棄したために、21世紀まで残った主要な社会主義政権はグロテスクに資本主義を取り入れて変容した中国と、これまた王朝社会主義に墜した北朝鮮ぐらいになってしまった。
マルクスが資本論で予言した通り、鉄鎖以外は何もない社会主義文明は滅び、社会主義は必然的に資本主義に移行したのである。

 だがしかし21世紀に入るとその資本主義文明にも黄昏がおとづれ、成長限界に達してしまった。古代ローマも侵略する土地がなくなると成長が止まったが、資本主義文明も同様に財とサービスが有り余ってしまいこれ以上の生産は過剰生産恐慌をきたすようになったからだ。
いまだにGDPが成長しているように見えるのは中国がもっぱら統計官の努力で成長したそぶりを見せ、アメリカや日本やEU は中央銀行が無尽蔵に紙幣をばらまき、懸命に不動産と株式を上げて成長を演出しているからだ。

 しかしこうした不労所得による成長は一部の素早いインテリを除けば全く対応不能の状況で、多くの資本主義文明を支えていた中産階級が没落してしまった。
EU ではドイツ以外の経済が崩壊過程に入り、フランスの工場は次々に賃金の安い東欧圏に工場を移転させたため、フランスから仕事が消えてしまった。
ルペン候補が言っていたようにフランスはEU に入ることで貧しくなってしまったのだ。

 フランスでの労働慣行は経験の浅いものから馘首されるので、若者はいつまでたっても職に就けないかつけてもすぐに馘首され続けてきた。
若者だけの失業率は公表で15%程度、実質は30%程度と推定されている
高等教育を受ければ受けるほど就職先はなくなり、一方マクドナルド等の低賃金の職場は移民によって占められてしまう。
俺たちはどうしたらいいんだ。何もすることがなくただ生活保護を受けるだけか」失業している若者が思い余ってルペン氏を支持し始めた。

 EU は実質的にドイツのものであり、フランス、イタリア、スペインといった国からは工場が消え、一方東欧諸国の若者は低賃金労働者になってドイツやイギリスといったEU各国をさ迷い歩いている。
すでにイギリスはEUに入っていることのデメリットを認識してEUから離脱したが、フランスの失業している若者も離脱を望んでルペン氏を熱烈支持している。

 資本主義文明が活力を失い、成長のパイは一部の不労所得者に集中すれば富める者と貧乏人しか資本主義社会にはいなくなる。
貧乏人はいつまでたっても貧乏人だから怒れる若者や失業者は極右になる。かつては左翼になったこうした人々は社会主義政権の失敗とその崩壊を見て極右化する以外に怒りを表明する方法はない。

 すでにアメリカではトランプ政権という極右政権が誕生し、今フランスではルペン氏が反EUを掲げて資本主義文明に挑戦している。
21世紀は資本主義文明を擁護する右派中道グループと極右の戦いになった
どちらが勝利を収めるか帰趨はまだ混とんとしているが、フランス大統領選挙では右派中道グループが極右を押し返すように見える。

(別件)

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(29.1.5) 欧州に右派の嵐 フランスでルペン氏が大統領になる可能性が高まっている!!

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 ヨーロッパに選挙の季節がやってきた。4月から5月にかけてフランスの大統領選挙、そして秋にはドイツの連邦議会選挙が実施される。
フランスでは現職の社会党オランド大統領は全く人気がなく出馬を断念しており、新人による社会党、共和党、国民戦線の三つ巴の戦いになっている。

 この中で国民戦線のルペン党首に対する支持が抜きんでておりで第1回目の投票でトップになる公算が大きい。
フランスの大統領選挙では過半数を超えなければ当選とならず、トップと二位とでの決選投票になるが、その場合社会党と共和党は2.3位連合の共闘を組んでルペン氏の追い落としを図るものと予測されている。

 従来はこのパターンで極右政党の大統領が出現するのを阻止してきたが今回もそれが成功するかどうかはかなり怪しい。
現在若者の失業率は10%程度で高止まりしており、また工場はフランスから逃げ出しているので怒れる失業したブルーカラーがいるのはアメリカと同じだ。
そして農村は東欧圏の安い酪農製品が流入して農家は崩壊の瀬戸際にある。
そこに大量のアフリカや中東の難民が押し寄せ、国内ではテロが頻発しているがオランド政権は有効な手が打てない。
こんなフランスにだれがした」怨嗟の声が渦巻いている。

 構図はトランプ大統領を生み出したアメリカとそっくりで、ルペン氏が怨嗟の声に押されて大統領になっても少しもおかしくない。
ルペン氏の主張はトランプ氏の主張と酷似しており、フランス一国主義でEUからの離脱を目指し、イスラム教徒の外国人を排斥し、国内に工場を戻して職場を確保し、保護関税で農家を守るというものだ。

 多くのフランス人が共鳴するのはEUは経済的には強いドイツ企業を富ませるだけでフランスやイタリアやスペインの企業は競争力を失いリストラが続いているからだ。
何も得るところはない。EUとは何だったんだ
すでにイギリスはEUから脱退し、次の候補はフランスか首相が国民投票で負けたイタリアになっている。
この4月から5月のフランス大統領選挙でルペン氏が勝利すればEUから脱退の国民投票を行うことは絶対だ。そしてイギリスのように脱退派が勝利すれば、その段階でEUは崩壊し後にはドイツを中心とするドイツ経済圏だけが残ることになる。

  EUの前身であるEECが設立されたのが1958年でそれから約60年、1999年の通貨統合から約20年でEUは拡大から縮小に転じ、そして崩壊の危機に瀕している。
欧州の夢はアメリカやロシアに対抗できる第3の核を作り欧州を政治的経済的に復活させることだった。
だが実際はフランスは政治的発言力は強化されたが経済的には何も得ることがなく、さらに難民やテロといった国内問題を抱えることになりすっかり嫌になってきた。
昔のフランスのほうがずっと幸せだった・・・・・・・・・・フランが恋しい!!」

 今やEUは風前の灯火になり、フランスでルペン旋風が吹き荒れるのは確実な状況になっている。
ルペン氏がトランプ氏のようにポピュリズムの嵐によって当選すれば、一気に世界は分散化が進み欧州はかつての国民国家に急速に戻っていくことになる。


 

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(26.11.3) 左翼新聞の凋落 フランス リベラシオンの経営危機

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 NHKのドキュメンタリーWAVEを見ていたらフランスの左翼系新聞リベラシオンが経営の危機の陥っているという報道をしていた。
リベラシオンとは実に懐かしい名前だ。当時と言っても今から40年も前のことになるが、世界的な学生運動が燃え盛っていた時代にサルトルと言ったフランスの知識人が結集して創刊した新聞だ。

 当時サルトルといえば世界最高の知者の一人と言われ、実存主義の旗手といわれていた。実存主義と言われても私には本当は何のことかさっぱり分からなかったが、彼の書いた「存在と無」を懸命に読んだものだ。
あのリベラシオンが経営の危機に陥っているのか・・・・・・」感無量だ。

注)実存主義とは社会主義に対するアンチテーゼとして生み出された思想で、社会主義が個人より社会を重視するのに対し、実存主義は個人こそが重要だと説いた。

 最盛時は30万部の発行部数を誇っていたが今は10万部を下回っており、累積赤字も10億円になろうとしているという。
最近経営者が代わってパリの不動産王が筆頭株主になったが、この株主の目的は新聞にはなく、リベラシオンが持っているパリの一等地の建物にあり、そこをレストランとカフェに改造し、記者や印刷労働者を大量に馘首して人手がほとんどかからないWEB新聞にすることらしかった。

注)WEB新聞にすれば多くの記者はいらないし、もちろん印刷関連や配送関連の労働者は一切いらなくなる。私はこのブログをたった一人で書いて(大げさに言えば)全世界に配信しているからWEBが如何に人手を必要としないか分かるだろう。

 現在世界中で新聞のあり方が問われている。簡単に言えば新聞の購読者数が加速度的に減少しているのだが、それはメディアのあり方と報道独占の崩壊という二つの要因からなっている。

 いまや新聞は一世代前の報道様式になって、多くの若者は紙ではなくWEBで情報を検索している。
私のような老人はそれでも紙の媒体に愛着を持っているが、私の子供などは新聞を全くよまずもっぱらインターネットで必要な情報を入手している。

 何しろ新聞報道はスピードと言った点でテレビとWEBに全く歯がたたない。特に災害報道の地震・台風・竜巻等に関する速報性が必要な情報がそうで、東日本大震災の時私はテレビにくぎ付けになっていたが、新聞の報道内容はすべてテレビで確認してしまった内容だった。
新聞が最も最新の情報を届ける媒体でなくなって久しい(新たに聞くのではなく二番煎じになってしまったので新聞といえなくなった)。

 また報道内容についても当たり障りのない誰でも納得できるような内容になっているが、これでは情報としては役に立たない。私は中国や朝鮮半島に関する情報はWEB情報を見ているが、その道の専門家が無料で情報発信をしてくれているのでそれをトレースしている。
こうした情報の方が新聞やテレビの解説よりもより内容が充実しており情報としての価値が高い。
従来は「新聞が記載しているのだから」というのが価値評価の中心だったが、今ではA氏の情報だから確かだという時代に変わっている。
新聞が情報を独占していた時代はとうに過ぎたのだ

 こうしてメディア媒体が紙からインターネットに移ったこと、新聞が情報を独占していた時代が終わったことで新聞の相対的な位置が低下したが、リベラシオンはさらに左翼の時代が終わったことも経営危機に拍車をかけている。
左翼が時代の中心だったのは20世紀までで、ソビエトロシアの実験が大失敗に終わって左翼の賞味期限が切れてしまった。
今ではリベラルという言葉とダイナソーという言葉が同義語になっている。

 リベラシオンは現在苦悩の最中にあるが、20世紀を代表したメディアがその役割を終えて臨終を迎えているに過ぎない。
時代の波に取り残されたリベラルの鎮魂曲が奏でられている。

注)日本でも朝日新聞が凋落しているが基本的にはリベラシオンと同じ構図といえる。


 

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(25.1.11) フランスから金持ちが逃げだした。 オランド政権の所得税増税法案の波紋

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 日本からはアベノミクス資本資金)が逃げていくが、フランスではオランド大統領増税法案を嫌って金持ちが一斉に国外に逃げ出している。
オランド大統領社会党の大統領らしくさっそく金持ちをターゲットにした法案を提出し、13年度から100万ユーロ(約1億円)以上の所得がある人の税率を現行の41%から75%に引き上げると発表した。

 このためフランス人のベルギー国籍申請者が過去一年間で126名に登り、いづれも高所得者ルイ・ビトンの会長もいる)だったのでフランス政府が目を向いた。
愛国心のかけらもない売国奴め!!!」
さらに追い討ちをかけたのが、有名な俳優のドパルデュー氏で「オランド大統領は成功、創造性、才能を罰すべきだと考えている」と言う捨て台詞を残して、ロシア国籍を取得したものだからこれにはフランス人もびっくりした。

 ロシアの所得税率一律13%なのがその理由だが、もちろんドパルデュー氏はそのようなはしたないことは言わない。
国籍取得の理由はロシアが偉大なる民主国家だからだ」と言ったのでプーチン大統領が泣いて喜んでわざわざロシア国民を証するパスポートを自ら手渡した(ロシアではこのパスポートがないと何もできない。かつては所持していないとスパイとして逮捕された)。

 フランス経済リーマン・ショック以降超低迷が続いている。経済成長率は11年度1.7%、12年度0.2%、そして13年度も0.4%と想定されているので、日本と同様成長が止まった社会だ。
理由はこれも日本と同様、安い労賃を求めて企業が国内生産を諦めEU圏の安価な労働力を求めて外国(といってもEU内の国)に転出しているからだ。

注)フランスの労賃はヨーロッパ屈指の高さでドイツより高い。
1時間当たりフランス34.2ユーロ、ドイツ30.1ユーロ。


 さらにフランス独自の問題として労組が非常に強い力を持っているため海外からフランスに投資をしようとする企業がない。
自動車大手のプジョーが工場閉鎖を図ろうとして組合ともめており、オランド政権が組合に肩入れしているため合理化もままならない。
失業率は10%程度に高止まりして、若者だけで言えば23%程度だから4人に一人は失業者だ。

 かつてEUの盟主と言えばフランスドイツだったが、今やフランスはそうした力はなく、国債の格付けが最高位から一ランク引き下げられ、何時ドイツやIMFから支援を受けるか分からないような状況になっている。

 最近はカタール資本がパリの主要な建築物や絵画を買いあさっているため、危機感を持った人たちが「カタールは自国に帰って自分たちの国に投資をしろ」と叫んでいたが、投資をしてくれるだけでも本当はありがたいことなのだ。

 フランスと日本はある意味で非常に似ている。どちらも成長が止まった社会で、出生率は非常に低いし(ただし最近はフランスの出生率は上向き始めた)、既得権益団体の労組農業団体が非常な力を持っているし、そして官僚支配が貫徹していることなど日本と瓜二つだ。

 こうした社会構造になるとほとんど経済成長はままならず、国家が残された富を収奪しようとすると金持ちは国家を捨ててしまう日本でもマレーシアで生活することがはやりだしている)。
グローバル社会では人も資本も物も自由に国境を越えて移動するから、一国が極端な税制や経済政策を採用すると人も資本も逃げ出してしまう。
国家が人と資本を支配できたあのこよなき国家の時代は終ってしまった。

注)こうして多くの国家の税制や経済制度や法律が同じように収斂していくが、それがグローバル社会と言うものだ。

なお、フランス経済については以下に纏めてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat49313359/index.html



 
 

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(24.5.8) オランド氏の勝利とユーロの混乱 再びEUに危機が迫る

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 サルコジ大統領メルケル首相がようやっとのことでまとめた「財政規律を強化する条約」が早くも暗礁に乗り上げようとしている。
6日行われたフランスの大統領選挙で現職のサルコジ氏が敗れ、野党社会党のオランド氏が大統領に就任することが決まったからだ。

注)条約の内容はユーロ加盟国は財政赤字をGDPの0.5%以内に止め、それに違反したら課徴金を科すというもの。すべての加盟国をドイツ並みの健全財政にする条約。なお日本の財政赤字がGDP対比10%程度だから極端に厳しい財政規律といえる。

 オランド氏は選挙公約としてこの「財政規律を強化する条約」を槍玉に挙げて、「財政規律ばかりで成長戦略が存在せず、したがって失業率は改善しない」と言い続けてきた。
そして大統領に就任すればこの欧州規律条約を見直すためメルケル首相と交渉すると言っている。

注)当然のことだがメルケル首相は見直しに応じないと言っている。見直すということは各国に放漫財政を許すことだし、国債で資金調達が出来ない国は結局はドイツに資金援助を求めることになる。

 5年サルコジ氏が大統領に就任した頃はまだ希望に満ちていた。
規制緩和と高額所得者に対する減税で経済は拡大し、失業率は5%に低下する」とサルコジ氏は大見得を切ったが実際はリーマンショックギリシャショックの対応に追われ、公約が守られたのは高額所得者に対する減税だけだった。
これじゃ単なる金持ち優遇じゃないか」若者を中心に怨嗟の声が沸きあがった。
何しろフランスの失業率は10%程度だが、若者に限れば20%だ
大学を出ても職がない状況が続いている。

 したがってサルコジ氏の人気が急落した理由はよく理解できるが、だからと言ってサルコジ氏以外の政策がうまくいくかどうかは相当怪しい。
オランド氏の言う成長戦略なるものが実際は存在しないからだ。

 どれほど成長戦略が難しいか日本の場合を見てみると良く分かる。
日本は1990年ごろのバブル崩壊後まったく成長をしない社会になったが、その間自民党政府は公共投資の増大と金融緩和を繰り返してきた。
2000年代になってリーマンショックが起こるまでは低金利政策円安を誘導し輸出産業で何とか景気を支えていたが(実質で1%から2%程度の成長をしていた)、それもリーマンショックまでで、その後各国が低金利政策を採用すると日本の円は急激に上昇し、輸出産業が崩壊してしまった。

 日本のもう一つの柱である土建業は日本各地に無用のダムや高速道路や飛行場や漁港を赤字財政をものともせず作りまくってきたが、それも金がある間だけで赤字国債が増大するとそれもままならない。
日本はここ20年間、ただひたすら既存産業の保護だけしてきて、気がついてみたら成長産業が何もないことに愕然としている

 実はこのパターンは欧州も同じで規制でがんじがらめにされている欧州経済も既存産業に対する大盤振る舞い以外成長戦略などない。
最も強力なフランスの既存産業は公務員だから結局は公務員を増やそうと言うことになる。

成長戦略だ。公務員を増やして赤字財政を悪化させろ
オランド氏は失業解消のために教員等の公務員を5万人増加させると言っているが、これは財政を無視して公務員を増やす政策だから、ギリシャ政府とさしてかわらない放漫財政政策だ。
さっそく市場はユーロに嫌気をさしてユーロ安と株安が始まっており再びユーロ圏は市場との戦いに明け暮れそうだ。

 オランド氏も大統領になれば現実と向き合わなければならないから、国内向けサービスだけを言い張ることは出来ないが、それでも当初はマニフェストに書いたことを実行したがるだろう。
結局成長しきった経済はドイツの言うように成長ではなく堅実な経済運営をせざる得ないのだが、オランド氏とフランス国民がそのことに気づくまではユーロ圏の経済不安は増幅されるばかりだ。

なおヨーロッパ経済については以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43160490/index.html

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(23.11.19) ユーロ崩壊前夜 次はスペインとフランス

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 ギリシャに始まった欧州債務危機はイタリアのベルルスコーニ政権を崩壊させ、次はスペインフランスにターゲットが絞られてきた。
ドイツとフランスが懸命にギリシャ危機の封じ込めを行い、一時的に小康状態になったとたんイタリア経済が火を噴き、この対応が決まらないうちに今スペイン経済が火を吹き始めている。
そしてその先にはフランスがあり、ほとんどドミノ現象といってよい。

 スペインの国債の利回りはイタリアとおなじ7%前後に上昇し、市場ではスペイン国債の買い手がいなくなっている。
ただ一人ECBヨーロッパ中央銀)がスペイン国債の買い支えを行っており、今までのギリシャ国債イタリア国債に続いてECBのバランスシートには不良債権が積みあがっている。

 ギリシャ支援の枠組みとしてEFSF(欧州金融安定化基金)を今までの40兆円規模から100兆円規模に増額することは決まったものの、この60兆円を拠出してくれる先が見つからない。
当初は中国ブラジルが「ヨーロッパを救う」と大言壮語していたが、危機が深刻化してくるにつれ「EFSFもつぶれたらどうしょう・・・」と言う状態になってきた。

 EFSFの発行債券はドイツやフランスやオランダといったトップクラスの財務格付を持つ国が保証することによって資金調達ができていたが、フランスさえも危なくなれば保証に疑問符がつく。
こりゃ駄目だ、フランスもEFSFの支援対象国になれば後はドイツしかない。だがドイツはユーロ各国の債務危機を一人で救えるだろうか???」
誰もが感じる不安を市場は共有している。

 フランスはユーロ圏第2位の大国だが、この国の経済状況は実に把握しずらい。ドイツのような輸出立国であれば輸出入の動向を把握していれば経済状況は確実に抑えられる。
一方フランスはここ数年貿易収支も経常収支も大幅赤字が続いている。
この赤字分を埋めるために海外から資金を取り入れて経済運営を行っているのだが、ちょうどアメリカの経済運営にそっくりだ。

 いわばアメリカと日本の関係がヨーロッパではフランスとドイツの関係に相似形をなして存在していると思えばいい。
EFSFに対する拠出も何かといえばドイツに頼るのだが、フランスには元々拠出する金などはないからだ。

 これが明確に分かるのがGDP対比の財政赤字イタリアが4.6%なのに対し、フランスは7.1%とイタリアより高い(日本は12%程度)。
この高い財政比率を見て市場がフランス国債の売却を始めた。国債利回りは瞬く間に上昇して3.8%になってしまい、またCDSフランス国債の保険料率)は2.36%に上昇している。

注)通常国債の償還が危ぶまれる場合は国債購入者は保険をかけようとする。その保険料率が2.36%と言うことは、国債購入者の実質利回りは3.8% - 2.36% =1.44%となってドイツ国債の利回りとほぼ同レベルになる。

 ヨーロッパの金融機関の財務状況は意外なほど分からない。かつての日本の金融機関のようなもので含み損含み益がいたるところに隠れているので、ストレステストを行ってもまったく意味がない。
その証拠が最近倒産したデクシアで、ほぼ3ヶ月前にストレステストでデクシアの経営状況は良好と宣言したばかりだから世界中でヨーロッパの信用が失墜した。
やはりヨーロッパの金融機関は魑魅魍魎の世界だ・・・・・・

 実際はフランスにしろスペインにしろ、金融機関はリーマンショック時の不良資産の償却が済んでおらず、今回さらにギリシャ国債の5割が返済不能となった。
ギリシャにはフランスの金融機関が最も多くの貸し込みを行っている。
まずいじゃないか、このままでは金融機関はドミノ倒産だ。今のうちに危ない国債は売却しろ
こうして今、イタリア、スペイン、フランス国債のたたき売りが始まった。

 ユーロは崩壊前夜に差し掛かっている。EFSF60兆円の資金調達先はなく、結局は各国の国債はギリシャ国債がそうであったように棒引きをするしか方法はない。
ヨーロッパの金融機関はフランスを中心に大量の国債を持っているから、自己資本比率が急激に悪化する
金融機関は政府からの資本投入がなければ、自己資本比率を上げるために資産である融資や投資資金を引き上げて支払に備えることになる。
そうすれば新興国から資金がヨーロッパに回帰し、世界的な不況が始まる。

注)自己資本比率は資産を分母とし自己資本を分子にするから、資産が小さくなれば自己資本比率は上がる。

 何回も同じことを言って恐縮だが、日本で1990年から始まった長期不況が、今ヨーロッパに確実に広がろうとしている。
日本がそうであるようにヨーロッパも成長の時代が終わった。今年から来年にかけて成長はほとんどせず、マイナス成長も予測される。
ユーロと言う枠組みが成長でなく衰退の枠組みに変わってしまったからだ。

 こうしてユーロは崩壊過程に入りユーロ発足時の1ユーロ80円レベルに急速に落ち込もうとしている。
かつて来た道に戻っているのだ。

なお欧州債務危機についての記事は以下にまとめてあります。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat43160490/index.html

 

 

 

 

 

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