(27.4.29) ネパール 大地震にはきわめて脆弱な国家!!
ネパールで発生したM 7.8の大地震の被害はネパール経済にとって壊滅的な影響を与えそうだ。もともと貧しい国で、あるのは観光資源と出稼ぎだけという国家だったが、首都のカトマンズや観光都市ポカラの寺院が崩壊しもはや見る影もない。
もともとこうした施設は日干しレンガを積み上げてできており、大地震が来れば積木細工のブロックのように崩壊してしまう。
すでに死者は5000名を越えたが、さらに被害状況が判明すれば被害が拡大するだろう。国連は最終的には死者は1万人を超えると見ている。
エベレストやアンナプルナへのトレッキングルートが最近のネパール観光の売りだったがルートがいたるところで崩壊し、エベレスト登山のベースキャンプには雪崩が襲ってきて日本人を含む登山家20名あまりが死亡している。
各国から緊急援助の申し出があり実際救助チームを派遣しているが、唯一の国際空港であるトリブバン空港はネパールから逃げ出そうとしている外国人でごった替えしている。
救援機は着陸することもできず近くのインドの空港で待機したりしており、日本の救助隊もやっとのことでネパールに入国できた。
私は3年前にネパールを訪問し、首都のカトマンズとネパール西部の秘境を歩いたので知っているが、ネパールは首都の周辺とインドへ向かう道以外にまともな道路が存在しない。陸路はカトマンズからインドに抜ける道が唯一の道でネパール国内を結ぶ道路網はない。
飛行機が唯一の移動手段だがそれも20人乗りの小型機でしかもまともに運行していないから実際は首都周辺を除いたらあとの地域は自給自足の生活だ。
通信手段は携帯電話でこれは意外なことにどこからもかけれるが今回の地震で中継施設が崩壊しているはずだから、現在は大混乱だろう。
注)ネパール経済の実態については以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-c467.html
ネパールで家屋が倒壊し人が下敷きになっている原因は、建物が日干しレンガを積み上げた構造になっているからだ。これは私が直接見た建築現場だが本当にレンガを積み上げただけでその間をコンクリートか漆喰かは分からなかったが接合していただけだった。
「これなら私でも家を建てれるじゃないか!!」そう思ったが、私でも作れる家はやはり地震には弱い。
ネパールは日本と同様に定期的に大地震に襲われるのだが、そのたびにレンガ作りの家を再建してきたのだろう。
「これで次の大地震がくるのは100年後だ。私の生きている間はこのレンガの家で十分だ」という判断だと思う。だから本当に大地震が来ればレンガの家はほとんど崩壊してしまう。
日本において耐震構造が叫ばれるようになったのは戦後の経済成長期を経てからで、日本でも長い間建物の再建は今まで通りの家の構造だった。
資金がないのだからそれ以外の選択肢はない。
ネパールは貧しく通常の国民が建設できる家はやはり日干し煉瓦しかない。
ネパールの人は田舎に行けばいくほど純朴で、日本人が秘境に旅すると明治時代の日本に逢ったような気がしてくる。私はネパール西部の寒村を訪れたことがあるが電気も水道もなく貨幣経済は生活の1割程度であり、村内の道路も雨季には水につかっていた。
子供たちは外国人が珍しく歩いているとぞろぞろ後ろからついてきた。おそらくあの村にもかなりの被害が発生しているだろう。
よく「災害は忘れたころにやってくる」と言われるがそれは狭い国内だけの話で、世界的なスケールで見れば災害は毎年どこかで発生している。
しかもその規模が大規模になっているのは人間が増えすぎたからで、かつては単なる自然の崩壊に過ぎなかった場所でも人がひしめいているので人的被害が発生する。
私は常日頃思っているが、人類だけがこの地球にはびこるのはやはり問題で他の生物との調和が必要なのだ。
中学の理科の教科書では植物と草食動物と肉食動物の調和の問題が扱われているが、ここに人類を入れて調和を図るべきだと教える必要があると私は思っている。
人類だけを特殊扱いするのは誤りだ。
なお私がネパールを訪問した時の記事にカトマンズの模様を記した内容があり、今見るといかに災害に弱い都市かがよくわかる。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/2491-a66f.html
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