(26.5.24) アメリカが世界の警察官と裁判官を降りて、世界中で大混乱が始まった。
いやはや大変なことになってきた。アメリカが世界の警察官と裁判官を降りてしまったら、世界中が蜂の巣を突っついたような状況になってきた。
世界でテロや暴力やわけの分からない政争劇が始まっている。
ウクライナでは国が真っ二つに割れて東はロシアに併合されつつあるが、これを誰も止めることはできない。すでにクリミア半島はロシア領になったが、いまは東部のドネツクとルガンスク両州がロシアに編入を希望しており、プーチン大統領はそれを認めるつもりだ。
かつてアメリカは2004年のオレンジ革命を熱烈支援したがもうすっかりその気がないので、ウクライナは国家が二分されることは確実な情勢になっている。
東南アジアのタイでは合法政権を憲法裁判所と軍がタックを組んで引きずり落とし、クーデターを成功させた。タイでは過去に何回もクーデターがあったから今更驚かないが、しかし「選挙で選ばれた政権は合法政権とは言えない」という主張には西欧型民主主義に最高の価値を見出してきた者からすると信じられないような主張だ。
こうした場合はしばらく前までは世界の裁判官だったアメリカがクレームをつけ、実質的な干渉をするのだが、今回はほとんど無関心だ。
口頭注意はするが、サッカーでいえばグランドの中央あたりでホイッスルがふかれてフリーキックになった程度で本気で軍事政権を打倒するつもりはない。
注)タイの政争劇の詳細は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-c7b6.html
もともとアメリカはタイにほとんど利権を持っていないので「タイの民主主義などどうでもよい」という態度であり、一方タイの最大の投資国日本はタイに干渉する意思も能力もないからタイ式政治のクーデターは思いのままだ。
タイのGDPはマイナス成長になり、有効な投資政策がとれなくなっている。
また中国ウイグル自治区のウルムチでは自動車爆弾のテロが発生し31名の死亡者が出ている。従来のウイグルのテロとは明らかに変わってきており、アルカイダ並みの自爆攻撃に変わってきた。
ウイグルはその西の端をイスラム諸国に接しておりアルカイダの影響を受けやすい。
しばらく前まではアメリカがイラクやアフガニスタンに陸上部隊を派遣してアルカイダとの戦闘を行っていたが、イラクからは撤退しアフガンからも逃げ出そうと考えている。
もともとアメリカが中東に介入したのは石油で、中東からの石油確保こそがアメリカの最大の関心事だったが、国内でシェールガス革命が進展し、天然ガスの輸出国になってしまった。
「石油もガスも中東から購入しないのだから、イラクがどうなろうと知ったことではない」ということだ。
またアルカイダとの戦いはオサマ・ビン・ラディン氏を殺害してすでに決着はついている。
「アフガニスタンに駐留する理由はなくなった。カルザイを見捨てて早く帰ろう」
アメリカがアルカイダとの戦いを止めたためにアルカイダ側は戦力に余力ができてきた。今まではもっぱらシリアでアサド大統領と対峙していたが、余力をウイグルに向けだした。
「よっしゃ、中国からウイグルを奪還してイスラム圏を拡大するぞ!!」
最近のウイグル解放運動が自爆テロ型になってきたのはアルカイダから物心両面の支援を受けているからだ。
中国はさっそく習近平氏が重要指示をだして「暴力テロ分子を厳罰に処する」とテロとの戦いを宣言したが、アメリカでさえ手を焼いていたアルカイダ相手だと、そうやすやすウイグル独立運動が敗北することはない。
こうして世界のいたるところでアメリカが世界の警察官と裁判官から引退したことの影響が出ている。
超大国がなくなれば後はバランス・オブ・パワーしかない。
世界の各地で奇妙な提携が始まった。最近まで犬猿の仲だったロシアと中国が手を組んで経済同盟を結んでいるし、日本は韓国けん制のために北朝鮮とデタントに入っている。
安倍政権は中国包囲を目的に日本・ベトナム・フィリピンと同盟を成立させている。
何か100年前の第一次世界大戦直前の世界に逆戻りしたみたいだ。
注)大戦前三国同盟や三国協商と言った複雑な同盟関係があって、それでかろうじて国際平和が維持されていたが、オーストリア皇太子が暗殺されたことでかえってその同盟関係ゆえに世界大戦に突入してしまった。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/nhk-a679.html
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