(24.11.7) またか アミューズトラベル 万里の頂上周辺で3人の遭難死
昨日田中真紀子氏を称して「人間にはどうしようもない性(さが)と言うものがある」と記載したが、企業にも同じくこの性(さが)があるようだ。
11月3日から4日にかけて、中国の万里の頂上周辺の100kmトレッキングを行っていた日本人パーティー4名とガイド1名、それに添乗員1名の計6名が吹雪の中で遭難し、うち日本人3名が凍死した。
このトレッキングは「グレート・ウォール100kmトレッキング」と命名されおり、万里の頂上付近のあまりメインでないコースを7日間かけて歩く企画になっていた。
日本の旅行会社アミューズトラベルが企画したもので、この会社は3年前に北海道大雪山系のトムラウシ山で8名の遭難死を出したあの旅行社である。
たった3年の間に2回も大量の遭難死を出しており、これはこの会社の体質としか言いようがない。
トムラウシの遭難死のあと50日間程度の営業停止になっていたが、その後マニュアルの整備等を行い営業を再開していた。
しかしいくらマニュアルを整備しても体質は何も変っていなかったようだ。
今回もそしてトムラウシ山のときもそうだったが、こうした企画に参加する人々は資金的に余裕があり、かつ時間的に余裕のある人々に限られるから中高年、はっきり言えば老人が中心になる。
今回遭難死した人の年齢は76歳、68歳、62歳で私と同年輩だ。
トレッキングは7日間で辺鄙な万里の頂上周辺を歩く企画で、一日あたりの歩行距離は20km以下、時間にして5時間から6時間だったと言う。
確かに通常であれば何と言うこともない距離だし、今回参加した人たちは登山やハイキングのベテランだったから気軽に参加したのだろう。
しかしこの時期天候がどのように急変するか分からない。
トレッキング6日目の3日から4日にかけてこの周辺では52年ぶりという猛吹雪になり平地でも積雪が47cm程度積もっていた。
映像で見る限り遭難場所はかなりの山岳地帯であり、積雪は平地よりはるかに深く風も強かったと思われる。
ガイドが救援を求めに下山したが、残った5名は簡易テントでビバークして、内3人が凍死をした。生存者は25歳の中国人添乗員と59歳の女性だったから、年齢の高い順に死亡したことになる。
雪の中を歩くのは屈強な若者でも往生するのだから、76歳の老人が動けないのは想像に難くない。
私はこのアミューズトラベルの企画に基本的な問題点があると思っている。
トムラウシ山のときもそうだったが、無理にスケジュールどおり行動しようとしており、天候の急変の可能性を楽観的に判断している。
注)トムラウシ山のときは手前にエスケープできる道があるにもか変らずトムラウシ山を越えた反対側にある当初予定の宿に向かっていた。
なおトムラウシ山の遭難に関する記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/21720-6bf2.html
なぜスケジュールを強行するかと言えば、こうしたツアーは宿の手配とか自動車の手配とかを事前に済ませていて、一旦そのスケジュールが狂うとそのあとの手配に多大な苦労が伴うからだ。
そして思わぬ場所に宿泊することになればツアーの主催者側でその費用を見なければならない。
だから旅行社はガイドや添乗員に「必ずスケジュールどおりツアー客を案内するよう」に強要しており、天候に少々懸念があっても無理に登山やトレッキングを決行する。
もしメンバーが20歳前後の若者であればこうした無理をしても自力でいかようにも生還できるが、実際は老人ばかりだ。老人は体力差が大きく、又昨年は元気であっても今年も元気である保障はない。
薄い利幅の旅行社が無理を承知でスケジュールどおりのトレッキングや登山をさせて、老人を遭難死させている構図で、これがこのアミューズトラベルに遭難死が多発する原因だと私は思っている。
なお、遭難関係の記事は以下参照。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat11607346/index.html
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