評論 中東・アフリカ アラブの春 シリア

(28.12.20) 人道主義が敗北し、そしてアレッポが解放された。 プーチン氏の勝利

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 シリアの内戦
が始まって5年たつがどうやらその終局の方向が見えてきた。シリア内戦ではアサド政権を支持するロシア、自由シリア軍を支持するアメリカとEU、それにひそかにISを支持してきたサウジアラビアの三つ巴の戦いだったがその中の自由シリア軍がアサド政権に降伏した。
自由シリア軍の根拠地はシリア北部のアレッポでここはシリア最大の都市だから、アレッポと首都ダマスカスを抑えれば国を掌握できる構図になる。

 そのアレッポに対しロシア軍が地中海に展開した空母から猛烈な爆撃を行いアサド政権の地上軍との共同作戦でアレッポ全域を解放した。
アレッポの自由シリア軍は武器をすべておいて投降している。
自由シリア軍にはアメリカとEUが物資と資金を供給して支援してきたが、ロシア軍の猛攻の前にあえなくその最後の拠点を失ってしまった。
このシリアと自由シリア軍の戦いでプーチン大統領が勝利しオバマ大統領が敗北したのだ。

 今後はアサド政権とISとの直接対決になり、ロシア軍は相変わらず猛爆で対応するからシリア領内にいるISの運命はほぼ決まったようだ。ISの根拠地はシリア北部とイラク北部だがイラクではクルド人とイラク政府軍がISを追い詰めており、ISは今後はテロだけが武器になっていくだろう。トルコの駐在ロシア大使が暗殺され、またドイツではトラックによるテロが発生しているがそうした事件は今後とも起こるがISがイスラム国として国家を形成することはなくなった。

 アレッポの戦いを見てみるとISのような狂信的イスラム教集団をせん滅するには人道主義は無縁だということがわかる。アレッポには多くの市民がいたがロシア軍の猛爆は相手かまわずでありちょうど第二次世界大戦の日本の都市の爆撃のようなありさまだった。
ISに好意的な放送局のアルジャジーラは連日のように市民がX名死亡したと懸命に世界に訴えていたが、相手がロシアではこの作戦は全く効かない。
自由シリア軍を支援した有志連合の空爆では誤爆があると司令官は公開の席で陳謝し空爆を手控えるようになるが、それはアメリカやEUといった人道主義国家だからでロシアには人道主義はない。

 そして最も重要なことはISのような相手には、プーチン大統領の言う「ならず者にはおもいしらせてやる」ことが必要で「目には目を歯には歯を」が勝利するための唯一の手段であることがわかる。
プーチン大統領は市民が何人死のうがISをせん滅するためには「必要悪」と割り切っているが、これは歴代のアメリカ大統領が押し進めてきた人道主義とは異なる。


 現在の世界を動かしているのはプーチン大統領でオバマ大統領ではない。そしてオバマ氏の後継者のトランプ氏は世界のことに一切かかわりたくないとの態度であり、アメリカが世界の警察官を降りてしまえばあとはプーチン氏しか警察官になる人はいない。
しかもこの警察官はオバマ氏と違って躊躇は一切しないから、ISをせん滅するためには市民の犠牲をいとわない。

 ロシア国内のマスコミはすべてがプーチン氏支持といった状況だが、これはプーチン氏に反対したマスコミ関係者はほとんど暗殺されたからである。
何とも時代が野蛮な方向に逆戻りしているように見えるが、実はそれが21世紀の世界で人道主義の旗手だったアメリカが降りてしまえば人道主義もおしまいだ。
人道主義は特殊歴史的な思想であってそれはパックスアメリカーナの基本思想の一つだったが、パックスアメリカーナが終焉を迎えればまた新たな思想が世界を支配する。
それがどのようなものになっていくかまだ混とんとしているが人道主義でないことだけは確かなようだ。



 

 

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(28.3.16) 「エルドアンは嫌いだ、だがエルドアン抜きに難民問題は解決しない」 EUの苦悩

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 トルコ政府
PKKクルド労働者党)との戦いはかつてのイギリス政府と北アイルランドのカソリック教徒との戦いのような様相を呈してきた。なにかアンカラベルファストのようにみえる。
昨年7月にトルコ政府は有志連合のIS掃討作戦に参戦したが、IS掃討とは名ばかりで本当の狙いはシリア国内にいるクルド労働者党の掃討をねらったものだった。
一方でPKKは対IS作戦の重要な地上部隊でアメリカやEUが最も期待している部隊なのでこのトルコのPKK掃討作戦に は歯ぎしりしている。
トルコのやつ、何を考えているんだ。これではISを絶滅できないではないか

 だがトルコにとってはISはどうでもよく、トルコからの独立運動を組織している天敵のPKKこそが第一の敵だから有志連合に参戦するのはPKKをたたくための口実にすぎない。
簡単に言えばどさくさに紛れてISと一緒にPKKを掃討しようというものだから、当然のことにPKKは猛反発をした。

 昨年の7月以降大小さまざまなテロ事件がトルコで発生し、特に首都のアンカラでは15年10月に100人を越える自爆テロ事件が発生した。
今年に入ってからもテロは続いており3月17日に はアンカラの繁華街で7回目の自爆テロが発生し犠牲者は37名に及んでいる。
従来PKKのテロは政府庁舎や軍事施設を狙った限定的なものが多かったが今回は明らかに一般人を狙った自爆テロで、もはやテロに は道義はないということのようだ。

注)トルコで発生しているテロに はPKKとISのものがあるがトルコ政府はすべてPKKの仕業としている。

 このテロに対しエルドアン大統領は「テロを実施するものだけでなく、犯行を可能にするものもテロリストと見なす」と強気の対応をとっているが、これはメディアを含めて、対テロ作戦に批判的な団体もテロ組織と見なして摘発対象にするということだ。
すでに最も批判的新聞だったザマンを政府の管理下において言論統制を強化したばかりだ。

 EUやアメリカはこの強権的なエルドアン体制に批判的だが、強くトルコを批判できない理由がある。
ヨーロッパにとって最も緊急な課題は難民問題だが、トルコの協力なしにこれは片付かないので、言論弾圧やPKKの掃討についてはポーズ以上の反対はせずトルコとの妥協を図ろうとしている。
現在シリア難民はトルコ経由ギリシャの離島へのゴムボートでの上陸が最も主要なルートだが、従来トルコ政府はこの渡航を黙認していた。
厄介者はさっさとギリシャにわたってくれ。あとはどうなろうと知ったこっちゃない

 EUは難民斡旋業者の逮捕や渡航禁止措置をトルコ政府に申し出ていたが、トルコとしたら難民を国内に抱えるのは嫌だから馬耳東風の対応をしてきた。
だがEUとしたらなんとかしてトルコ政府の協力を得て難民問題を解決しなければEUの体制までも崩壊しそうなので、トルコ政府と妥協を図ることとした。
トルコ国内の言論弾圧やPKKとの戦闘よりは、何しろ難民問題の解決だ。難民問題で協力してくれたら後は目をつぶる

 現在EUやギリシャとトルコとの間でおおよそ以下のような枠組みが図られつつある。
① トルコからギリシャにわたった難民はすべてトルコに移送する。
② トルコはトルコ国内にいるシリア政治難民を選別してこれをEUに送り付ける。
③ こうした措置をトルコが実施する見返りにEUはトルコに60億ユーロ(7500億円)の財政支援をする


 現在の無差別の移民や難民でなくシリア難民に限ってEUは受け入れることになるのでEU国内で反発が弱まるはずだというのがEU首脳の読みだ。
一方でトルコは巨額の難民対策費をEUの負担で支出することができることになる。
シリア問題は複雑怪奇で敵と味方が判然とせずIS掃討といってもトルコとロシアとEUやアメリカは同床異夢だ。
トルコは難民対策のキープレイヤーだからエルドアン大統領がいくら強権的でもトルコなしに は難民問題の解決はできそうにない。

 

 

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(27.11.16) パリの同時爆発・銃撃テロの意味 反体制派を支援すると牙をむく!!

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 「だから言ったじゃないの」と言った状況になってきた。イスラム国によるフランス・パリでの同時爆発・銃撃テロのことである。
イスラム国が犯行声明を出し「ISの戦士たちが不貞の都を攻撃した。爆弾と自動小銃で武装した同胞がパリの選ばれた場所を標的にした」と今回の犯行がイスラム国によるものだと誇っている。

 このテロで129名が死亡し、350名以上が重軽傷を負っている。フランスはこの1月にも風刺漫画を掲載した新聞社シャルリー・エブドが標的にされ17名が死亡しているので今年で2回目のテロになる。
フランスがイスラム国に狙われたのはこの9月からシリア国内のイスラム国支配地域への空爆を実施したからでその報復攻撃という意味が強い。

 しかしこうしたテロが成功するか否かはその国内の治安機関の能力に追うところが大きい。アメリカ2001年の同時多発テロ以降は大きなテロには見舞われていないが、それは情報機関が事前にテロ容疑者を逮捕する等の手段をとっているからだ。
またイギリス2005年のバス・地下鉄爆破事件以来テロがないが、MI5の報告ではここ1年間にイギリス国内で6件、国外で7件のテロを未然に防いだと発表している。
フランスがテロの対象に狙われているのは、アメリカやイギリスに比較して相対的に治安維持機関の能力が低いからだともいえる。

注)フランスはイスラム系の人口比率が1割を越し、アルジェリア戦争以来の反キリスト教意識の強い国で国内にテロ候補要員を多く抱えているという理由もある。

 だが本当の意味で問題なのはこうしたテロ対策能力の有無というより、テロ集団を自らが育ててきて今その報復を受けているということだ。
ヨーロッパは2011年からのアラブの春に舞い上がってしまい、リビアやシリアでは反体制派に軍事訓練と軍事物質の提供を行ってきたが、こうした反体制派は欧米が考える民主主義団体ではない。

 それは少し考えてみれば分かることで西欧が好きな「平和を愛して武力闘争を嫌う民主主義者」が武器を持って戦うことなどありえないからだ。
日本の憲法9条大好き論者を見てみれば分かるが、平和を口に唱え平和の歌を歌えば平和が来ると思っている人が戦場に出てくるはずがない。

 実際に反体制派となるのはその世界のあぶれ者か弾圧された少数民族の若者たちであり、いわばやくざ同士の戦いのようなものでどちらにころんでも民主主義とは全く縁遠い存在だ。
だから私はこのブログで何回も述べたようにヤクザ国家を西欧が武力でたたきつぶすことに は反対してきており、まして反体制派を民主主義勢力だなどと誤認して支援することに反対してきた。
ヤクザを打倒するのに新しいヤクザを育てても何もならないからだ。

 ヤクザ国家に対する唯一の有効な手段は衰亡を図って自然消滅させることで、その最大の歴史的成果はソビエトロシアの崩壊である。
ソビエトロシアはレーガン政権による軍拡競争を仕掛けられて技術的にもまた資金的にも限界に達して自己崩壊したのだが、その後の移行は実にスムーズで大崩壊の割にはISのようなイスラム原理主義者によるテロも限定的に抑えられている。

 また日本の近在には中国、韓国、北朝鮮と言ったヤクザ国家が存在しているが、こうした国家に対する対処も衰亡を図る戦略が最も効果があり、間違っても反体制派に武器を与えたりして暴力的に体制を転覆させたりしてはいけない。
実際安倍政権がしかけた対韓国、中国対策は円安政策だが、この政治的意味は近隣衰亡化政策で、この結果韓国の経済はほぼ崩壊し、また中国製造業も崩壊過程に入っている。
韓国は日本にスワップ協定を再締結してほしいとかTPPに入るにあたって日本の了解がほしいとか盛んにアプローチしてきている。
韓国衰亡化政策は確実に成果を上げてきておりあと一歩のところまでやってきた。

注)ほとんどの人は円安政策が日本経済再生の目的で行っているものと思っているが、この裏の政治的意味は韓国・中国の息の根を止める衰亡化政策である。

 また中国はここに来て資本の流失が激しく資金繰りが厳しくなって日本からの投資を呼び込もうと微笑み外交に転換してきた。
中国が資金不足になればなるほど軍備に資金を割く余裕はなくなるのだから間違っても中国経済の再生のために一肌脱いだらお終いだ。
伊藤忠商事などは完全に中国に取りこまれており、安倍政権が行っている中国衰亡化政策を理解しないのだからまことに厄介な存在だ。

 繰り返すがヤクザ国家を反体制派に武器を与えて転覆させるような措置をとると、必ずそうした集団は牙をむいてくる。
アルカイダはもともとアメリカが対ソビエトのアフガン戦争の抵抗勢力として育てたムジャヒディンが母体で、アメリカは2001年に同時多発テロで報復を受けた。
今回フランスはISをシリア・アサド政権打倒するための民主主義団体と誤認して支援をおこない思わぬしっぺ返しを受けている。

 だから私はいつも言っているのだ。
ヤクザ国家は武力で転覆させてはいけない。衰亡させるのだ」と。

 




 

 

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(27.10.10) シリア情勢大混迷 「ここはあっしにお任せくだせい」プーチン大統領がほえている

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  ここにきてシリア情勢は混迷の度合いを深めている。もともとはアサド政権とそれに反対する反体制派の戦いで、アメリカやヨーロッパは反体制派を支援し、一方ロシアはアサド政権を支援してきた。
ところがIS(イスラム国)が現れてから全く様相が変わってしまった。ISはイラク北部とシリア北部を支配地域として勢力を拡大し、特にアサド政権の支配地域を奪う作戦に出ているため、反体制派の役割が全く薄くなってしまった。

 実は反体制派といっても40程度のグループに分かれていて、実際にアサド政権と戦闘行為を行っているのはその過激派組織だ。穏健派はもともと戦闘などするつもりがないから穏健派なので、一方過激派とISの間にはほとんど区別がない。
いつのまにか過激派の戦闘員がISの戦闘員になったりしていており、欧米が反体制派に武器の供与をするといつの間にかISにその武器が流れているのはそのためだ。
アメリカは反体制派に軍事訓練をしてアサド政権に対峙させようと計画してきたが、欧米系の意にかなう戦闘員などほとんどおらず、実際に訓練をしていた穏健派の人数はたった60人だった。これでは地上軍がないと同じだ。

 一方ISはアメリカ人やイギリス人や日本人を拉致しては首を切ったりするので国際世論はアサド政権よりIS撲滅の方に関心が移ってしまった。
ISがイスラム原理主義勢力でテロ集団の集合体だということが明白になるにつれ、アサド政権より過激で危険だということが誰の目にも明らかになってきたからだ。
われわれはアサド政権の軍事基地をたたけばたたくほどISの勢力が拡大する。ISを支援して世界中にイスラム原理主義を拡散することが有志連合の役割なのだろうか・・・・」さすがに欧米も反省した。

 このところのアメリカを中心とする有志連合の空爆目標はISの軍事基地をたたくことになったが、これでは今度はアサド政権を支援しているのと同じになる。
有志連合は自分たちでも何をやっているのか分からなくなっていた。
もともと穏健な反体制派などいない。いるのは過激な反体制派でこれはISと区別できない。だから有志連合には地上軍がないのも同然で、ISを空爆すればアサド政権の支配地域になるし、アサド政権を空爆すればISの支配地域になってしまう・・・・・・
欧米のシリアへの軍事介入は完全に失敗してしまった。
 
 この間隙をぬってロシアがアサド政権の本格的な支援に乗りだした。
諸君分かってくれたろうか。問題はアサド政権にあるのではなくISにある。だからロシアはアサド政権を支援してISの根拠地をたたきつぶす。諸君と目的が同じだから仲良く空爆を行おう
9月30日から空軍機による爆撃と巡航ミサイルによる攻撃を始めたが、さらに地上軍の派遣も検討している。

 ロシアは空軍、海軍、陸軍の総力を挙げてシリアに軍事介入を開始し、一方アサド政権の地上部隊がISの支配地域の奪還に乗り出したのでこのロシア・アサド連合軍の勢力が一気に強化された。
プーチン大統領はいたってリアリストだから、強圧的なアサド政権の方が熱狂的なイスラム原理勢力よりまともな政体だと知っている。
愚かな欧米がアサドを独裁者として葬ろうと軍事介入したが、その結果生まれたのは独裁政権よりもっとたちの悪いイスラム原理勢力でテロ集団だ。そんなことも分からずに軍事介入するのが民主主義と聞くとすぐに舞い上がる欧米の愚かなところだ
プーチン大統領が吠えているがこの勝負はプーチン大統領の勝のようだ。

 

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(27.2.19) 民主主義原理主義者の誤算 「くそ、独裁政治より悪質な宗教原理主義があったなんて知らなかった!!」

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 ここに来て世界の民主主義原理主義者の心をさかなぜするような事象が次々に起こっている。イスラム原理主義者の台頭のことである。
イスラム国が跳梁跋扈するまでは世界最大の悪玉と見なされていたのはシリアアサド大統領だった。
自国民を弾圧し反対者を軍事力で押し込めあまつさえ化学兵器まで使用したため、オバマ大統領は軍事作戦をほのめかすまでになっていた。
悪の権化、アサドを打つ!!!」
これをすんでのところで押しとどめたのが、こちらは強権政治の権化のようなプーチン大統領だったが、プーチン氏の判断の方が正しかったことが証明されている

 かつてアメリカや西欧がアサド政権に対抗する抵抗勢力として武器や弾薬や資金を提供してきたイスラム原理主義者が、本当は民主主義原理主義者の敵だということが分かってきたからだ。
アサドはイスラム原理主義者を押しとどめるために結構よくやってたんだ・・・・・」反省したがあとの祭りだ。

 イスラム原理主義勢力世俗的独裁勢力アサド政権)の最大の相違は心の中まで支配をするか否かにある。前者は徹底的な宗教教育を施して子供をジハードに参加させ爆弾を腹に巻いて自爆させる。もし疑念を持ちそうなものがいればたちどころに斬殺する。
イスラム教徒以外は敵だからそれは人間でなく豚と同じでどのように処分しても構わない。
アメリカ人やイギリス人や日本人が赤い服を着せられて首をはねられたが、人間でない以上どのようにしても神は許してくれる。

 一方世俗的独裁者はアサド大統領がそうであったようにヨーロッパでの留学経験もあり、西欧的民主主義を熟知している。そうしたものに対するあこがれはあるが一方で自国の現実は到底そこまで到達できないと割り切って独裁政治をしているので心の奥までは支配しない。
どうせ人間心までは支配できないのだから忠誠を誓うそぶりさえしてくれればいいや
明確な反対者に対する処分は秘密警察によって徹底的に行われるが、そうした素振りを見せないものには寛大だ。

 日本でも戦前は共産主義者に対する弾圧は徹底的だったがそうでない人に対してはひどくおおらかな社会だった。よく戦前が暗黒時代だと左派系の識者が強調しており、映画などでは拷問のシーンを描いているが、一般の市民にとっては関係のないことだった。
さらに江戸時代は戦前よりさらに厳しく奉行所の取り締まりは過酷だったが、実際の庶民生活は貧しいということを別にすれば東映映画の一心太助が活躍するような非常におおらかな社会だった。

 一方で現在のイスラム国リビアアフガニスタンアフリカで勢力を伸ばしているイスラム原理主義者は今から1000年も前の十字軍時代のイスラム戦士と同じ精神構造をしている
時代が一気に1000年も遡ったのだから戦前や江戸時代の比ではない。
私は塩野七生氏のファンで「ローマ亡き後の地中海世界」という本を読んでとても刺激を受けたが、その最大の刺激は「異端者は人間でなく豚である」との宗教的情熱を知ったことだ。

 民主主義原理主義者にとっては自由平等博愛こそがその根本原理になっており、特に言論の自由こそがそれを支える基本と考えられている。
だからシリアのアサド政権が言論弾圧をしていると口を極めて非難していたが、イスラム国は言論弾圧をする前に異教徒の首を次々にはねて、残ったのは原理主義者ばかりだから言論弾圧の必要もなくなっている。
言論弾圧とは「殺さないからいうことを聞け」ということで、一方イスラム国はコーランのお教えに少しでも異議をとなえれば、秘密警察の逮捕というような面倒なことはせず即刻処刑する社会だ。心の中が腐っていればトサツしなければならない。

われわれはイラクのサダムフセイン政権を倒し、エジプトのムバラク政権を倒し、リビアのカダフィ政権を倒したことで時代を1000年も過去の戻したが、それが正しいことだったのだろうか??」アメリカを中心とする民主主義原理主義者は今懸命に反省をしている。

 

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(26.9.9) 西欧型民主主義の限界 イスラム国の台頭とアメリカの苦悩

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(北海道 小樽の近くの欄島の海水浴場)

 西欧型民主主義体制が矛盾に満ちたものだと明確に分からせる事例はイスラム国の存在だ。
もともとシリアのアサド政権が西欧型民主主義に違反する独裁政権だとして、アメリカと西欧は反体制派に武器の援助をしてきた。
しかし援助を受けた反体制派勢力が肥大し、ついにイラクに攻め入ってイスラム国を建設しアメリカ人ジャーナリスト二人の首をはねた。

 その映像がユー・チューブで流されるとアメリカ国内は激昂した。
しかしもともとはシリアのアサド政権打倒のために、資金や武器援助を反体制派に与えたことでイスラム教徒が本来の眠りから覚めただけだから、激昂する方がおかしい。
自業自得とはこのことで「これならアサド政権の方がよっぽどましだ」とアメリカは歯ぎしりをしている。

 アサド大統領は「イスラム過激派と最前線で戦っているのはシリアだ」と常日ごろから言っていたが、それがまさに真実だということが証明されたが、一方アメリカは自己矛盾に悩んでいる。
すでにクルド人やイラク政府を支援するとして空爆を再開したものの、イスラム国の本拠地であるシリア北部の空爆は理論的にできない
もしシリア北部の空爆を行うとそれはアサド政権の支援になってしまい、独裁者アサドを打倒すると振り上げたこぶしの落としどころがなくなるからだ。
我が国はアサドを打倒するためにアサドを助けよう」などといえば子供でもびっくりする。

 しかしイスラム国とはよく言ったものだ。7世紀から8世紀にかけてアフリカ北部と地中海地方を席巻したサラセン帝国の再来のような集団で、イスラム教の教えを厳格に守って片手にコーラン、片手に剣をふるう熱狂的なイスラム教徒の集団だ。
この「片手に剣」は象徴的な意味でなく実質的な意味を持っており、イスラム教徒以外は人間でなく豚だから、いくら殺しても奴隷にしてもそれは神の意思として認められる。

注)イスラム国の台頭については前にもブログ記事を記載している。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-61ef.html

 塩野七生氏の「ローマ亡き後の地中海世界」を読むとアフリカ北部を支配下に置いたサラセン人がビザンチン帝国の支配下にあったシチリアやイタリア沿岸の諸都市を襲い、抵抗するものは首をはね、従うものは奴隷にし、改宗したものはサラセンの兵士として第一線の危険きわまる戦場に送りだしていたことが分かる。

 現在イスラム国が異教徒であるアメリカ人の首をはね、そしてそれを実行したのが改宗したイギリス人であることはイスラムの伝統そのものだ。1200年の時を隔ててサラセンの亡霊が復活し、現在のローマ、アメリカに襲い掛かっている。
西欧型民主主義が最高のシステムと思っている人からすると、罪もないアメリカ人の首をはねることは許しがたい暴挙に見えるが、イスラム国からすれば異教徒であることがそもそも罪なのだから首をはねることは当然ということになる。

 社会システムとは実は相対的なもので、その中で西欧型民主主義はましなシステムというのに過ぎない。
私は今中学生に勉強を教えているのだが、公民や歴史の教科書を見ると西洋型民主主義を至上の価値と認めており、特に日本国憲法はその中で最高の法規のように記載してある。だが日本国憲法は敗戦国日本が二度とアメリカに歯向かわないことを目的に制定された憲法で、第9条で軍備を一切持たせないようにして、その代りアメリカが日本を軍事的に植民地支配するための規定だ。
この事実を教えないから教科書をいくら読んでもリアル・ポリティックが中学生に育たない。
価値は相対的なものなのに西欧型民主主義以外の価値が存在することが理解できなく、なぜイスラム国が現れるのか理解できないだろう。

 イスラム国は実にいいリアル・ポリティクスの教材だ。
アメリカは理念を守るためにイスラム国を何とかして封じ込めたいが、そのためにはシリア北部の拠点をたたかなくてはならない。
しかし拠点をたたくということは独裁国家シリアを助けることだから、アメリカが独裁国家に加担することになる。
理念国家アメリカにとっては実につらい選択だ。
独裁政治がイスラム原理主義を封じ込めていたのに、その独裁政治のくびきを放つとイスラム原理主義がアメリカに牙をむく。

 リビア、チュニジア、イラクと独裁政治が倒れたが、後にできたのはイスラム過激主義国家ばかりだ。
オバマ大統領は今「独裁国家を倒してサラセン帝国を復活させるのに何の意義があるのだろうか」と苦吟している。
だが本当は独裁国家を倒せば西欧型民主主義になると考えたのが浅はかなのだ。イスラムの世界では独裁政治こそがアサド大統領が言うように「過激派を封じ込める唯一の手段」なのだから。

別件)第4回ちはら台・おゆみ野ハーフマラソンのお知らせ。

以下の日程でハーフマラソンを開催いたします。
① 10月5日(日曜日)
② 午前10時スタート(雨天決行.受付は9時半から)
③ スタート・ゴール ちはら台走友会のかずさの道の集合場所(前回と同じでセンドーのうえ。地図参照)

ルートは以下の地図で確認できます

http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=6d18ea2157947c484ad9c4ec04b246ef
④ 費用300円(実費)
⑤ 参加希望者はこのブログのコメントかメール機能を使用して参加希望を連絡してください。

⑥ なお本大会はすべて自己責任です。

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(26.7.17) イスラム国の独立とサイクス・ピコ協定の破棄 「100年のくびきを絶つ!!」

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 サイクス・ピコ協定などと言われても、高校生の時に世界史を学ばなかった人は何のことかさっぱり分からないだろう。
第一次世界大戦の最中にイギリスとフランス(のちにロシアも加わる)がオスマントルコの領土について分割協議をした秘密協定のことである。

 現在シリアとかイラクとか言われている場所は当時はオスマントルコの領土だった。オスマントルコはドイツ・オーストリアの同盟国側に立ってイギリス・フランス・ロシアと対抗して参戦していたが、その様子は映画「アラビアのローレンス」に詳しい。
ローレンスがベドウィン部隊を率いトルコの要塞都市アカバを攻略するシーンはラクダにまたがるローレンスの雄姿が焼き付く場面だ。

注)オスマントルコの宿敵はロシアだったのでロシアと戦争状態になった同盟国側にトルコは参戦した。

 だが考えてみればまだ大戦の最中に終戦後の植民地分割案を決めるというのはイギリスもフランスも相当こすい。現在のシリアはフランス領にそしてイラクはイギリス領にと決めたのだが(黒海沿岸はロシア領とした)、実際両国がこの大戦で勝利するとサイクス・ピコ協定のようにオスマントルコの領土は分割された。

注)正確に言うとイギリスは他にアラブとユダヤに対して別個の約束もしていたので、サイクス・ピコ協定通りにオスマントルコの領土が分割されたわけでない。

 こうしてシリアとイラクという植民地国家ができたのだが、第二次世界大戦の後の植民地解放のうねりの中でそれぞれの植民地は独立していった。
だがその後作られた国家は旧宗主国との妥協の産物だったから、宗主国と協調できる独裁者の支配する国家になってしまった。
イラクのフセイン、シリアのアサド、エジプトのムバラク、リビアのカダフィ、チュニジアのベンアリ等はすべて旧宗主国(のちにはアメリカ)の実質的支援のもとに独裁政治をしていたと言っていい。

 はっきり言えば「君たちがわが国の石油資本(経済権益)を保護してくれるならば、君たちの独裁には目をつぶって経済的軍事的支援をしよう」ということだ。
しかしこうした蜜月関係もアルカイダの2001年ニューヨークのテロ攻撃や、カダフィ大佐のように独裁者自身が民族主義に目覚めた政策をとったことから欧米との関係がぎくしゃくするようになってきた。

 そして3年前のアラブの春では欧米が独裁者を見限ったために次々に独裁政権が打ち倒され、その後には宗教色の強いイスラム政権が樹立された。
イラクはシーア派のマリキ政権、エジプトはしばらく前まではムスリム同胞団、リビアやチュニジアは宗教勢力と現世勢力が拮抗して武装闘争をしている。
シリアはまだアサド政権がアルカイダ系武装勢力と戦っているが、ここではテロとの戦いを支援しているのがロシアで、一方テロ組織を支援しているのがアメリカとヨーロッパというひどいねじれ現象が発生している。

 独裁者が倒され民主的な選挙をすれば当然圧倒的多数は教育がないが宗教心が強い大衆が占めているのだから、イスラム宗教国家ができる。
このあたりまでは欧米列強も「選挙結果は重視せざる得ない」という投票民主主義の立場をとってきたが、シリア内戦で実力を蓄えたスンニ派の過激派組織がイラクに攻め入り、シリアとイラクをまたがるイスラム国の独立宣言をしたのには度肝を抜かされた。

注)イラクのマリキ政権が実質的に崩壊したことは前に記した。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-22fb.html

 しかも独立宣言で「サイクス・ピコ協定は破棄された」と主張しているから100年を経てオスマントルコのイスラム国家が復活したことになる。
何しろ指導者はカリフ宗教的指導者)というのだから、オスマントルコそのものだ。
現在のトルコはオスマントルコの末裔ではない。西洋に屈した豚だ。我々こそオスマンを復活させる」と意気軒高だ。
最もこの国家は今のところどこも承認していないから、とりあえずは言ってみただけという状況だが、イスラム過激派集団が何を目指そうとしているか明確に分かる。

 西欧列強にとっては独裁者がいるころの方がまだ話し合いができるだけましだった。イスラム宗教国家になるとイスラム教国とキリスト教国の宗教戦争になるから、妥協のしようがない。
イスラムが復権し、1000年前の十字軍の昔に戻ってしまったような錯覚を持つ。

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(26.7.4) イラク・マリキ政権の崩壊と国連の機能停止 だれも「イスラム国」を止められない

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 イラク情勢が緊迫化しているが、それに対して毎日新聞が社説で「国連は傍観するのか?」と嘆いて見せた。国連を持ち出せば何でも解決すると毎日新聞も思っていないはずだが、何か言わないと格好がつかないので言ってみただけだ。
国際紛争を解決する手段として国連が積極的な役割を演じられるのは、安保理が全員一致で武力行使を可決した時だけだが、アメリカとロシアと中国の利害が一致する案件などほとんどない。

 実際シリア制裁にはロシアと中国が大反対で、アメリカが「空爆する」と息巻いたものの結局何もできずに内戦が続いている。すでに死者14万人、避難民900万人を出した内戦に国連は手出しができず、ただ避難民キャンプを設営しているだけだ。
シリアのアサド政権と戦っていたスンニ派の過激派組織は次第に勢力を拡大して、シリアとイラク北部にまたがる解放区を作ってしまい「イスラム国」の樹立を宣言した。
首長は「カリフ」というのだからオスマントルコの時代に戻ったようだ。

注)オバマ政権がシリア空爆に失敗した経緯は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-fdc3.html

 毎日新聞が言う「国連とは実際はアメリカ」のことだが、アメリカはアフガンとイラク戦争につかれてしまって全く覇気をなくしている。
ブッシュ前大統領までは意気軒昂だったが、オバマ大統領は国内のオバマケア一つ満足に議会を通過させることもできず、完全にレイムダックに陥り、国際紛争に介入する気持ちは全くない。

注)オバマ大統領のレームダックについては以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-0557.html

 スンニ派過激派組織がイラクのマリキ政権を脅かして首都バクダットに接近しても、したことは軍事顧問団300名を派遣しただけだ。
これはアメリカ人(大使館員や民間人)がイラクから逃げ出す時にその手助けをするための要員で、戦闘部隊ではなく撤退補助部隊だ。

 一応「あらゆる選択肢を残しており、空爆も辞さない」と強がって見せたが、シリアの時と同様に本気で空爆を行うつもりはない。
何しろマリキ政権は実質的にイランの息のかかった傀儡政権で、イランの中東支配の橋頭保だから、アメリカが支援する理由は全くないのだ。

 思えばアメリカもばかな戦争をしたものだ。イラク戦費は合計3兆ドル300兆円)もかけたのに、その結果できた政権はシーア派のイラン傀儡政権なのだから何をしたのかさっぱり分からなくなった。もともとは石油利権の確保のための戦いだったが国内でシェールガス革命が進展し、中東に石油を求める理由がなくなり、中東の石油は中国と日本がその主要な購入先になっている。
中国や日本のためにイラクで戦う必要はない」というのが本音で、アメリカの本格介入はあり得ない。

  だから毎日新聞が犬の遠吠えのように「国連は傍観するのか」といくらいっても、アメリカが全くその気がないのだから傍観せざる得ないのだ。
思えばパックスアメリカーナの時代はアメリカの一声で世界から紛争がなくなる実にいい時代だった。
あのリビアのカダフィ大佐でさえアメリカの空爆にすっかりおびえて牙が抜かれたほどだが、今は誰もアメリカを恐れない。
ウクライナではプーチン大統領が思うままに領土拡大をしているし、ベトナムとフィリピンでは習近平主席が両国から島を掠め取った。

 世界は地域覇権主義の時代に入り、中国は東アジアの覇権国家を目指している。韓国はすでに中国の朝貢国家になり、次は台湾が狙われている。
日本に対しては沖縄独立運動に火をつけようとしている。
国連」など何の役目もなくなり「ただ傍観する」以外に何の役割もなくなった。

 
 

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(25.9.16) アメリカが凋落した日  シリア懲罰戦争の失敗

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(北海道の東海岸)

 ついに世界国家としてのアメリカが凋落した。あれほど「シリアに懲罰を与える」とこぶしを振り上げていたオバマ大統領がロシアのプーチン大統領に泣きを入れて、戦争回避に動き出した。アメリカが単独で戦争ができた時代が終わり、同時に超大国アメリカの時代が終わった。

注)アメリカが超大国の地位を滑り落ちたことは前にも記載してある。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-c251.html


 「国家は純粋に人道主義にもとずく戦争をできない」というのが私の認識だが、今回のシリア懲罰戦争の迷走がそのことをあらためて証明している。
オバマ大統領は、8月21日のダマスカス郊外で発生した毒ガス攻撃で民間人約1000名が死傷したことを根拠に、人道的立場でシリア限定爆撃を主張したが、国内と国外から足を引っ張られた。

 私はオバマ大統領の人道主義の信念をいささかも疑っていないが、大統領がそうした信念を持っていても、国民も他国も人道主義という名の戦争においそれと賛成しない。
オバマ大統領シリア懲罰戦争が全く人気がないことに驚き、(限定戦争が大統領権限で実施できるにも関わらず)アメリカ議会両院の賛同を求めたが、議員がオバマ大統領の火遊びに賛成するはずはなかった。
アルカイダを利するための戦いをなぜする必要があるのだ。アメリカの主要な敵はシリアではなくアルカイダではないのか・・・・・・・

 結局戦争による解決に終始反対してきたロシアの要望を入れ、化学兵器を来年の前半までに廃棄することをアサド政権が了承することを条件に、振り上げたこぶしをひっこめることになった。
超大国の大統領が周りから寄ってたかって押し込められてしまったのだから、これでは威厳もへったくれもあったものではない。
おかげでオバマ大統領の支持率は50%割って急落している。
あいつはガキと同じだ!!!」

 前にも書いたがアメリカが唯一の超大国であるというのは、自身の判断で戦争をおこない他国に文句を言わせないのが条件だが、今回オバマ政権はロシアとの妥協を図らざる得なかった。
プーチン君のいうことはもっともだから戦争は止めた!!!」

 すべての戦争には経済的もしくは政治的利益が随伴している。最近行われた戦争でいえばイラク戦争カダフィ政権への空爆も本当の目的は石油である。
これは二つの意味があり戦後の復興にこの石油代金が利用できること(復興費用をアメリカもヨーロッパも出さないで済むこと)、および経済が安定してくれば確実に石油利権が入手できるからだ。
一方ロシアがグルジアオセチアで行った戦争は、ロシア領土がさらに縮小しロシア国家の存在が脅かされることに対する威信を守るための政治的戦争だったと言える。サッチャーが行ったフォークランド紛争もそうだった。

 シリアに関していえばただ貧しいだけの国家で、もしここをアメリカやヨーロッパがアサド政権から解放すればそのあとの復興費用がどれだけ必要になるか分からない。
しかもここはロシアが利権を持っておりアメリカやヨーロッパにとって最初から域外なのだから、シリアがどうなろうとも関係がない(ロシアにとってはアサド政権が崩壊すると中東での拠点が失われる)。

 アメリカ国民が本能的にこの戦争に反対し、世界でもフランス以外はあきれ返って手を引いてしまったのは、「人道主義では飯を食えない」という冷めた現実主義に基づいている。
戦争というものはある意味で人間の性(さが)でどんなに説得したり話し合いをしてもなくなることはない。
だから戦争を止めさせる最善の方法は、戦争好きの人間は徹底的に戦争をさせて互いに共倒れになって死に絶えるか、それ以上は戦争遂行能力がなくなるまで殴り合いをさせておくのがいいのだ。

注)戦略家のクラウゼビッツはこれを「戦争とは政治の延長である」と散文的に述べている。なおこの戦争がどれだけ愚かな戦争かについては私は以下の記事を書いている。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-18d3.html


 平和国家がなすべきことはタダ一つだ。
ドイツスウェーデンがシリア難民の受け入れを宣言しているが、日本のように平和を愛する国家がすべき措置は戦争を嫌ってシリアから逃れてきた難民を受け入れることだ。
そうすればシリアに残っている人はアサド政権の支持者とアルカイダだけになる
安倍政権はオバマ大統領が戦争に突入すればそれを支持する予定だったが、こうした愚かな戦争を支持するよりドイツスウェーデンにならって難民受け入れを表明することだろう。

 日本人が本能的に外国人嫌いなことは私はよく認識しているが、これからの日本のあり方として難民受け入れ国になるのは平和を愛する日本の重要な国家戦略になると私は思っている。


(別件)ちはら台・おゆみ野ハーフ・フルマラソン開催のお知らせ。

以下の日程でハーフ・フルマラソンを開催します。

・日程 10月6日(日) 10時スタート
・集合場所 ちはら台かずさの道 ちはら台走友会集合場所(地図添付)
・コース  ちはら台のかずさの道とおゆみ野の四季の道を使用(地図参照)

https://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&tab=wl

・参加費用 300円(ゼッケン代と飲み物代)
・参加資格 高校生以上ならだれでも可
・ルール 1か所信号があります。交通規則を守って赤信号では停止(この間の時間はネットタイムに含めませんので、各自時計を止めて調整)
・結果はこのブログに掲載します。
・その他 雨天決行ですので走る人は各自雨具等を用意して走ってください。

 *人数確認のため参加予定者はこのブログのメールかコメントを使用して、氏名、年齢、住所を連絡していただけると幸いです(ちはら台走友会のメンバーはその必要はありません)

 

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(25.9.8) シリア軍事介入とアメリカの衰退 一国覇権主義の終わり 

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  かつて中西輝政氏の「大英帝国衰亡史」を読んでいた時に、「世界帝国が衰亡するのは大戦争でなく、ほんの些細な軍事介入とみられたところから実際は衰亡するのだ」という趣旨の指摘があった。
中西氏が指摘していた大英帝国の衰亡の例は、南アフリカでのボーア戦争イギリスとオランダ系植民地住民との戦い)で、19世紀後半から20世紀初めにかけての2度の戦争でイギリスは国力を消耗し(アメリカのベトナム戦争と同様実質的に敗北し)、アメリカに世界帝国の地位を譲った。

注)その後イギリスは第一次、第二次の世界大戦には勝利したが、大戦には勝利したものの世界帝国の残影に過ぎなかった。

 今回のシリアに対するアメリカの軍事行動の動きを見ていると、アメリカの世界帝国としての地位はここまでかと思うような兆候がいくらでもある。
今までアメリカはベトナム戦争もイラク戦争も全くでっち上げの理由で戦端を開き、前者は敗北、後者は勝ったもののその後の民政移管に失敗している。
それでもアメリカはなお超大国の地位は保ってこれたが、今回のシリア懲罰戦争はそうはいきそうもない。

 今回もアサド政権が化学兵器を使用したからそれに対する懲罰戦争を行うとこぶしを振り上げたが、国外でも国内でも戦争反対の世論が渦巻いている。
最大の理由は「化学兵器を使用したのが本当にアサド政権か?」というのが不明確だからだ。

 戦争においては大国の介入をさせるために自作自演の演出がしばしば行われる。
日本の例では日中戦争の端緒になった盧溝橋事件では、日本軍と国民党軍が互いに相手が先制攻撃してきたと主張したが、実際は共産党軍が両軍に鉄砲を打ち込んで共倒れを狙ったものだった

注)共産党軍は国民党に追い詰められていたため、日本軍と国民党を戦争に引きずり込んで、国民党の矛先を日本に向けさせようとした。

 だから今回化学兵器が使用されたとする映像がインターネットに流されていても、それがアサド政権側が使用したという証拠は実際にはない。
ケリー国務長官は「アサド政権側が使用したのは明確だ」と主張しているが、それなら誰でも納得する証拠を見せてもらいたいものだ。

注)この件に関しては「実に愚かなアメリカの懲罰戦争」という記事を書いておいた。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-18d3.html

 アフガン戦争が始まったのが2001年、イラク戦争が2003年であれからすでに10年以上たっている。アフガン戦争では終結のめどがたたず、一方イラク戦争は恥だけかいて撤退してしまった。
この間アメリカが戦争に投入した資金は計算の仕方にもよるが、アメリカの経済学者ジョセフ・ステグリッツ氏などは4兆ドル400兆円)規模だと推定している。
日本の国家予算の4倍の資金を投入しても全くめどが立たない戦争に、さらにもう一つ戦争を加えようとするのだから正気の沙汰ではない。

 中西輝政氏が言うように「世界帝国は大戦争に勝利しても地域戦争で泥沼に引きずり込まれ、消耗を繰り返し世界帝国としての地位を失う」のだろう。
アメリカが唯一の超大国になったのは1990年の初めだが、それから20年を経過しアメリカの世界帝国と地位が揺らいでいる。

 サンクトペテルブルグで開かれたG20の会議でも賛成と反対はほぼイーブンで、オバマ大統領が頼みのアメリカ下院の支持もほぼイーブンだ。
一方世論は主戦論のアメリカとフランスを含めて、どこも大反対だからこれほど人気のない作戦も珍しい。
アメリカが一声かければ戦争ができる状況ではなく、自国の判断だけで戦争ができた時代が終わっている
自分の意志だけで戦争ができなければそれは世界帝国ではない。オバマ大統領はくしくもアメリカが世界帝国の地位を滑り落ちたことを内外に表明してしまった。

なおシリア問題に関しては以下に記事をまとめております。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat48561052/index.html


(別件)ちはら台・おゆみ野ハーフ・フルマラソン開催のお知らせ。

以下の日程でハーフ・フルマラソンを開催します。

・日程 10月6日(日) 10時スタート
・集合場所 ちはら台かずさの道 ちはら台走友会集合場所(地図添付)
・コース  ちはら台のかずさの道とおゆみ野の四季の道を使用(地図参照)
https://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&tab=wl

・参加費用 300円(ゼッケン代と飲み物代)
・参加資格 高校生以上ならだれでも可
・ルール 1か所信号があります。交通規則を守って赤信号では停止(この間の時間はネットタイムに含めませんので、各自時計を止めて調整)
・結果はこのブログに掲載します。
・その他 雨天決行ですので走る人は各自雨具等を用意して走ってください。

*人数確認のため参加予定者はこのブログのメールかコメントを使用して、氏名、年齢、住所を連絡していただけると幸いです(ちはら台走友会のメンバーはその必要はありません)

主催 ちはら台走友会 担当 山崎次郎



 

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