(28.12.2) カジノはマネーロンダリングの温床 日本にもカジノが始まる!!
どうやら今国会でカジノ法案が成立する雰囲気になってきた。自民党が推進し、公明党は消極的だったが反対はしないという態度に転じたからだ。
カジノ法は景気回復の切り札として過去何回も国会成立を図ろうとしたが、一方でこのカジノがもつ非社会的な性格のゆえに反対者が多かった。
カジノはラスベガスやマカオが有名だが、いずれも何らかの意味でマフィアと結びついており、完全に健全なカジノなどないからだ。
経済的に見るとカジノは資本主義社会に花開いたあだ花といえる。もともと資本主義社会では人間にとって有用なものを生産してきたのだが、生産力が消費力を上回るようになって財もサービスもあり待ってしまった。
「もうこれ以上何もほしくないのにまだ生産しなくてはならないのか!!」
本来はこの段階で生産拡大をやめるのが妥当なのだが、成長論者にとってこの状況は実に恐ろしい状況で「成長なくして財政再建なし」などと言いながら、さらなる成長を模索する。
そこで現れたのが投機経済で、簡単に言えば紙幣を印刷してこれを不動産や株式といった本来は価値のないものに資金を投入させて投機をあおるやり方だった。
不動産は全く価値がないというのは言い過ぎだが、必要以上は不要で投機ではこの不必要な不動産に投資させるのがポイントだ。
アメリカのサブプライムローンでの住宅購入では本来もう住宅手当が住んだ人に対し「1年で倍になりますからその時に売り抜けましょう。金は銀行がいくらでも出します」と言ってあおっていた。
通常の人にとって住宅は一軒あれば十分で2軒め以降は投機物件になる。
しかしこの投機経済はもともと不要なものに投資をしてその利ザヤだけを狙っているので、何らかの事情で一気に崩壊する危険性がある。簡単に言えば砂上の楼閣だから崩れやすいのだ。
日本のバブルが崩壊したのは日銀が不動産価格のあまりの上昇に驚いて不動産融資を制限したからだ。
当時私は現役の銀行マンだったからよく知っているが、毎月日銀に融資金の内容を報告させられそれが不動産関連資金だとわかると日銀からの融資を絞られたものだ。
またアメリカのサブプライムローンバブルの崩壊はリーマン・ブラザーズの経営が怪しいという市場のうわさが広がったもので、そうなるとリーマンに対してどこも融資をしなくなるので資金繰りに窮して倒産しバブルが一気に崩れた。
現在黒田日銀総裁やECBのドラギ総裁や中国人民銀行はこの投機経済を後押しするためにそれぞれ毎月10兆円規模で紙幣を市場にばらまいているが、これがまだ有効に作用しているのは中国だけで、日本やEUでは限界に近付いている。
日本やEUは人口低減下にあり、今までも十分住宅建設をしてきているのでどんなにあおっても購入者は現れなくなりつつある。
一方中国ではいまだに幽霊のような高級住宅があちこちに建設されて投機をあおっているが、中国人の住宅事情は極端に悪く将来的には使用可能だとの幻想を維持できるのでまだこの投機が続いている。
投機は鞘を求める経済行為だが、一方カジノは富が一定の中でそれを他に移転する行為といえる。麻雀の点棒と同じで全体の点棒は一定だから誰かが得をすれば誰かが損をするゲームだ。
カジノ法を推進している議員の頭には、胴元は場所代が必ず入るのでカジノを始めれば経済が活性化して特に地方財政が好転すると思っているが、必ずしもそうとは言えない。
カジノが成立する前提条件は金持ちが多くいるか、海外から金持ちが集まってくるかのいづれかだが、しばらく前までラスベガスを抜いて世界最大のカジノを誇ったマカオで異変が起こっている。ここは中国本土で非合法で金儲けをしてきた中国人がマネーロンダリングのために集まっていたが、中国経済そのものが失速したことと中国政府の監視が強化されたとたん閑古鳥が鳴き始めた。
また韓国では中国人を目当てとしたカジノが開設されているが、こちらは中国人観光客の減少でさっぱり人が集まらなくなっている。
カジノに集まる人は通常は健全な生活をしている人々でなく(時に気晴らしにそうした人もいるが)、もっぱら資金を非合法で得てはそれをマネーロンダリングしたい人で、マカオにはそうした人を対象にしたビップ専門の部屋があり、オーナーと示し合わせては金を正常なものに変えていた。
カジノは単に富の移転だから移転してほしい人が主として集まる場所で、そこでもうけを期待しているわけでない(もちろんカジノ好きな人もいて身を持ち崩すがそうした人を主な対象にはしていない)。
お分かりだろうか。カジノとは非合法の資金を合法化する場所でケイマン諸島にある無税地域に所得を移すのと何ら変わりがない行為なのだ。
「どうせ隠すならケイマンでなくわが日本に隠してくれ。そのための場がカジノだよ」というのが実態で、共産党や民進党が反対するのもある意味で当然なのだ。
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