(28.2.24) 資源国の時代から消費国の時代に 日本にとっては天の恵みだ!!
IEA(国際エネルギー機関)が原油の需給予測を発表した。
それによると16年度は1日当たり110万バーレルの供給過剰が続き17年度になってようやく需給は均衡するものの、過去に積みあがった備蓄があるから17年度も価格上昇の期待はできないというものだった。
簡単に言えば16年、17年を通じて価格の上昇はないといっている。
日本のように資源を海外から輸入に頼っている国では朗報で、原油だけでなく鉄鉱石も石炭も銅もスズも資源と呼ばれるものはすべてピーク時からは4分の1、1年前からは約半分の価格で資源調達が可能になっている。
一方OPECのような石油産出国は大変で12年に約140兆円余りあった原油収入が、15年は60兆円に半分以下になり、さらに16年には38兆円規模になるという。
産出国は約4分の1の収入になるのだから、OPECの国民はかつてのようなバブル生活を享受することは不可能になる。
もっとも日本でも商社は資源会社に莫大な投資を行ってきたし、石油元売り企業は高値の在庫を持っているので評価損が出るし、新興国経済の投資信託などを持っていれば評価損はまぬがれない。
だから誰もがハッピーという訳ではないが、全体として見れば資源価格がピークの4分の1になるのだからこれほど嬉しいことはない。
特に原発の稼働がままならずLNGを大量に輸入している日本にとってはほとんど天の恵みといっていいほどで、もし原油価格が100ドルが続いていたら日本国が崩壊していただろう。
一方で石油産出国のアルジェリア、ナイジェリア、ベネズエラあたりはほとんど倒産寸前だし、シェールオイルやシェールガスの投資は完全にストップしてしまっているのでアメリカ経済の屋台骨の一つを揺るがしている。
思い余ってサウジとロシア、それにベネズエラ、カタールの4か国が緊急に集まり「これ以上の増産をしないこと」の確認を行った。
本当は減産の合意を取り付けたかったが今はどこかの国が減産するとそのシェアを奪おうと他の石油産出国が増産するのどうにもならない。
かろうじて増産はしないという約束しかできなかったが、それでも市場はそのニュースを好感して一時33ドルぐらいまで値を戻していた。
しかし現状でも日産110万バーレルは供給過剰なのだから、増産をしないという程度の約束ではとても価格上昇に は結びつかない。またじりじりと価格は30ドルに近づいてきた。
問題はより長期、少なくとも今後3年以降価格はどうなるかということだが、波乱要因が多すぎてIEAも確信が持てないようだ。
鉱物資源のバブルが発生したのはアメリカ等の金融緩和と中国の資源爆買いのタイミングがあったからだが、金融緩和は続いても中国の爆買いはありえないから、鉱物資源の上昇は期待できない。
本当に日本のような資源輸入国にとっては朗報で、ガソリン価格などはとうとう100円を切ってきた。穀物価格も低下しており何ともうれしい悲鳴を上げそうだ。
資源国の時代から消費国の時代に完全に移ってきており、この時代は次の爆買い国(たぶん印度)がブレイクしないかぎり続きそうだ。
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