(29.5.16) 沖縄復帰45周年 沖縄では琉球王国の復活が悲願
沖縄復帰45周年ということでNHKをはじめ報道機関は沖縄特集を組んでいる。
沖縄が本土に復帰したのは昭和47年のことで、わたしがサラリーマンになった直後のことだった。
学生時代デモに参加すると、沖縄問題が主要課題になっておりシュプレヒコールとともに「沖縄を返せ。返せ」という反戦歌をよく歌ったものだ。
当時はすべての沖縄住民が本土復帰を望んでいるものと思い、沖縄復帰をもろ手を挙げて賛成するものとその頃の日本人(ヤマトンチュウ)は思っていたが、意外にもそれは違っていた。
信じられないかもしれないがそれを始めて私に教えてくれたのがさいとうたかを氏の劇画「ゴルゴ13 沖縄シンドローム」で1996年の作品だ。
琉球王朝の流れをくむ優秀な自衛官のパイロットが主人公で、沖縄独立を図るため同志とともに決起しようとしたところをゴルゴ13に射殺されるという内容だった。
私はその劇画のストーリーを見て「沖縄に独立運動などあるはずはないのに荒唐無稽な筋書きだ」と当時思ったが、実際は沖縄独立は沖縄人の心のルーツであり、沖縄独立運動は現在にも引き継がれ、翁長沖縄県知事などはその系譜にいることが分かってきた。
沖縄が日本に併合されたのは明治5年のことで今から約150年前のことであり、それまでは琉球王国という清国にも薩摩藩にも朝貢していた半独立国だった。
沖縄民族主義者の立場から言えば沖縄は朝鮮と同じ日本に植民地化された王国ということになる。
現在は基地問題で翁長知事を先頭に基地反対闘争を行っていて、沖縄から米軍基地を全廃させようとしている。日本政府は沖縄の軍事的重要性を強調して普天間基地の辺野古への移設を推し進めているが、客観的に見ると沖縄の基地の重要性は低減している。
それは北朝鮮に対するアメリカの対処を見てもわかるが、かつてのように戦争は基地から飛び立っていった爆撃機によるものではなく、空母を中心とした攻撃部隊によるトマホークと艦載機による攻撃が中心になっている。
イラク戦争もシリアへの攻撃もそして北朝鮮への圧力も、空母や艦船からの攻撃であり、かつてのベトナム戦争のような基地からの攻撃ではない。基地は背後の兵站的な役割であり攻撃の第一線から退いてしまった。
沖縄の米軍基地もその重要性を失われつつあり、はっきり言えば日本政府が「思いやり予算」で米軍を引き留めているから「日本に存在してやっている」という状況だ。
今後とも戦争はこの空母攻撃陣が中心になるから、沖縄からアメリカ軍が撤退するのも時間の問題となりつつある。
トランプ大統領の言う「傭兵料がすべて」で支払いがなくなれば米軍はいなくなる。
アメリカ軍が消えた後の沖縄については、日本として戦略的重要性はほとんどない南方の島になる。
今日本やロシアは急激な人口減に見舞われているが、周辺国の韓国、北朝鮮,そして中国もこの人口減少のトレンドにあり、大げさに言えば極東から人が消えつつある。
人口が増えれば人口圧力によって戦争が起こるが減少すれば戦争をする意味がない。尖閣諸島も竹島も所詮は岩礁であり、19世紀の帝国主義の時代以前は誰も見向きもしなかった。北方領土も人の住まないさびれた島になりつつある。
世界は縮み始めており、領土に対する意欲が年を追って低減しているときに、アメリカ軍が撤退し戦略的意味を失った沖縄をヤマトンチュウがなお保持する意欲も失われる。
「そうかい、独立したいのかい。それなら勝手に独立すればいい」
沖縄を失うのではなく、小うるさい問題が多い沖縄人(特に沖縄左翼)と付き合うのが嫌になるのだ。それが21世紀の地平線だろう。
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