(29.2.9) どこまで続くぬかるみぞ!! 文部科学省と官僚機構の天下り
文部科学省による天下りの斡旋については、前川事務次官が辞任しまた関係者の処分を行ったが、それだけで済まされる内容でなくなってきた。
文部科学省の斡旋では嶋貫氏という文部省OBが中心になって天下りを仕切ってきたのだが、嶋貫氏の天下りの経歴そのものも魔訶不可思議だ。
現在明治安田生命の顧問として月二回出勤し1000万円の年収、さらに第一生命顧問として週一回でここも1000万円の顧問料だそうだ。
そして実際は文教フォーラムという訳の分からない団体の役員を隠れ蓑に天下り斡旋を一手に引き受けていた。
嶋貫氏は文部科学省の高級官僚だったが、現在の顧問先が何とも奇妙な感じがする。文部科学省と生命保険会社と何のかかわりもないからだ。
国家公務員法では現役職員(主として人事課)が職員の天下りのあっせんをすることを禁じているほか、直接に担当した業界への5年間の再就職を禁じている。
この網の目をくぐる方法がOBによる斡旋と、直接関係しない業界への「たらいまわし」の再就職だ。
例えば文部科学省管轄の大学と金融機関を管轄している財務省が天下り先をバーターで交換する方法で、これだと全く関係のない業界に就職したことになる。
嶋貫氏の生命保険会社への天下りなどはこのバーターでないかと思われる。
文部科学省をはじめ官庁では「天下りは一切ない」ことになっていたが、これはしばらく前の大相撲の八百長試合と同じで、実際は網の目のように天下りのネットワークが張り巡らされており、地位、年収、勤務時間等によってランク付けられた天下り番付表のようなものがあり、これをもとに嶋貫氏のようなOBのブローカーが大活躍をしている。
嶋貫氏の言葉でいえば「人助け」であり、確かに天下りをする官僚にとってはそうだが、こうした天下りには必ず相応のバックペイが用意されている。
文部科学省の例でいえば補助金の獲得や大学院の設置や学校そのもの認可といった許認可がそうで、たとえば文部科学省は申請が上がった学校法人に対しいったんは不許可の裁定を下す。
学校法人としては必死になって再度認可申請をするのだが、その時に嶋貫氏等が大活躍する。
「あんた、こういう人を受け入れてくれれば文部科学省は必ず認可しますよ」
早稲田大学の教授に収まった前局長もこうした類で、早稲田大学の総長が「このような天下りを阻止できなかったことは誠に申し訳ない」と陳謝したが、早稲田でさえこの低落だからほかは推して知るべしということだろう。
文部科学省は補助金と許認可が餌だが、こうした権限を持っているすべての省庁が天下りを実施している。
必ず嶋貫氏のようなOBが暗躍していて補助金や許認可権と引き換えに官僚の天下りを実現していて、いくら取り締まってもこの官僚の天下りはなくなりそうもない。
何しろ天下れば何もしなくても1000万円程度の年収は保障されるのだから天下らないほうがおかしい。
もっとも生命保険会社の立場からは、天下られても生命保険の運営を行う能力はないから、会社に来てもらってはかえって困る。
顧問料1000万円で飼い殺しにする。
「まあ、これは〇〇を認可してもらった見返りですな」
日本は中国のように汚職国家ではないが、この天下りについては完全に汚職だ。官僚の給与が相対的に安いからで、高級官僚の給与が大企業並みの給与にならない限りこの天下りはゾンビのように生き残るだろう。
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