(23.12.23) Winnyは中立的なソフト 最高裁の判決
警察と検察が、Winnyの開発者元東京大学助手の金子勇氏に罪を着せようとして無理やり裁判に持ち込んでいたが、そうは問屋が卸さなかった。最高裁が検察側の上告を棄却して金子氏の無罪が確定したからである。
この事件は04年の金子氏の逮捕から始まっているから、足掛け8年間の裁判になっていた。当初京都地裁では有罪判決が出たが、私はこの判決は誤審であると考えその旨ブログに記載した。
その後大阪高裁で無罪になり、これを不服として検察側が上告していた。
注)誤審であると記載したブログは以下の通り。
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/20331_bf92.html
私がこの裁判に無理があると判断したのは、「著作権法違反ほう助罪」成立要件を検察側が拡大解釈していたからだ。
詳細は過去の私のブログを見ると分かるが、製作者の知らないところで違法行為が発生したらそれは製作者の罪だというのは馬鹿げている。
そんなことを言ったら世界最高性能のキャノンのコピー機を使って偽1万円札を偽装する犯人が後を立たないが、その場合キャノンは「著作権法違反ほう助罪」で犯人と一緒につかまり、またNTTドコモの電話を使ってオレオレ詐欺が発生しているが、NTTドコモはオレオレ詐欺の共犯者になってしまう。
金子氏が作ったソフトWinnyは単にパソコン間で直接にファイルを交換できるソフトを開発しただけだ。
そして暴露ウイルス(トロイの木馬と言われる)を製作した人が他人のパソコンにWinnyをそっと忍び込ませたとしても犯人は暴露ウイルスを製作した人で、金子氏でない。
検察も警察も京都裁判所も金子氏を裁いて満足していたら(06年)、当の警察や検察や裁判所のパソコンが次々にWinnyによる情報漏えいに襲われて四苦八苦し始めた。
そこで金子氏がWinnyが暴露ウイルスに利用されない方法を提案し改良を加えると表明したのに、当の警察が待ったをかけた。
「駄目だ、改良を加えたら犯罪の成立要件がなくなる」
実に馬鹿げたことだ。現在はインターネットを使用することでどのような情報でも漏洩が可能になっている。中国ではサイバー部隊が組織され、日本の防衛省や三菱重工のサーバーから秘密情報を盗んでいる。
もちろんアメリカのペンタゴンやFRBや空軍や海軍のサーバーにも中国軍のサイバー攻撃が繰り返されているので、アメリカでは優秀なハッカーを善玉ハッカーと言う名前を与えてリクルートし、中国とのサイバー戦争の第一線に立たせている。
注)サイバー戦争の現状は以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat46749968/index.html
考えても見てほしい。金子氏はそうしたなかでWinnyを開発するほど能力の高いプログラマーで、野球で言えばイチローやダルビッシュのような人だ。
アメリカや中国やロシアといったインテリジェンス(諜報活動)に熱心な国はこうしたプログラマーを最高の給与で雇用してサイバー戦争の第一線に立たせているのに、日本では警察が逮捕してソフトの改良さえさせないようにする。
日本の最高機密が次々に奪われている国際的犯罪を放っておきながら、一方で最高のプログラマーを何の罪もなく逮捕起訴する日本には呆れ返った。
さすがに高裁や最高裁の判事は冷静に問題の本質を理解したからいいようなものの、それでも約8年間の自由なソフト開発の空白期を生じてしまった。
日本が世界から遅れをとった(日本の技術情報や軍事情報が中国に筒抜けになった)最大の理由の一つが、自由なソフト開発に待ったをかけ、サイバー戦士を萎縮させたことにあるのは間違いない。
時代の潮流を見間違えるととんだ失敗をするという事例を警察と検察、および京都地方裁判所の判事が実例を持って示してくれた。
なおWinnyに関する過去の記事は以下参照
http://yamazakijirou.cocolog-nifty.com/blog/cat37409802/index.html
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