評論 世界経済 イタリア経済

(28.12.25) 遅い欧州のリーマンショック対応 イタリア/モンテパスキの倒産

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 イタリアの銀行で2008年のリーマンショックのくすぶりがついに火を噴き火事になった。欧州の各銀行はいまだサブプライムローンを仕組んだクズ証券をたっぷり持っておりその対応に苦慮してきたが、なんとか毎年の利益でその償却を図るつもりだった。
だがここにきてそれが不可能になり、イタリア第3位のモンテパスキが政府に救済を申請し実質的に倒産した。

 モンテパスキは自力で生き残ろうと6100億円の増資と、約1兆円のサブプライムローンの不良債権処理をしようとしたが市場からはまったく相手にされず万策尽き果てた。
後は政府に泣きつくより手段はなく欧州の決まりである銀行破たん・処理指令に基づく破たん申請を出した。
もはや誰も相手にしてくれません。政府の公的資金の投入で救済をお願いします

 この破たん・処理委指令では厳格なルールがあり、株主と銀行債保有者は相当の損失を覚悟しなければならない。
政府資金を導入するかわりに株主と銀行債の保有者は銀行に対する債権を放棄しなければならないきまりだ。
しかしイタリアでは多くの個人が銀行の劣後債を預金感覚で購入しており、モンテパスキでも約4万人が購入していたが銀行が破たんすれば紙くずになってしまう。
「株主や大口債権者はリスクを承知で投資をしていたが、劣後債はほとんど庶民の預金だからこれまでクズにすると社会的影響が大きすぎる・・・・

 イタリアでは今政治も経済も最悪でレンツィ前首相は憲法改正の国民投票で敗れ退陣し、また国内経済は低迷し若者の就職先がなく若者の失業率は約40%にも上っている。
ここにモンテパスキの劣後債問題が発生したらイタリアの政治は持たず、イタリア右翼が台頭してEUからの離脱が本格化する可能性がある。
ここはEUの破たん・処理指令を厳格に適用するのではなく個人の劣後債保有者は保護しよう。そうでないとイタリアの政治がもたない・・・・・・」イタリア政府はモンテパスキとその劣後債保有者の保護に乗り出す意向だ。

 この銀行問題は実はかなり深刻で、モンテパスキだけでなくイタリア一位のウニクレディトも同様の不良債権に苦しんでおり、1.6兆円の増資と再建計画を発表したばかりだ。
モンテパスキの処理を誤ればウニクレディトにも影響が及び、ここも増資に失敗すれば倒産処理に入ってしまう。
不良債権をたっぷり抱えているのはどこも同じだからそうなるとイタリアのすべての銀行が倒産危機に発展してしまう。

 欧州では2008年のサブプライムローン危機を表面を糊塗して逃れてきたのだが、その厚化粧がイタリアではがれれば次はフランスやドイツやスイスやスペインの銀行に影響が及ぶのは必然だ。
そうなると遅いリーマンショックの債権処理が一斉に始まることになり、欧州の金融危機に発展する。

 だから何とか火の粉はモンテパスキだけにとどめたいのが欧州各国の思いだ。
まあ、破たん・処理指令を個人の劣後債まで適用することはあるまい。小口の個人の救済をイタリア政府がするのは大目に見てやろう」欧州委としては条件を緩めて何とか延焼を防ぎたいが、そうなるかどうかは今のところ未知数だ。

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(28.7.10) イギリスがパンドラの箱を開け、イタリアの銀行が火をふき始めた

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 もはやどうにもならなくなりつつある。イギリスが国民投票でEUから離脱を決定した後、世界の株式市場は大揺れで低下の一途だし、何より長期金利が急速に低下して、日本では長期貸出の指標になる10年物国債の利回りが▲0.300%になってしまった。
このため金融機関は貸出金利で利ザヤをとるどころか反対にプレミアムをつけて貸し出しをしなければならなくなり、銀行経営の根幹を揺らしている。
「どこの世界に金を貸した方が金利を支払うなんて馬鹿な世界があるの・・・・・・」

 逆ザヤということは金融業がそもそも成り立たないということなのだが、FRBや日銀やECBや人民銀行があまりに多くの金を市場にばらまいたので、金の価値がなくなってしまった。
どうでもいいからもってけ。金を使用する人に はプレミアムのおまけだ。さーさーもってけ、ドロボー」寅さんのセリフになってきた。

 この状況下で、最も痛手を被っているのがイタリアの銀行で、イタリアの銀行は取引の主体が融資でしかも貸出基準が大アマなので不良債権の山を築いてきた。
ECB等の調査で不良債権比率は約17%だから、日本の金融機関のそれが1%前後なのに比べると天文学的数字だ。
これでよく営業を継続できると感心するがイタリア政府やECBがギリシャ問題だけでも大変なのに、この上イタリアの銀行が火をふいては大変なので懸命に資金を供給して支えてきたからだ。

だいじょうぶだ。そのうち不動産市況も株式市況も改善して業況が改善する。それまでの辛抱だ。臥薪嘗胆こそ金融の極意よ!!」
しかしその辛抱をふっ飛ばすような事件がイギリスのEUからの離脱で、世界の投資家がパニックになり資金をアメリカや日本の国債にシフトするものだから、貸出金利はどこまで低下するか分からなくなっている。
本当は不良債権に見合う17%程度の金利を設定しなければいけないのに、もはや利ザヤを期待する時代が終わってしまった。どこにも投資機会がなく資金はマイナス金利の国債購入しかない・・・・・・

 イタリア政府は特に経営が厳しく株価が急落している大手のモンテ・パスキに政府資金の投入を検討し始めた。
今までのようなECBからの国債担保の融資では間に合わなくなって、直接政府資金(したがって税金)を投入しなければならなくなりつつある。
ECBからの融資であれば正常取引を装うことができるが、政府資金が入るとそうはいかない。
経営者の責任がまず問われるし、イタリア銀行の融資はマフィアに対する融資が多いからそれが暴かれて政治問題になるし、不良債権もさらに厳しい見直しがされるだろうからイタリアがギリシャになる日は目前になってきた。

 普通の人は知らないが金融機関の融資などには魑魅魍魎の世界があって、通常は何とかそれを正常にみせているのだが、政府資金が導入されることになれば徹底的な調査がおこなわれて、今まで隠してきた諸悪がいっぺんに出てくる。
簡単に言えばパンドラの箱を開けたようなもので、次はスペイン、ポルトガルといった西欧南部諸国の金融機関の経営問題に発展するだろう。
もういやだ、わが国だけで不良債権を支えるなんてまっぴらだ。ギリシャもイタリアもスペインもポルトガルもEUから出ていけ」そうドイツが叫ぶ時が目前に迫ってきた。

 

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(23.11.8) ベルルスコーニ首相の屈辱 次はイタリアお前だ!!

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(この写真は「千葉公園のベンチから アタシはコーギー犬のココ」(リンクが張ってあります)と言う友達のブログから一部編集して借用。海と空の写真がとても美しいブログです。


 この3日から4日にかけて行われたG20の会議は、イタリアのベルルスコーニ首相にとっては屈辱以外の何者でもなかった。
この会議でイタリアはIMFの管理下に置かれることが決まったからだ。

 ギリシャのパパンドレウ首相が「第2次支援策を受け入れるか否かの国民投票を行う」と宣言して世界中を混乱させたが、これはサルコジ大統領メルケル首相オバマ大統領が首根っこを捕まえて止めさせ、結局ギリシャ国債の半額放棄と言う形でのギリシャ国家の倒産案を無理やり認めさせた。

 こうしてギリシャは倒産することが決まったのだが、そうなると次はイタリアだと市場が狙いを定めてきた。
イタリアの経済規模はユーロ圏で第3位で、国債残高は約200兆円で、これはギリシャの約6倍だ。
日本の1000兆円に比べればまだ可愛いが、経済規模が日本の約4割だから、日本の経済規模に引きなおすと約500兆円になる。

 この所のイタリア国債に対する市場の信頼はかなり低く、国債利回りは6.6%程度まで上昇してきた。これはECBヨーロッパ中央銀行)が約7兆円規模の買い支えをしていてもこの利回りだから、もしECBが見捨てたらたちまちのうちに7%を越えそうだ。
この7%前後危険ラインと称していて、このラインの国債は一般にデフォルト寸前とみなされている。

注)アイルランド、ポルトガル、ギリシャといった国はこのラインになったとき、IMFからの支援を受け入れることにした

 イタリアの現状はかなり日本に酷似している。

① 財政赤字がGDP対比ギリシャについで高いこと(日本200%、ギリシャ150%、イタリア120%
② 経済成長率が過去15年間で平均0.75%と極度に低いこと(
日本も名目ではほとんど伸びていない
③ 高齢化と既得権益集団の力が強く改革がほとんど行われないこと(
65歳以上の人口 日本23%、イタリア21%
④ 政治が混迷していて強いリーダーシップが望めないこと(
首相のセックススキャンダルが絶えない。一方日本ではほとんどが政治資金がらみのスキャンダル)

 だがギリシャ危機が起こるまではベルルスコーニ首相の鼻息は荒かった。
レストランは満員だし、航空便も予約で埋まっている。何もイタリア経済に問題はない
しかしイタリア経済は日本と同様に成長部門と言うものが何もない。それでも国民はドイツやベルギーやオランダやフランスのような生活を望むから、ギリシャと同様に国債を増発して、それで公務員の給与や年金をまかなってきた。
だが、このトリックもギリシャ危機ですっかり化けの皮をはがされてしまった。

 特に失業率8.6%11年1月)とアメリカとどっこいどっこいだし、特に若者の失業率は29%と極端に高い。
成長産業はないから若者の働く場がないのだが、既得権益集団の力が強くて構造改革がままならないのは日本と同じだ。

 この9月にフランスとドイツにせっつかれて、増税案定年延長案65歳から67歳に引上げ)を打ち出したが、野党が反対して実行できるか否かが危ぶまれている。
今回サルコジ大統領、メルケル首相、オバマ大統領、ラガルドIMF専務理事に取り囲まれてベルルスコーニ首相が詰め腹を切らされた内容はIMFによる3ヵ月ごとの緊縮財政策の実施状況の監視だった。

ちゃんとやるといってるだろう。トラスト・ミー
いやあんたを信用するわけには行かない。国内情勢が変化したと言っては国際公約を反故にするのがあんたの常套手段だ

国内にはうるさい野党と、何かと言うとストをする国民がいるんだ。一筋縄じゃいかないことを理解してくれ
あんたの政治力がなくなったのはもっぱらセックスにうつつを抜かして、国政を省みなかったたからだ。やはり下のほうも含めて監視が必要だな

IMFによる監視なんてかつての韓国やトルコやイラクやギリシャ並みの取扱じゃないか。大国イタリアのプライドが傷つく
イタリアの国債償還に問題が発生したらギリシャの比ではないだろう。そうしたらEUもアメリカもIMFもイタリアを救うことはできない。あなたが約束したことが実際に守られるかどうかの監視は絶対に必要だ。もしこの案を受け入れないなら今後EUもアメリカもIMFもイタリアを一切支援しないし、ECBが国債を買い支えることも止める

 ベルルスコーニ首相としてはIMF監視団の受け入れは苦渋の選択だったろう。
世界はイタリアを準禁治産者とみなしたということだから、プライドの高い首相としては「自ら進んで監視団を受け入れることにした」と国民には強がりを言ってみたものの、イタリアの国際評価は地に落ちた。

 こうしてイタリア経済は実質的にIMFに乗っ取られたのだが、だからと言って前途が明るいわけではない。緊縮財政は何より国民には不人気だし、この政策をとればとるほどGDPが縮小するのはギリシャで実証済みだ。
ギリシャ、イタリア、そして近い将来にスペインは放漫財政だった過去のキリギリスの生活から、緊縮財政と言う厳しい蟻の生活に否応なしに急激に移行させられようとしている。

注)イタリアの将来は日本の将来の鏡の様だ。政治家は日本の置かれている現状を正確に国民の公開して、緊縮財政に入るのが一番だと思うが、誰も虎の尾を踏もうとしない。

なお、イタリア経済の記事は以下にまとめてあります。
 
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat46608944/index.html

 

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(23.7.13) ヨーロッパ経済は火の車 イタリアが火を噴いた

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 ヨーロッパ経済は火の車だ。とうとうユーロ圏第3位の経済規模を持つイタリアに火の手が上がった。
今まではギリシャ支援で手一杯だったのに、さらにイタリアまでがEUECBヨーロッパ中央銀行)の支援を受けるようではEUもユーロも持たない。

注)EU27カ国の中でユーロには17カ国が加入している。イタリアのユーロ圏でのGDP ウェイトは約17%。GDPに対する債務割合は120%。

 特に最大の支援国になるドイツが頭にきておりレスラー財務相は言い放った。
欧州の高債務国に対する追加支援策は不要だし、イタリアは自ら財政赤字抑制策を実施すると確信している
もう、ギリシャにもイタリアにも金は出さないという意味だが、それではユーロは立ち行かない。

 ドイツは妥協して民間金融機関が保有しているギリシャ国債の期限延長に応じるなら支援しても良いと言い出した。

 これに対しフランスはこのギリシャ支援の枠組みの中に、ギリシャ国債を持っている金融機関を含めるよう再提案した。そうしないと金融機関が期限延長に同意しないと思っているからだ。
理由はギリシャ国債を一番持っている金融機関とはフランスの大手金融機関だからだ。
ここは何とかドイツをなだめてお金持ちに資金を出してもらおう」フランスもせこい。

注)すでにギリシャへは1100億ユーロ(約12兆円)の支援を決めているが、さらに1200億ユーロ(約13兆円)の支援が必要とされている。現在この追加の支援をどのような形で行うかドイツとフランスがもめている。

 ギリシャ支援の枠組みが一向に決まらないのを見て、市場は次はイタリアだとターゲットを定めた。イタリアはギリシャの次に国家債務が大きい
ギリシャでさえ救えないのなら、イタリアは絶対に駄目だ・・・・
イタリア国債の利回りはこのところ急上昇して5.71%10年債)になり、ドイツ国債とのスプレッド(ドイツ国債から何%離れているかの値)は3%も広がってしまった。
またCDSクレジット・デフォルト・スワップ)はこれも3%で、かつてのギリシャ国債と同じようなトレンドを歩み始めた。

注)イタリア国債保有者が保険のためにCDSを購入すると実際の利回りは5.71%-3%=2.71%程度になるのでドイツ国債並みになる。これならドイツ国債を購入したほうが安全と言う判断になる。

このままでは、ユーロは崩壊する。EUの救済基金を倍増して1兆5000億ユーロ(約165兆円)規模まで膨らませる必要があるのではないか・・・・」EUの担当者が言い出した。

 実はユーロ圏の問題がここまで先鋭化した背景にアメリカの格付会社の態度表明がある。
ギリシャ支援で民間金融機関が期限延長に応じれば、選択的デフォルトとみなす
これにはドイツもフランスも頭にきた。デフォルトを避けようとしているのにデフォルトだなんて認定されては支援の意味がない。
ヨーロッパがアメリカの格付会社の格付で金融政策を左右されるのは適切でない。ヨーロッパは独自の格付会社を設立すべきだ
EUの担当者がほえたが、しかし犬の遠吠えになりそうだ。

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 なぜこうまでヨーロッパの財政危機が深刻かと言うと、リーマンショックに伴う金融危機を各国の財政支援でとりあえず抑えてきたが、状況は何も変わっていないからだ。
サブプライムローン問題も、不動産融資問題も不良資産を金融機関から各国の財政に移し変えただけで、こんどはその不良資産が国の財政を圧迫している。

注)通常金融政策においては防波堤理論と言うものがある。
中小企業の資金繰りが苦しくなると親会社を中心とする大手企業が資金繰りを助け、大手企業が苦しくなった場合は金融機関が助ける。ここでとどまっていれば問題は民間部門で方がつくが、金融機関で持ちこたえられなくなると、最後は国家が資金繰りをつける。
そして国家が破産すると後はIMFのような国際機関の出番になる。

 そしてリーマン・ショックから3年たって、財政状況の弱い国から国家破綻が顕在化しており、アイスランド、アイルランド、ギリシャ、ポルトガル、そしてとうとうイタリアスペインの国家財政に波及してきた。
こうした国々は日本と異なり国債消化を市場を通じて行っているので、悪い噂が出れば誰も国債の購入をしなくなりたちどころに資金繰りに窮する。
仕方なしにEUやIMFが支援することになるのだが、見返りは緊縮財政だからこんどは国民が黙っていない。
ギリシャがそうであるようにストライキで大騒ぎになってしまう。

 今思えばリーマン・ショックまではヨーロッパにとって夢のような時代だった。GDPは毎年確実に上昇し、EUは拡大し、ユーロ圏も拡大して貿易は毎年のように伸びていた。
個人は競って住宅投資や有価証券投資に邁進して、毎年金持ちになっていた。

 しかしリーマン・ショックで車輪が逆転して今は毎年のように(ドイツを除けば)経済状況は悪化している。
日本が不動産バブルが崩壊した1990年以降まったく成長が止まったように、今ヨーロッパ全体としてはリーマン・ショック後(日本の後を追って)成長の止まった社会になりつつある。

なおギリシャ経済については以下の記事を参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/cat44468201/index.html


 

 

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