(28.3.15) ブラジル ルセフ政権の末路 中国を信じたブラジル経済はまっさかさま
人間落ち目になるとどうにもならなくなるらしい。ブラジルのルセフ政権のことである。
2011年に颯爽と登場したころはまさに我が世の春で、ワールドカップもオリンピックもブラジルで開催されることが決まり、当時問題だったギリシャ危機に際し「EUはブラジルに期待してよい」と大見得を切っていたのが今では夢のようだ。
ブラジル経済が成長していたのは14年の夏ごろまでで、このころを境にブラジル経済は坂道を転げ落ちるように転落し始めた。
14年夏とは中国経済がピークを打ちそれまで湯水のように輸入していた原油や鉄鉱石や銅鉱石や大豆等の食糧の輸入を減少させ始めた時である。
以来原油や鉄鉱石の価格はピーク時の4分の1、その他の鉱物資源や大豆等の食糧も3分の1から2分の1に価格が低下してしまった。
ブラジルの主要な輸出品目は鉄鉱石が15%程度、大豆が10%程度、原油が5%程度で、断トツの輸出先は中国で約20%である。
この中国偏重構造は韓国と全く同じで、中国経済の凋落に伴ってブラジル経済もまっさかさまに落ちてしまった。
15年度のGDPは▲4%程度で、今年になっても全く改善が見られず16年度も▲3%程度とIMF等の国際機関は推定している。
ルセフ政権は労働党政権でいわば弱いものの味方を標榜して貧しい人々にばらまき政治を行ってきたが、それも経済が好調で税収が十分に上がり海外から直接投資が湯水のように入ってきていたあいだだけだ。
経済の失速に伴い財政赤字は2014年から急拡大してこれ以上のばらまきは不可能になってきた。
このためバスや地下鉄等公共料金の値上げに踏み切ると、今までルセフ政権を支持していた貧しい人々がルセフ政権にそっぽを向き始め支持率は急下降して10%を割ってしまった。
注)最近までのルセフ政権の経済と政治の運営の実態は以下参照
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-ff49.html
ルセフ政権に追い打ちをかけたのが過去10年に及んだ労働党政権の汚職である。ルセフ氏の前任でルセフ氏の実質的な指名者であるルラ前大統領とルセフ政権の主要な閣僚が汚職疑惑に揺れている。
汚職の方法は労働党政権らしく国営石油企業ペテロブラスを巡る汚職で、ペテロブラスの建設投資に群がった建設会社が積極的か無理やりか不明だが、ルセフ政権の閣僚にワイロを贈ったり請求されたりした。
「あんたの会社がペテロブラスの仕事をしたいのなら政治献金をしてくれなきゃ!!」
原油価格が100ドルを越えていたころは海底油田を含めてペテロブラス は積極的な投資をしていたが、14年夏以降つるべ落としの原油価格の低下を見てすっかり新規の投資をひかえてしまった。
そうなるとワイロを請求された建設会社がおさまらない。
「あんた、政治資金を出せば我が社に建設の発注をするといってたのにさっぱりなにもしてくれないじゃないか。おかげで我が社は倒産しそうだ。どうしてくれる」
検察庁に恐れながらと垂れ込んだ。
検察庁は証拠は十分あるとルセフ政権の閣僚等の身柄の拘束の要求を裁判所に出すし、野党はルセフ大統領の弾劾請求を最高裁に出して大騒ぎになっている。
現在ルセフ政権は国会で過半数を維持しているが日本と同じ連立政権で、連立を組んだブラジル民主運動党は場合によってはルセフ氏を見捨てそうだ。
結局ブラジルのルセフ政権も中国あってのものだねで中国経済が崩壊したいま、ルセフ氏に頼るべきものはなにもない。
「中国はひどい。毎年7%の大成長をしているはずなのにブラジルからの輸入は激減だ。あの、ペテン野郎、許せない! それとも成長を信じた私がバカだったのかしら・・・・」
ここでも中国組が崩壊し、最近ではルセフ氏がいつ退任するかがブラジルのマスコミの話題になっている。
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