(25.9.26) NHK 神の数式その2 「宇宙はなぜ生まれたか」
本件は「神の数式」その1の続きです。その1は以下参照。
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/nhk-1793.html
だから言わんこっちゃないという状況になってきた。NHKが放送した「神の数式」シリーズをブログに掲載することである。
もともと私は物理学に弱い。全く分からないといったほうが早いのだがNHKが「神の数式、 宇宙はなぜ生まれたか」という番組を放映したために無理してでも書かざる得なくなった。
「その1」を記載した以上「その2」を書かないと何とも片手落ちになり、精神が安定しないからだ。
この番組に登場する理論物理学者とは頭脳と数式だけで宇宙の始まりを解き明かそうとする人たちだが、数式は神によって授けられており、それを数学者が発見する試みだと思われている。
神の意志を知る試みだから何か一種の宗教みたいだ。
この神の数式へのアプローチは二つあって一つは素粒子の存在とその運動を完全に説明できる素粒子理論(標準理論ともいう)と、もう一つはアインシュタインが発見した重力の数式、いわゆる一般相対性理論だという。
素粒子理論はミクロの世界を記述している数式で一方一般相対性理論はマクロの世界を記述している数式である。
素粒子理論については私は全く知らなかったが、一般相対性理論は何回か聞いたことがある。
簡単に言うと「重さやエネルギーがあると空間が歪む」ということで、太陽の周りの空間は歪んでいるので太陽の背後にある星の光がまがって地球に届くはずだとアインシュタインは予言した。
この予言は皆既日食の観測で見事に証明されたので空間が歪んでいることはその後の世界の常識になった。
この一般相対性理論によれば究極に小さな星がありその重さが極端に重い場合は、歪みは底なしになってすべての物を吸い込むブラックホールになっていると考えられた。
一般相対性理論からブラックホールが導き出されたのだ。
だがここには一つの難問が横たわっていたのだそうだ。車いすの天才物理学者ホーキングが提出した難問で、「もし物質が究極的に微少で素粒子間の距離がゼロならば空間のゆがみは計算できない」という難問だった。
一般相対性理論では空間のゆがみはブラックホールとの底との距離の3乗に逆比例すると考えられたが、距離がない以上分母がゼロになって計算不能に陥るからだ。
世の中でこの分母0の問題ほど不思議な問題はない。私が中学で数学を学んだ時にゼロで割ってはならないと何回も教えられたが、どうしてもその理由が分からなかった。
「なぜ数学ではゼロで割れないのだろうか・・・これは数学の欠陥なのではなかろうか・・・・・」
今でも不思議だが、数式の計算で分母にゼロが現れるとその時点で数式が不能に陥り意味をなくしてしまう。
完璧と思われる数学の唯一と言っていい欠点はこの分母ゼロの問題だ。
ホーキングが言ったのはブラックホールの底では一般相対性理論が成り立たないのだから、これは完全な数式(神の数式)ではないということだ。
この難問の解決には一般相対性理論に素粒子の標準理論を結合させる手法が有効ではないかと考えられた。なぜならブラックホールの底は完全に微粒子がこちこちに固まった場所と考えられたからだ。
だがどのように計算しても分母にゼロが現れ計算不能になってしまい、この結合は失敗だと思われた。
「だめだ、一般相対性理論と素粒子理論は何の関係もない」ほとんどの物理学者が匙を投げてしまった。
この分母ゼロの問題を解決したのが若き研究者だったジョン・シュワルツとジョエル・シャークでその理論は超弦理論といわれた。
私などは超弦理論と言われても何のことか知らなかったが、素粒子は点ではなく震えるゴムのような輪っかだという理論である。
もし輪っかであればブラックホールの底との距離はいくらか間が空いておりゼロでないので一般相対性理論はブラックホールの底でも成り立つという理屈になる。
これによりホーキングが提唱した分母ゼロの問題は解決するのだが、この超弦理論には新たな難問が発生した。
ゼロでないことは分かったが、しかし超弦理論による一般相対性理論と素粒子理論を結合させた計算結果は10次元になることだった。
「この世界は4次元なのに超弦理論による計算の世界は10次元になってしまうよ。後の6次元はどこにあるの、シュワルツさん」
シュワルツは多くの物理学者から嘲笑されたという。
これに対しシュワルツは何度も計算をやり直しついに次の結論に達した。
「この世界が4次元に見えるが、実際は隠された次元がありそれは超ミクロの世界に存在するために通常は見ることができない」
このシュワルツの計算は今で理論物理学者の常識になっており、宇宙は10次元(最新の計算では11次元)でその存在をSERNの研究所で実験によって確かめる試みが現在行われている。
しかし超弦理論による神の数式になお疑問を提示したのがホーキングで、それはホーキングのパラドックスと言われた。
「ブラックホールの底では粒子が全く動かないのに、計算上熱が発生するのはなぜか」
超弦理論での説明にまだ矛盾があるとの指摘に、世界の物理学者は頭を抱えた。
「確かに動けなければ熱は発生しない・・・・・・・・・・」
注)私はこの番組を見てホーキングは相当の皮肉屋だと思った。
これ難題を解決したのはポルチンスキーで弦は個別にあるのではなく膜のようになっており膜の隙間を弦が動き回っている(ただしこの説明は私には理解不能だった)。したがってブラックホールの底で熱が発生するのだというのだ。
かくして現在「神の数式」にもっとも近い数式は超弦理論による一般相対性理論と標準理論の結合だとされている。
これによって完全に宇宙の始まりは説明されたのだろうか。私にはさっぱり分からないが物理学者は相当程度「神の数式」に近づいたと自信を持っているようだ。
注)本当にNHKには苦労させられる。よくぞこんな番組を制作したと私はあきれ返ってしまった。
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